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公開番号
2024120492
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-09-05
出願番号
2023027316
出願日
2023-02-24
発明の名称
量子駆動制御部を備えたアクチュエータ
出願人
キヤノン株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
G05B
11/36 20060101AFI20240829BHJP(制御;調整)
要約
【課題】 非線形特性を有するアクチュエータの制御性向上を目的とする。
【解決手段】 上記課題を解決するため、制御部は、指令が指示する目標状態および計測された状態に基づく信号を入力とし、量子ゲート演算により算出された第一の部材を駆動するための制御量を補正する制御量補正部を備え、補正された制御量に基づき第一の部材が駆動することで第二の部材が動作することを特徴とするアクチュエータを提供する。
【選択図】 図2
特許請求の範囲
【請求項1】
第一の部材と、
前記第一の部材が駆動することで動作する第二の部材と、
前記第二の部材の状態を計測する計測部と、
指令を発する指令部と、
制御部と、
を備えたアクチュエータであって、
前記制御部は、
前記指令が指示する目標状態および計測された前記状態に基づく信号を入力とし、量子ゲート演算により算出された前記第一の部材を駆動するための制御量を補正する制御量補正部を備え、
補正された前記制御量に基づき前記第一の部材が駆動することで前記第二の部材が動作することを特徴とするアクチュエータ。
続きを表示(約 1,000 文字)
【請求項2】
前記制御部は、前記目標状態における前記第二の部材の目標位置と前記計測部により計測された前記第二の部材の位置との偏差の、符号の積分値に基づき前記制御量を補正する請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記制御部は、量子ビットを用いた前記量子ゲート演算に基づき前記制御量を出力する請求項1または2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記制御部は、前記目標状態に基づいて前記量子ビットが読みだされる確率に関連付けられた制御量を出力する請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記制御部は、前記量子ゲート演算に基づく前記確率に対応した出力テーブルを備えた請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記制御部は、前記目標状態をアダマールゲートによって重ね合わせ状態にて表現する量子ビットとカウンタ量子ビットを備え、規格化した前記目標状態に対応する値に基づき前記量子ビットを用いた量子ゲート演算を行い、前記カウンタ量子ビットに対する前記目標状態の確率を演算する請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記量子ゲート演算は、前記目標状態の値を入力としてスクラッチ量子ビットを用いた演算により状態シェーダー値を出力する状態シェーダー演算と、前記状態シェーダー値の確率に応じて前記目標状態量子ビットの位相反転を行い、前記位相反転と振幅増幅を前記カウンタ量子ビットに応じて繰り返すグローバー増幅演算と、前記カウンタ量子ビットの逆QFT演算を行う請求項6に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記グローバー増幅演算は、フリップ演算とミラー演算から成り、重ね合わせ状態にある量子ビットの位相を反転し、位相差を振幅の大きさの差に変換する振幅増幅を行う請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記逆QFT演算は、周期的に変化する重ね合わせ状態にある量子ビットを周波数空間で表現する量子フーリエ変換に対応する逆変換であり、周波数空間を表現する量子ビットを入力として、対応する信号に変換して出力する請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記カウンタ量子ビットに対する前記目標状態の値の確率データを有する第1の確率テーブルを備える請求項6に記載のアクチュエータ。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、量子駆動制御部を備えたアクチュエータに関するものである。より詳しくは量子ビットを用いた量子ゲート演算に基づく制御によって動作するアクチュエータに関するものである。
続きを表示(約 1,900 文字)
【背景技術】
【0002】
AI(人工知能)に続く次世代技術として、近年は量子コンピューティング技術の研究が進められている(特許文献2、3、4)。量子コンピューティング技術は、従来の2進法演算による古典コンピュータに対して大幅な演算時間の短縮が期待される有望な技術である。具体的な応用先としては、金融や材料計算、データマイニング分野などが研究されているが、量子演算の特徴を活かし、より広範囲に、例えばアクチュエータの制御といった分野にも適用できる可能性を秘めている。
【0003】
アクチュエータの一例として振動型アクチュエータについて説明する。振動型アクチュエータは、弾性体に結合された、圧電素子等の電気-機械エネルギー変換素子に交流電圧を印加することで、該素子に高周波振動を発生させ、その振動エネルギーを連続的な機械運動として取り出すように構成された、非電磁駆動式のモータである。
【0004】
振動型アクチュエータは小型軽量、高精度、低速高トルクといった優れたモータ性能を有する一方で、非線形のモータ特性を有しているのでモデル化は難しく、駆動条件や温度環境で制御性が変化するので制御的な対策が必要となる。また、周波数、位相差、電圧といった制御パラメータも多く、調整も複雑となる。
【0005】
図9(a)は、従来の一般的なPID制御による振動型アクチュエータを示す例である。駆動回路からは2相の交流電圧信号が出力され、その周波数、位相差、電圧振幅(パルス幅により可変)を制御することで振動型モータの速度を制御することができる(図9b)。目標位置と、検出された相対位置との差分である位置偏差はPID制御器に入力され、位置偏差に応じてPID演算された制御量(周波数、位相差、パルス幅)が制御サンプリング毎に逐次出力されることで位置フィードバック制御が行われる。
【0006】
図9(c)は、振動型アクチュエータの周波数‐速度特性を模式的に示した図である。振動型アクチュエータは使用する速度域によって速度カーブの傾きが異なり、制御ゲインの調整が必要となる。例えば高速域の周波数f1と、低速域の周波数f2で傾きが異なる様子を示す。図9(d)は、低速域(f2)と高速域(f1)での位相差‐速度特性を比較した図である。高速域(f1)は傾きが大きいので制御的な敏感度が高く、低速域(f2)は傾きが小さいので敏感度も低い。また、環境温度による変化、例えば常温から低温に変化した場合は圧電素子の温度特性に基づき周波数が高域側にシフトする。その場合、同じ周波数で駆動した時の速度と傾きが異なり制御性能が変化する。従って、良好な制御性を得るには制御ゲインの最適化が必要であるが、その調整方法は複雑となる。
【0007】
振動型アクチュエータの制御性向上を目的として、ニューラルネットワークなど様々な現代制御の応用が研究されている。特許文献1は、多自由度駆動が可能な振動型アクチュエータの制御において、目標位置まで最小の駆動量で到達するための回転軸ベクトルを選択していく制御方法である。振動型アクチュエータの逆モデルとしてニューラルネットワークを用い、回転軸ベクトルをニューラルネットワークに入力して位相及び振幅を出力して制御するものである。ニューラルネットワークのパラメータの学習は、モデル化した駆動推定シミュレータの特性に近づくように行っている。
【0008】
しかし特許文献1に示したニューラルネットワークを用いた制御は振動型アクチュエータの伝達関数に基づくモデルを作る必要があり、実機の挙動と完全に一致させることは難しかった。また、完全に一致したモデルが得られても、個体差や温度環境による性能ばらつき、耐久による経時変化によって制御性が損なわれてしまう。
【0009】
また特許文献2では被制御体を、Groverアルゴリズムが成り立つように設計された保存力下での運動する三体振動系の一部とみなし制御関数を解析的に導出しているが、アルゴリズムが複雑で、アクチュエータ制御には不向きだった。
【0010】
特許文献3は、プラントを制御するためのパラメータを量子サーチするものである。特許文献4は、量子系モデルを用いてパルス電子スピン共鳴(ESR)を用いた超電導共振器などに応用すべく、共振器回路の動作によってスピン系モデルにマイクロ波のパルスを照射する制御手法が開示されている。これらもまたアクチュエータ制御には不向きだった。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
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