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公開番号2024097095
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-18
出願番号2021048492
出願日2021-03-23
発明の名称炎症性腸疾患を検査する方法
出願人国立大学法人大阪大学
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C12Q 1/06 20060101AFI20240710BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】炎症性腸疾患の新たな検査方法を提供する。
【解決手段】被検体より得られた試料中のリゾホスファチジルセリン生成に関与する腸内微生物数を測定する工程を含む、炎症性腸疾患を検査する方法。前記腸内微生物がホスホリパーゼAを発現する腸内微生物であってよく、大腸菌であってよい。前記腸内微生物数を測定する工程が該腸内微生物由来遺伝子の量を測定する工程であってよく、前記腸内微生物由来遺伝子が、ホスホリパーゼAをコードする遺伝子であってよい。
【選択図】図11
特許請求の範囲【請求項1】
被検体より得られた試料中のリゾホスファチジルセリン生成に関与する腸内微生物数を測
定する工程を含む、炎症性腸疾患を検査する方法。
続きを表示(約 630 文字)【請求項2】
前記腸内微生物がホスホリパーゼAを発現する腸内微生物である、請求項1に記載の方法

【請求項3】
前記腸内微生物が大腸菌である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記腸内微生物数を測定する工程が該腸内微生物由来遺伝子の量を測定する工程である、
請求項1~3のいずれか1に記載の方法。
【請求項5】
前記腸内微生物由来遺伝子が、ホスホリパーゼAをコードする遺伝子である、請求項4に
記載の方法。
【請求項6】
前記ホスホリパーゼAをコードする遺伝子が、ECSF_3660である請求項5に記載
の方法。
【請求項7】
前記腸内微生物数と対照試料中の腸内微生物数が比較される工程をさらに含む、請求項1
~6のいずれか1に記載の方法。
【請求項8】
前記対照試料が、健康な被検体から得られた試料または同一被検体から得られた試料であ
る、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
被検体より得られた試料中のリゾホスファチジルセリンの濃度を測定する工程を含む、炎
症性腸疾患を検査する方法。
【請求項10】
被検体より得られた試料中のホスホリパーゼAの活性を測定する工程を含む、炎症性腸疾
患を検査する方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症性腸疾患の検査および治療に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
炎症性腸疾患(Inflammatory bowel disease:IBD)は腸
管における免疫の過剰な活性化が関与していると考えられている。腸管に生じる難病であ
るが、患者数が急速に増加しており問題となっている。IBDに対する治療薬として抗T
NF抗体製剤などの免疫抑制機序を持つ新規薬剤が多数登場しており、従来薬と比較して
高い治療効果が見られるが、治療薬の継続使用に伴い効果減弱をきたすなど、治療に難渋
する患者も少なくない。さまざまな研究が行われているが、未だ疾患の発症、増悪のメカ
ニズムが十分に解明されたとは言えず、根治治療法も開発されていない。
【0003】
炎症性腸疾患を発症すると、根治的治療法がないため症状が軽減し寛解になっても再燃す
ることが多く、寛解と再燃を繰り返す場合が多い。よって、発症前の発症リスクや発症後
の再燃を簡便に検査できることが望まれる。また、再燃の危険性から寛解期であっても定
期的な内視鏡検査が必要であるが、内視鏡検査を毎回繰り返し受けることを嫌がる患者も
少なくない。よって患者に負担の少ない検査が望まれる。
【0004】
腸内微生物叢はそのホストの免疫システムにおいて重要な役割を担っている。IBDの患
者の腸内微生物叢には、微生物叢の多様性の減少と構成の変化によって特徴付けられる異
常(Dysbiosis)が観察される(非特許文献1)。微生物叢は食物繊維を消化し
て短鎖脂肪酸(SCFA)を生成する。そのSCFAは、微生物叢自身やホストの腸上皮
細胞のエネルギー源になるだけでなく、T細胞などの免疫細胞を誘導することによって、
ホストの腸のホメオスタシスに寄与している(非特許文献2)。
【0005】
本発明者等は、16種類のホスファチジルセリン(PS)と18:0リゾホスファチジル
セリン(LysoPS)の血漿中濃度がクローン病患者では健常人に比較して2倍以上、
上昇していることを報告した(非特許文献3)。PSは細胞膜の脂質二重層の中に豊富に
存在し、LysoPSはホスホリパーゼA1/A2(PLA1/A2)の酵素の作用によ
ってPSから発生して脂質メディエーターとして作用すると考えられている(非特許文献
4)。しかし、LysoPSの生理学的、病理学的機能は不明である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
Matsuoka, K. & Kanai, T. Semin Immunopathol 37, 47-55 (2015).
Rooks, M. G. & Garrett, W. S. Nat Rev Immunol 16, 341-352 (2016).
Iwatani, S. et al. J Gastroenterol Hepatol 35, 1355-1364 (2020).
Kimani, S. G. et al. Front Immunol 5, 566 (2014).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、炎症性腸疾患の新たな検査方法を提供すること、炎症性腸疾患の予防または治
療用の物質や微生物のスクリーニング方法を提供すること、および炎症性腸疾患の予防用
または治療用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解決すべく研究を行った結果、リゾホスファチジルセリンがあ
る種の腸内微生物によって生成されること、及び腸内微生物によって生成されたリゾホス
ファチジルセリンが、疾患の増悪に直接関与していることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下の態様を含有する。
1.被検体より得られた試料中のリゾホスファチジルセリン生成に関与する腸内微生物数
を測定する工程を含む、炎症性腸疾患を検査する方法。
2.前記腸内微生物がホスホリパーゼAを発現する腸内微生物である、前項1に記載の方
法。
3.前記腸内微生物が大腸菌である、前項1または2に記載の方法。
4.前記腸内微生物数を測定する工程が該腸内微生物由来遺伝子の量を測定する工程であ
る、前項1~3のいずれか1に記載の方法。
5.前記腸内微生物由来遺伝子が、ホスホリパーゼAをコードする遺伝子である、前項4
に記載の方法。
6.前記ホスホリパーゼAをコードする遺伝子が、ECSF_3660である前項5に記
載の方法。
7.前記腸内微生物数と対照試料中の腸内微生物数が比較される工程をさらに含む、前項
1~6のいずれか1に記載の方法。
8.前記対照試料が、健康な被検体から得られた試料または同一被検体から得られた試料
である、前項7に記載の方法。
9.被検体より得られた試料中のリゾホスファチジルセリンの濃度を測定する工程を含む
、炎症性腸疾患を検査する方法。
10.被検体より得られた試料中のホスホリパーゼAの活性を測定する工程を含む、炎症
性腸疾患を検査する方法。
11.前記試料が糞便サンプルである、前項1~10のいずれか1に記載の方法。
12.リゾホスファチジルセリン生成に関与する腸内微生物数を測定する工程を含む、炎
症性腸疾患の予防用または治療用の物質または微生物のスクリーニング方法。
13.ホスホリパーゼAの活性を測定する工程を含む、炎症性腸疾患の予防用または治療
用の物質のスクリーニング方法。
14.リゾホスファチジルセリン生成に関与する腸内微生物を除去または減少させる物質
または微生物を含有する炎症性腸疾患の予防用または治療用組成物。
15.ホスホリパーゼAの活性を抑制する物質を含有する炎症性腸疾患の予防用または治
療用組成物。
16.リゾホスファチジルセリン生成に関与する腸内微生物を除去または減少させる物質
または微生物を投与することを含む炎症性腸疾患の予防または治療方法。
17.腸内微生物由来ホスホリパーゼAの活性を抑制する物質を投与することを含む炎症
性腸疾患の予防または治療方法。
18.炎症性腸疾患の予防用または治療用組成物の調製のためのリゾホスファチジルセリ
ン生成に関与する腸内微生物を除去または減少させる物質または微生物の使用。
19.炎症性腸疾患の予防用または治療用組成物の調製のための腸内微生物由来ホスホリ
パーゼAの活性を抑制する物質の使用。
【発明の効果】
【0009】
本発明の方法は、炎症性腸疾患に関わる腸内微生物の異常を検査できる。本発明の方法は
、炎症性腸疾患の診断のための検査、炎症性腸疾患発症前の発症高リスク者の判定のため
の検査、炎症性腸疾患患者の経過観察のための検査等、炎症性腸疾患に関わる検査全てに
使用できる。本発明の方法は、炎症性腸疾患患者または高リスク者の病状の変化を先んじ
て捉えることができる。また、本発明の方法は、簡便で患者に負担の少ない検査方法であ
る。
【0010】
本発明のスクリーニング方法は、炎症性腸疾患の原因となるリゾホスファチジルセリン、
それを生成するホスホリパーゼA、またはリゾホスファチジルセリン生成に関与する腸内
微生物を除去または減少させる物質または微生物をスクリーニングすることを可能にし、
炎症性腸疾患の治療薬、予防薬、および、治療もしくは予防用食品を提供することを可能
にする。
(【0011】以降は省略されています)

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