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公開番号2024090957
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-04
出願番号2022207177
出願日2022-12-23
発明の名称黒鉛材料及び黒鉛材料の製造方法
出願人東海カーボン株式会社
代理人弁理士法人あしたば国際特許事務所
主分類C01B 32/205 20170101AFI20240627BHJP(無機化学)
要約【課題】黒鉛シート(黒鉛膜)からなる中空黒鉛ナノ粒子を含む黒鉛材料であって、高い導電性を有する黒鉛材料及びその製造方法を提供することを提供すること。
【解決手段】複数の黒鉛膜の積層体からなり、厚み2.0~6.8nmである外殻層と、該外殻層の内側に形成されている中空部と、を有する中空黒鉛ナノ粒子を含み、X線回折スペクトルにおいて、炭素の(10)面に由来するピークの半値幅が3.2°以下であり、炭素の(002)面に由来するピークの半値幅が1.3~4.9°であること、を特徴とする黒鉛材料。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
複数の黒鉛膜の積層体からなり、厚み2.0~6.8nmである外殻層と、該外殻層の内側に形成されている中空部と、を有する中空黒鉛ナノ粒子を含み、
X線回折スペクトルにおいて、炭素の(10)面に由来するピークの半値幅が3.2°以下であり、炭素の(002)面に由来するピークの半値幅が1.3~4.9°であること、
を特徴とする黒鉛材料。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記中空黒鉛ナノ粒子の前記外殻層が6~20層の前記黒鉛膜からなることを特徴とする請求項1記載の黒鉛材料。
【請求項3】
透過型電子顕微鏡観察において、前記中空黒鉛ナノ粒子の円形度が0.60~0.92であり、前記中空部の最大内径が15~200nmであること特徴とする請求項1記載の黒鉛材料。
【請求項4】
透過型電子顕微鏡観察において、前記中空黒鉛ナノ粒子の前記外殻層の厚みに対する前記中空黒鉛ナノ粒子の前記中空部の最大内径の比(最大内径/外殻層の厚み)が6~30であること特徴とする請求項3記載の黒鉛材料。
【請求項5】
透過型電子顕微鏡観察において、前記中空黒鉛ナノ粒子の最大外径が19~210nmであること特徴とする請求項4記載の黒鉛材料。
【請求項6】
透過型電子顕微鏡観察において、前記中空黒鉛ナノ粒子の最大外径が42nm以上であり、前記中空黒鉛ナノ粒子の最小外径に対する最大外径の比(最大外径/最小外径)が3.0以上であること特徴とする請求項1記載の黒鉛材料。
【請求項7】
透過型電子顕微鏡観察において、前記中空黒鉛ナノ粒子の前記外殻層の厚みに対する前記中空黒鉛ナノ粒子の外殻層を形成する黒鉛膜の積層方向に見たときの中空部の内径の比(中空部の内径/外殻層の厚み)が6~45であること特徴とする請求項6記載の黒鉛材料。
【請求項8】
タングステン酸化物粉末を窒素含有有機物と共に加熱することにより、炭素被覆炭化タングステンナノ粒子を含む被覆処理物を得る炭化物合成工程と、
該炭素被覆炭化タングステンナノ粒子を含む被覆処理物中の炭化タングステンを溶解させることにより、中空炭素ナノ粒子を含む炭素材料を得る炭化タングステン溶解工程と、
該中空炭素ナノ粒子を含む炭素材料を1000℃以上で加熱することにより、中空黒鉛ナノ粒子を含む黒鉛材料を得る熱処理工程と、
を有することを特徴とする黒鉛材料の製造方法。
【請求項9】
前記タングステン酸化物粉末が、透過型電子顕微鏡観察におけるアスペクト比が3.0以上であり、最長外径が0.1~10μmであるタングステン酸粉末であること特徴とする請求項8記載の黒鉛材料の製造方法。
【請求項10】
前記炭化タングステン溶解工程において溶解させた炭化タングステンを乾燥及び酸化させることにより、タングステン酸化物粉末を得る再生工程を有し、
該再生工程を行い得られるタングステン酸化物粉末を、前記炭化物合成工程で用いることを特徴とする請求項8記載の黒鉛材料の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、黒鉛材料、特に導電助剤として用いられる黒鉛材料およびその製造方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
近年、スマートグリッド社会の実現や電気自動車の高効率化が希求され、電池に対してもさらなる特性改善が求められている。そうした要求に対応すべく、高エネルギー密度で小型・軽量化が可能なリチウムイオン電池を始め、従来より様々なタイプの電池が検討され、実用化されてきた。それら電池のさらなる特性改善のために、各種電池における活物質や導電助剤等について、様々な検討がなされている。
【0003】
電池材料の一つとして、従来より炭素材料が活用されてきた。炭素は導電性が高く、耐薬品性に優れ、副反応も生じないため、一次電池、二次電池(蓄電池)、燃料電池等の化学電池では特に多用されており、活物質、導電助剤(導電補助材)、吸着剤等の様々な役目を果たしている。中でもグラフェンは、熱伝導度、電気伝導度、機械的(引っ張り)強度に優れており、エレクトロニクス、エネルギー材料など様々な分野で期待されている炭素材料である。
【0004】
グラフェンを含む多孔質炭素材料の製造方法として、鋳型粒子の表面に炭素を被覆させた後、鋳型粒子を除去し、炭素材料を高温で焼成することによる製造方法が知られている。例えば、特許文献1では、鋳型としてアルミナナノ粒子を用いて、CVD法により鋳型粒子の表面に炭素を被覆させた後、鋳型を除去することによって、数層のグラフェンシートを基本骨格とした多孔質炭素材料が得られることが開示されている。このような多孔質炭素材料は柔軟性を有していることから、導電助剤などに適用した場合、充放電に伴う電極の膨張収縮をナノオーダーで吸収することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2015-164889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、グラフェンの導電性を向上させる上では個々のグラフェンシート間の電子移動抵抗を抑制する必要があるため、グラフェンシートの面積は大きいことが好ましい。特許文献1に記載のような多孔質炭素材料においては、グラフェンシートの面積を広げるためには鋳型を大きくしなければならないが、鋳型を大きくすると、引用文献1に記載のものでは強度が保てなくなり、構造が潰れ易くなるという課題があった。
【0007】
そのため、引用文献1には、個々の炭素材料の粒径が大きくできないため、導電助剤に用いたときに、導電パスを形成する粒子数が増えてしまい、その結果、接触抵抗が大きくなってしまい、導電性が低くなってしまうという問題があった。
【0008】
また、特許文献1に記載の多孔質炭素材料の製造方法においては、鋳型除去の際に、フッ酸による処理又はアルカリでのオートクレーブ処理が必要である。とりわけ、フッ酸は、極めて強い腐食性を有することから、従来方法により工業的な製造の実施を実現するのは困難である。更に、鋳型に適したアルミナナノ粒子は高価であり、除去後の再利用も困難であることから、コスト面においても不利である。
【0009】
そこで、本発明は、黒鉛シート(黒鉛膜)からなる中空黒鉛ナノ粒子を含む黒鉛材料であって、高い導電性を有する黒鉛材料及びその製造方法を提供することにある。また、本発明は、該黒鉛材料を安価に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、(A)タングステン酸化物を出発物質として窒素源による還元によって窒化タングステンへと還元した後、炭素源による炭化タングステンを合成することにより、生成する炭化タングステンナノ粒子の周りには、タングステンの触媒能に由来する結晶性の高い黒鉛膜の積層体からなる層が形成され、炭素被覆炭化タングステンナノ粒子が得られ、更に、これを過酸化水素水などに浸漬すると炭化タングステンが溶解し、中空構造を有する中空炭素ナノ粒子が形成されること、(B)この中空炭素ナノ粒子を1000℃以上の温度で熱処理することによって、複数の黒鉛膜の積層体からなる外殻層と、該外殻層の内側に形成されている中空部と、を有する中空黒鉛ナノ粒子であって、導電性を高くすることができる構成を有する中空黒鉛ナノ粒子が得られることを見出した。
(【0011】以降は省略されています)

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