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公開番号2024088150
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-02
出願番号2022203186
出願日2022-12-20
発明の名称シンチレータ材
出願人株式会社小糸製作所
代理人弁理士法人プロウィン
主分類G21K 4/00 20060101AFI20240625BHJP(核物理;核工学)
要約【課題】クリストバライト構造中にヨウ化物蛍光体が取り込まれたナノコンポジット層の膜厚を増大させ、発光強度を高めて解像度を向上させることが可能なシンチレータ材を提供する。
【解決手段】放射線により励起されて可視光を発光するシンチレータ材(10)であって、石英ガラスからなり第1面に第1凹部(12a)が形成され、第1面と反対側の第2面に第2凹部(12b)が形成された基板11と、第1凹部(12a)内および第2凹部(12b)内に、クリストバライト構造中にヨウ化物蛍光体が取り込まれたナノコンポジット層(13a,13b)を備えることを特徴とするシンチレータ材(10)。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
放射線により励起されて可視光を発光するシンチレータ材であって、
石英ガラスからなり、第1面に第1凹部が形成され、前記第1面と反対側の第2面に第2凹部が形成された基板と、
前記第1凹部内および前記第2凹部内に、クリストバライト構造中にヨウ化物蛍光体が取り込まれたナノコンポジット層を備えることを特徴とするシンチレータ材。
続きを表示(約 630 文字)【請求項2】
請求項1に記載のシンチレータ材であって、
前記第1凹部と前記第2凹部は、平面視において少なくとも一部が重なる重畳領域を有することを特徴とするシンチレータ材。
【請求項3】
請求項2に記載のシンチレータ材であって、
前記重畳領域には、前記第1凹部と前記第2凹部の間に前記石英ガラスからなる中間層が設けられていることを特徴とするシンチレータ材。
【請求項4】
請求項3に記載のシンチレータ材であって、
前記中間層は、厚さが0.5mm以上1.5mm以下の範囲であることを特徴とするシンチレータ材。
【請求項5】
請求項1に記載のシンチレータ材であって、
前記第1凹部および前記第2凹部は、深さが0.5mm以上2.5mm以下の範囲であることを特徴とするシンチレータ材。
【請求項6】
請求項1に記載のシンチレータ材であって、
前記基板は、厚さが2mm以上6mm以下の範囲であることを特徴とするシンチレータ材。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一つに記載のシンチレータ材であって、
前記ヨウ化物蛍光体は、M
ii


:Eu
2+
(M
ii
:Ca
2+
,Sr
2+
)であることを特徴とするシンチレータ材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、シンチレータ材に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
従来から放射線検出装置には、放射線によって励起され可視光を発光するシンチレータ材として、NaI:TlやCsI:Tlなどのヨウ化物が用いられていた。ヨウ化物系のシンチレータ材は、空気中の水分を取り込んで水和する潮解性を有しており、気密性の高い容器に封入して用いる必要がある。そこで従来の放射線検出装置では、ヨウ化物系のシンチレータ材と光検出部をアルミニウム製の缶である容器に封緘して、光取り出し口にガラス製の窓部材を接着し、容器内に配置した光検出部で可視光を検出していた。
【0003】
しかし、外気中の水蒸気が微量ずつ容器と窓部材の接着部分から容器内に侵入するため、ヨウ化物系シンチレータが水和することによって劣化し、長期間にわたって使用するためには放射線検出装置の管理とメンテナンスを適切に行う必要があった。また、容器内への水分の侵入を抑制するためには、気密性の高い封止をする必要があり、製造工程において工数が増加し作業性が低下するという問題があった。
【0004】
これらの問題を解決するために、クリストバライト構造にヨウ化物蛍光体材料であるSrI

:Eu
2+
を取り込ませて、ナノコンポジット化したシンチレータ材を用いることで耐湿性を向上させることが提案されている(特許文献1-3等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2019-074358号公報
国際公開第2021/145260号
特開2022-140222号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のシンチレーション材では、石英ガラスからなる基板の凹部にヨウ化物蛍光体材料の原料を充填し、凹部内で原料を融解して融解物が石英ガラスを結晶化させながら浸透することで、凹部底面にナノコンポジット層(発光層)が形成される。しかしながら、ヨウ化物蛍光体の融解と浸透により形成される発光層の厚さは、200μm以下程度が限界であった。そのため、放射線をナノコンポジット層で十分に吸収できず、所望の発光強度が得られないという課題があった。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、クリストバライト構造中にヨウ化物蛍光体が取り込まれたナノコンポジット層の膜厚を増大させ、発光強度を高めて解像度を向上させることが可能なシンチレータ材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のシンチレータ材は、放射線により励起されて可視光を発光するシンチレータ材であって、石英ガラスからなり、第1面に第1凹部が形成され、前記第1面と反対側の第2面に第2凹部が形成された基板と、前記第1凹部内および前記第2凹部内に、クリストバライト構造中にヨウ化物蛍光体が取り込まれたナノコンポジット層を備えることを特徴とする。
【0009】
このような本発明のシンチレータ材では、第1凹部と第2凹部のそれぞれにナノコンポジット層を備えているため、基板全体でのナノコンポジット層の膜厚を増大させ、発光強度を高めて解像度を向上させることが可能となる。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記第1凹部と前記第2凹部は、平面視において少なくとも一部が重なる重畳領域を有する。
(【0011】以降は省略されています)

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