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公開番号2024100311
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-26
出願番号2023004219
出願日2023-01-16
発明の名称ロータリーキルンの運転方法
出願人UBEマシナリー株式会社
代理人個人,個人
主分類F27B 7/36 20060101AFI20240719BHJP(炉,キルン,窯;レトルト)
要約【課題】エアポートファンの設置を最適化したロータリーキルンの運転方法を提供する。
【解決手段】本発明のロータリーキルン10の運転方法は、回転可能に設けられた長尺円筒状のキルン胴体12と、前記キルン胴体の外周面に1つ以上設置して内部に外気を導入する送風部を備えたロータリーキルンの運転方法において、前記ロータリーキルンの全長及び半径と、回転数と、原料の処理量と、原料成分と、燃焼用空気量を入力する第1工程と、前記送風部の設置数と、設置位置と、風量を入力する第2工程と、第1及び第2工程の入力情報に基づいて前記ロータリーキルンの全長に亘って温度分布をシミュレーションする第3工程と、を有し、前記第3工程のシミュレーション結果に基づいて、キルン胴体内の原料温度、内部温度、酸素濃度を設定範囲にする前記第2工程を変更して第3工程を繰り返すことを特徴としている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
回転可能に設けられた長尺円筒状のキルン胴体と、前記キルン胴体の外周面に1つ以上設置して内部に外気を導入する送風部を備えたロータリーキルンの運転方法において、
前記ロータリーキルンの全長及び半径と、回転数と、原料の処理量と、原料成分と、燃焼用空気量を入力する第1工程と、
前記送風部の設置数と、設置位置と、風量を入力する第2工程と、
第1及び第2工程の入力情報に基づいて前記ロータリーキルンの全長に亘って温度分布をシミュレーションする第3工程と、を有し、
前記第3工程のシミュレーション結果に基づいて、キルン胴体内の原料温度、内部温度、酸素濃度を設定範囲にする前記第2工程を変更して前記第3工程を繰り返すことを特徴とするロータリーキルンの運転方法。
続きを表示(約 100 文字)【請求項2】
請求項1に記載されたロータリーキルンの運転方法であって、
前記原料が、製鉄ダスト、電気炉ダスト、金属を含む産業廃棄物のいずれかであることを特徴とするロータリーキルンの運転方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、キルン胴体の外周面に1つ以上の送風部(エアポートファン)を備えたロータリーキルンの運転方法に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
回転式の燃焼炉に製鉄ダスト、電気炉ダスト、金属を含む産業廃棄物を投入して高温状態で焼成して亜鉛などのレアメタルを回収してリサイクルできるロータリーキルンが適用されている。
このようなロータリーキルンの外周にはキルン胴体内の原料温度、内部温度、酸素濃度を設定範囲にするために1つ以上の送風部となるエアポートファンが取り付けられている。
ロータリーキルンを廃棄物焼却炉として用いる場合、廃棄物の成分が不均一のため、炉内の温度管理が困難となる。
従来、廃棄物に応じて様々な温度変化に対応できるように、設計仕様に余裕を持たせた過剰なスペックの送風部を取り付けていたため、設備費用が増加していた。
また、樹脂や金属成分を含んだ複合原料を処理する産業廃棄物処理用のロータリーキルンでは、原料中の金属成分がある温度以上で半溶融してキルン胴体内に鋳付いて閉塞するおそれがあり運転の継続が困難となることが問題となっていた。
従来、ロータリーキルンを用いたセメント製造設備の運転方法に仮焼炉の燃焼と熱量原単位を最適化するシミュレーションを適用した技術がある(特許文献1)。しかしながら、特許文献1の技術では扱う原料がセメント原料であり、成分がある程度特定されているため温度管理の制御は難しくない。またシミュレーションの目的および手法が異なっているため、送風部の設置管理に直接適用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第6327016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、送風部の設置を最適化したロータリーキルンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、回転可能に設けられた長尺円筒状のキルン胴体と、前記キルン胴体の外周面に1つ以上設置して内部に外気を導入する送風部を備えたロータリーキルンの運転方法において、
前記ロータリーキルンの全長及び半径と、回転数と、原料の処理量と、原料成分と、燃焼用空気量を入力する第1工程と、
前記送風部の設置数と、設置位置と、風量を入力する第2工程と、
第1及び第2工程の入力情報に基づいて前記ロータリーキルンの全長に亘って温度分布をシミュレーションする第3工程と、を有し、
前記第3工程のシミュレーション結果に基づいて、キルン胴体内の原料温度、内部温度、酸素濃度を設定範囲にする前記第2工程を変更して前記第3工程を繰り返すことを特徴とするロータリーキルンの運転方法を提供することにある。
上記第1の手段によれば、効率的にキルン胴体内の原料温度、内部温度、酸素濃度を設定範囲にする送風部の能力や設置位置を予めシミュレーションすることで設計仕様に余裕を持たせる必要がなくなり、設備費用を抑えることができる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、第1の手段において、前記原料が、製鉄ダスト、電気炉ダスト、金属を含む産業廃棄物のいずれかであることを特徴とするロータリーキルンの運転方法を提供することにある。
上記第2の手段によれば、原料中の金属成分がある温度以上で半溶融してキルン胴体内に鋳付いてしまい閉塞するおそれがあり運転の継続が困難となることがない。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、効率的にキルン胴体内の原料温度、内部温度、酸素濃度を設定範囲にする送風部の能力や設置位置を予めシミュレーションすることで設計仕様に余裕を持たせる必要がなくなり、設備費用を抑えることができる。
またシミュレーション結果に基づく最適設計が可能なため、メンテナンス回数が低減して設備維持費用を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
ロータリーキルンの説明図である。
エアポートファンの説明図である。
空気、原料、キルン胴体の内面及び外面の温度とロータリーキルンの入口からの距離(長さ)の関係を示すグラフ1である。
空気、原料、キルン胴体の内面及び外面の温度とロータリーキルンの入口からの距離(長さ)の関係を示すグラフ2である。
空気、原料、キルン胴体の内面及び外面の温度とロータリーキルンの入口からの距離(長さ)の関係を示すグラフ3である。
空気、原料、キルン胴体の内面及び外面の温度とロータリーキルンの入口からの距離(長さ)の関係を示すグラフ4である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のロータリーキルンの運転方法の実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
図1はロータリーキルンの説明図である。図2はエアポートファンの説明図である。
ロータリーキルン10は、長尺円筒状のキルン胴体12と、ガースギヤ14と、タイヤ16とエアポートファン20を基本構成としている。
ガースギヤ14は、キルン胴体12を軸回りに回転駆動させるためのギヤであり、キルン胴体12の外周に固定されている。ガースギヤ14に噛み合うピニオンギヤ(不図示)は、モータなどの駆動源からの回転動力をガースギヤ14に伝達している。
キルン胴体12は一端に入口フッド12aと他端に出口フッド12bを備え、入口フッド12aにはバーナー12cが設置されている。このバーナーは出口フッドに設ける場合もある。
タイヤ16は、キルン胴体12の外周に設けられてキルン胴体12をローラ17で回転支持している。キルン胴体12はその半径が約1~3メートルの長尺物である。このためタイヤ16はキルン胴体の長手方向に沿って複数個所(図1では2か所)に設置されている。ローラ17は2個一対として各タイヤ16の下部に配置されてキルン胴体12を回転支持している。
送風部となるエアポートファン20は、キルン胴体12の外周面に設置し、ダクト21を介して外気を供給してキルン胴体内の原料温度、内部温度、酸素濃度を設定範囲に管理できる。
【0010】
上記ロータリーキルン10は、後述するシミュレーション解析によって、ロータリーキルンの内径、全長、回転数、処理量、原料成分、燃焼用空気量の基本情報と、送風部の設置台数、設置位置、空気流量を入力して、ロータリーキルン内が最適な原料温度、内部温度、酸素濃度となるように調整している。
シミュレーションは、シミュレーションソフト(KilnSimu:株式会社計算力学研究センター)を使用した。
具体的には、ロータリーキルンのサイズ(内径、全長)から回転数、処理量、原料成分、燃焼用空気量などの基本条件及びエアポートファンの設置台数、設置位置、空気流量、の条件を入力して、シミュレーションした結果が最適な胴体内の原料温度、内部温度、酸素濃度になるまでエアポートファンの設置台数、設置位置、空気流量の条件を変更してシミュレーションを繰り返す。
(【0011】以降は省略されています)

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