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公開番号2024115257
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-26
出願番号2023020867
出願日2023-02-14
発明の名称小型光学装置
出願人国立大学法人電気通信大学
代理人
主分類G11B 7/0065 20060101AFI20240819BHJP(情報記憶)
要約【課題】従来技術では拡大用の対物レンズや光軸調整用のミラーなどの光学素子によって、光学系が大型化・複雑化する問題があった。この為生体組織下等を観察する際には生体内部から生体や生体細胞を摘出する等が必要となり、計測には時間がかかっていた。また摘出を必要としない場合でも蛍光プローブなどで標識付けが必要となり、共焦点顕微鏡や二光子顕微鏡のような計測装置では装置が大型化になると同時に計測時間が長く、扱いが難しい等の課題があった。
【解決手段】前記課題を解決するための手段として、薄型導波路6を使った光学系で構成する小型光学装置1であって、薄型導波路は例えばシリコンナイトライド導波路を用いた構造にする。これによりミラーやビームスプリッタなどの空間光学系を必要としなくなるので光学系がコンパクトであり、簡易的なアライメントが可能となる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
特定の波長を有する光源で発光された光が導波路内で複数の光に分けられ被写体を透過する第一の光と、位相シフト機能により位相変調された第一の光以外の光によって被写体表面に形成された複数の干渉縞画像を記録する記録光学機能と、記録した干渉縞画像に対して演算処理を行い対象物体内の情報を得る小型光学装置において、前記導波路内で複数の光に分波する部位と、位相シフト機能と、第一の光とそれ以外の光を所望の方向に出射するグレーティングカプラを同一基板に形成したことを特徴とする小型光学装置。
続きを表示(約 540 文字)【請求項2】
上記請求項1記載の小型光学装置において、第一の光とそれ以外の光を所望の方向に出射するグレーティングカプラをフレネルゾーンプレートのような集光させた集光型グレーティングカプラで形成したことを特徴とする小型光学装置。
【請求項3】
上記請求項1、2記載の小型光学装置において、対象物体が生体組織であり、第一の光は生体組織内の観察対象物を透過し、それ以外の光はそのまま生体組織を透過し、上記2つの光によって生体組織表面に生じる干渉縞画像を記録する記録光学機能を有することを特徴とする小型光学装置。
【請求項4】
上記請求項1、2、3記載の小型光学装置において、光導波路は、積層プロセスまたは除去プロセスで形成されることを特徴とする小型光学装置。
【請求項5】
上記請求項1、2、3記載の小型光学装置において、光源も光導波路と同一基板状に形成され、積層プロセスまたは除去プロセスで形成されることを特徴とする小型光学装置。
【請求項6】
上記請求項1、2、3、4、5記載の小型光学装置において、光導波路がシリコンナイトライド導波路を用いた構造である薄型光学系で形成されることを特徴とした小型光学装置。

発明の詳細な説明【発明の詳細な説明】
【0001】
続きを表示(約 4,100 文字)【技術分野】
【0002】
本発明は、高精度、且つ小型化が可能なデジタルホログラフィック顕微鏡に係り、薄型導波路によりビームスプリッタによるアライメント調整不要な簡易的に物体の振幅・位相情報を計算できる小型光学装置に関する。
【背景技術】
【0003】
インターネットやマルチメディア通信の急速かつグローバルな普及に伴い、光通信ネットワークの成長が加速している。光通信網の大容量化に向けて、光波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing : WDM)伝送網(非特許文献1)などの開発が行われており、このような光通信網のキーとして石英系平面導波路(Planer Lightwave Circuit : PLC)を提供することができる。これは大規模集積に適し、長期安定性があり大量生産が可能であるためである(非特許文献2)。PLC技術により光パワースプリッター(非特許文献3)、アレイ型導波路回折格子(Array Waveguide Grating: AWG)(非特許文献4)、熱光学位相シフタ(非特許文献5、6)に応用されている。しかし、石英系導波路のコアは屈折率の低い材料を用いているため、導波路の製造、特に曲がり導波路の作製においては曲げ半径を小さくすることができず、光集積回路の微小化への限界があった。そのため、シリコンやInPなど屈折率の高い材料をコアとして用いた導波路の開発および光集積回路の微小化が進められてきた。近年ではシリコンナイトライド導波路が注目されている。このシリコンナイトライド導波路は微小な光集集積回路の開発可能な点の他に400から2350 nmの広い波長範囲で透明性を持ち、0.3 dB/mから1.0 dB/mという低い伝送損失で光を導波できるという特徴をもつ(非特許文献7)。このため、シリコンナイトライド導波路の特徴を生かし、1チップで光ビームを送受信できるグレーティングカプラ(特許事例1)や多モード干渉の原理をもとに低損失かつ広帯域で利用可能な波長多重化器が提案・開発されている(非特許文献8)。
【0004】
デジタルホログラフィック顕微鏡(Digital Holographic Microscope : DHM)(非特許文献9)は非侵襲・非接触で微小物体の厚みや屈折率の定量位相情報の計測が可能な光学測定装置の一つである。DHMは光源の光を物体光と参照光に分波し、対象物体を透過及び反射した物体光と基準となる参照光を合波することで干渉縞を形成する。その干渉縞を撮像素子で記録し、ホログラムを生成したのちに再生伝搬計算で対象物体を再構成する手法である。この手法を用いた癌細胞の識別や対象物体の表面形状分析などが行われている(非特許文献10)。しかし、従来技術では拡大用の対物レンズや光軸調整用のミラーなどの光学素子によって、光学系が大型化・複雑化する問題や生体細胞を摘出する等の課題があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
H. Toba, et.al., “A 100-ch optical WDM transmission/distribution at 622 Mbits/s over 50 km,” J. Lightwave Technol., 8,1396–1401(1990).
A. Himeno, K. Kato and T. Miya, "Silica-based planar lightwave circuits," in IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics, 4(6), 913-924 (1998).
M.Okuno, A. Takagi, M.Yasu and N. Takato, Spring Natl. Cony. IECE. Jpn., (1989).
X. JM. Leijtens, et.al., "Arrayed waveguide gratings." Wavelength filters in fibre optics. Springer, Berlin, Heidelberg, 125-187 (2006).
M. Haruna and H. Koyama, Proc. ECOC'83, Firenze, October (1983).
M.Kawachi, "Silica waveguides on silicon and their application to integrated-optic components." Optical and Quantum Electronics 22.5, 391-416 (1990).
D. J. Blumenthal, R. Heideman, D. Geuzebroek, A. Leinse and C. Roeloffzen, "Silicon Nitride in Silicon Photonics," in Proceedings of the IEEE, 106(12), 2209-2231(2018).
J.Mu, S, et.al., "A Low-Loss and Broadband MMI-Based Multi/Demultiplexer in Si3N4/SiO2 Technology," in Journal of Lightwave Technology, 34(15), 3603-3609 (2016).
J. W. Goodman, et al., “Digital image formation from electronically detected holograms” Appl. Phys. Lett. 11 77(1967).
E. Watanabe, T. Hoshiba, and B. Javidi, “High-precision microscopic phase imaging without phase unwrapping for cancer cell identification,” Opt. Lett. 38(8), 1319-1321 (2013).
【特許文献】
【0006】
特開2021-507290
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術では拡大用の対物レンズや光軸調整用のミラーなどの光学素子によって、光学系が大型化・複雑化する問題があった。この為例えば生体組織下の細胞や血管を観察する際には生体内部から生体や生体細胞を摘出する等が必要となり、計測には時間がかかっていた。また摘出を必要としない場合でも蛍光プローブなどで標識付けが必要となり、共焦点顕微鏡や二光子顕微鏡のような計測装置では装置が大型化になると同時に計測時間が長く、扱いが難しい等の課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、薄型導波路を使った光学系で構成する。薄型導波路は例えばシリコンナイトライド導波路を用いた構造にする。これによりミラーやビームスプリッタなどの空間光学系を必要としない光学系とする。また、光源から出射された光を導波路によって物体光と参照光に分波・出射し、物体光と参照光の干渉させることで、ビームスプリッタによるアライメントの調整を必要としない光学系とする。さらに出射部分にグレーティングカプラを配置し、そのグレーティングカプラをフレネルゾーンプレートのように集光させることにより,任意の点におけるイメージングを可能にする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光源から出射された光を薄型の導波路によって物体光と参照光に分波・出射し、物体光と参照光の干渉させることで、ビームスプリッタによるアライメントの調整を必要としない光学系が作成できる。また、導波させた波長の干渉縞からサンプルの透過スペクトルに応じたイメージングが作成できる。さらに、出射端面を入射端面と垂直に配置することで、入射した光の漏れ光が出射光に重畳することなく物体光の振幅情報を取得でき計算によるイメージングがより高精度に出来る。出射部分にグレーティングカプラを配置し、導波路平面上から物体光と参照光を出射させることで、導波路の同一端面からの出射する方法に比べ、物体光のみ照射される範囲を確保することができる。さらに出射部のグレーティングカプラをフレネルゾーンプレートのように集光させることにより,任意の点におけるイメージングを可能になる等の効果があり高精度イメージングデータを取得することが可能である。このため、生体観察の用途として簡易な血管検査や生体内の癌細胞の検査(正常細胞と癌細胞の識別)、生体組織の3次元生体認証等の用途に関して有効である。また、光導波路を含めた光学系の多くを1チップ化することができ、超小型の光学系を構築することが可能となる。従って小型で且つ低コスト化も可能であることから医療用や生体観察用だけではなく、例えば生体認証用途にも応用可能となり、ATMや防犯用途等にも応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
実施例に係る小型光学装置を含む全体システム構成の一例を示す図。
実施例に係る小型光学装置のソフトウェア構成図。
実施例に係る小型光学装置の薄型光学系の構成図。
実施例に係る小型光学装置のMMIスプリッタの例を示す図。
実施例の有効性を示すシミュレーションを示す図。
本発明の別の実施例を示す図。
【発明を実施する形態】
(【0011】以降は省略されています)

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