TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024089942
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-04
出願番号2022205497
出願日2022-12-22
発明の名称固体酸化物形燃料電池
出願人大阪瓦斯株式会社
代理人個人
主分類H01M 8/04746 20160101AFI20240627BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】気化器が高温に上昇するのを抑えて突沸現象が生じるのを防止することができる固体酸化物形燃料電池を提供すること。
【解決手段】改質水を供給する改質水供給手段14と、燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段22と、改質水を気化する気化器2と、燃料ガスを水蒸気改質する改質器4と、改質ガスと空気との燃料電池反応により発電を行うセルスタック6とを備えた固体酸化物形燃料電池。気化器2内に冷却ガスを噴出するための冷却ガス噴出手段48が設けられ、また気化器に関連して温度を検知するための温度検知手段が設けられ、冷却ガス噴出手段48から噴出される冷却ガスの噴出量は、温度検知手段の検知温度に基づいて制御される。温度検知手段は、気化器2の底壁における、改質水が滴下する滴下領域乃至その近傍に配設され、冷却ガス噴射手段48は、滴下領域に向けて冷却ガスを噴出する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
改質水を供給する改質水供給手段と、燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、改質水を水蒸気に気化する気化器と、前記燃料ガス供給手段からの燃料ガスを前記気化器からの水蒸気と反応させて水蒸気改質する改質器と、前記改質器からの改質ガスと空気との燃料電池反応により発電を行うセルスタックとを備えた固体酸化物形燃料電池であって、
前記気化器内に冷却ガスを噴出するための冷却ガス噴出手段が設けられているとともに、前記気化器に関連して温度を検知するための温度検知手段が設けられており、前記冷却ガス噴出手段から噴出される冷却ガスの噴出量は、前記温度検知手段の検知温度に基づいて制御されることを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記改質水供給手段は、改質水を供給する水供給ポンプと、前記水供給ポンプからの改質水を前記気化器に供給する水供給パイプとを含み、前記水供給パイプの先端部が前記気化器内に突出しており、前記温度検知手段は、前記気化器の底壁における、前記水供給パイプを通して改質水が滴下する滴下領域乃至その近傍に配設され、前記冷却ガス噴射手段は、前記気化器の前記滴下領域に向けて冷却ガスを噴出することを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項3】
前記冷却ガス噴出手段は、冷却ガスを前記気化器に供給する冷却ガス供給パイプを含み、前記冷却ガス供給パイプを通して前記気化器の前記滴下領域に向けて冷却ガスを噴出し、前記改質水供給手段により改質水が供給される改質水供給期間と、前記冷却ガス噴出手段により冷却ガスが供給される冷却ガス供給期間とは重なっていないことを特徴とする請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項4】
前記冷却ガス噴出手段の前記冷却ガス供給パイプには、冷却ガスの流量を調整するガス流量調整弁が配設され、更に、前記冷却ガス噴出手段及び前記ガス流量制御弁を制御するためのコントローラが設けられ、前記コントローラは、ガス流量増加信号を生成するガス流量増加信号生成手段及びガス流量減少信号を生成するガス流量減少信号生成手段を含んでおり、前記温度検知手段の検知温度が上限温度値よりも高くなると、前記ガス流量増加信号生成手段が前記ガス流量増加信号を生成し、前記ガス流量増加信号に基づいて、前記ガス流量調整弁が開方向に制御され、また前記温度検知手段の検知温度が下限温度値よりも低くなると、前記ガス流量減少信号生成手段が前記ガス流量減少信号を生成し、前記ガス流量減少信号に基づいて、前記ガス流量調整弁が閉方向に制御されることを特徴とする請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項5】
前記コントローラは、更に、ガス噴出継続信号を生成するガス噴出継続信号生成手段及びガス噴出停止信号を生成するガス噴出停止信号生成手段を含んでおり、前記温度検知手段の検知温度が最大上限温度値より高くなると、前記ガス噴出継続信号生成手段が前記ガス噴出継続信号を生成し、前記ガス噴出継続信号に基づいて、前記冷却ガス噴出手段が前記改質水供給期間において継続して冷却ガスを供給し、また前記温度検知手段の検知温度が最大下限温度値より低くなると、前記ガス噴出停止信号生成手段が前記ガス噴出停止信号を生成し、前記ガス噴出停止信号に基づいて、前記冷却ガス噴出手段が前記冷却ガス供給期間において冷却ガスの噴出を停止することを特徴とする請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池。
【請求項6】
前記冷却ガス噴出手段により供給される冷却ガスは、酸素を含まないガスであることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、改質水を気化させる気化器を備えた固体酸化物形燃料電池(以下、「SOFC」とも称する。)に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
固体酸化物形燃料電池(SOFC)として、例えば、燃料ガス(例えば、都市ガスなど)を水蒸気改質して改質ガスを生成し、この改質ガスをセルスタックの燃料極(アノード)側に供給し、また酸化剤としての空気をセルスタックの酸素極(カソード)側に供給し、このセルスタックでの燃料電池反応により発電を行うものが実用に供されている。この固体酸化物形燃料電池は、改質水を気化する気化器と、燃料ガスを水蒸気改質する改質器とを備え、改質水が気化器に供給され、気化器にて気化された水蒸気が改質器に送給される。また、燃料ガスは改質器(又は気化器)に供給され、この改質器にて水蒸気を利用して燃料ガスの水蒸気改質が行われる。
【0003】
このようなSOFCにおいては、改質器で炭化水素系の燃料ガス(例えば、メタン)に対し水蒸気を高温状況下で水蒸気改質させると、次のような反応により、燃料ガスが水素と一酸化炭素に変換される。
【0004】
CH
4
+ H
2
O → CO + 3H
2
・・・(1)
一方、燃料ガス(例えば、メタン)を水蒸気なしで加熱すると、次のような反応(ブードー反応)が進行して、炭素が析出する。
【0005】
CH
4
→ C + 2H
2
・・・(2)
また、ニッケルのような金属を触媒として、一酸化炭素から次のような反応により炭素が析出する。
【0006】
2CO → C + CO
2
・・・(3)
セルスタックの燃料極(アノード)上でこのような炭素析出が進行すると、セルスタックの発電性能の低下につながり、また改質器で炭素析出が進行すると、改質器の詰まりや改質触媒の汚れが生じる。
【0007】
このようなことから、この改質器において水蒸気改質が所要の通り起るようにするためには、水蒸気が安定的に供給される必要があり、そのためには、改質水が気化器に供給されて水蒸気が安定して生成され、そして、生成された水蒸気が所要の通りに改質器に送給されて燃料ガスと反応することが重要となる。
【0008】
そこで、気化器(蒸発器)にて安定して水蒸気を発生するようにしたSOFCが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このSOFCにおいては、燃料ガス及び気化器の下流側は温度が高くなるように、またその上流側は温度が過剰に高くならないようにし、気化器における温度勾配が下流側に向かって高くなるようになっている。このような気化器(蒸発器)では、改質水が気化器の上流側部に供給され、そして、供給された改質水は下流側にその高温部に向けて流れ、このように流すことにより、改質水が徐々に加熱されて水蒸気が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特許第6848104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このSOFCにおいては、次のような問題が生じるおそれがある。一般的に、水蒸気改質に用いられる水蒸気を生成するための改質水の量は微量であるのに対し、気化器(蒸発器)内は数百度程度の高温状態であり、それ故に、気化器に供給された改質水(液滴状に供給される)が気化器の接触面(蒸発面)に滴下したときに気化して過熱状態になって突沸が生じるおそれがある。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許