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公開番号
2024104450
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-08-05
出願番号
2023008655
出願日
2023-01-24
発明の名称
防煙垂れ壁装置
出願人
文化シヤッター株式会社
代理人
個人
主分類
A62C
2/06 20060101AFI20240729BHJP(人命救助;消防)
要約
【課題】安価でかつ簡易な構成の防煙垂れ壁装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る防煙垂れ壁装置は、一端21側を回動中心として回動可能なように天井19側に取付けられた板状部材2と、天井側において、板状部材の他端22側を係止して、当該板状部材の板面2aが水平面に沿って延長する状態となるように当該板状部材を維持する係止装置3と、煙感知器7からの解除信号に基づいて係止装置が板状部材の他端側の係止を解除した場合に、板状部材が一端21側から他端22側に向けて垂れ下がる防煙垂れ壁2Aを設定するための防煙垂れ壁設定手段とを備えた防煙垂れ壁装置であって、防煙垂れ壁設定手段4は、一端が天井裏側又は壁側に設けられた被連結部80aに連結されて他端が板状部材の他端22側の被連結部80bに連結された可撓性を有した金属性の連結部材80を備えた。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
一端側を回動中心として回動可能なように天井側に取付けられた板状部材と、
前記天井側において、前記板状部材の他端側を係止して、当該板状部材の板面が水平面に沿って延長する状態となるように当該板状部材を維持する係止装置と、
煙感知器からの解除信号に基づいて前記係止装置が前記板状部材の他端側の係止を解除した場合に、前記板状部材が一端側から他端側に向けて垂れ下がる防煙垂れ壁を設定するための防煙垂れ壁設定手段とを備えた防煙垂れ壁装置であって、
前記防煙垂れ壁設定手段は、一端が天井裏側又は壁側に設けられた被連結部に連結されて他端が前記板状部材の他端側の被連結部に連結された可撓性を有した金属性の連結部材を備えたことを特徴とする防煙垂れ壁装置。
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【請求項2】
前記防煙垂れ壁設定手段は、前記防煙垂れ壁の板面と水平面とのなす角度を変更可能に設定するための角度設定手段を備え、
前記角度設定手段は、前記連結部材の長さを調整するための長さ調整手段により構成され、
前記長さ調整手段により前記連結部材の長さを調整することによって、前記防煙垂れ壁の板面と水平面とのなす角度を変更できるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の防煙垂れ壁装置。
【請求項3】
前記防煙垂れ壁の板面と水平面とのなす角度を変更可能に設定するための角度設定手段を備え、
前記角度設定手段は、前記連結部材の他端を連結する前記板状部材の他端側に設けられた被連結部の位置を変更できるように構成された被連結部可変手段により構成され、
前記被連結部の位置を被連結部可変手段により変更することによって、前記防煙垂れ壁の板面と水平面とのなす角度を変更できるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の防煙垂れ壁装置。
【請求項4】
前記被連結部可変手段は、前記板状部材の他端側に設けられた複数の被連結部により構成され、
前記連結部材の他端を連結する前記被連結部を変更することによって、前記防煙垂れ壁の板面と水平面とのなす角度を変更できるように構成されたことを特徴とする請求項3に記載の防煙垂れ壁装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の天井部分に設置されて火災の発生の際に作動して煙の流動を防止する防煙垂れ壁を備えた防煙垂れ壁装置に関する。
続きを表示(約 6,500 文字)
【背景技術】
【0002】
従来、天井側において板面が水平面に沿って延長する状態となるように設けられた板状部材が、火災の発生の際に回動して防煙垂れ壁として機能するように構成された防煙垂れ壁装置が知られている。
当該防煙垂れ壁装置としては、板状部材の回動動作時の衝撃を吸収するためにショックアブソーバ(ダンパー)を備えた構成のものが知られている(特許文献1等参照)。
また、従来、例えば図4に示すように、回動式の板状部材2を垂直に位置決めして防煙垂れ壁として機能させる防煙垂れ壁装置100も知られている。
図4に示した従来の防煙垂れ壁装置100は、一端21側を回動中心として回動可能なように天井19側に取付けられた板状部材2と、天井19側において板状部材2の他端22側を係止して当該板状部材2の下側の板面2aが水平面に沿って延長する状態となって例えば天井面20aを形成するように当該板状部材2を維持する係止装置3と、煙感知器7からの解除信号に基づいて係止装置3が板状部材2の他端22側の係止を解除した場合に、当該板状部材2が一端21側から他端22側に向けて垂れ下がる防煙垂れ壁2Aを設定するための防煙垂れ壁設定手段40とを備えて構成される。
尚、図4は断面図であるが、断面ハッチングは省略してある。
また、図4に示した防煙垂れ壁装置100は、例えばユニット化されており、図4の紙面と直交する方向に沿って、複数のユニット化された防煙垂れ壁装置100,100…が連続して並ぶように配置されて天井19側に設置されている。
板状部材2は、不燃材により構成されたものであり、例えば、天井板20と同様な平板状に形成された板状部材により構成される。
板状部材2は、例えば、四角形の平板部を備えて構成され、当該四角形の平板部における四角形の一辺側が一端21側となり、当該四角形の一辺と対向する他辺側が他端22側となる。
板状部材2は、一端21側を回動中心として回動可能なように一端21側がヒンジ50等の回転支持部材を介して天井19側に取付けられている。
板状部材2は、通常状態においては、係止装置3によって、天井19側において下側の板面2aが水平面に沿って延長する状態となって天井面20aを形成するように設定され、かつ、火災発生時においては、ヒンジ50を回転中心として回動して、防煙垂れ壁設定手段40によって、図4に一点鎖線で示したような板面2aが垂直となる防煙垂れ壁2Aとして機能するように設定される。
つまり、通常状態においては、係止装置3によって、天井19側において板状部材2の板面2aが水平面に沿って延長する状態、即ち、天井19側において板状部材2の下側の板面2aが水平面上又は略水平面上に位置されるように設定される。
例えば、天井面20aとなる板状部材2の下側の板面2aと天井面20aとなる天井板20の下側の板面とが同一水平面上に位置されたり、あるいは、天井面20aとなる板状部材2の下側の板面2aと天井面20aとなる天井板20の下側の板面とが互いに平行な水平面上に位置されて、板状部材2が天井板として機能するように設定される。
係止装置3は、例えば、図4の紙面と直交する方向の一方の端部側に位置される一端側の防煙垂れ壁装置100に設けられた自動閉鎖装置31と、当該一端側の防煙垂れ壁装置100以外のその他の各防煙垂れ壁装置100,100…にそれぞれ設けられたキャッチ32,32…とで構成される。
自動閉鎖装置31は、一端側の防煙垂れ壁装置100の板状部材2の他端22側を係止して当該板状部材2の下側の板面2aが水平面に沿って延長する状態となるように当該板状部材2を維持するとともに、当該係止状態を電気的に解除できるように構成された図外の係止手段を備え、火災時において、煙感知器7からの解除信号に基づいて自動閉鎖装置31内の制御手段が当該係止手段による係止状態を解除するように構成されているものである。当該係止手段による係止状態を解除された場合、板状部材2が一端21側を回転中心として下方に向けて回転して垂れ下がる。
各防煙垂れ壁装置100,100…のキャッチ32,32…は、隣の防煙垂れ壁装置100の板状部材2の他端22側と図外の係止解除用のワイヤで繋がれている。
キャッチ32は、その他の各防煙垂れ壁装置100,100…にそれぞれ設けられた板状部材2の他端22側に設けられたキャッチ受5に係止して当該板状部材2の下側の板面2aが水平面に沿って延長する状態となるように当該板状部材2を維持する。そして、火災時において、一端側の防煙垂れ壁装置100の自動閉鎖装置31による係合状態が解除された板状部材2が垂れ下がった場合に、当該板状部材2の他端22側と当該一端側の防煙垂れ壁装置100の隣の防煙垂れ壁装置100のキャッチ32とに繋がれた図外の係止解除用のワイヤによって当該キャッチ32が図4の左側に移動することで、キャッチ32とキャッチ受5との係止状態が解除される。従って、一端側の防煙垂れ壁装置100の隣の防煙垂れ壁装置100の板状部材2が垂れ下がる。以後同様に、順次、隣の防煙垂れ壁装置100のキャッチ32とキャッチ受5との係止状態が解除されて板状部材2が垂れ下がる動作が、連動して行われることで、各防煙垂れ壁装置100,100…の各板状部材2,2…が一端21側を回転中心として下方に向けて回転して垂れ下がることになる。
以上のように、火災時においては、一端側の防煙垂れ壁装置100の板状部材2から順番に隣合う各防煙垂れ壁装置100,100…の板状部材2の係止状態が解除されていくことにより、各防煙垂れ壁装置100,100…の各板状部材2,2…が、一端21側から他端22側に向けて垂れ下がった状態になる。
即ち、自動閉鎖装置31、及び、キャッチ32は、共に、板状部材2の他端22側を係止する手段であるが、自動閉鎖装置31は、例えば天井側の設けられた煙感知器7が煙を感知した場合に当該煙感知器7から出力される解除信号を受けて電気的に板状部材2を開放する電気制御式の係止手段であり、キャッチ32は、隣の板状部材2の動きに連動して機械的に板状部材2を開放する機械式の係止手段である。
尚、当該自動閉鎖装置の「閉鎖」の意味は、板状部材2の他端22側の係止を解除して板状部材2を防煙垂れ壁2Aとして作動させることを意味しており、いわゆるシャッターの自動閉鎖装置に合わせた名称となっている。
つまり、「閉鎖」はシャッター等が閉鎖して火や煙を留める区画を作ると言う意味で防災装置が作動する動作を示す用語として用いられる。当該防煙垂れ壁2Aの場合、防煙垂れ壁2Aの下方が空間となるので、閉鎖されるわけではないが、シャッターと共通の用語を用いて自動閉鎖装置を呼ばれているものである。
防煙垂れ壁設定手段40は、一端21側を回動中心として下方に回動した当該板状部材2を垂直状態に維持して防煙垂れ壁2Aとして機能するように設定するものである。
当該防煙垂れ壁設定手段40は、ショックアブソーバ(ガススプリング)101と、ばね102と、ねじ103と、を備え、火災発生の際に、板状部材2の一端21側を回動中心として下方に回動して垂れ下がった当該板状部材2の板面2aを垂直な状態に維持することにより、当該板状部材2を防煙垂れ壁2Aとして機能するように設定する手段である。
ショックアブソーバ101は、板状部材2の回動動作時の衝撃を吸収するための手段であり、例えば、一端側としてのシリンダ基端側が、防煙垂れ壁装置100の装置基台110に設けられたブラケット111に回転可能に連結されるとともに、他端側としてのピストン先端側が、板状部材2の他端22側に回転可能に連結されている。
ばね102は、一端側がブラケット111に回転可能に連結され、他端側がショックアブソーバ101のシリンダ側に連結された引張コイルバネである。
当該ばね102は、板状部材2の回転降下時の初期時の急激な降下を防ぐとともに、板状部材2が垂直になるようにショックアブソーバ102を所定位置に維持する手段である。
また、当該ばね102は、一端側の回転中心軸102cが、ヒンジ50の回転中心軸とずれるように設置されている。これにより、板状部材2の板面2aが水平面に沿って延長する状態から板状部材2の他端22側が下方に回動する際(つまり、図4の実線状態の板状部材2が一点鎖線状態の防煙垂れ壁2Aとなるように回動する際)には、ばね102の引っ張り力によって、板状部材2に力F1(図4において時計回りの力F1)が付与され、また、板状部材2が下方に回動した状態から板状部材2の板面2aが水平面に沿って延長する状態に回動する際(つまり、図4の一点鎖線状態の防煙垂れ壁2Aが実線状態の板状部材2となるように回動する際)には、ばね102の引っ張り力によって、板状部材2に力F2(図4においての反時計回りの力F2)が付与されるようになっている。
ねじ103は、例えば、ヒンジ50の上方側の位置において、下方に回動した状態の板状部材2の一端側に先端103tが接触して、下方に回動した状態の板状部材2に力F2(図4においての反時計回りの力F2)を付与するものである。
また、図4に示す防煙垂れ壁装置100によれば、煙感知器7が煙を感知して、板状部材2が一端21側のヒンジ50を回動中心として下方に回動した際には、ばね102の引っ張り力によって、板状部材2に力F1が付与されるとともに、ねじ103の先端103tが板状部材2の一端21側に接触して板状部材2に力F2が付与されることによって、板面2aが垂直状態に維持された防煙垂れ壁2Aが形成される。
即ち、図4に示した防煙垂れ壁装置100は、上述した防煙垂れ壁設定手段40を備えていることにより、火災の際に係止装置3が解除された場合に、板状部材2が一端21側のヒンジ50を回動中心として下方に回動し、板状部材2が一端21側から他端22側に向けて垂れ下がって当該板状部材2の板面2aが垂直状態に維持される防煙垂れ壁2Aが形成されるように構成されているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
実開昭49-116814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された従来の防煙垂れ壁装置では、ショックアブソーバを使用しており、高価な装置となってしまう。
また、図4に示した従来の防煙垂れ壁装置100は、板面2aが垂直状態に維持される防煙垂れ壁2Aを形成するために、ショックアブソーバ101と、ばね102と、ねじ103とを組み合わせた構成の防煙垂れ壁設定手段40を備えているので、構成部品が多くなり、高価でかつ複雑な構成の装置となってしまう。
【0005】
本発明は、上記課題を解消すべく、安価でかつ簡易な構成の防煙垂れ壁装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る防煙垂れ壁装置は、一端側を回動中心として回動可能なように天井側に取付けられた板状部材と、前記天井側において、前記板状部材の他端側を係止して、当該板状部材の板面が水平面に沿って延長する状態となるように当該板状部材を維持する係止装置と、煙感知器からの解除信号に基づいて前記係止装置が前記板状部材の他端側の係止を解除した場合に、前記板状部材が一端側から他端側に向けて垂れ下がる防煙垂れ壁を設定するための防煙垂れ壁設定手段とを備えた防煙垂れ壁装置であって、前記防煙垂れ壁設定手段は、一端が天井裏側又は壁側に設けられた被連結部に連結されて他端が前記板状部材の他端側の被連結部に連結された可撓性を有した金属性の連結部材を備えたことを特徴とする。
また、前記防煙垂れ壁設定手段は、前記防煙垂れ壁の板面と水平面とのなす角度を変更可能に設定するための角度設定手段を備え、前記角度設定手段は、前記連結部材の長さを調整するための長さ調整手段により構成され、前記長さ調整手段により前記連結部材の長さを調整することによって、前記防煙垂れ壁の板面と水平面とのなす角度を変更できるように構成されたことを特徴とする。
また、前記防煙垂れ壁の板面と水平面とのなす角度を変更可能に設定するための角度設定手段を備え、前記角度設定手段は、前記連結部材の他端を連結する前記板状部材の他端側に設けられた被連結部の位置を変更できるように構成された被連結部可変手段により構成され、前記被連結部の位置を被連結部可変手段により変更することによって、前記防煙垂れ壁の板面と水平面とのなす角度を変更できるように構成されたことを特徴とする。
また、前記被連結部可変手段は、前記板状部材の他端側に設けられた複数の被連結部により構成され、前記連結部材の他端を連結する前記被連結部を変更することによって、前記防煙垂れ壁の板面と水平面とのなす角度を変更できるように構成されたことを特徴とする。
本発明によれば、一端が天井裏側又は壁側に設けられた被連結部に連結されて他端が前記板状部材の他端側の被連結部に連結された可撓性を有した金属性の連結部材を備えた防煙垂れ壁設定手段を採用したことにより、安価でかつ簡易な構成の防煙垂れ壁装置を提供できるようになった。
また、角度設定手段を備えたことにより、防煙垂れ壁の板面と水平面とのなす角度を変更することで、防煙効果を向上させることが可能となるとともに、防煙垂れ壁の下端と室内の床面との間の間隔をできるだけ広く設定することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
防煙垂れ壁装置を示す断面図(実施形態1)。
防煙垂れ壁装置の動作説明図(実施形態1)。
防煙垂れ壁装置の動作説明図(実施形態2)。
従来の防煙垂れ壁装置の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態1
図1に示すように、実施形態1に係る防煙垂れ壁装置1は、上述した板状部材2と、上述した係止装置3と、防煙垂れ壁設定手段4とを備える。
尚、図1,図2において、従来例の図4の防煙垂れ壁装置100で説明した部分と同一部分又は相当部分については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0009】
即ち、実施形態1に係る防煙垂れ壁装置1は、上述した板状部材2と、上述した係止装置3と、煙感知器7からの解除信号aに基づいて係止装置3が板状部材2の他端22側の係止を解除した場合に、板状部材2が一端21側から他端22側に向けて垂れ下がる防煙垂れ壁2Aを設定するための防煙垂れ壁設定手段4とを備え、当該防煙垂れ壁設定手段4は、一端が天井裏19R側に設けられた被連結部80aに連結されて他端が板状部材2の他端22側の被連結部80bに連結された可撓性を有した金属性の連結部材80と、防煙垂れ壁2Aの板面2aと水平面とのなす角度αを変更可能に設定するための角度設定手段とを備えた構成とした。
【0010】
尚、前記水平面とは、天井19側に想定される水平面であり、例えば、係止装置3により係止されて天井19側において水平面上に位置される板状部材2の下側の板面2aや天井板20の天井面20aである。
(【0011】以降は省略されています)
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