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公開番号2024098847
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-24
出願番号2023002602
出願日2023-01-11
発明の名称非破壊検査方法及び非破壊検査装置
出願人国立大学法人神戸大学,NEXCO西日本イノベーションズ株式会社
代理人弁理士法人ナビジョン国際特許事務所
主分類G01L 1/00 20060101AFI20240717BHJP(測定;試験)
要約【課題】 負荷信号を与えることなく検査対象物の応力分布を計測することができ、高度な専門知識を有しない者でも利用可能な非破壊検査装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 検査対象物を繰り返し撮影し、多数の熱画像を生成する赤外線カメラ1と、前記熱画像を構成する各画素値ψ(p,t)の時間平均に対する偏差を成分とし、行が前記熱画像中の画素位置に対応し、列が撮影時刻に対応する観測行列Ψ*を生成する観測行列生成部22と、特異値分解により前記観測行列Ψ*を固有値行列Σ及び固有ベクトル行列U,Vに分解する特異値分解部23とを備え、固有ベクトル行列Uを構成する単位ベクトルu1~uPのうち、最大の固有値σ1に対応する固有ベクトルu1に基づいて、前記検査対象物内における応力分布bV(p)を求める。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
検査対象物を繰り返し撮影し、多数の熱画像を生成するステップと、
前記熱画像を構成する各画素値の時間平均に対する偏差を成分とし、行又は列の一方が前記熱画像中の画素位置に対応し、他方が撮影時刻に対応する観測行列を生成するステップと、
特異値分解により前記観測行列を固有値行列及び固有ベクトル行列に分解するステップとを備え、
最大の固有値に対応する固有ベクトルに基づいて、前記検査対象物内における応力分布を求めるステップとを備えることを特徴とする非破壊検査方法。
続きを表示(約 430 文字)【請求項2】
3番目に大きな固有値に対応する固有ベクトルに基づいて、前記検査対象物内における塑性変形分布を求めるステップとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の非破壊検査方法。
【請求項3】
検査対象物を繰り返し撮影し、多数の熱画像を生成する撮影部と、
前記熱画像を構成する各画素値の時間平均に対する偏差を成分とし、行及び列の一方が前記熱画像中の画素位置に対応し、他方が撮影時刻に対応する観測行列を生成する観測行列生成部と、
特異値分解により前記観測行列を固有値行列及び固有ベクトル行列に分解する特異値分解部とを備え、
最大の固有値に対応する固有ベクトルに基づいて、前記検査対象物内における応力分布を求めることを特徴とする非破壊検査装置。
【請求項4】
3番目に大きな固有値に対応する固有ベクトルに基づいて、前記検査対象物内における塑性変形分布を求めることを特徴とする請求項3に記載の非破壊検査装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、非破壊検査方法及び非破壊検査装置に係り、さらに詳しくは、検査対象物の熱画像を用いて検査を行う非破壊検査方法及び当該非破壊検査に用いる非破壊検査装置に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
赤外線カメラ(赤外線サーモグラフィカメラ)を用いて検査対象物を撮影し、得られた熱画像から検査対象物における応力の空間分布を測定し、検査対象物の非破壊検査を行う方法が従来から知られている。このような方法を採用することにより、例えば、鋼製橋、船舶、飛行機、列車などの金属材料の疲労き裂の発生を事前に検知し、あるいは、塗膜下で発生したき裂を検知することができる。
【0003】
金属材料内において応力集中が発生すれば、将来、その位置において疲労き裂が発生する可能性が高い。また、き裂が既に発生している場合、き裂の先端にスポット的な応力集中が発生する。このため、金属材料内における応力分布を観察することができれば、き裂が発生する可能性が高い部位や、既にき裂が発生している部位を特定することができ、当該金属材料の健全性を確認することができる。
【0004】
一般に、対象物に作用する応力が急激に変化して弾性変形が生じる場合、この変形が断熱的に行われるならば、当該対象物の内部には、応力変動に応じた温度変動が生じることが知られている。この温度変動は、熱弾性効果と呼ばれ、温度変動△Tと主応力和の変動△σとの関係は次式(1)で表される。
TIFF
2024098847000002.tif
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kは熱弾性係数であり、Tは材料の絶対温度である。例えば、金属材料に引張応力を作用させると、その応力変動に比例した温度低下が発生し、圧縮応力を作用させると、その応力変動に比例した温度上昇が発生する。
【0005】
金属材料に対し所定の負荷が作用しているとき、金属材料内では領域ごとに異なる応力が発生し、金属材料上に応力分布が発生する。このため、金属材料に作用する負荷が変動すれば、当該金属材料上には応力変動の分布が生じ、温度変動の分布となって現れる。このとき、応力変動の分布形状は、温度変動の分布形状と一致し、また、応力変動の分布形状は、応力の分布形状と一致すると考えられる。従って、温度変動の分布を観察することができれば、金属材料内における応力分布を取得することができる。
【0006】
しかしながら、熱弾性効果による温度変動は非常に小さく、熱画像に含まれる負荷変動とは無関係のノイズに埋もれてしまう。このため、熱画像から熱弾性温度変動の成分のみを抽出して観察する必要がある。例えば、負荷の周期がわかれば、その周期に一致する温度変動のみを抽出し、応力分布を測定することができる。このような方法として、ロックイン赤外線サーモグラフィ法や自己相関ロックイン赤外線サーモグラフィ法が従来から知られている(例えば、非特許文献1)。
【0007】
時刻tに撮影した熱画像(赤外線サーモグラフィ画像)内の画素位置pの画素値ψ(p,t)は、次式(2)に示したモデル式で表すことができる。
TIFF
2024098847000003.tif
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画素位置p=1~Pは、画素数Pの2次元画像を構成する各画素を示す数値であり、時刻t=1~Fは、熱画像の撮影時刻である。
【0008】
右辺の第1項a(p)は、画素位置pにおける画素値の時間変動しない成分(直流成分)、つまり、室温や放射率で決まる負荷変動に関係のない熱成分である。右辺の第2項b(p)f(t)は、画素値の時間変動成分である。f(t)は、負荷変動であり、検査対象物に作用する負荷の時間変化を示している。b(p)は、温度変動係数であり、検査対象物に作用する負荷が単位量だけ変動したときに、画素位置pに対応する検査対象物上の観察点に生じる温度変化量を示している。
【0009】
検査対象物が均一な素材で構成されていれば、応力変動に対する温度変動の割合は、観察点にかかわらず一定になる。このため、温度変動係数b(p)は、負荷が作用することにより検査対象物上に発生する応力分布を示していると考えられる。このため、熱画像の画素値ψ(p,t)からb(t)を求めることができれば、検査対象物上における応力分布を取得することができる。
【0010】
ロックイン赤外線サーモグラフィ法は、負荷変動f(t)を用いて応力分布を求める方法である。検査対象物上の参照点に接触式の歪み計を設置すれば、参照点における歪みを観察することができる。負荷を作用させたときに大きな応力が発生する検査対象物上の点を参照点に選択すれば、測定される歪みの波形は負荷の波形と一致するため、参照点における歪みの測定値から負荷変動f(t)を得ることができる。従って、熱画像と参照点の歪み量とを同期取得すれば、次式(3)により応力分布を求めることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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