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公開番号2024117978
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-30
出願番号2023024106
出願日2023-02-20
発明の名称鉄道車両用歯車装置の吊り装置
出願人東洋電機製造株式会社
代理人弁理士法人青莪
主分類B61C 9/38 20060101AFI20240823BHJP(鉄道)
要約【課題】鉛直方向に交差する方向に延び、鉛直方向に第1貫通孔が開設された吊り受け2aと、中空で、内周面部に雌ねじが刻設された軸部3a及び軸部3aの軸方向一端部に第2貫通孔が開設された座部3bを有する吊り部材3と、吊り受け2aに配置される第1緩衝部材4と、座部3bに固定される第2緩衝部材5と、軸部3aの雌ねじに螺合するボルト6とを備える鉄道車両用歯車装置Aの吊り装置1において、噛み合い反力Fを受ける第1緩衝部材4及び第2緩衝部材5の一方の撓みを軽減して芯違い量を減少させる。
【解決手段】第1緩衝部材4及び第2緩衝部材5の弾性係数は可変であり、噛み合い反力Fを受ける第1緩衝部材4及び第2緩衝部材5の一方の弾性係数を他方の弾性係数よりも大きくすると共に、第1緩衝部材4及び第2緩衝部材5の弾性係数の大小を噛み合い反力Fの方向に応じて切り換える制御部11を備える。
【選択図】図1

特許請求の範囲【請求項1】
主電動機の回転軸に、入力側と出力側との軸心の変位を許容する継手を介して連結される小歯車軸に固定された小歯車と、この小歯車に噛み合う、車軸に固定された大歯車とが歯車箱内に収納される鉄道車両用歯車装置を台車枠に吊持する鉄道車両用歯車装置の吊り装置であって、
台車枠に設けられ、鉛直方向に交差する方向に延び、第1貫通孔が鉛直方向に開設された吊り受けと、中空で、内周面部に雌ねじが刻設された軸部及びこの軸部の軸方向一端部に、軸部の内部に連通する第2貫通孔が開設された座部を有し、鉄道車両用歯車装置に連結される吊り部材と、吊り受けの鉛直方向上端面に配置される第1緩衝部材と、吊り部材の座部における軸部の軸方向外端面に固定される第2緩衝部材と、吊り部材の軸部の雌ねじに螺合するボルトとを備え、吊り受けの鉛直方向下端面に第2緩衝部材が接触するように、吊り部材の軸部を吊り受けの鉛直方向下方に配置し、吊り受けの第1貫通孔と吊り部材の座部の第2貫通孔とを一致させた状態で、ボルトを第1緩衝部材側から吊り部材の軸部の雌ねじに螺合させることによって、吊り部材が吊り受けに固定されるものにおいて、
第1緩衝部材及び第2緩衝部材の弾性係数は可変であり、小歯車及び大歯車の回転時に発生する噛み合い反力を受ける第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方の弾性係数を第1緩衝部材及び第2緩衝部材の他方の弾性係数よりも大きくすると共に、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の弾性係数の大小を、鉄道車両の力行時と回生時とで逆転する噛み合い反力の方向に応じて切り換える制御部を備えることを特徴とする鉄道車両用歯車装置の吊り装置。
続きを表示(約 800 文字)【請求項2】
前記第1緩衝部材及び前記第2緩衝部材の夫々には、中央部に、前記ボルトが内挿される開孔が開設され、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の夫々は中空であり、内部が、開孔よりも径方向外側に配置される内室と、この内室よりも径方向外側に配置される外室とに画成され、内室と外室とは連通路によって互いに連通され、内室及び外室内に磁性流体が両室を行き来可能に封入され、内室と外室との仕切り部分に電磁石が設けられ、前記吊り受けは、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の夫々の内室に対応する部分に当接し、前記制御部は、前記噛み合い反力を受ける第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方の電磁石に通電し、電磁石に発生する磁界によって、内室に存在している磁性流体の粘度を大きくして当該磁性流体を内室に滞留させ、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方の弾性係数を第1緩衝部材及び第2緩衝部材の他方の弾性係数よりも大きくすることを特徴とする請求項1記載の鉄道車両用歯車装置の吊り装置。
【請求項3】
前記第1緩衝部材及び前記第2緩衝部材の夫々には、中央部に、前記ボルトが内挿される開孔が開設され、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の夫々は中空であり、内部に、開孔の外周外側の部分から外周寄りの部分まで至る、圧縮空気が給排される空気室を備え、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の夫々には、圧縮空気を空気室に給排する給排気路が接続され、前記吊り受けは、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の夫々の空気室に対応する部分に当接し、前記制御部は、前記噛み合い反力を受ける第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方の空気室の空気圧を、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の他方の空気室の空気圧よりも高くして、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方の弾性係数を第1緩衝部材及び第2緩衝部材の他方の弾性係数よりも大きくすることを特徴とする請求項1記載の鉄道車両用歯車装置の吊り装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、主電動機の回転軸に、入力側と出力側との軸心の変位を許容する継手を介して連結される小歯車軸に固定された小歯車と、この小歯車に噛み合う、車軸に固定された大歯車とが歯車箱内に収納される鉄道車両用歯車装置を台車枠に吊持する鉄道車両用歯車装置の吊り装置に関する。
続きを表示(約 4,100 文字)【背景技術】
【0002】
従来、この種の鉄道用歯車装置の吊り装置として、台車枠に設けられ、鉛直方向に交差する方向に延び、第1貫通孔が鉛直方向に開設された吊り受けと、中空で、内周面部に雌ねじが刻設された軸部及びこの軸部の軸方向一端部に、軸部の内部に連通する第2貫通孔が開設された座部を有し、鉄道車両用歯車装置に連結される吊り部材と、吊り受けの鉛直方向上端面に配置される第1緩衝部材と、吊り部材の座部における軸部の軸方向外端面に固定される第2緩衝部材と、吊り部材の軸部の雌ねじに螺合するボルトとを備え、吊り受けの鉛直方向下端面に第2緩衝部材が接触するように、吊り部材の軸部を吊り受けの鉛直方向下方に配置し、吊り受けの第1貫通孔と吊り部材の座部の第2貫通孔とを一致させた状態で、ボルトを第1緩衝部材側から吊り部材の軸部の雌ねじに螺合させることによって、吊り部材が吊り受けに固定されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、鉄道車両用歯車装置には、小歯車及び大歯車の回転時に噛み合い反力が発生する。また、この噛み合い反力は、鉄道車両の力行時と回生時とで逆転する。このような噛み合い反力によって、第1緩衝部材及び第2緩衝部材には、噛み合い反力の方向に圧縮又は伸長する撓みが生じる。この撓みは、主電動機の回転軸の軸心と小歯車軸の軸心との径方向の変位、すなわち、芯違い量として現れる。上記の通り、従来、その芯違い量を継手によって吸収するようにしているが、継手が許容する芯違い量には所定の限度がある。継手には、撓み継手、歯車継手等が適用され、通常、TD継手(撓み継手)又はWN継手(歯車継手)が用いられるが、TD継手の場合、芯違い量が所定の限度を超えると、TD継手の内部の構成部材の一つである撓み板の変形量が所定の限度を超え、撓み板が破損することがある。また、WN継手の場合、芯違い量が所定の限度を超えると、WN継手の内部を構成する歯車が破損することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2005-193880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、鉄道車両の力行時及び回生時のいずれにおいても、噛み合い反力を受ける第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方の撓みを軽減して芯違い量を減少させ、芯違い量を許容する継手の各種構成部材の損傷を抑制することができる鉄道車両用歯車装置の吊り装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、主電動機の回転軸に、入力側と出力側との軸心の変位を許容する継手を介して連結される小歯車軸に固定された小歯車と、この小歯車に噛み合う、車軸に固定された大歯車とが歯車箱内に収納される鉄道車両用歯車装置を台車枠に吊持する鉄道車両用歯車装置の吊り装置であって、台車枠に設けられ、鉛直方向に交差する方向に延び、第1貫通孔が鉛直方向に開設された吊り受けと、中空で、内周面部に雌ねじが刻設された軸部及びこの軸部の軸方向一端部に、軸部の内部に連通する第2貫通孔が開設された座部を有し、鉄道車両用歯車装置に連結される吊り部材と、吊り受けの鉛直方向上端面に配置される第1緩衝部材と、吊り部材の座部における軸部の軸方向外端面に固定される第2緩衝部材と、吊り部材の軸部の雌ねじに螺合するボルトとを備え、吊り受けの鉛直方向下端面に第2緩衝部材が接触するように、吊り部材の軸部を吊り受けの鉛直方向下方に配置し、吊り受けの第1貫通孔と吊り部材の座部の第2貫通孔とを一致させた状態で、ボルトを第1緩衝部材側から吊り部材の軸部の雌ねじに螺合させることによって、吊り部材が吊り受けに固定されるものにおいて、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の弾性係数は可変であり、小歯車及び大歯車の回転時に発生する噛み合い反力を受ける第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方の弾性係数を第1緩衝部材及び第2緩衝部材の他方の弾性係数よりも大きくすると共に、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の弾性係数の大小を、鉄道車両の力行時と回生時とで逆転する噛み合い反力の方向に応じて切り換える制御部を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の弾性係数は可変であり、制御部は、噛み合い反力を受ける第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方の弾性係数を第1緩衝部材及び第2緩衝部材の他方の弾性係数よりも大きくする。また、制御部は、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の弾性係数の大小を、鉄道車両の力行時と回生時とで逆転する噛み合い反力の方向に応じて切り換える。したがって、鉄道車両の力行時及び回生時のいずれにおいても、噛み合い反力を受ける第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方の撓みを軽減して芯違い量を減少させ、芯違い量を許容する継手の各種構成部材の損傷を抑制することができる。
【0008】
本発明においては、上記第1緩衝部材及び上記第2緩衝部材の夫々には、中央部に、上記ボルトが内挿される開孔が開設され、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の夫々は中空であり、内部が、開孔よりも径方向外側に配置される内室と、この内室よりも径方向外側に配置される外室とに画成され、内室と外室とは連通路によって互いに連通され、内室及び外室内に磁性流体が両室を行き来可能に封入され、内室と外室との仕切り部分に電磁石が設けられ、上記吊り受けは、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の夫々の内室に対応する部分に当接し、上記制御部は、上記噛み合い反力を受ける第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方の電磁石に通電し、電磁石に発生する磁界によって、内室に存在している磁性流体の粘度を大きくして当該磁性流体を内室に滞留させ、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方の弾性係数を第1緩衝部材及び第2緩衝部材の他方の弾性係数よりも大きくすることが望ましい。これによれば、制御部は、噛み合い反力を受ける第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方の電磁石に通電し、電磁石に磁界を発生させる。発生する磁界によって、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方の内室に存在している磁性流体の粘度が上昇し、連通路を通じて内室から外室に流動する磁性流体の移動速度が遅くなる。このため、粘度の高い磁性流体が内室に滞留し、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方の弾性係数が、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の他方の弾性係数よりも大きくなる。また、吊り受けは、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の夫々の内室に対応する部分に当接するため、噛み合い反力を受ける、弾性係数の大きい第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方の撓みが軽減され、その結果、芯違い量が減少する。また、鉄道車両の力行時と回生時とでは、噛み合い反力の方向が逆転するが、制御部は、噛み合い反力を受ける第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方の電磁石に通電するため、芯違い量の減少は、鉄道車両の力行時及び回生時のいずれの時にも実現される。
【0009】
また、本発明においては、上記第1緩衝部材及び上記第2緩衝部材の夫々には、中央部に、上記ボルトが内挿される開孔が開設され、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の夫々は中空であり、内部に、開孔の外周外側の部分から外周寄りの部分まで至る、圧縮空気が給排される空気室を備え、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の夫々には、圧縮空気を空気室に給排する給排気路が接続され、上記吊り受けは、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の夫々の空気室に対応する部分に当接し、上記制御部は、上記噛み合い反力を受ける第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方の空気室の空気圧を、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の他方の空気室の空気圧よりも高くして、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方の弾性係数を第1緩衝部材及び第2緩衝部材の他方の弾性係数よりも大きくすることも望ましい。これによれば、制御部は、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の夫々の空気室に供給する圧縮空気の量を制御し、噛み合い反力を受ける第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方の空気室の空気圧を、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の他方の空気室の空気圧よりも高くする。このため、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方の弾性係数が第1緩衝部材及び第2緩衝部材の他方の弾性係数よりも大きくなる。弾性係数の大きい、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方が吊り受けに当接することによって、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方の撓みが軽減され、その結果、芯違い量が減少する。また、鉄道車両の力行時と回生時とでは、噛み合い反力の方向が逆転するが、制御部は、噛み合い反力を受ける第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一方の空気室の空気圧を第1緩衝部材及び第2緩衝部材の他方の空気室の空気圧よりも高くするため、芯違い量の減少は、鉄道車両の力行時及び回生時のいずれの時にも実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
(a)及び(b)は共に、本発明の鉄道車両用歯車装置の吊り装置の一実施形態の概要を示す構成図であり、(a)は鉄道車両の力行時、(b)は鉄道車両の回生時の状態を示す。
図1(a)(b)に示す鉄道用歯車装置の吊り装置における吊り受け、鉛直方向上側に位置する吊り部材の部分、並びに、第1緩衝部材及び第2緩衝部材の一形態を示す鉛直方向の要部断面図。
(a)は図2に示す第1緩衝部材及び第2緩衝部材を示す径方向の断面図、(b)は(a)のA-A断面図、(c)は(a)のB-B断面図。
本発明の鉄道車両用歯車装置の吊り装置の別の実施形態の概要を示す要部構成図。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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