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公開番号2024114436
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-23
出願番号2023020211
出願日2023-02-13
発明の名称バイオセンサ
出願人三菱マテリアル株式会社,国立大学法人東北大学
代理人個人
主分類G01N 25/20 20060101AFI20240816BHJP(測定;試験)
要約【課題】 簡易な構成で、かつ電極表面で酵素反応が起きないと共に、光等の外部刺激によるノイズも生じ難い高感度・高精度な測定が可能なバイオセンサを提供すること。
【解決手段】 酵素Gを備えたバイオセンサ1であって、絶縁性の支持層2と、支持層の一方の面に設けられた検出用感熱部3Aと、検出用感熱部に接続された一対の検出用対向電極4Aと、検出用感熱部に対向して支持層の他方の面に固定された酵素Gとを備えている。また、支持層の一方の面に設けられた補償用感熱部3Bと、補償用感熱部に接続された一対の補償用対向電極4Bとを備え、補償用感熱部が、酵素が固定されていない領域5Bに対向した位置に配されていることが好ましい。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
酵素を備えたバイオセンサであって、
絶縁性の支持層と、
前記支持層の一方の面に設けられた検出用感熱部と、
前記検出用感熱部に接続された一対の検出用対向電極と、
前記検出用感熱部に対向して前記支持層の他方の面に固定された前記酵素とを備えていることを特徴とするバイオセンサ。
続きを表示(約 850 文字)【請求項2】
請求項1に記載のバイオセンサにおいて、
前記支持層の一方の面に設けられた補償用感熱部と、
前記補償用感熱部に接続された一対の補償用対向電極とを備え、
前記補償用感熱部が、前記酵素が固定されていない領域に対向した位置に配されていることを特徴とするバイオセンサ。
【請求項3】
請求項2に記載のバイオセンサにおいて、
前記支持層の他方の面に設けられていると共に、前記補償用感熱部が対向した前記酵素が固定されていない領域,前記検出用感熱部が対向した前記酵素が固定された領域の順に試験液を流す流路を備えていることを特徴とするバイオセンサ。
【請求項4】
請求項3に記載のバイオセンサにおいて、
前記酵素が固定されていない領域から前記酵素が固定された領域までの前記流路を内蔵した流路構成部材を備え、
前記流路構成部材が、前記流路の全体を覆っていると共に、前記試験液を前記酵素が固定されていない領域に供給する供給路と、前記酵素が固定された領域上の前記試験液を外部に排出する排出路とを備えていることを特徴とするバイオセンサ。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のバイオセンサにおいて、
前記支持層の一方の面に設けられた支持基板を備え、
前記支持基板が、前記支持層まで達した孔部を有し、
前記酵素が、前記検出用感熱部に対向した前記孔部内に固定されていることを特徴とするバイオセンサ。
【請求項6】
請求項5に記載のバイオセンサにおいて、
前記支持層が、SiN又はSiO

で形成され、
前記支持基板が、Siで形成されていることを特徴とするバイオセンサ。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のバイオセンサにおいて、
前記検出用感熱部がサーミスタ材料で形成された薄膜サーミスタであることを特徴とするバイオセンサ。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、グルコース等を高精度に検出可能なバイオセンサに関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
従来、基板上に温度変化を検知するトランスデューサ、電極、酵素で構成された薄膜構造のバイオセンサが知られている。このようなバイオセンサでは、バイオセンサ中に測定液(試験液)を流したときに、酵素反応が生じ、この酵素反応の熱の温度変化を検知するトランスデューサが感知することで、基質成分の濃度を算出している。
【0003】
例えば、特許文献1には、液体試料中の特定の基質成分を、基質成分に対応する酵素との触媒作用の反応熱により検出するバイオセンサチップについて記載されている。具体的には、基板から熱分離した薄膜に、液体試料が通る流路が形成されており、流路内の反応部もしくはその近傍に反応熱を検出する第1の温度センサが形成され、酵素固定用の電極が、反応部に形成した第1の温度センサとは電気的に独立に形成されており、電極から延在して流路外の基板上に酵素の電着固定のための酵素固定用電極パッドが形成され、流路内の電極に所定の酵素が固定されている、酵素固定バイオセンサチップが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、流路中の反応部に表面酵素固定用のビーズを留置できるようにする留置用ピラーを有し、反応部内でビーズを配列させるための配列用ピラーを有するピラー配置バイオセンサが記載されている。
さらに、特許文献3には、感熱部と、感熱部に接続され互いに対向して形成された一対の対向電極と、少なくとも感熱部に固定された酵素を備え、感熱部が薄膜状で、酵素が少なくとも感熱部の表面に固定されているバイオセンサが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2017-203747号公報
特開2019-27968号公報
特開2021-117172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の技術は血液、尿などの液体試料中の基質の量を簡便に計測することができるものの、以下の課題が残されている。
すなわち、特許文献1および特許文献2に記載の技術では、バイオセンサの作製手順が多く、反応部を加熱できるようにヒータを形成してあるなど、複雑な構成となっているため、高コストで大量生産には不向きな作製方法である。
また、特許文献3では、サーミスタ(感熱部)による温度計測のため一定の電圧をバイオセンサに印加し続ける必要があり、酵素反応により発生した過酸化水素が電極表面で分解することで、電子が発生してしまう。この結果、電流が流れることで、酵素反応の熱だけを正確に測定することが困難であるという不都合があった。
さらに、電極は外場の影響を受けやすく、電極に光が照射された場合、温度変化に伴う応答に光の刺激によるノイズが加わるため、サーミスタの抵抗値変化が正確な温度変化を反映しておらず、電極面を酵素反応の反応場とすることは不向きであった。また、酵素を塗布する際、酵素液の粘性次第でサーミスタから液が漏出するなどして酵素を均一に塗布できないことがあるという不都合もあった。
【0007】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、簡易な構成で、かつ電極表面で酵素反応が起きないと共に、光等の外部刺激によるノイズも生じ難い高感度・高精度な測定が可能なバイオセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係るバイオセンサは、酵素を備えたバイオセンサであって、絶縁性の支持層と、前記支持層の一方の面に設けられた検出用感熱部と、前記検出用感熱部に接続された一対の検出用対向電極と、前記検出用感熱部に対向して前記支持層の他方の面に固定された前記酵素とを備えていることを特徴とする。
【0009】
このバイオセンサでは、検出用感熱部に対向して支持層の他方の面に固定された酵素を備えているので、検出用感熱部と酵素とが互いに反対側に配されていることで、検出用対向電極表面で酵素反応が起きず、発生した過酸化水素が分解させずに電子が発生しない。したがって、酵素反応で生じた熱だけを検出用感熱部で感知することができる。また、検出用感熱部及び検出用対向電極の反対面が酵素の反応場となるため、検出用対向電極が光等の外部刺激に晒される頻度を減らすことができ、抵抗値測定におけるノイズが抑制される。
【0010】
第2の発明に係るバイオセンサは、第1の発明において、前記支持層の一方の面に設けられた補償用感熱部と、前記補償用感熱部に接続された一対の補償用対向電極とを備え、前記補償用感熱部が、前記酵素が固定されていない領域に対向した位置に配されていることを特徴とする。
すなわち、このバイオセンサでは、補償用感熱部が、酵素が固定されていない領域に対向した位置に配されているので、検出用感熱部で検知した酵素反応による熱に対して、補償用感熱部で検知した熱をリファレンスとすることができ、より高精度に酵素反応を検出することが可能になる。
(【0011】以降は省略されています)

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