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公開番号
2024125007
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-13
出願番号
2023033056
出願日
2023-03-03
発明の名称
核酸抽出用基材、核酸抽出用キット及び核酸抽出方法
出願人
地方独立行政法人大阪産業技術研究所
代理人
弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類
C12N
15/10 20060101AFI20240906BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】大型機器が不要で核酸増幅阻害成分を含まない新規な核酸抽出用基材、当該核酸抽出用基材及び緩衝液を含む核酸抽出用キット、並びに当該核酸抽出用基材を用いた核酸抽出方法を提供する。
【解決手段】負電荷側鎖を有する環状4級アンモニウム塩及び担体を含む、核酸抽出用基材。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
負電荷側鎖を有する環状4級アンモニウム塩及び担体を含む、核酸抽出用基材。
続きを表示(約 660 文字)
【請求項2】
前記環状4級アンモニウム塩がイミダゾリウム塩である、請求項1に記載の核酸抽出用基材。
【請求項3】
前記負電荷側鎖がアニオン官能基を含む、請求項1又は2に記載の核酸抽出用基材。
【請求項4】
前記負電荷側鎖がカルボキシ基又はスルホ基を含む、請求項1又は2に記載の核酸抽出用基材。
【請求項5】
前記負電荷側鎖が、下記式(I)
-(CH
2
)
n
-COOH (I)
(式中、nは1~10である。)
で表される一価の基である、請求項1又は2に記載の核酸抽出用基材。
【請求項6】
前記担体がシリカゲルである、請求項1又は2に記載の核酸抽出用基材。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の核酸抽出用基材及び緩衝液を含む、核酸抽出用キット。
【請求項8】
(1)負電荷側鎖を有する環状4級アンモニウム塩を含む核酸抽出用基材に核酸を含有する試料を吸着させる工程と、
(2)前記核酸が吸着した前記核酸抽出用基材を洗浄する工程と、
(3)前記核酸抽出用基材に吸着した前記核酸を溶出する工程と
を含む、核酸抽出方法。
【請求項9】
前記工程(3)における前記溶出が緩衝液を用いて行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記緩衝液の塩濃度が450mM~600mMである、請求項9に記載の方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸抽出用基材、核酸抽出用キット及び核酸抽出方法に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)
【背景技術】
【0002】
ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction;PCR)に代表される核酸増幅法を用いた検査は高い感度を有する手法である。そのため、医療や農畜産等の分野において、試料中の微生物やウイルス由来の核酸の検出による感染症診断等に応用されている。核酸増幅法による検査では、一般的にその精度を高めるための前処理として、試料中から核酸抽出が行われる。
【0003】
現在汎用されている核酸抽出法は、シリカゲル表面への核酸吸着、洗浄及び溶出によるバインド・エリュート法である(特許文献1)。すなわち、このバインド・エリュート法は、「核酸と核酸抽出材の結合を行う吸着工程」、「核酸抽出材に結合した核酸の洗浄を行う洗浄工程」及び「核酸抽出材に結合した核酸の溶出を行う溶出工程」から構成される。しかし、その工程は遠心分離機等の大型機器の使用を伴うものである。大型機器は通常、検査室に据え置かれているものである。したがって、検査前の核酸抽出をするには検体を採取した後、機器が揃った検査室に運ぶ必要があった。この際、輸送中に検体中の核酸が劣化する、あるいは輸送に長時間を要して診断が遅くなるといった課題があった。また、吸着工程で用いるカオトロピック塩や洗浄工程で用いるアルコール含有水は、残存すると核酸増幅を阻害するため偽陰性の原因となる。
【0004】
一方で、核酸は側鎖にリン酸基を豊富に有する物質であることから、陰イオン交換カラムを用いた核酸抽出法も公知技術として用いられている。しかし、この方法も一般的に遠心分離やポンプ送液による作業を伴うため、煩雑な操作や作業場所の制限といったデメリットが残る。また、正電荷をもつ分子であるイミダゾリウムを用いた核酸抽出法が報告されているが(特許文献2)、核酸の溶出時に用いられる高濃度の無機塩水溶液は核酸増幅反応を阻害してしまう。そのため、核酸検査の前処理としては不適切であるといった課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2001-078790号公報
特開2008-278755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、大型機器が不要で核酸増幅阻害成分を含まない新規な核酸抽出用基材、当該核酸抽出用基材及び緩衝液を含む核酸抽出用キット、並びに当該核酸抽出用基材を用いた核酸抽出方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行ったところ、側鎖に負電荷を有する環状4級アンモニウム塩を用いた核酸抽出用基材により、大型機器が不要で核酸増幅を阻害する成分を用いずに核酸抽出が可能であることを見出した。本発明はかかる知見に基づいてさらに検討を加えることにより完成したものであり、以下の態様を含む。
【0008】
項1.
負電荷側鎖を有する環状4級アンモニウム塩及び担体を含む、核酸抽出用基材。
項2.
前記環状4級アンモニウム塩がイミダゾリウム塩である、項1に記載の核酸抽出用基材。
項3.
前記負電荷側鎖がアニオン官能基を含む、項1又は2に記載の核酸抽出用基材。
項4.
前記負電荷側鎖がカルボキシ基又はスルホ基を含む、項1又は2に記載の核酸抽出用基材。
項4A.
前記アニオン官能基がカルボキシ基又はスルホ基である、項3に記載の核酸抽出用基材。
項5.
前記負電荷側鎖が、下記式(I)
-(CH
2
)
n
-COOH (I)
(式中、nは1~10である。)
で表される一価の基である、項1又は2に記載の核酸抽出用基材。
項6.
前記担体がシリカゲルである、項1又は2に記載の核酸抽出用基材。
項6A.
前記担体がシリカゲルである、項1~5のいずれか一項に記載の核酸抽出用基材。
項7.
項1又は2に記載の核酸抽出用基材及び緩衝液を含む、核酸抽出用キット。
項7A.
項1~6のいずれか一項に記載の核酸抽出用基材及び緩衝液を含む、核酸抽出用キット。
項8.
(1)負電荷側鎖を有する環状4級アンモニウム塩を含む核酸抽出用基材に核酸を含有する試料を吸着させる工程と、
(2)前記核酸が吸着した前記核酸抽出用基材を洗浄する工程と、
(3)前記核酸抽出用基材に吸着した前記核酸を溶出する工程と
を含む、核酸抽出方法。
項9.
前記工程(3)における前記溶出が緩衝液を用いて行われる、項8に記載の方法。
項10.
前記緩衝液の塩濃度が450mM~600mMである、項9に記載の方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、大型機器が不要で核酸増幅阻害成分を含まない新規な核酸抽出用基材、当該核酸抽出用基材及び緩衝液を含む核酸抽出用キット、並びに当該核酸抽出用基材を用いた核酸抽出方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
核酸抽出用基材の作製の概要図である。
実施例において作成した核酸抽出用基材及びその使用例を示す図である。
本発明の核酸抽出用基材を用いた、核酸の吸着、洗浄及び溶出の操作フローの概略図である。
核酸の溶出に用いた緩衝液の種類ごとの核酸回収率を示す図である。
核酸の溶出に用いたTris緩衝液の濃度ごとの核酸回収率を示す図である。
大腸菌ゲノムDNA溶液を、側鎖にアニオン官能基、カチオン官能基又は中性官能基を有するイミダゾリウム塩を含む核酸抽出用基材に供して得られた溶出液のリアルタイムPCR結果を示す図である。
加熱処理した大腸菌液のリアルタイムPCR結果、及び加熱処理した大腸菌液を核酸抽出用基材に供して得られた溶出液のリアルタイムPCR結果を示す図である。
大腸菌ゲノムDNA溶液を、側鎖にカルボキシメチル基、カルボキシブチル基又はカルボキシペンチル基を有するイミダゾリウム塩を含む核酸抽出用基材に供して得られた溶出液のリアルタイムPCR結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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