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公開番号
2024110814
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-08-16
出願番号
2023015639
出願日
2023-02-03
発明の名称
車輪並びに当該車輪を備えた移動体
出願人
学校法人同志社
代理人
個人
,
個人
主分類
B60B
15/02 20060101AFI20240808BHJP(車両一般)
要約
【課題】軟弱地盤上における登坂性能の良好な車輪並びに当該車輪を備えた移動体を提供すること。
【解決手段】車軸との結合部を有し、かつ回転中心部を構成する基体と、前記基体の周面上の複数位置から適宜の長さ延出され、前記基体が前記車軸と共に回転するとき、前記基体と一体に旋回する複数の旋回羽根とを有し、複数の前記旋回羽根のそれぞれは、想定される登坂走行時の旋回方向と反対方向へと反り返るように弧状に形成されており、かつ複数の前記旋回羽根のそれぞれの、想定される登坂走行時の旋回方向側の面には、前記旋回羽根の延出方向に沿って間隔を開けて、複数の突片が形成されている、車輪。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
車軸との結合部を有し、かつ回転中心部を構成する基体と、
前記基体の周面上の複数位置から適宜の長さ延出され、前記基体が前記車軸と共に回転するとき、前記基体と一体に旋回する複数の旋回羽根とを有し、
複数の前記旋回羽根のそれぞれは、想定される登坂走行時の旋回方向と反対方向へと反り返るように弧状に形成されており、かつ
複数の前記旋回羽根のそれぞれの、想定される登坂走行時の旋回方向側の面には、前記旋回羽根の延出方向に沿って間隔を開けて、複数の突片が形成されている、車輪。
続きを表示(約 720 文字)
【請求項2】
前記旋回羽根の数は、2枚以上かつ4枚以下である、請求項1に記載の車輪。
【請求項3】
複数の前記旋回羽根同士の回転中心周りの間隔は、等しく設定されている、請求項2に記載の車輪。
【請求項4】
複数の前記旋回羽根のそれぞれの延出長は、等しく設定されている、請求項3に記載の車輪。
【請求項5】
複数本の前記突片のそれぞれの突出高さ(h)は、等しく設定されている、請求項4に記載の車輪。
【請求項6】
複数本の前記突片のうち、前記旋回羽根の最も先端に位置する突片の位置は、前記旋回羽根の先端位置とほぼ一致する、請求項1に記載の車輪。
【請求項7】
前記基体が、当該基体を、前記車軸と同心に結合可能な結合部を有し、かつ所定の径(Φ1)及び幅(W)を有する断面真円状の円環体であり、
複数の前記旋回羽根は、前記円環体の周面上の互いに120度離れた3位置から延出されている、請求項1に記載の車輪。
【請求項8】
複数の前記旋回羽根のそれぞれのなす弧は、所定半径(r)を有する真円の円周の一部を成す円弧である、請求項7に記載の車輪。
【請求項9】
複数の前記旋回羽根のそれぞれに設けられた、複数の前記突片のそれぞれの突出方向は、所定半径(r)を有する前記真円の法線方向と一致する、請求項7に記載の車輪。
【請求項10】
複数の前記旋回羽根のそれぞれに設けられた、複数の前記突片のそれぞれの突出高さ(h)は、等しく設定されている、請求項7に記載の車輪。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、レゴリス(一種の砂)の堆積する月面上の登坂走行等に好適な車輪並びに当該車輪を備えた移動体に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)
【背景技術】
【0002】
無人の小型月面探査機の分野において、レゴリスの堆積する軟弱地盤上における登坂性能の向上が求められている。その理由は、探査対象として好適な、地盤内部が露出している可能性の高いクレータ周辺等の地盤は、レゴリスが堆積しかつ比較的大なる起伏の存在が想定されるからである。
【0003】
そのような軟弱地盤上における走行に好適な車輪としては、円柱状車輪本体の外周面に多数の突起(通称ラグ)を有する車輪や、同様に、円形車輪本体の外周面に多数の突起(グローサ)を有する車輪(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【0004】
その他、外周面に多数の突起を設けるのではなく、円形輪郭を有する車輪を偏心して車軸に取り付けたり、或いは、車輪中心と車軸とを同心に結合しつつも、車輪の輪郭を楕円等の非真円とすることにより、回転と共に、接地面と車軸との距離が周期的に変動するようにした車輪乃至車輪支持構造も知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2017-088170
特開2021-049795
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の外周面に多数の突起(ラグ又はグローサ)を有する車輪にあっては、それらの突起によるレゴリス把持作用により、走行面とのスリップを抑制して、前方への推進力はある程度は増強するものの、登坂走行可能な走行面の傾斜角度にはなおも限界がある。実際、レゴリスが堆積する月面を模した地球上の珪砂地面テストにおいては、傾斜角度20度を超える登坂走行は実現できていないのが現状である。
【0007】
この発明は、上述の技術的背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、軟弱地盤上における登坂性能の良好な車輪並びに当該車輪を備えた移動体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の技術的課題は、以下の構成を有する車輪並びに当該車輪を備えた移動体により解決できるものと考えられる。
【0009】
すなわち、本発明に係る車輪は、
車軸との結合部を有し、かつ回転中心部を構成する基体と、
前記基体の周面上の複数位置から適宜の長さ延出され、前記基体が前記車軸と共に回転するとき、前記基体と一体に旋回する複数の旋回羽根とを有し、
複数の前記旋回羽根のそれぞれは、想定される登坂走行時の旋回方向と反対方向へと反り返るように弧状に形成されており、かつ
複数の前記旋回羽根のそれぞれの、想定される登坂走行時の旋回方向側の面には、前記旋回羽根の延出方向に沿って間隔を開けて、複数の突片が形成されている、ものである。
上述の構成において、「弧状に形成」に言う「弧状」とは、連続的な弧状曲線のみならず、旋回羽根の全長を複数に分割し、各々を短い直線状帯体にて置換してなる直線近似曲線も含んでいる。また、「弧状」に言う「弧」とは、真円の一部を成す曲率一定の「弧」のみならず、旋回羽根の延出方向に沿って徐々に曲率が増加又は減少すると言ったように、旋回羽根の延出方向に沿って曲率が変化する「弧」も含んでいる。
【0010】
このような構成によれば、レゴリス堆積地面に代表される軟弱地盤上の登坂走行に適用されると、複数の前記旋回羽根のそれぞれは、固有の旋回角度範囲内において、前方から後方へと旋回しつつ、車輪前方の地盤(砂地)を掻き取り、車輪の真下を通して、車輪後方へと掻き出すように作用する。そのため、その反作用として、車輪は、1回転(360度)する毎に、旋回羽根の枚数に相当する回数分だけ、前方への大きな推進力を間欠的に得ることとなり、これにより、軟弱地盤上の登坂走行が可能となる(第1の作用)。
(【0011】以降は省略されています)
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