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公開番号2024087631
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-01
出願番号2022202562
出願日2022-12-19
発明の名称通信システム、受信機、等化信号処理回路、方法、及びプログラム
出願人日本電気株式会社
代理人個人
主分類H04B 10/61 20130101AFI20240624BHJP(電気通信技術)
要約【課題】計算量を削減しつつ、周波数領域フィルタの係数を適応的に制御することを可能にする。
【解決手段】周波数領域変換部23は、第1の所定倍数のオーバーサンプリングの入力信号を周波数領域の信号に変換する。レート変換部25は、周波数領域フィルタ24で係数が乗算された信号を、第2の所定倍数のオーバーサンプリングの信号に変換する。時間領域変換部26は、第2の所定倍数のオーバーサンプリングの信号に変換された信号を時間領域の信号に変換する。勾配算出部27は、時間領域の信号に変換された第2の所定倍数のオーバーサンプリングの信号と、第2の所定倍数のオーバーサンプリングで定まる所定値との差の大きさを損失関数として、誤差逆伝播法を用いて損失関数のフィルタ係数についての勾配を計算する。係数更新部28は、損失関数のフィルタ係数についての勾配に基づいて、周波数領域フィルタ24の係数を更新する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
第1の所定倍数のオーバーサンプリングの入力信号を周波数領域の信号に変換する周波数領域変換部と、
前記周波数領域に変換された入力信号に対し、周波数ごとに係数を乗算する周波数領域フィルタと、
前記周波数領域フィルタで係数が乗算された信号を、第2の所定倍数のオーバーサンプリングの信号に変換するレート変換部と、
前記レート変換部で前記第2の所定倍数のオーバーサンプリングの信号に変換された信号を時間領域の信号に変換する時間領域変換部と、
前記時間領域の信号に変換された前記第2の所定倍数のオーバーサンプリングの信号と、前記第2の所定倍数のオーバーサンプリングで定まる所定値との差の大きさを損失関数として、誤差逆伝播法を用いて前記損失関数の前記係数についての勾配を計算する勾配算出部と、
前記損失関数の前記係数についての勾配に基づいて、前記周波数領域フィルタの係数を更新する係数更新部とを備える等化信号処理回路。
続きを表示(約 2,500 文字)【請求項2】
前記第2の所定倍数は1倍である、請求項1に記載の等化信号処理回路。
【請求項3】
前記第1の所定倍数のオーバーサンプリングの入力信号は、M及びLを1<M/L≦2を満たす整数として、M/L倍オーバーサンプリングの信号である、請求項1又は2に記載の等化信号処理回路。
【請求項4】
前記入力信号は、伝送路を介して伝送された信号を受信機がコヒーレント受信した信号である、請求項1又は2に記載の等化信号処理回路。
【請求項5】
前記周波数領域フィルタは、multi-input multi-output(MIMO)フィルタである、請求項1又は2に記載の等化信号処理回路。
【請求項6】
ブロック間に一定のオーバーラップを設けつつ、前記入力信号をシリアル信号からブロック信号に変換し、該変換したブロック信号を前記周波数領域変換部に入力するブロック変換部と、
前記時間領域変換部で時間領域の信号に変換された信号に含まれる周期性の仮定に影響されない領域を残し、前記時間領域の信号に変換された信号に含まれる周期性の仮定に影響されうる領域を除きつつ、前記時間領域変換部で時間領域の信号に変換されたブロック信号をシリアル信号に変換するシリアル変換部とを更に有する、請求項1又は2に記載の等化信号処理回路。
【請求項7】
伝送路を介して送信機から送信された信号をコヒーレント受信する検波器と、
前記コヒーレント受信された、第1の所定倍数のオーバーサンプリングの入力信号に対して等化信号処理を実施する等化信号処理回路とを備え、
前記等化信号処理回路は、
前記入力信号を周波数領域の信号に変換する周波数領域変換部と、
前記周波数領域に変換された入力信号に対し、周波数ごとに係数を乗算する周波数領域フィルタと、
前記周波数領域フィルタで係数が乗算された信号を、第2の所定倍数のオーバーサンプリングの信号に変換するレート変換部と、
前記レート変換部で前記第2の所定倍数のオーバーサンプリングの信号に変換された信号を時間領域の信号に変換する時間領域変換部と、
前記時間領域の信号に変換された前記第2の所定倍数のオーバーサンプリングの信号と、前記第2の所定倍数のオーバーサンプリングで定まる所定値との差の大きさを損失関数として、誤差逆伝播法を用いて前記損失関数の前記係数についての勾配を計算する勾配算出部と、
前記損失関数の前記係数についての勾配に基づいて、前記周波数領域フィルタの係数を更新する係数更新部とを有する、受信機。
【請求項8】
伝送路を介して信号を送信する送信機と、
前記送信された信号を受信する受信機とを備え、
前記受信機は、
前記送信機から送信された信号をコヒーレント受信する検波器と、
前記コヒーレント受信された、第1の所定倍数のオーバーサンプリングの入力信号に対して等化信号処理を実施する等化信号処理回路とを有し、
前記等化信号処理回路は、
前記入力信号を周波数領域の信号に変換する周波数領域変換部と、
前記周波数領域に変換された入力信号に対し、周波数ごとに係数を乗算する周波数領域フィルタと、
前記周波数領域フィルタで係数が乗算された信号を、第2の所定倍数のオーバーサンプリングの信号に変換するレート変換部と、
前記レート変換部で前記第2の所定倍数のオーバーサンプリングの信号に変換された信号を時間領域の信号に変換する時間領域変換部と、
前記時間領域の信号に変換された前記第2の所定倍数のオーバーサンプリングの信号と、前記第2の所定倍数のオーバーサンプリングで定まる所定値との差の大きさを損失関数として、誤差逆伝播法を用いて前記損失関数の前記係数についての勾配を計算する勾配算出部と、
前記損失関数の前記係数についての勾配に基づいて、前記周波数領域フィルタの係数を更新する係数更新部とを有する、通信システム。
【請求項9】
第1の所定倍数のオーバーサンプリングの入力信号を周波数領域の信号に変換し、
周波数領域フィルタにおいて、前記周波数領域に変換された入力信号に対し、周波数ごとに係数を乗算し、
前記周波数領域フィルタで係数が乗算された信号を、第2の所定倍数のオーバーサンプリングの信号に変換し、
前記第2の所定倍数のオーバーサンプリングの信号に変換された信号を時間領域の信号に変換し、
前記時間領域の信号に変換された前記第2の所定倍数のオーバーサンプリングの信号と、前記第2の所定倍数のオーバーサンプリングで定まる所定値との差の大きさを損失関数として、誤差逆伝播法を用いて前記損失関数の前記係数についての勾配を計算し、
前記損失関数の前記係数についての勾配に基づいて、前記周波数領域フィルタの係数を更新することを有する等化信号処理方法。
【請求項10】
第1の所定倍数のオーバーサンプリングの入力信号を周波数領域の信号に変換し、
周波数領域フィルタにおいて、前記周波数領域に変換された入力信号に対し、周波数ごとに係数を乗算し、
前記周波数領域フィルタで係数が乗算された信号を、第2の所定倍数のオーバーサンプリングの信号に変換し、
前記第2の所定倍数のオーバーサンプリングの信号に変換された信号を時間領域の信号に変換し、
前記時間領域の信号に変換された前記第2の所定倍数のオーバーサンプリングの信号と、前記第2の所定倍数のオーバーサンプリングで定まる所定値との差の大きさを損失関数として、誤差逆伝播法を用いて前記損失関数の前記係数についての勾配を計算し、
前記損失関数の前記係数についての勾配に基づいて、前記周波数領域フィルタの係数を更新することを含む処理をプロセッサに実行させるためのプログラム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、通信システム、受信機、等化信号処理回路、方法、及びプログラムに関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
光ファイバ通信において、コヒーレント受信とデジタル信号処理とを組み合わせた、いわゆるデジタルコヒーレント技術が導入されて以来、デジタル信号処理による柔軟な受信側等化信号処理が可能となった。受信側等化信号処理では、例えば、光ファイバ伝送路で蓄積される波長分散が、受信側の装置において一括して補償される。
【0003】
光ファイバ通信では、一般的に高速かつ大容量の信号が扱われる。このため、光ファイバ通信を扱うデジタル信号処理にも、高いスループットが求められる。したがって、デジタル信号処理が必要とする計算量の大きさが、しばしば問題となる。適応等化フィルタは、伝送路の状態に応じて、その応答が適応的に制御される。適応等化フィルタは、光ファイバ通信における受信側等化信号処理の重要な要素の1つであり、この適応等化フィルタについても、計算量の効率化が求められている。
【0004】
適応等化フィルタが、時間広がりが大きい効果を補償する場合、時間広がりが大きい応答を表現可能な大きなフィルタが適応等化フィルタに使用され、適応等化フィルタにおいて、補償に必要な計算量は増大する。時間広がりが大きい効果の補償を効率的に行うための方法の1つとして、周波数領域フィルタの採用が考えられている。周波数領域では、時間領域での入力信号へのフィルタ応答の畳み込み演算を、単なる乗算として扱うことができる。また、時間領域信号の周波数領域への変換は、fast Fourier transform(FFT)によって効率的に行うことができる。このため、応答の時間広がりが大きい場合、周波数領域フィルタは、時間領域フィルタに比べて、必要な計算量が低減される。
【0005】
関連技術として、非特許文献1は、周波数領域フィルタの応答が適応的に制御される適応周波数領域フィルタを開示する。図9は、非特許文献1に記載される適応周波数領域フィルタの例を示す。この適応周波数領域フィルタは、線形の適応フィルタである。通常、Nyquist基準の関係から、線形の適応フィルタは、1シンボル当たり2つのサンプルの信号、つまり2倍オーバーサンプリングの入力信号に対して動作する。
【0006】
図9に示される適応周波数領域フィルタ600において、ブロック変換部601は、2倍オーバーサンプリングの時間領域入力信号を、周波数領域への変換のため、ある一定の長さのブロックの信号に変換する。すなわち、ブロック変換部601は、時間領域入力信号に対して、シリアル/ブロック変換を実施する。周波数領域への変換の際、ブロック化された信号の周期性が仮定される。しかし、光通信で扱われる信号に対しては、一般には、信号の周期性の仮定は成り立たない。このため、オーバーラップセーブ法が用いられる。すなわち、入力信号のシリアル/ブロック変換の際に、ブロック間に一定の、例えば50%のオーバーラップが設けられる。
【0007】
FFT602は、ブロック化された入力信号を、周波数領域の信号に変換する。周波数領域フィルタ603は、周波数ごとに、入力信号にフィルタ係数を乗算する。inverse FFT(IFFT)604は、周波数領域フィルタ603の出力信号を、周波数領域の信号から時間領域の信号に変換する。シリアル変換部605は、IFFT604で時間領域の信号に変換された、ブロック化された信号を、シリアル信号に変換する。すなわち、シリアル変換部605は、IFFT604の出力信号に対して、ブロック/シリアル変換を実施する。シリアル変換部605は、シリアル信号への変換では、IFFT604の出力信号のうち、上記周期性の仮定に影響されない領域のみを残し、他の領域は取り除く。周波数領域フィルタ603の係数は、周波数領域フィルタ603の入力信号と、シリアル変換部605の出力信号とを用いて、適応的に制御される。
【0008】
ここで、ブロック変換部601でブロック化された入力信号ベクトルをxとする。xの長さは4Nであるとする。xは、2倍オーバーサンプリングの信号であり、シンボル間隔をTとして、下記式1で表される。
TIFF
2024087631000002.tif
12
150
入力信号ベクトルxを周波数領域へ変換した信号ベクトルをXとすると、周波数領域の入力信号ベクトルXは、下記式2で表される。
TIFF
2024087631000003.tif
9
150
k,n=0,1,...,4N-1として、下記式3及び4が成立する。
TIFF
2024087631000004.tif
18
150
TIFF
2024087631000005.tif
16
150
上記式3及び4において、F

=2R

/(4N)、R

=1/Tである。
【0009】
周波数領域フィルタ603のフィルタ係数ベクトルをHとして、周波数領域フィルタ603の出力ベクトルをY

とする。周波数領域でのフィルタ係数の演算は、下記式5に示されるように、フィルタ係数ベクトルHと入力信号ベクトルXとHadamard積として表される。
TIFF
2024087631000006.tif
11
144
周波数領域フィルタ603の出力信号ベクトルY

を、IFFT604によって時間領域へ変換した信号ベクトルを、y

とする。時間領域の出力信号ベクトルy

は、下記式6に示されるように、周期性の仮定に影響されない領域yと、周期性の仮定に影響され得る領域y

とを含む。
TIFF
2024087631000007.tif
17
142
【0010】
シリアル変換部605は、上記式6で表される出力信号ベクトルy

から周期性の仮定に影響され得る領域y

を取り除き、領域yのみを残して、ブロック/シリアル変換を実施する。50%のオーバーラップを想定した場合、y及びy

のそれぞれの長さは2Nとなる。シリアル変換部605は、上記した処理をオーバーラップされたブロックごとに繰り返し実施する。シリアル変換部605でシリアル変換された信号yを順に接続したものが、適応周波数領域フィルタ600から出力される時間領域信号となる。
(【0011】以降は省略されています)

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