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公開番号2024104259
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-02
出願番号2023008423
出願日2023-01-23
発明の名称水素機器用基材の製造方法及び水素機器用基材
出願人株式会社MOLE’S ACT
代理人めぶき弁理士法人,個人
主分類B23K 20/00 20060101AFI20240726BHJP(工作機械;他に分類されない金属加工)
要約【課題】従来よりも水素機器の信頼性を高くできる水素機器用基材の製造方法を提供する。
【解決手段】金属材料からなり水素機器用基材10の母材となる第1部材1と、アルミニウム系材料又はマグネシウム系材料からなり第1部材1の被覆材となる第2部材2とを準備する部材準備工程と、第1部材1及び第2部材2を相互拡散接合して接合体3を形成する接合体形成工程と、接合体3に対して時効処理を行う時効処理工程とを有し、第1部材と第2部材との接合面には「接合体形成工程により形成された第1部材と第2部材との金属間化合物層5」が存在するとともに、当該金属間化合物層5の結晶粒界及び第2部材2の結晶粒界には「時効処理工程により形成された析出層」が存在し、金属間化合物層5及び析出層の水素吸蔵能により第1部材1への水素透過が抑制される結果として第1部材1の水素脆化が抑制された水素機器用基材10を製造する水素機器用基材の製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
水素機器を製造するための水素機器用基材の製造方法であって、
金属材料からなり前記水素機器用基材の母材となる第1部材と、アルミニウム系材料又はマグネシウム系材料からなり前記第1部材の被覆材となる第2部材とを準備する部材準備工程と、
前記第1部材及び前記第2部材をこれらの接合予定面を突き合わせた状態で相互拡散接合して接合体を形成する接合体形成工程と、
前記接合体に対して時効処理を行う時効処理工程とを有し、
前記第1部材と前記第2部材との接合面には「前記第1部材が含有する成分と前記第2部材が含有する成分とを含有し水素吸蔵能を有する金属間化合物層」が存在するとともに、当該金属間化合物層の結晶粒界及び前記第2部材の結晶粒界には「水素吸蔵能を有する析出層」が存在し、前記金属間化合物層及び前記析出層の水素吸蔵能により前記第1部材への水素透過が抑制される結果として前記第1部材の水素脆化が抑制された前記水素機器用基材を製造することを特徴とする水素機器用基材の製造方法。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
請求項1に記載の水素機器用基材の製造方法において、
前記アルミニウム系材料は、Zn及びMgを含有するアルミニウム合金であり、
前記マグネシウム系材料は、Zn及びAlを含有するマグネシウム合金であり、
前記時効処理工程においては、前記金属間化合物層及び前記第2部材における前記結晶粒界の析出層中にAl
2
Mg
3
Zn
3
からなる粒子を生成させることを特徴とする水素機器用基材の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の水素機器用基材の製造方法において、
前記アルミニウム合金又は前記マグネシウム合金は、さらにSiを含有するアルミニウム合金又はマグネシウム合金であり、
製造される前記水素機器用基材は、前記第2部材の表面にSiを含有する酸化物層が形成されていることを特徴とする水素機器用基材の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の水素機器用基材の製造方法において、
前記部材準備工程においては、前記第2部材として、前記第1部材との接合予定面に残留応力を付与した第2部材を準備することを特徴とする水素機器用基材の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の水素機器用基材の製造方法において、
前記部材準備工程においては、前記第2部材として、ショットブラストによる処理により前記第1部材との接合予定面の表面を塑性変形させることで前記第1部材との接合予定面に残留応力を付与した第2部材を準備することを特徴とする水素機器用基材の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の水素機器用基材の製造方法において、
前記部材準備工程においては、前記第2部材として、前記第1部材との接合予定面が所定の面粗度を有する第2部材を準備し、
前記接合体形成工程においては、前記第1部材と前記第2部材とを相対的に押圧することにより、前記第2部材における前記第1部材との接合予定面に表面微細構造の変化を発生させながら前記第1部材と前記第2部材とを相互拡散接合して接合体を形成することを特徴とする水素機器用基材の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の水素機器用基材の製造方法において、
前記部材準備工程においては、前記第2部材として、ショットブラストによる処理により前記第1部材との接合予定面に表面微細構造を形成することにより、前記第1部材との接合予定面が所定の面粗度を有する第2部材を準備することを特徴とする水素機器用基材の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の水素機器用基材の製造方法において、
前記部材準備工程においては、前記第1部材として、鉄系材料からなる第1部材を準備することを特徴とする水素機器用基材の製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載の水素機器用基材の製造方法において、
前記部材準備工程においては、前記第1部材及び前記第2部材として、管状の第1部材及び第2部材を準備し
前記接合体形成工程においては、前記第1部材の内側に前記第2部材を配置した状態で、かつ、前記第2部材の内側空間に相互拡散接合に必要な内圧をかけながら、前記第1部材及び前記第2部材を相互拡散接合して接合体を形成することを特徴とする水素機器用基材の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の水素機器用基材の製造方法において、
前記接合体形成工程においては、前記第1部材の外側に変形抑制用金型を配置した状態で前記第1部材及び前記第2部材を相互拡散接合して接合体を形成することを特徴とする水素機器用基材の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水素機器用基材の製造方法及び水素機器用基材に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
近年産業界においても環境保護の面から、自動車や輸送機器に関して水素を燃料とする燃料電池を電力源とするものや水素そのものを動力用の内燃機関の燃料として用いるものが開発されてきている。このため、自動車等に水素を供給するための水素ステーションなどのインフラ整備が必要となり、そのための検討、対応がなされている。
【0003】
水素ステーションなどの機器においては、水素を扱う構成部品(例えば、水素貯蔵タンク、水素移送用パイプなど)が不可欠である。このように水素を扱う構成部品に利用する金属材料においては、長期間水素に接触すると、材料内に水素が侵入し、侵入した水素によって、また、もともと金属材料に含まれている水素によって、引張強度などの機械的性質が劣化したり、構成部品そのものが脆性破壊(応力腐食割れ)を起こしたりする現象が知られている。この現象は、一般に水素脆化と呼ばれている。
【0004】
そこで、上記の水素脆化を抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。これらの技術は、母材の表面にアルミニウム系金属間化合物層、アルミニウム層、アルミナ層を順次積層した3層構造被膜を形成するというものであり、高圧水素の環境下で使用される水素機器の母材への水素侵入を抑制し、水素脆化を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2015-172212号公報
国際公開WO2015/098981号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1及び2に記載された技術は、母材の表面にアルミニウム合金からなる溶融めっき層を形成するというものであり、母材と溶融めっき層との間の密着強度が低く溶融めっき層が剥がれやすいという問題があり、また、溶融めっき層が薄いため水素侵入を高いレベルで抑制することができないという問題がある。さらにまた、上記の結果脆性破壊(応力腐食割れ)の問題を高いレベルで抑制することができないという問題がある。このため、水素機器としての信頼性を高くすることができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、従来よりも水素機器の信頼性を高くできる水素機器用基材の製造方法及び水素機器用基材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本発明の水素機器用基材の製造方法は、水素機器を製造するための水素機器用基材の製造方法であって、金属材料からなり前記水素機器用基材の母材となる第1部材と、アルミニウム系材料又はマグネシウム系材料からなり前記第1部材の被覆材となる第2部材とを準備する部材準備工程と、前記第1部材及び前記第2部材をこれらの接合予定面を突き合わせた状態で相互拡散接合して接合体を形成する接合体形成工程と、前記接合体に対して時効処理を行う時効処理工程とを有し、前記第1部材と前記第2部材との接合面には「前記第1部材が含有する成分と前記第2部材が含有する成分とを含有し水素吸蔵能を有する金属間化合物層」が存在するとともに、当該金属間化合物層の結晶粒界及び前記第2部材の結晶粒界には「水素吸蔵能を有する析出層」が存在し、前記金属間化合物層及び前記析出層の水素吸蔵能により前記第1部材への水素透過が抑制される結果として前記第1部材の水素脆化が抑制された前記水素機器用基材を製造することを特徴とする。
【0009】
本発明の水素機器用基材の製造方法において、時効処理工程は、接合体形成工程中に実施してもよいし、接合体形成工程後に実施してもよい。
【0010】
[2]本発明の水素機器用基材の製造方法において、前記アルミニウム系材料は、Zn及びMgを含有するアルミニウム合金であり、前記マグネシウム系材料は、Zn及びAlを含有するマグネシウム合金であり、前記時効処理工程においては、前記金属間化合物層及び前記第2部材における、前記結晶粒界の析出層中にAl
2
Mg
3
Zn
3
からなる粒子を生成させることが好ましい。なお、Al
2
Mg
3
Zn
3
からなる粒子としては、例えば、「2022年11月18日 九州大学・岩手大学・京都大学・科学技術振興機構・高輝度光化学研究センター「水素の影響を受けない新しい高強度アルミニウムの創製から材料を強化するナノ粒子の「切り替え」~(プレスリリース)」」に記載されている「Al
2
Mg
3
Zn
3
からなるΤナノ粒子」を好ましく例示することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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