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公開番号2024112327
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-21
出願番号2021074488
出願日2021-04-26
発明の名称有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス表示装置及び電子機器
出願人出光興産株式会社
代理人弁理士法人樹之下知的財産事務所
主分類H05B 33/12 20060101AFI20240814BHJP(他に分類されない電気技術)
要約【課題】複数の発光層を積層させることで向上した素子性能の低下を抑制しつつ、正孔輸送帯域を構成する有機層の数を減らすことのできる有機EL素子を提供すること。
【解決手段】陽極3、陰極4、発光領域5及び正孔輸送帯域6を有し、発光領域5は、第一のホスト材料及び第一の発光性化合物を含む第一の発光層51と、第二のホスト材料及び第二の発光性化合物を含む第二の発光層52とを有し、第一の発光層51が陽極3側に配置され、正孔輸送帯域6は、第一の発光層51と直接接する第一の有機層を含み、第一の有機層は、正孔輸送帯域材料を含み、第一のホスト材料の三重項エネルギーT1(H1)と第二のホスト材料の三重項エネルギーT1(H2)とが、数式(数1)の関係を満たし、正孔輸送帯域材料のアフィニティ値Af(cHT)が、1.47eV未満である、有機EL素子1。
T1(H1)>T1(H2) …(数1)
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
陽極と、
陰極と、
前記陽極及び前記陰極の間に配置された発光領域と、
前記陽極及び前記発光領域の間に配置された正孔輸送帯域と、を有し、
前記発光領域は、第一の発光層及び第二の発光層を含み、
前記第一の発光層が、前記発光領域において前記陽極側に配置され、
前記正孔輸送帯域は、前記陽極及び前記第一の発光層と、直接、接し、
前記正孔輸送帯域は、1又は複数の有機層を含み、
前記正孔輸送帯域中の少なくとも1つの有機層は、前記第一の発光層と直接接する第一の有機層であり、
前記第一の有機層は、正孔輸送帯域材料を含み、
前記第一の発光層は、第一のホスト材料と、最大ピーク波長が500nm以下の発光を示す第一の発光性化合物と、を含み、
前記第二の発光層は、第二のホスト材料と、最大ピーク波長が500nm以下の発光を示す第二の発光性化合物と、を含み、
前記第一のホスト材料と前記第二のホスト材料とは互いに異なり、
前記第一の発光性化合物と前記第二の発光性化合物とが、互いに同一であるか、又は異なり、
前記第一のホスト材料の三重項エネルギーT

(H1)と前記第二のホスト材料の三重項エネルギーT

(H2)とが、下記数式(数1)の関係を満たし、
前記正孔輸送帯域材料のアフィニティ値Af(cHT)が、1.47eV未満であり、
前記正孔輸送帯域材料のアフィニティ値Af(cHT)は、微分パルスボルタンメトリー法で測定した値である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。


(H1)>T

(H2) …(数1)
続きを表示(約 2,100 文字)【請求項2】
前記正孔輸送帯域材料のイオン化ポテンシャルIp(cHT)が、5.70eV以下であり、
前記正孔輸送帯域材料のイオン化ポテンシャルIp(cHT)は、大気中光電子分光法により測定した値である、
請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
前記正孔輸送帯域材料のイオン化ポテンシャルIp(cHT)が、5.65eV未満である、
請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
前記第一のホスト材料のイオン化ポテンシャルIp(H1)と、前記正孔輸送帯域材料のイオン化ポテンシャルIp(cHT)とが、下記数式(数40)を満たし、
前記正孔輸送帯域材料のイオン化ポテンシャルIp(cHT)及び前記第一のホスト材料のIp(H1)は、大気中光電子分光法により測定した値である、
請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
0eV<Ip(H1)-Ip(cHT)<0.30eV …(数40)
【請求項5】
前記正孔輸送帯域中の有機層は、いずれも、前記正孔輸送帯域材料を共通して含有する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
前記正孔輸送帯域中の有機層は、いずれも、アフィニティ値Af(cHT)が、1.47eV未満である前記正孔輸送帯域材料を共通して含有する、
請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
前記正孔輸送帯域材料は、置換もしくは無置換のアミノ基を分子中に1つだけ有するモノアミン化合物である、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
前記正孔輸送帯域材料は、下記一般式(21)で表される化合物である、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
TIFF
2024112327000415.tif
48
154
(前記一般式(21)において、

A1
、L
B1
、及びL
C1
は、それぞれ独立に、
単結合、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~18のアリーレン基、又は
置換もしくは無置換の環形成原子数5~13の2価の複素環基であり、

A1
及びL
B1
が単結合の場合、A

及びB

が、
互いに結合して置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、

A1
及びL
C1
が単結合の場合、A

及びC

が、
互いに結合して置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、

B1
及びL
C1
が単結合の場合、B

及びC

が、
互いに結合して置換もしくは無置換の単環を形成するか、
互いに結合して置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は
互いに結合せず、
前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないA

、B

、及びC

は、それぞれ独立に、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、
置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環基、又は
-Si(R
921
)(R
922
)(R
923
)で表される基であり、

921
、R
922
及びR
923
は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基であり、

921
【請求項9】
前記第一の有機層は、正孔輸送層かつ電子障壁層である、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
前記正孔輸送帯域は、前記第一の有機層と、前記第一の有機層と前記陽極との間に配置された第二の有機層とを含み、
前記第二の有機層は、前記正孔輸送帯域材料と、さらに前記正孔輸送帯域材料とは異なる第二の正孔輸送帯域材料を含有する、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス表示装置及び電子機器に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」という場合がある。)は、携帯電話及びテレビ等のフルカラーディスプレイへ応用されている。有機EL素子に電圧を印加すると、陽極から正孔が発光層に注入され、また陰極から電子が発光層に注入される。そして、発光層において、注入された正孔と電子とが再結合し、励起子が形成される。このとき、電子スピンの統計則により、一重項励起子が25%の割合で生成し、及び三重項励起子が75%の割合で生成する。
有機EL素子の性能向上を図るため、例えば、特許文献1及び2においては、複数の発光層を積層させることについて検討がなされている。また、特許文献3には、有機EL素子の性能向上を図るため、2つの三重項励起子の衝突融合により一重項励起子が生成する現象(以下、Triplet-Triplet Fusion=TTF現象と称する場合がある。)が記載されている。
有機EL素子の性能としては、例えば、輝度、発光波長、色度、発光効率、駆動電圧、及び寿命が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2007-294261号公報
米国特許出願公開2019/280209号明細書
国際公開第2010/134350号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極の間に複数層の発光層を備えて形成される有機エレクトロルミネッセンス素子において、複数の材料の混合物で形成され、且つ主成分が異なる隣り合う発光層を備え、この隣り合う発光層は、陽極側に位置する発光層の電子移動度をホール移動度で除した値が、陰極側に位置する発光層の電子移動度をホール移動度で除した値より大きい組み合わせからなり、上記の隣り合う発光層において、陽極側に位置する発光層の電子移動度が、陰極側に位置する発光層の電子移動度より大きいことを特徴とする。
しかしながら、特許文献1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子のように陽極と発光層との間に配置される正孔輸送帯域を構成する有機層の数を減らすと(省層化すると)、発光領域から正孔輸送帯域へ電子が漏れやすくなり、発光効率の低下又は短寿命化するおそれがある。しかしながら、特許文献1においては、正孔輸送帯域へ電子漏れについて認識されていない。
【0005】
本発明の目的は、複数の発光層を積層させることで向上した素子性能の低下を抑制しつつ、正孔輸送帯域を構成する有機層の数を減らすことのできる有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置、当該有機エレクトロルミネッセンス素子を搭載した電子機器、並びに当該有機エレクトロルミネッセンス表示装置を搭載した電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子であって、陽極と、陰極と、前記陽極及び前記陰極の間に配置された発光領域と、前記陽極及び前記発光領域の間に配置された正孔輸送帯域と、を有し、前記発光領域は、第一の発光層及び第二の発光層を含み、前記第一の発光層が、前記発光領域において前記陽極側に配置され、前記正孔輸送帯域は、前記陽極及び前記第一の発光層と、直接、接し、前記正孔輸送帯域は、1又は複数の有機層を含み、前記正孔輸送帯域中の少なくとも1つの有機層は、前記第一の発光層と直接接する第一の有機層であり、前記第一の有機層は、正孔輸送帯域材料を含み、前記第一の発光層は、第一のホスト材料と、最大ピーク波長が500nm以下の発光を示す第一の発光性化合物と、を含み、前記第二の発光層は、第二のホスト材料と、最大ピーク波長が500nm以下の発光を示す第二の発光性化合物と、を含み、前記第一のホスト材料と前記第二のホスト材料とは互いに異なり、前記第一の発光性化合物と前記第二の発光性化合物とが、互いに同一であるか、又は異なり、前記第一のホスト材料の三重項エネルギーT

(H1)と前記第二のホスト材料の三重項エネルギーT

(H2)とが、下記数式(数1)の関係を満たし、前記正孔輸送帯域材料のアフィニティ値Af(cHT)が、1.47eV未満であり、前記正孔輸送帯域材料のアフィニティ値Af(cHT)は、微分パルスボルタンメトリー法で測定した値である、有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。


(H1)>T

(H2) …(数1)
【0007】
本発明の一態様によれば、前述の本発明の一態様に係る有機エレクトロルミネッセンス素子を搭載した電子機器が提供される。
【0008】
本発明の一態様によれば、有機エレクトロルミネッセンス表示装置であって、互いに対向して配置された陽極及び陰極を有し、青色画素としての青色有機EL素子、緑色画素としての緑色有機EL素子及び赤色画素としての赤色有機EL素子を有し、前記青色有機EL素子は、前記陽極と前記陰極との間に配置された第一の発光層及び第二の発光層を有する青色発光領域を有し、前記第一の発光層が、前記青色発光領域において前記陽極側に配置され、前記緑色有機EL素子は、前記陽極と前記陰極との間に配置された緑色発光層を有し、前記赤色有機EL素子は、前記陽極と前記陰極との間に配置された赤色発光層を有し、前記青色有機EL素子、前記緑色有機EL素子及び前記赤色有機EL素子は、前記青色有機EL素子の前記青色発光領域、前記緑色有機EL素子の前記緑色発光層及び前記赤色有機EL素子の前記赤色発光層のそれぞれと、前記陽極との間において、当該青色有機EL素子、当該緑色有機EL素子及び当該赤色有機EL素子に亘って共通して設けられた正孔輸送帯域を有し、前記正孔輸送帯域は、前記青色有機EL素子の前記第一の発光層と直接接する第一の有機層を有し、前記第一の有機層は、正孔輸送帯域材料を含有し、前記第一の発光層は、第一のホスト材料と、最大ピーク波長が500nm以下の発光を示す第一の発光性化合物と、を含み、前記第二の発光層は、第二のホスト材料と、最大ピーク波長が500nm以下の発光を示す第二の発光性化合物と、を含み、前記第一のホスト材料と前記第二のホスト材料とは互いに異なり、前記第一の発光性化合物と前記第二の発光性化合物とが、互いに同一であるか、又は異なり、前記第一のホスト材料の三重項エネルギーT

(H1)と前記第二のホスト材料の三重項エネルギーT

(H2)とが、下記数式(数1)の関係を満たし、前記正孔輸送帯域材料のアフィニティ値Af(cHT)が、1.47eV未満であり、前記正孔輸送帯域材料のアフィニティ値Af(cHT)は、微分パルスボルタンメトリー法で測定した値である、有機エレクトロルミネッセンス表示装置が提供される。


(H1)>T

(H2) …(数1)
【0009】
本発明の一態様によれば、前述の本発明の一態様に係る有機エレクトロルミネッセンス表示装置を搭載した電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、複数の発光層を積層させることで向上した素子性能の低下を抑制しつつ、正孔輸送帯域を構成する有機層の数を減らすことのできる有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置、当該有機エレクトロルミネッセンス素子を搭載した電子機器、並びに当該有機エレクトロルミネッセンス表示装置を搭載した電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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