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公開番号2024122362
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-09
出願番号2023029866
出願日2023-02-28
発明の名称光学用合成石英ガラス及びその製造方法
出願人信越石英株式会社
代理人個人,個人
主分類C03B 8/04 20060101AFI20240902BHJP(ガラス;鉱物またはスラグウール)
要約【課題】波長365nm以下の短波長の固体レーザーに対するレーザー耐性に優れており、透過率の低下や赤色蛍光の発現を遅くし、長期の透過率維持を可能とする光学用合成石英ガラス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】OH基濃度が5ppm以上30ppm以下であり、且つ、含有される水素分子濃度が1×1018分子/cm3以上4.3×1018分子/cm3以下の範囲であり、仮想温度は1050℃以上1300℃以下である、波長365nm以下の短波長の固体レーザーに対するレーザー耐性に優れた光学用合成石英ガラスとした。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
OH基濃度が5ppm以上30ppm以下であり、且つ、
含有される水素分子濃度が1×10
18
分子/cm

以上4.3×10
18
分子/cm

以下の範囲であり、
仮想温度が1050℃以上1300℃以下である、波長365nm以下の短波長の固体レーザーに対するレーザー耐性を有する光学用合成石英ガラス。
続きを表示(約 760 文字)【請求項2】
前記レーザー耐性が、前記光学用合成石英ガラスへのレーザー照射加速試験において、波長266nm、パルス幅100psの高調波YAGレーザーを、出力0.2W、周波数80MHzの条件で照射し、波長266nmの透過率変化を測定する試験において、光路長10mmあたり、照射後の透過率が初期透過率から10%低下する照射時間が450秒以上である、請求項1記載の光学用合成石英ガラス。
【請求項3】
前記レーザー耐性が、前記光学用合成石英ガラスへのレーザー照射加速試験において、波長266nm、パルス幅100psの高調波YAGレーザーを、出力0.2W、周波数80MHzの条件で照射した際に赤色蛍光が発現する時間が400秒以上である、請求項1又は2記載の光学用合成石英ガラス。
【請求項4】
揮発性珪素化合物を酸水素火炎により加水分解し、生成する微粒子シリカを耐熱性基体上に堆積させて多孔質母材を作成する工程と、
前記多孔質母材を加熱し、透明な石英ガラス体を得る工程と、
前記石英ガラス体を、仮想温度が1050℃以上1300℃以下になるように熱処理する工程と、
前記石英ガラス体を、水素ガス含有雰囲気中で、圧力0.20MPa~0.98MPa、温度320℃~400℃で熱処理を行って水素分子を含有させ、含有される水素分子濃度が1×10
18
分子/cm

以上4.3×10
18
分子/cm

以下の範囲とする工程と、
を含む合成石英ガラスの製造方法。
【請求項5】
前記水素ガス含有雰囲気中での加熱温度が340℃以上390℃以下である、請求項4記載の合成石英ガラスの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、高出力且つ短パルス、高繰り返しの紫外線レーザー耐性を有する光学用合成石英ガラス及び合成石英ガラスの製造方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
従来、光学用合成石英ガラスは、露光装置技術の変遷とともに開発がなされてきた。現在、多種多様な装置の光源として用いられるYAG高調波レーザーは、短波長化が進み、更なる高出力化が進んでいる。一般的に光は短波長になるほど光子エネルギーが高いため、石英ガラスなどの透過材料に対して光学的なダメージを与えやすくなる。
【0003】
YAGレーザー高調波用合成石英ガラス光学材料は種々検討されており、特許文献1は、OH基濃度が1ppm以上300ppm以下、含有される水素分子濃度が2×10
18
分子/cm

以上2×10
19
分子/cm

以下の範囲にあり、波長245nmにおける紫外線の透過率が99.9%以上であって、かつ仮想温度が880℃以上990℃以下であることを特徴とするYAGレーザー高調波用合成石英ガラス光学材料を記載している。
【0004】
しかしながら、前述した如く、YAGレーザーの高調波では、近年短波長、高出力化が加速しており、特許文献1に記載されるような従来の光学用合成石英ガラスでは、近年の高出力且つ短パルス、高繰り返しのレーザーに対する耐性が十分ではなかった。具体的には、従来の光学用合成石英ガラスでは、レーザー照射により石英ガラスに構造欠陥が生じ、それによる光吸収によってレーザー出力が大幅に低下したり、赤色蛍光の発生や透過率の低下が短期間で発生してしまい、十分な耐光性が得られず、短命であり、長期レーザー耐性を有さず、現在のニーズを満たせないといった問題があった。
【0005】
波長365nm以下の短波長の固体レーザー等の現在の高出力レーザーでは、ガラスに対するダメージが大きいため、ガラス劣化によっていずれ赤色蛍光が発生し、その後、透過率の低下が生じることが知られており、その透過率の低下や赤色蛍光の発現を抑制した材料が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2004-59406号公報
【非特許文献】
【0007】
D. M. Dodd, et al., "Optical Determinations of OH in Fused Silica", Journal of Applied Physics Vol.37, p.3911 (1966)
V. S. Khotimchenko et al., “Determining the content of hydrogen dissolved in quartz glass using the methods of Raman scattering and mass spectrometry”, J. Appl. Spectroscopy, 46, 632-635 (1987)
A. Agarwal, et al., “A simple IR spectroscopic method for determining fictive temperature of silica glasses”, J. Non-Cryst. Solids, Vol.185, p.191-198 (1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、波長365nm以下の短波長の固体レーザーに対するレーザー耐性を有し、透過率低下や赤色蛍光の発現を遅くし、長期の透過率維持を可能とする光学用合成石英ガラス及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する為に本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、透過率低下及び赤色蛍光の発現を遅らせるには、仮想温度を1050℃以上1300℃以下とするとともに、OH基含有量を適切にし、且つ水素分子濃度を高めることで、効果が得られることを見出した。さらに、本発明者らは、所定条件での水素ドープ処理により、構造欠陥を生じさせること無く、十分な水素分子濃度を保持させることができ、波長365nm以下の短波長の固体レーザーに対する優れたレーザー耐性を有する合成石英ガラスを得ることができることを見出した。
【0010】
即ち、本発明の光学用合成石英ガラスは、OH基濃度が5ppm以上30ppm以下であり、且つ、含有される水素分子濃度が1×10
18
分子/cm

以上4.3×10
18
分子/cm

以下の範囲であり、仮想温度は1050℃以上1300℃以下である、光学用合成石英ガラスである。
前記光学用合成石英ガラスは、波長365nm以下の短波長の固体レーザーに対する優れたレーザー耐性を有しており、レーザー照射による透過率劣化や赤色蛍光の発現を遅らせることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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