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公開番号
2024125197
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-13
出願番号
2024030132
出願日
2024-02-29
発明の名称
金属錯体化合物及びその製造方法
出願人
三菱ケミカル株式会社
,
公立大学法人大阪
代理人
個人
,
個人
主分類
C07F
15/00 20060101AFI20240906BHJP(有機化学)
要約
【課題】近赤外領域において、更なる長波長域に発光特性を有する新規金属錯体化合物を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される金属錯体化合物。
<com:Image com:imageContentCategory="Drawing"> <com:ImageFormatCategory>TIFF</com:ImageFormatCategory> <com:FileName>2024125197000049.tif</com:FileName> <com:HeightMeasure com:measureUnitCode="Mm">66</com:HeightMeasure> <com:WidthMeasure com:measureUnitCode="Mm">140</com:WidthMeasure> </com:Image>
[X
1
、X
2
、及びX
3
は水素原子又は電子供与性基であり、X
1
、X
2
、及びX
3
のいずれか1以上とZは、下記式(I)及び式(II)を満たす置換基。
σp>σ
1
p(I)、σ
1
p<0(II)
(σpは、Zのハメットの置換基定数。σ
1
pは、X
1
、X
2
、及びX
3
のいずれか1以上の電子供与性基のハメットの置換基定数。)]
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
下記式(1)で表される金属錯体化合物。
TIFF
2024125197000043.tif
66
140
[式(1)において、X
1
、X
2
、及びX
3
は水素原子又は電子供与性基であり、X
1
、X
2
、及びX
3
のいずれか1以上とZは、下記式(I)及び式(II)を満たす置換基である。X
1
、X
2
、X
3
のうち隣接する置換基同士が結合して、式(1)のX
1
、X
2
、X
3
を有するフェニル基のベンゼン環に縮合する環を形成することで、前記電子供与性基として機能してもよい。
σp>σ
1
p (I)
σ
1
p<0 (II)
(式(1)中、σpは、Zのハメットの置換基定数である。
σ
1
pは、X
1
、X
2
、及びX
3
のいずれか1以上の電子供与性基のハメットの置換基定数である。)
R
1
、R
2
、R
3
、R
4
はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していても良いアルキル基、シアノ基、置換基を有していても良いエステル基、置換基を有しても良いアリール基又は置換基を有しても良いアルコキシル基を表し、隣接する置換基同士で環を形成していてもよい。
Mはイリジウム又は白金を表す。
Lは1価の2座配位子を表し、m及びnは、
Mがイリジウムの場合にはm+n=3であり、mは1~3の整数であり、nは0~2の整数であり、
Mが白金の場合にはm+n=2であり、mは1又は2であり、nは0又は1である。]
続きを表示(約 2,300 文字)
【請求項2】
前記式(1)におけるm及びnがそれぞれ独立に、1~2の整数を表し、Mがイリジウムの場合にはm+n=3であり、Mが白金の場合にはm+n=2であることを特徴とする、請求項1に記載の金属錯体化合物。
【請求項3】
前記Lが下記式(2)で表されることを特徴とする、請求項1に記載の金属錯体化合物。
TIFF
2024125197000044.tif
32
140
[式(2)において、X及びYはそれぞれ独立に、C原子、N原子またはO原子を表す。]
【請求項4】
前記式(2)が、下記式(3)、下記式(4)又は下記式(5)で表されることを特徴とする、請求項3に記載の金属錯体化合物。
TIFF
2024125197000045.tif
37
140
[式(3)において、R
11
、R
12
、R
13
はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、又は置換基を有していても良いアリール基を表す。]
TIFF
2024125197000046.tif
46
140
[式(4)において、R
14
は重水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、隣接する置換基同士で環を形成してもよい。
R
15
は重水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、隣接する置換基同士で環を形成してもよい。
pは0~4の整数を表し、qは0~4の整数を表す。
R
14
、R
15
がそれぞれ複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。]
TIFF
2024125197000047.tif
37
140
[式(5)において、R
16
は重水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアルコキシル基、又は置換基を有していても良いアリール基を表し、隣接する置換基同士で環を形成してもよい。
rは0~4の整数を表す。
R
16
が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項5】
前記式(1)において、Mがイリジウムであることを特徴とする、請求項1に記載の金属錯体化合物。
【請求項6】
X
1
、X
2
、及びX
3
のいずれか1以上の前記電子供与性基がそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ジアリールアミノ基、又はジアルキルアミノ基であることを特徴とする、請求項1に記載の金属錯体化合物。
【請求項7】
Zがメチル基又はトリフルオロメチル基であることを特徴とする、請求項1に記載の金属錯体化合物。
【請求項8】
下記式(6)で表されるキノキサリン系化合物と塩化イリジウムと溶媒の混合物から、該溶媒を留去することにより、下記式(7)で表されるμクロロ架橋二核錯体を合成する工程を含む、下記式(1A)で表される金属錯体化合物の製造方法。
TIFF
2024125197000048.tif
177
145
[式(6)、(7)、(1A)において、X
1
,X
2
及びX
3
は水素原子又は電子供与性基であり、X
1
、X
2
、及びX
3
のいずれか1以上とZは、下記式(1)及び(II)を満たす置換基である。X
1
、X
2
、X
3
のうち隣接する置換基同士が結合して、式(1)のX
1
、X
2
、X
3
を有するフェニル基のベンゼン環に縮合する環を形成することで、前記電子供与性基として機能してもよい。
σp>σ
1
p (I)
σ
1
p<0 (II)
(式(I)中、σpは、Zのハメットの置換基定数である。
σ
1
pは、X
1
、X
2
、及びX
3
のいずれか1以上の電子供与性基のハメットの置換基定数である。)
R
1
、R
2
、R
3
、R
4
はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していても良いアルキル基、シアノ基、置換基を有していても良いエステル基、置換基を有しても良いアリール基又は置換基を有しても良いアルコキシル基を表し、隣接する置換基同士で環を形成していてもよい。
式(1A)において、X及びYはそれぞれ独立に、C原子、N原子またはO原子を表す。]
【請求項9】
請求項1~7のいずれかに記載の金属錯体化合物を用いた有機発光ダイオード。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の金属錯体化合物に関するものである。本発明の金属錯体化合物は、近赤外域以上に吸収・発光特性を有するものであり、例えば近赤外発光マーカー、インジケーター、バイオイメージング、センサー、波長変換フィルム、発光トランジスター、有機発光ダイオード(OLED)、電気化学発光セル、フォトダイナミックセラピー、光美容、ナイトビジョンディスプレイ、セキュリティー、偽造防止用途等の部材として好適に用いることができる。
本発明はまた、この金属錯体化合物の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、対象物の選別、認識等は目視によるものが主流であったが、近年は、科学技術の発展とともに、高齢化や少子化に伴う労働力の減少も相重なって、ロボットを利用した選別・認識へとシフトしつつある。目視による選別・認識では可視光のみが利用されるが、ロボットを利用する場合には目視では捉えられない近赤外発光も利用することが可能であるため、選別・識別精度の向上が期待できる。さらに近赤外光は細胞を透過するので、バイオイメージングやバイオセンサー、医療診断薬、光線力学的療法(PDT)などへの展開も期待できる。なかでもIr、Pt、Osなどの金属錯体は燐光発光を示すことから、特に注目を集めている。
【0003】
例えば、特許文献1にはキノキサリン骨格を配位子に有するイリジウム錯体が、近赤外に発光を示し、OLED用途として利用できることが報告されている。また、非特許文献1にはキノキサリン骨格の配位子(以下、「キノキサリン配位子」と称す場合がある。)を有するカチオン性イリジウム錯体が、電気化学セルとして利用できることが示されている。
【0004】
なお、従来、キノキサリン骨格ではなく、キノリン骨格やピリジン骨格に置換したフェニル基のm位に電子供与性基を導入することで、発光極大波長の長波長化を図る提案はなされている(非特許文献2,3)。
しかしながら、キノリン骨格に置換したフェニル基のm位に電子供与性基を導入した場合の発光極大波長は618nmで、導入前の発光極大波長の604nmに対して、その長波長化の効果は低い。また、ピリジン骨格に置換したフェニル基のm位に電子供与性基を導入した場合の発光極大波長は531nmで、導入前の発光極大波長の520nmに対して、その長波長化の効果は低い。しかも、いずれの場合も、発光極大波長は700nmを大きく下回るものであり、近赤外発光の利用分野への適用には不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2022-17658号公報
【非特許文献】
【0006】
Chem.Eur.J.2019,25,5489-5497(CationiCIrIII EmitterswitHNear-Infrared Emission Beyond 800 nm and Their Use in Light-Emitting Electrochemical Cells)
Yuyang Zhou,et.al.,Dalton Trans.,2015,44,1858-1865
K.-H.Kim,et.al.,Adv.Optical Mater.,2015,3,1191-1196
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の通り、従来、キノキサリン配位子を有するイリジウム錯体化合物の開発は行われているが、発光色素としての実用化のためには、発光波長の更なる長波長化が望まれる。
【0008】
本発明は、近赤外領域において、更なる長波長域に発光特性を有する新規金属錯体化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、キノキサリン配位子の特定の位置に電子供与性基を導入することにより、上記課題を解決することを見出した。
本発明は、このような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
【0010】
[1] 下記式(1)で表される金属錯体化合物。
(【0011】以降は省略されています)
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