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公開番号2024118494
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-02
出願番号2023024799
出願日2023-02-21
発明の名称電子線硬化型インク組成物および積層体
出願人東京インキ株式会社
代理人
主分類C09D 11/101 20140101AFI20240826BHJP(染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用)
要約【課題】本発明は、硬化前後において低臭で、硬化後においては延伸性に優れ、耐水・耐アルコール性、耐溶剤性を有し、VOCの発生が少ない電子線硬化型のインク組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(CTFA)と、ポリマー化合物と、を含み、光重合開始剤を含まず、前記CTFAと前記ポリマー化合物との合計量に対して、前記CTFAの含有量が60質量%以上90質量%以下で、かつ電子線硬化型インク組成物全量に対して、前記ポリマー化合物の含有量が10質量%以上40質量%以下である、電子線硬化型インク組成物。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(CTFA)と、ポリマー化合物と、を含み、
光重合開始剤を含まず、
前記CTFAと前記ポリマー化合物との合計量に対して、前記CTFAの含有量が60質量%以上90質量%以下で、かつ
電子線硬化型インク組成物全量に対して、前記ポリマー化合物の含有量が10質量%以上40質量%以下である、電子線硬化型インク組成物。
続きを表示(約 140 文字)【請求項2】
さらに、前記電子線硬化型インク組成物の全量に対して0.5質量%以下の多官能(メタ)アクリル系モノマーを含む、請求項1記載の電子線硬化型インク組成物。
【請求項3】
基材上に、請求項1または2記載の電子線硬化型インク組成物の硬化皮膜が形成された積層体。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電子線硬化型インク組成物、およびこのインク組成物を基材に印刷または塗布し硬化させた積層体に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
紫外線、電子線などの活性エネルギー線によって硬化する活性エネルギー線硬化型インク組成物は、塗布、オフセット、グラビア、インクジェットなどの印刷方法を問わず、広く使用されており、現在でもその開発が活発に行われている。
活性エネルギー線硬化型インク組成物は、活性エネルギー線重合性モノマーを主成分としているが、そのうち、最も広く使用されている紫外線硬化型のインク組成物は、硬化に必要な重合開始剤や増感剤といった添加物を含有しており、これらの分解物、残留物や未反応モノマーに起因する臭気、揮発成分(VOC、Volitile Organic Compounds)また、印刷物が食品容器であれば、それらの内容物への移行(溶出物)の問題が生ずる。
【0003】
例えば、特許文献1には、「少なくとも50重量%の環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(CTFA)及びフリーラジカル光開始剤を含み、揮発性有機化合物をほとんど含まない放射線硬化型インクジェットインク」が開示されている。このインクジェットインクは、低粘度、低臭であるうえ、その紫外線硬化型インクにより形成された硬化膜の硬化速度及びフレキシブル性(延伸性)に優れる、とされている。
さらに、特許文献2には、CTFAを含有する活性エネルギー線硬化型インク組成物が開示され、延伸性に加えてタックの軽減を可能とする硬化膜を形成することができる、とされている。
【0004】
特許文献1のインクは、低粘度、低臭で、延伸性に優れるものではあるが紫外線硬化型インクであり、特許文献2のインクも、延伸性に加えてタックの軽減を可能とする硬化膜を形成するものであるが、実施例に開示されている記載によると実質的には紫外線硬化型インクである。従って、重合開始剤、増感剤といった添加物を含有し、これらの分解物や残留物による臭気、VOCや溶出物の発生は避けられない。
【0005】
最近では、電子線発生装置の小型化、低廉化にともない、上記した紫外線硬化型インクの問題点を解決するものとして電子線硬化型インクの開発が進められている。すなわち、重合開始剤、増感剤といった添加物が不要となる電子線硬化型インクにすることで、これらの分解物や残留物による臭気、VOCや溶出物の発生を抑制でき、例えば特許文献3のような電子線硬化型インクが開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献3において、電子線硬化型インクでは、「一般に、電子線の照射による樹脂硬化時には、光重合性モノマーが揮発して煙が発生し易くなるという問題があった。」とされているように、光重合性モノマーの揮発成分や、これら揮発成分に電子線が照射されることによりポリマー化した微粒子が白煙のように見えたと考えられ、すなわちVOCの発生が問題として指摘されている。そこで、当該特許文献3では、重合開始剤を含有しない電子線硬化性樹脂に紫外線を照射して少なくとも表層を高分子化させた後、電子線を照射して深部を高分子化させ、全体を硬化させる硬化方法によって、光重合性モノマーの揮発および煙の発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特表2010-540751号公報
特開2018-70760号公報
特開2017-132895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
確かに、特許文献1および特許文献2で開示されているインク組成物は低臭で、その硬化物は延伸性に優れるものであるが、紫外線硬化型インクである限り、重合開始剤、増感剤といった添加物を含有し、硬化した際の臭気が発生する。また、電子線の照射による硬化について、まったく検討されず、その延伸性についての記載も示唆もない。また、特許文献3の硬化方法でも、電子線照射時のVOCの発生を低減できるかもしれないが、はじめの紫外線照射時にVOCが発生し、更に紫外線および電子線の二つの照射装置を併用しなければならない。また、硬化後の延伸性については、記載も示唆もない。
また、延伸性を有していても、硬化皮膜の耐性(耐溶剤性、耐水性)が弱いと、例えば加熱延伸成形された後に、アルコールや水などに接触した際に、硬化皮膜が剥がれたり、別の物品に付着する問題が生じる。この耐性について、特許文献1~3においては、何ら検討されておらず、記載も示唆もない。
【0009】
従って、本発明は、硬化前後において低臭で、硬化後においては延伸性に優れ、耐水・耐アルコール性、耐溶剤性を有し、VOCの発生が少ない電子線硬化型インク組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討した結果、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(CTFA)とポリマー化合物とを含有するインク組成物を電子線で硬化させることによって前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
(【0011】以降は省略されています)

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