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公開番号2024115491
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-26
出願番号2023050095
出願日2023-03-27
発明の名称動的・因果的な脳ネットワークに基づくうつ病検出装置
出願人天津大学,Tian Jin University
代理人個人
主分類A61B 10/00 20060101AFI20240819BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】動的・因果的なネットワークに基づくうつ病検出装置を提供する。
【解決手段】40Hz-O-chirp音の刺激下の被験者のEEG信号を収集し、スライディングウィンドウによる処理を施し、各時間窓の下でグレンジャー因果関係に基づく偏有向コヒーレンスアルゴリズムでPDCの大きさを計算したPDC隣接行列を得ること、隣接行列に基づく脳ネットワークのトポロジー特性パラメータを計算し構築した動的変化グラフをうつ病患者の脳の動的変化の記述に用いること、及び検出された異常な脳結合サブネットワーク特徴について次元削減と融合を実行し、ケンドールの順位相関係数のバリアントで分類能力の弱い特徴を取り除き、サポートベクターマシンで分類モデルを構築し、一つ抜き交差検証法でモデルを検証し、モデルの精度、感度、特異度、及びROC曲線を計算して、分類の性能を評価する動的・因果的な脳ネットワークに基づくうつ病検出装置。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
動的・因果的な脳ネットワークに基づくうつ病検出装置であって、以下の構成:
40Hz-O-chirp音の刺激下の被験者のEEG信号を収集し、スライディングウィンドウを使用してEEG信号にウィンドウ処理を施し、各ウィンドウの下で、グレンジャー因果関係とその考え方に基づく偏有向コヒーレンスアルゴリズムでPDCの大きさを計算することで、各時間窓の下でのPDC隣接行列を得ること、
前記隣接行列に基づいて、各前記時間窓の下で脳ネットワークのトポロジー特性パラメータを計算し、脳ネットワークの動的変化グラフを構築し、脳の動的結合のトポロジーパラメータを計算してうつ病患者の脳の動的変化を記述するために用いられること、及び
検出された異常な脳結合サブネットワーク特徴について特徴の次元削減と融合を実行し、ケンドールの順位相関係数のバリアントで分類能力の弱い特徴を取り除き、サポートベクターマシンを用いて分類モデルを構築し、一つ抜き交差検証法でモデルを検証し、最後に前記モデルの精度、感度、特異度、及びROC曲線を計算して、分類の性能を評価すること
を有することを特徴とする、動的・因果的な脳ネットワークに基づくうつ病検出装置。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
ハミング窓を用いて抽出された前処理後のEEG信号の各セグメントにウィンドウ処理を施し、窓長は0.6秒、ステップサイズは0.1秒であり、すなわち、各窓長0.6秒の前記EEG信号の下でPDC行列を計算し、動的・因果的な脳結合行列を得、対応する動的脳ネットワークを構築し、ネットワークベース統計NBSを使用して、うつ病患者の脳の動的変化特徴を記述することを特徴とする、請求項1に記載の動的・因果的な脳ネットワークに基づくうつ病検出装置。
【請求項3】
前記検出された異常な脳結合サブネットワーク特徴について特徴の次元削減と融合を実行し、ケンドールの順位相関係数のバリアントで分類能力の弱い特徴を取り除くことは、具体的には、
NBSでうつ病患者の脳結合中に存在する異常な部分を判別し、P次元の特徴を得、
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2024115491000016.tif
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[式中、N=30で、Tは、異常な脳結合がある時間窓の数である。]
各前記時間窓Tにおいて、得られた前記P次元の特徴について特徴の次元削減を実行し、ケンドールの順位相関係数で分類能力の弱い特徴を取り除き、相関係数は、次のように定義され、
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2024115491000017.tif
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[式中、n
c
、n
d
、は、それぞれ一致ペアと不一致ペアの数を、mとnはそれぞれ患者と健常者の数を表す]
観測されたデータペア{X
ij
,Y

}と{X
ik
,Y

}のX
ij
のは、j番目の被験者の脳結合行列内のi番目の脳結合固有値、Y

はj番目の被験者のカテゴリラベルを指し、この被験者がうつ病患者の場合、Y

=1で、この被験者が健常対照群の場合、Y

=-1であり、
concordant pairs及びdiscordant pairsは、それぞれ次のように定義され、
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特徴ごとにKendall’s tau相関係数を計算でき、係数の絶対値を特徴の分類能力とする
ことを特徴とする、請求項1に記載の動的・因果的な脳ネットワークに基づくうつ病検出装置。
【請求項4】
以下の構成:
計算で得られた動的トポロジーパラメータを統計的に解析して、前期、中期、後期の有意差のある特性パラメータを得、特性パラメータと固有値を融合すること、及び、
分類特徴について選択、次元削減、融合を行った後、分類モデルのトレーニング及び検定を実施し、サポートベクターマシンを分類器として使用し、一つ抜き交差検証法でモデル検証を行い、モデルの精度、感度、特異度及びROC曲線を計算してモデルの性能を評価すること
を有することを特徴とする、請求項3に記載の動的・因果的な脳ネットワークに基づくうつ病検出装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、うつ病の検測分野に関し、特に、動的・因果的な脳ネットワークに基づくうつ病検出装置に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
うつ病(Major depressive disorders、MDD)は、気分がひどく落ち込み、興味の減退等を主な特徴とする精神障害類疾患で、有病率が高く、誤診率が高く、再発率が高いという特徴を有する。世界保健機関の報告書に基づくと、2017年には世界のうつ病患者は、3.22億人に達し、有病率が約4.4%であった。《柳葉刀》雑誌に掲載された調査報告に基づくと、中国のうつ病の生涯有病率が3.4%であると示されている。《中国うつ病性障害予防ガイドライン》に基づくと、うつ病性障害の誤診率は、65.9%に達していた。うつ病は、人々の心身健康に危害を及ぼすキラーになっている。
【0003】
ただし現在うつ病の診断は、臨床精神科医の症状問診が主となり、主にメンタルヘルススケールの評価と医師の主観的な経験に依存してきたため、結果の一致性が低く、誤診率が高く、客観的な診断手法に欠けていた。人間の脳は、無数の神経細胞と神経細胞間の相互作用からなる複雑な神経回路網であり、脳のさまざまな機能は、相互作用する複数の単位・系の働きによって実現される。グラフ理論に基づく複雑な脳ネットワークモデルは、脳領域間の相互作用の研究及び強力な計算ツールによる機能ネットワークの複雑なトポロジー構造の解釈のために理論的フレームワークを提供する。事実、脳ネットワークを使用して病患者の脳機能の変化を探究することは、すでに一定の成果が得られている。ただし現在の研究には一貫した結果がなく、現在脳ネットワークに対する研究は脳機能という複雑な時空間現象の静的平均値にのみに焦点を当ててきたため、時間次元の記述及び探究に欠けていた。
【0004】
したがって、うつ病患者の脳機能ネットワークの動的変化を探究することで、ダイナミクス特徴を抽出し、うつ病の診断に信頼できる理論的及び技術的サポートを提供することは、重要な科学的意味を持っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、動的・因果的な脳ネットワークに基づくうつ病検出装置を提供する。本発明は、40Hzの周波数チャープ(O-chirp)音で患者の脳のgammaリズムを誘導し、スライディングウィンドウで連続時間窓を抽出し、各時間窓の下で偏有向コヒーレンス(Partial directed coherence、PDC)を使用して脳ネットワークを構築し、ネットワークベース統計解析ツール(Network-based statistics、NBS)で患者群と対照群の脳ネットワークにおける動的結合を統計的に検定し、患者の脳に異常な動的変化を伴う脳領域間結合を解析し、次に動的トポロジー特性パラメータを計算することで、患者の脳の特定のトポロジー特性を見出し、以下に説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
動的・因果的な脳ネットワークに基づくうつ病検出装置であって、以下の構成:
40Hz-O-chirp音の刺激下の被験者のEEG信号を収集し、スライディングウィンドウを使用してEEG信号にスライディングウインドウテクニック処理を施し、各ウィンドウの下で、グレンジャー因果関係とその考え方に基づく偏有向コヒーレンスアルゴリズムでPDCの大きさを計算することで、各時間窓の下でのPDC隣接行列を得ること、
隣接行列に基づいて、各時間窓の下で脳ネットワークのトポロジー特性パラメータを計算し、脳ネットワークの動的変化グラフを構築し、脳の動的結合のトポロジーパラメータを計算してうつ病患者の脳の動的変化を記述するために用いられること、及び
検出された異常な脳結合サブネットワーク特徴について特徴の次元削減と融合を実行し、ケンドールの順位相関係数のバリアントで分類能力の弱い特徴を取り除き、サポートベクターマシンを用いて分類モデルを構築し、一つ抜き交差検証法でモデルを検証し、最後にモデルの精度、感度、特異度、及びROC曲線を計算して、分類の性能を評価することを有する。
【0007】
ハミング窓を用いて抽出された前処理後のEEG信号の各セグメントにウィンドウ処理を施し、窓長は0.6秒、ステップサイズは0.1秒であり、すなわち、各窓長0.6秒のEEG信号の下でPDC行列を計算し、動的・因果的な脳結合行列を得、対応する動的脳ネットワークを構築し、ネットワークベース統計NBSを使用して、うつ病患者の脳の動的変化特徴を記述する。
【0008】
さらに、検出された異常な脳結合サブネットワーク特徴について特徴の次元削減と融合を実行し、ケンドールの順位相関係数のバリアントで分類能力の弱い特徴を取り除くことは、具体的には、
NBSでうつ病患者の脳結合中に存在する異常な部分を判別し、P次元の特徴を得る。
【0009】
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式中、N=30で、Tは、異常な脳結合がある時間窓の数であり、
各時間窓Tにおいて、得られたP次元の特徴について特徴の次元削減を実行し、ケンドールの順位相関係数で分類能力の弱い特徴を取り除き、相関係数は、次のように定義される。
【0010】
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式中、n
c
、n
d
は、それぞれ一致ペアと不一致ペアの数を、mとnはそれぞれ患者と健常者の数を表し、観測されたデータペア{X
ij
,Y

}と{X
ik
,Y

}のX
ij
は、j番目の被験者の脳結合行列内のi番目の脳結合固有値、Y

はj番目の被験者のカテゴリラベルを指し、この被験者がうつ病患者の場合、Y

=1で、この被験者が健常対照群の場合、Y

=-1であり、
concordant pairs及びdiscordant pairsは、それぞれ次のように定義される。
(【0011】以降は省略されています)

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