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公開番号2024091816
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-05
出願番号2024067461,2022058975
出願日2024-04-18,2017-04-05
発明の名称電解質のための添加剤
出願人ハイドロ-ケベック,株式会社村田製作所
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類H01M 10/0567 20100101AFI20240628BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】電解質のための添加剤を提供すること。
【解決手段】少なくとも1種の有機触媒を含む添加剤の、電池用の電解質における使用が提供される。また、電池においてアノードと残留水との間の接触を防止し、そして/または電池内の気体のレベルを低減する方法も提供される。さらに、少なくとも1種の有機触媒を含む添加剤を含む、電池用の電解質が提供される。その上、少なくとも1種の有機触媒を含む添加剤を含む電解質を含む電池が提供される。本発明の電解質は、アノードが反応性基を含む電池で使用することができる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
電池のサイクル


発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に、電解質のための添加剤に関する。より具体的には、本発明は、カーボネートを含む電解質における添加剤としての有機触媒の使用に関する。本発明の電解質は、アノードが反応性基を含む電池で使用することができる。有機触媒は反応性基とカーボネートとの間の反応を促進し、これによりアノードの表面上に保護層が形成され、そうして電池内のアノードと残留水との間の接触が防止され、また電解質内のカーボネートの分解も防止される。本発明の電解質を使用する電池はより安定で安全である。
続きを表示(約 6,600 文字)【背景技術】
【0002】
発明の背景
水は電池電極の残留汚染物質である。例えば、アノードがリチウムチタン酸化物(LTO)である電池のサイクル中、水は、LTOと接触して、水素と酸素を生成する。通例、かかる電池において、カソードはMがFe、Co、Ni、Mn等であるLiMPO

をベースとしており、電解質は溶媒としての直鎖状カーボネートおよび環状カーボネートとLiPF

、LiFSI、LiTFSI、LiBOB、LiBF

またはリチウムを含む任意の他の適切な市販の塩であってよい塩との混合物である。これは、アノードが水素チタン酸化物(HTO)、TiO

、Si、SiO

、Snおよび黒鉛のような材料を含む電池でも起こる。また、これはカソードが高エネルギーカソードである電池でも起こる。
【0003】
かかる電池、例えばアノードがLTOである電池のサイクル中、電解質(カーボネート)はアノードの存在下で残留水と反応してCO

、CO、H

、O

および炭化水素を形成することができる。これらの生成物は小袋気泡(pouch cell)の膨張を引き起こすこ
とが公知であり、安全上の問題となる可能性がある[1~3]。
【0004】
産業界でこの問題に対処する1つの方策はカソードおよびアノードから水を除くことからなる。活物質は一般に親水性であるため、電極は慎重に乾燥する必要がある。これには一般に大量のエネルギーを必要とし、したがってコストが上昇する[4]。
【0005】
別の方策は電極上の界面における保護コーティングの形成を可能にすることである。このコーティングは電解質と電極の活性表面との間の接触を防止することができる。例えば、添加剤を電解質内で使用し、添加剤の分解により膜を形成する[6]。また、セルを組み立てる前に活物質上に直接シェルを形成してLTOのアノード上に保護層を作り出すことが行われている[7]。
電池内でアノードが残留水と接触するのを防止する方法が未だに必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
Belharouak, I.; Amine, K.; Koenig, G.; Tan, T.; Yumoto, H.; Ota, N. In Gassing and performance degradation in Li4Ti5O12 based Li-ion batteries, 29th International Battery Seminar and Exhibit 2012: Primary and Secondary Batteries - Other Technologies, 2012; pp 874-887.
Wu, K.; Yang, J.; Liu, Y.; Zhang, Y.; Wang, C.; Xu, J.; Ning, F.; Wang, D., Investigation on gas generation of Li4Ti5O12/LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2 cells at elevated temperature. Journal of Power Sources 2013, 237(0), 285-290.
Wu, K.; Yang, J.; Zhang, Y.; Wang, C.; Wang, D., Investigation on Li4Ti5O12 batteries developed for hybrid electric vehicle. J. Appl. Electrochem. 2012, 42 (12), 989-995.
Han, L.; Wang, S. W.; Xiao, F., The analysis and research on the coating and drying method of electrode of the Li-ion power battery. In Advanced Materials Research, 2013; Vol. 765-767, pp 3184-3187.
Bouayad, H.; Wang, Z.; Dupre, N.; Dedryvere, R.; Foix, D.; Franger, S.; Martin, J. F.; Boutafa, L.; Patoux, S.; Gonbeau, D.; Guyomard, D., Improvement of Electrode/Electrolyte Interfaces in High-Voltage Spinel Lithium-Ion Batteries by Using Glutaric Anhydride as Electrolyte Additive. The Journal of Physical Chemistry C 2014, 118(9), 4634-4648.
Lu, Q.; Fang, J.; Yang, J.; Feng, X.; Wang, J.; Nuli, Y., A polyimide ion-conductive protection layer to suppress side reactions on Li4Ti5O12 electrodes at elevated temperature. RSC Advances 2014, 4(20), 10280-10283.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明者らは、カーボネートを含む電解質での添加剤としての有機触媒の使用を発見した。本発明の電解質は、アノードが反応性基を含む電池で使用することができる。有機触媒は反応性基とカーボネートとの間の反応を促進し、これによりアノードの表面上に保護層が形成され、したがって電池内のアノードと残留水との間の接触が防止され、また電解質内のカーボネートの分解も防止される。本発明の電解質を使用する電池はより安定で安全である。
【0008】
したがって、本発明は、その態様に従って以下を提供する。
(1)少なくとも1種の有機触媒を含む添加剤の、電池用の電解質における使用。
(2)少なくとも1種の有機触媒を含む添加剤の、少なくとも1種のカーボネートを含む電解質における使用。
(3)少なくとも1種の有機触媒を含む添加剤の、前記アノードが反応性基を含み、前記電解質が少なくとも1種のカーボネートを含む電池における使用。
(4)少なくとも1種の有機触媒を含む添加剤の、前記アノードがリチウムチタン酸化物(LTO)、水素チタン酸化物(HTO)、TiO

、Si、SiO

、Sn、黒鉛およびこれらの組合せからなる群から選択される材料を含み、前記電解質が少なくとも1種のカーボネートを含む電池における使用。
(5)少なくとも1種の有機触媒を含む添加剤の、前記アノードがリチウムチタン酸化物(LTO)である材料を含み、前記電解質が少なくとも1種のカーボネートを含む電池における使用。
(6)電池において前記アノードと残留水との間の接触を防止し、そして/または電池内の気体のレベルを低減する方法であって、前記方法が、少なくとも1種の有機触媒を含む電解質を使用することを含む、方法。
(7)前記電解質が少なくとも1種のカーボネートを含む電池において前記アノードと残留水との間の接触を防止し、そして/または電池内の気体のレベルを低減する方法であって、前記方法が、前記電解質に少なくとも1種の有機触媒を添加することを含む、方法。(8)前記アノードが反応性基を含み、前記電解質が少なくとも1種のカーボネートを含む電池において前記アノードと残留水との間の接触を防止し、そして/または電池内の気体のレベルを低減する方法であって、前記方法が、前記電解質に少なくとも1種の有機触
媒を添加することを含む、方法。
(9)電池において前記アノードと残留水との間の接触を防止し、そして/または電池内の気体のレベルを低減し、そして/または前記電解質内のカーボネートの分解を防止する方法であって、前記アノードがリチウムチタン酸化物(LTO)、水素チタン酸化物(HTO)、TiO

、Si、SiO

、Sn、黒鉛およびこれらの組合せからなる群から選択される材料を含み、前記電解質が少なくとも1種のカーボネートを含み、前記方法が、前記電解質に少なくとも1種の有機触媒を添加することを含む、方法。
(10)電池において前記アノードと残留水との間の接触を防止し、そして/または電池内の気体のレベルを低減し、そして/または前記電解質内のカーボネートの分解を防止する方法であって、前記アノードがリチウムチタン酸化物(LTO)である材料を含み、前記電解質が少なくとも1種のカーボネートを含み、前記方法が、前記電解質に少なくとも1種の有機触媒を添加することを含む、方法。
(11)少なくとも1種の有機触媒を含む添加剤を含む、電池用の電解質。
(12)前記アノードがリチウムチタン酸化物(LTO)、水素チタン酸化物(HTO)、TiO

、Si、SiO

、Sn、黒鉛およびこれらの組合せからなる群から選択される材料を含む電池用の電解質であって、前記電解質が、少なくとも1種の有機触媒を含む添加剤を含む、電解質。
(13)前記アノードがリチウムチタン酸化物(LTO)である材料を含む電池用の電解質であって、前記電解質が、少なくとも1種の有機触媒を含む添加剤を含む、電解質。
(14)前記電解質が少なくとも1種の有機触媒を含む添加剤を含む、電池。
(15)前記電解質が少なくとも1種のカーボネートを含む電池であって、前記電解質が少なくとも1種の有機触媒を含む添加剤をさらに含む、電池。
(16)前記アノードが反応性基を含み、前記電解質が少なくとも1種のカーボネートを含む電池であって、前記電解質が少なくとも1種の有機触媒を含む添加剤をさらに含む、電池。
(17)前記アノードがリチウムチタン酸化物(LTO)、水素チタン酸化物(HTO)、TiO

、Si、SiO

、Sn、黒鉛およびこれらの組合せからなる群から選択される材料を含み、前記電解質が少なくとも1種のカーボネートを含む電池であって、前記電解質が少なくとも1種の有機触媒を含む添加剤をさらに含む、電池。
(18)前記アノードがリチウムチタン酸化物(LTO)である材料を含み、前記電解質が少なくとも1種のカーボネートを含む電池であって、前記電解質が少なくとも1種の有機触媒を含む添加剤をさらに含む、電池。
(19)前記有機触媒がアルカロイド化合物である、上記(1)~(5)のいずれか一つに記載の使用または上記(6)~(10)のいずれか一つに記載の方法または上記(11)~(13)のいずれか一つに記載の電解質または上記(14)~(18)のいずれか一つに記載の電池。
(20)前記有機触媒がアミジン化合物である、上記(1)~(5)のいずれか一つに記載の使用または上記(6)~(10)のいずれか一つに記載の方法または上記(11)~(13)のいずれか一つに記載の電解質または上記(14)~(18)のいずれか一つに記載の電池。
(21)前記有機触媒が1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)である、上記(1)~(5)のいずれか一つに記載の使用または上記(6)~(10)のいずれか一つに記載の方法または上記(11)~(13)のいずれか一つに記載の電解質または上記(14)~(18)のいずれか一つに記載の電池。
(22)前記反応性基がOH、SHまたはこれらの組合せである、上記(3)に記載の使用または上記(8)に記載の方法または上記(16)に記載の電池。
(23)前記カーボネートが飽和または不飽和の直鎖状、分岐状または環状カーボネートである、上記(1)~(5)のいずれか一つに記載の使用または上記(6)~(10)のいずれか一つに記載の方法または上記(11)~(13)のいずれか一つに記載の電解質または上記(14)~(18)のいずれか一つに記載の電池。
(24)前記カーボネートが下記一般式I
TIFF
2024091816000001.tif
36
56
を有し、式中、RはC

~C
12
直鎖状、分岐状または環状アルキル基であり、nは1~6の整数である、上記(1)~(5)のいずれか一つに記載の使用または上記(6)~(10)のいずれか一つに記載の方法または上記(11)~(13)のいずれか一つに記載の電解質または上記(14)~(18)のいずれか一つに記載の電池。
(25)前記カーボネートがプロピレンカーボネートである、上記(1)~(5)のいずれか一つに記載の使用または上記(6)~(10)のいずれか一つに記載の方法または上記(11)~(13)のいずれか一つに記載の電解質または上記(14)~(18)のいずれか一つに記載の電池。
(26)前記電解質がLiPF

、LiFSI、LiTFSI、LiBOB、LiBF

およびこれらの組合せからなる群から選択される塩をさらに含む、上記(1)~(5)のいずれか一つに記載の使用または上記(6)~(10)のいずれか一つに記載の方法または上記(11)~(13)のいずれか一つに記載の電解質または上記(14)~(18)のいずれか一つに記載の電池。
(27)前記カソードが、MがFe、Co、NiまたはMnであるLiMPO

をベースとしているか、または前記カソードが高エネルギーカソードである、上記(1)~(5)のいずれか一つに記載の使用または上記(6)~(10)のいずれか一つに記載の方法または上記(11)~(13)のいずれか一つに記載の電解質または上記(14)~(18)のいずれか一つに記載の電池。
(28)前記電解質内の有機触媒の量が約0.5%またはそれ未満である、上記(1)~(5)のいずれか一つに記載の使用または上記(6)~(10)のいずれか一つに記載の方法または上記(11)~(13)のいずれか一つに記載の電解質または上記(14)~(18)のいずれか一つに記載の電池。
【0009】
本発明の他の目的、利点および特徴は、添付の図面を参照しながら、単なる例として与えられている、その特定の実施形態に関する以下の非制限的な記載を読むことでより明白となる。
【0010】
添付の図面は、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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