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公開番号2024098466
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-23
出願番号2023010556
出願日2023-01-10
発明の名称スピーカーキャビネット
出願人個人
代理人
主分類H04R 1/02 20060101AFI20240716BHJP(電気通信技術)
要約【課題】小型のフルレンジスピーカーユニットでも、普通のバスレフ型などよりも1オクターブ程度低い超低音領域からの平坦な音圧周波数特性の再生音を得ることができ、さらに、普通のバスレフ型などに不適とされた制動係数Q0が非常に小さなスピーカーも使用可能な、振動減衰特性に優れたキャビネットを提供する。
【解決手段】古典的な「理想バスレフ」の設計をアレンジし現代のハイコンプライアンススピーカーの特性を最大限に生かすことを目的とし、低歪み化と低域再生眼界の拡大を両立させたバスレフ型キャビネット、また、スピーカーの振動による干渉を最大限に抑えるために、キャビネット内の構成をモジュール化することで、第1気室(11)に伝わるスピーカーの振動、第1気室(11)から第2気室(12)、第1ダクト(D1)や第2ダクト(D2)へ伝わる振動を抑制し、さらに、振動軽減部材の追加により、振動減衰特性に優れたキャビネット。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
スピーカーキャビネットを構成する気室やダクトが、単体で特定の機能を発揮できる単位(本書では「モジュール」という)に細分化されることで、以下の特徴を有するスピーカーキャビネット、
第1気室、第1ダクト、第2気室、第2ダクトの4モジュールをつなぎ合わせることでキャビネットが完成する構造を有し、
モジュール間の嵌め合いをあえて緩く設計することで、発生するモジュール間のすき間に防振材の追加が可能な構成、
また、モジュール間にインシュレーターの追加が可能な構成とし、
かつ、スピーカーの取付部にあたるバッフル板(第1気室の前面の板)は、スピーカーフレームとバッフル板の距離をミリメートル単位で調整可能なスペーサーを設けることで、スピーカーフレームとバッフル板間に適切なクリアランスを保ちつつ、スピーカーフレームがバッフル板に固定される構造を有し、
さらに、前記の第1ダクト、第2ダクトには、内部を分割した多区分のダクトを用いることで、
前記ダクトが駆動する空気質量m
d1
,m
d2
をスピーカーの等価質量m

に対し、m
d1
,m
d2
を同等以上の質量とするヘルムホルツダクトを備え、
上述のダクトについては、開口率が100%を超えるヘルムホルツ共振ダクトを一台当たり1本または2本装着し、
前記の第1ダクト、第2ダクトが、両端開放型共鳴管の働きを併せ持ち、キャビネットが折り返しの一端開放型共鳴管として動作することを特徴とするスピーカーキャビネット。
続きを表示(約 160 文字)【請求項2】
電気的には、比誘電率が低く、非磁性体であり、導電性が低い、音響的には、縦弾性係数をE、密度をρとしたときにE/ρ値が高いチタンなどの金属と、内部損失が大きい皮革あるいはフェルト等の防振材を重ね合わせて使用する、電気的・音響的インシュレーターが装着されることを特徴とする請求項1のスピーカーキャビネット。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明はスピーカーキャビネットに係るものであり、低歪み化と低域再生眼界の拡大を両立させたバスレフ型キャビネット、そして振動減衰特性に優れたキャビネットであり、古典的な「理想バスレフ」の設計をアレンジし現代のハイコンプライアンススピーカーの特性を最大限に生かすことを目的としたキャビネットの構造等に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
スピーカーシステムは、スピーカーユニットとキャビネットにより構成されるが、スピーカーユニットを取り付けるキャビネットとしては、その方式の分類として、密閉型やバスレフ型(位相反転型)といったものが知られる。
【0003】
バスレフ型は、主としてユニットの取付面(バッフル面)の一部に開口部を設け、その開口部に音道を形成するパイプ状のダクトを接続するか、あるいはユニットの取付面にダクトを一体に成型し、そのダクトを通じてユニットの背面から放射された音波の位相を反転させてキャビネットの前方に導き、これをユニットの前面から放射される音波と合成することにより低音部の能率を上げるようにしたものであり、密閉型に比べて低周波の音圧レベルを上げられるという利点がある。
【0004】
(理想的なバスレフ)
理想的なバスレフとはモデルスピーカーを使用した最適化バスレフであり、
理論的に、高音部の振動板からの音圧と低音部のダクトの共振周波数f

までほぼフラットな音圧周波数特性が得られることが知られており、
ダクトの断面積を有効振動板面積に一致させた最適化バスレフであり、
スピーカーの等価質量をm

、ダクトが駆動する空気質量をm

としたときに、m

=m

、モデルスピーカーのQ

=0.58、スティフネス比がSc/S

=0.5のときのエンクロージャーの内容積V

は、数式(1)で与えられる。
TIFF
2024098466000002.tif
15
40
【0005】
ダクトの断面積A

を実効振動板面積S

と同じ面積とした場合のダクトの利得は+6dB、また、m

=m

とした場合のダクトの長さは数十cm程度が見込まれる。普通のバスレフなどではダクトの断面積が限られるため長くしないといけない。
【0006】
現実のスピーカーの場合、m

は想定された値より大きいものである。数式(14)に示すように、f

とm

がどちらも分母に記載されており、より低い周波数まで再生するにはf

を下げる(小さくする)必要があり能率を犠牲にしても振動系を重くする(m

を大きくする)か、エッジやダンパーの動きを柔らかくする方向にあり、Cms(Mechanical Compliance Suspension)が変わらなければm

は必然的に大きくなる。普通のバスレフなどではm

=m

は実現不可能といってよく、現状では実現する手段がない。
【0007】
普通のバスレフ型などは、スピーカーをエンクロージャーに入れたときの共振峰の鋭さQ
0c
を、低域がフラットに再生される条件としてQ
0c
=0.7程度になるよう数式(11)により調整されるので、スピーカー単体の制動係数Q

の小さなスピーカー(Q

<0.58)は、前述のモデルスピーカー(Q

=0.58)に比べてスティフネス比Sc/S

が大きな値となる。
【0008】
上述を無視して、キャビネットの容積を拡大すれば、f

やQ

の上昇が抑えられ、ダラ下がりの音圧周波数特性となる。低音の再生音圧レベルが低いので低音不足となるが、空気のスティフネスの影響が小さく、コーンの動きに対するストレスが掛からないためハイ・コンプライアンスな再生が実現する。
【0009】
バスレフ型の英語名は「Acoustical Phase Inverter」で、日本では「位相反転型エンクロージャー」と訳されている。位相反転型の名の通り、ダクトの共振周波数f

付近で位相の急激な変化(反転)が起きるのが特徴である。
【0010】
電気インピーダンス曲線について、理想のバスレフは、反共振周波数(ダクトの共振周波数)で最小値を取り、直流抵抗値に近い値となる。これは、反共振周波数では振動板(ボイスコイル)の運動が抑えられ逆起電力の発生が抑えられるからである。つまり、バスレフスピーカーでは、反共振周波数で振動板の振幅が抑えられることで非線形歪み(高調波歪みや相互変調歪み)が抑えられることと、その代わりに位相の急激な変化(反転)が起きることが特徴である。
(【0011】以降は省略されています)

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