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公開番号
2024099354
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-07-25
出願番号
2023003237
出願日
2023-01-12
発明の名称
触媒担体、それを用いた白金系触媒担持体およびそれらの製造方法
出願人
学校法人同志社
,
石福金属興業株式会社
代理人
弁理士法人みのり特許事務所
主分類
H01M
4/96 20060101AFI20240718BHJP(基本的電気素子)
要約
【課題】固体高分子形燃料電池に好ましく用いられる電極用の触媒担体および白金系触媒担持体を提供する。
【解決手段】少なくともその表面近傍にsp
2
成分を有する多孔質炭素と、前記多孔質炭素の表面に結合された窒素含有化学種とを含む触媒担体。窒素含有化学種は前記多孔質炭素をアンモニア雰囲気で熱処理することにより、前記多孔質炭素の表面近傍に結合されている。この触媒担体に白金系触媒を担持させて固体高分子形燃料電池の電極として用いる。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
表面の少なくとも一部にsp
2
成分を有する多孔質炭素と、前記多孔質炭素の表面に結合された窒素含有化学種とを含むことを特徴とする触媒担体。
続きを表示(約 1,600 文字)
【請求項2】
前記多孔質炭素は、平均粒径が200nm以上、1μm以下であり、全表面積が500m
2
/g以上であり、前記全表面積に対する内部表面積の割合が55%以上であり、2nm~20nmの第1の細孔の容積が0.80cm
3
/g以上、1.4cm
3
/g以下であり、20nmより大きい第2の細孔の容積が1cm
3
/g以上、6cm
3
/g以下である、
ことを特徴とする請求項1記載の触媒担体。
【請求項3】
前記第1の細孔の中心径が2nm以上、10nm以下であり、前記第2の細孔の中心径が25nm以上、700nm以下である、
ことを特徴とする請求項2記載の触媒担体。
【請求項4】
前記多孔質炭素が、CuKα線に対するX線回析スペクトルにおいて、ブラッグ角度2θが25.5度から27.0度の間に2つのピークを有する、
ことを特徴とする請求項1記載の触媒担体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の触媒担体と、前記触媒担体に担持された白金系触媒とを有する、
ことを特徴とする白金系触媒担持体。
【請求項6】
少なくとも表面の一部にsp
2
成分を有する多孔質炭素を準備する工程と、前記多孔質炭素をアンモニア雰囲気下、400℃以上で熱処理する工程とを有する、
ことを特徴とする触媒担体の製造方法。
【請求項7】
前記多孔質炭素は、平均粒径が200nm以上、1μm以下であり、全表面積が500m
2
/g以上であり、前記全表面積に対する内部表面積の割合が55%以上であり、2nm~20nmの第1の細孔の容積が0.80cm
3
/g以上、1.4cm
3
/g以下であり、20nmより大きい第2の細孔の容積が1cm
3
/g以上、6cm
3
/g以下である、
ことを特徴とする請求項6記載の触媒担体の製造方法。
【請求項8】
前記第1の細孔の中心径が2nm以上、10nm以下であり、前記第2の細孔の中心径が25nm以上、700nm以下である、
ことを特徴とする請求項7記載の触媒担体の製造方法。
【請求項9】
前記多孔質炭素を準備する工程は、有機質樹脂粒子と酸化マグネシウム粒子を所定の割合で混合した混合物、クエン酸マグネシウム粒子、または、有機質樹脂粒子とクエン酸マグネシウム粒子を所定の割合で混合した混合物のいずれかを、非酸化雰囲気下、500℃以上、1500℃以下で熱処理して酸化マグネシウム・炭素複合体を生成した後、酸洗浄によって前記複合体から酸化マグネシウムを除した非晶質多孔質炭素を、非酸化雰囲気下、1800℃以上で熱処理する工程である、
ことを特徴とする請求項6記載の触媒担体の製造方法。
【請求項10】
前記多孔質炭素を準備する工程は、有機質樹脂粒子と酸化マグネシウム粒子を所定の割合で混合した混合物、クエン酸マグネシウム粒子、または、有機質樹脂粒子とクエン酸マグネシウム粒子を所定の割合で混合した混合物のいずれかを、非酸化雰囲気下、500℃以上、1500℃以下で熱処理して酸化マグネシウム・炭素複合体を生成した後、酸洗浄によって前記複合体から酸化マグネシウムを除した非晶質多孔質炭素を、非酸化雰囲気下、1800℃以上で熱処理し、その後、平均粒径が200nm以上、1μm以下となるように粉砕し、再度、非酸化雰囲気下、1800℃以上で熱処理する工程である、
ことを特徴とする請求項6記載の触媒担体の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒担体、それを用いた白金系触媒担持体およびそれらの製造方法に関する。特に、固体高分子燃料電池の電極に用いられる白金系触媒を担持するための触媒担体、それを用いた白金系触媒担持体およびそれらの製造方法に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)
【背景技術】
【0002】
固体高分子形燃料電池(PEFC)は、アノードで水素の酸化反応を、カソードで酸素の還元反応を起こすことにより、高効率に電気エネルギーを取り出すことができる。そして、その生成物は水のみであるため、クリーンなエネルギー変換デバイスとして着目されている。このような固体高分子形燃料電池のアノードとカソードでの化学反応を促進させるため、触媒として白金(Pt)を使用することが広く知られている。白金を用いた触媒は、触媒活性が高く、また、周辺環境の状態や周辺環境に存在する物質による腐食を受けにくいという利点を有している。このような白金を用いた触媒としては、白金系触媒粒子(例えば、白金粒子、白金コアシェル粒子、白金合金粒子等)を触媒担体(例えば、多孔質炭素)に担持した白金系触媒担持体が広く知られている。
本発明者は、これまでに、例えば、特許文献1~3に示すように、固体高分子形燃料電池のカソードに用いる白金系触媒粒子および白金系触媒担持体ならびにそれらの酸素還元活性を向上させる方法の提案をしている。
【0003】
一方、固体高分子形燃料電池の白金系触媒を担持する触媒担体として用いられる多孔質炭素についても多くの研究がなされている。そのような多孔質炭素の好ましい構造として、高酸素拡散性を示す連通性の高いメソ孔を有する細孔構造を有すること、白金系触媒粒子の担持率を向上させるべく高い比表面積(特に高い内部表面積)を有すること、および、高い耐久性を得るべく炭素表面がsp
2
化(黒鉛化)されていることが知られている。
【0004】
そして、好ましい構造を有する多孔質炭素として、酸化マグネシウムを鋳型として用いた鋳型炭素化法による多孔質炭素が知られている。
例えば、特許文献4には、有機質樹脂(イミド系樹脂)と、酸化マグネシウムとの混合物を不活性雰囲気下で加熱して酸化マグネシウムを鋳型とした酸化マグネシウム・炭素複合体を生成し、その複合体から酸洗浄によって酸化マグネシウムを完全に溶出させることにより非晶質多孔質炭素を生成し、その後、非晶質多孔質炭素を非酸化雰囲気下で非晶質多孔質炭素が結晶化(sp
2
化)する温度以上(例えば、2000℃)で熱処理することによって製造される結晶性が発達した多孔質炭素が開示されている。この結晶性が発達した多孔質炭素は、メソ孔同士が連続している3次元網目構造を呈している。具体的には、メソ孔とこのメソ孔の外郭を構成する炭素質壁とを備えており、炭素質壁には層状構造を成す部分(sp
2
成分)が存在し、比表面積(内部表面積を含む)が200m
2
/g以上であり、メソ孔の容積が0.2ml/g以上である。特に、特許文献4の実施例には、比表面積が1000m
2
/g以上であり、メソ孔の容積が1.0ml/g以上であり、表面にsp
2
成分を有する結晶性が発達した多孔質炭素が開示されている。
さらに、特許文献5には、クエン酸マグネシウムを不活性雰囲気下で500℃以上に加熱して酸化マグネシウムを鋳型とした酸化マグネシウム・炭素複合体を生成し、その後、その複合体から酸洗浄によって酸化マグネシウムを除去することによって製造した非晶質多孔質炭素が開示されている。特許文献5の実施例には、比表面積が1500m
2
/g以上であり、メソ孔容積が1.5ml/g以上である非晶質多孔質炭素が開示されている。
【0005】
特許文献4によれば、従来の非晶質多孔質炭素は、特性を改良(例えば、結晶化(sp
2
化))するために所定温度以上で加熱処理を行うと、炭素材の収縮によって炭素材の細孔が潰れてしまうが、酸化マグネシウムを鋳型として用いた鋳型炭素化法によって生成された非晶質多孔質炭素は、所定の細孔構造を呈しているため、熱処理による炭素材の収縮に耐え、当該細孔構造を維持しつつ、結晶化(sp
2
化)できるとの記載がある。非特許文献1にも、同様の記載があり、鋳型化法による多孔質炭素は、他の多孔質炭素に比べて熱処理による細孔構造が変化しにくいと記載されている。
このような結晶性が発達した多孔質炭素は、東洋炭素株式会社製の「CNovel(登録商標)」として製品化されている。
【0006】
固体高分子形燃料電池の触媒担体として用いられる多孔質炭素として、上述した物性以外にも、所定の平均粒径を有することが求められている。
つまり、固体高分子形燃料電池は年々小型化(薄膜化)が進んでおり、固体高分子形燃料電池に用いられる固体高分子膜は10μm以下まで薄くなってきている。そして、固体高分子形燃料電池に用いられる膜電極接合体(MEA)は、カソード電極、固体高分子膜、アノード電極を圧縮しながらアッセンブリされるため、各電極の触媒担体によって固体高分子膜が突き破られないように、触媒担体(多孔質炭素)の粒子としては、1μm以下とすることが求められている。
【0007】
一方、白金触媒を触媒担体に担持した白金系触媒担持体は、フッ素系イオノマー(例えば、ナフィオン(登録商標))との接触によって白金触媒が被毒されることが知られている。そして、例えば、特許文献6には、触媒担体である多孔質炭素の平均粒径を小さくしすぎると、イオノマーによる触媒金属の被毒が大きくなると記載されている。詳しくは、多孔質炭素の平均粒径が小さくなると、表面近辺に存在する白金の割合が大きくなるため、イオノマーによる被毒の影響が大きくなり、平均粒径が1μm前後近辺より小さくなると急激に触媒活性が低下すると記載されている。その上でイオノマーによる触媒金属の被毒を低減させることができる多孔質炭素として、モード半径が1~25nmで、細孔容積が1.0~3.0cm
3
/gとなるメソ孔を有し、平均粒径が200nm以上、800nm以下となる多孔質炭素を挙げている。
このように固体高分子形燃料電池の触媒担体として用いられる多孔質炭素として好ましい平均粒径は、200nm以上、1μm以下であることが知られている。
【0008】
その他、イオノマーによる触媒粒子の均一被覆を行う方法として、非晶質多孔質炭素の表面に窒素が組み込まれた化学種を導入する方法も知られている。
例えば、非特許文献2には、非晶質多孔質炭素(ケッチェンブラック(登録商標))の表面に、化学的手法によってアミジン基を導入する技術が開示されている。
また非特許文献3、4には、非晶質多孔質炭素(ケッチェンブラック(登録商標))をアンモニア雰囲気下で400℃~600℃で熱処理することによって窒素含有化学種を導入する技術が開示されている。特に、非特許文献5には、アンモニア雰囲気下、それぞれ200℃、600℃、800℃で熱処理した非晶質多孔質炭素および熱処理を施さなかった非晶質多孔質炭素を比較し、アンモニア雰囲気下600℃で熱処理した非晶質多孔質炭素を用いた電極が最も高い電池電圧を示したと記載されている。一方、アンモニア雰囲気下800℃で熱処理した非晶質多孔質炭素は、他の温度で熱処理した非晶質多孔質炭素より電池電圧が低下し、条件によってはアンモニア雰囲気下の熱処理を施さなかった非晶質多孔質炭素より電池電圧が低下したと記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特許第6403046号
特許第6653875号
特許第6815590号
特許第5860600号
特許第6071261号
特許第6566331号
【非特許文献】
【0010】
飯島孝、小村智子、日吉正孝、「メソ孔を主体とした多孔質炭素の固体高分子形燃料電池触媒担体への適用」、1A09(一般公演)、電気化学学会第87回大会(2020)
K. Matsutori, T. Kinumoto et al., Electrochem. Sci. Adv., 2100014 (2021)
A. Orfanidi, H. A. Gasteiger et al., J. Electrochem. Soc., 164, F418 (2017)
S. Ott, P. Strasser et al., Nat. Mater., 19, 77 (2020)
S. Ott, F. Du et al., J. Electrochemical Soc., 169, 054520 (2022)054520 (2022)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)
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