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公開番号2024086266
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-27
出願番号2022201307
出願日2022-12-16
発明の名称処理順序作成システム、スケジュール最適化システム並びに方法
出願人株式会社日立製作所
代理人ポレール弁理士法人
主分類G06N 10/20 20220101AFI20240620BHJP(計算;計数)
要約【課題】利用者がコスト関数のペナルティ係数値の設定を意識せず、かつ現実的な計算時間内で解を導く処理順序計算方法と、その方法を用いたシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】製造プロセスにおける処理順序を作成する処理順序作成システムであって、製造プロセスの上位システムおよび下位システムから取得したデータを用いて、初期状態生成用ハミルトニアン、コストハミルトニアン、ミキシングハミルトニアンを含むハミルトニアンを生成するハミルトニアン生成手段と、これらのハミルトニアンをもとに論理ゲートデータを生成する論理ゲートデータ生成手段と、論理ゲートデータを用いて作成された量子ゲート部と、量子ゲート部が計算した期待値のパラメータを最適化する期待値用パラメータ最適化手段と、最適化された期待値のパラメータをもとに最適な処理順序を決定する処理順序決定手段と、を備えることを特徴とする処理順序作成システム。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
製造プロセスにおける処理順序を作成する処理順序作成システムであって、
製造プロセスの上位システムおよび下位システムから取得したデータを用いて、初期状態生成用ハミルトニアン、コストハミルトニアン、ミキシングハミルトニアンを含むハミルトニアンを生成するハミルトニアン生成手段と、これらのハミルトニアンをもとに論理ゲートデータを生成する論理ゲートデータ生成手段と、前記論理ゲートデータを用いて作成された量子ゲート部と、前記量子ゲート部が計算した期待値のパラメータを最適化する期待値用パラメータ最適化手段と、最適化された期待値のパラメータをもとに最適な処理順序を決定する処理順序決定手段と、を備えることを特徴とする処理順序作成システム。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
請求項1に記載の処理順序作成システムであって、
少なくとも前記量子ゲート部は、量子コンピュータにより形成されていることを特徴とする処理順序作成システム。
【請求項3】
請求項1に記載の処理順序作成システムであって、
前記ハミルトニアン生成手段と、前記論理ゲートデータ生成手段を含む処理順序計算用データ作成手段が、通信手段を介して、前記量子ゲート部の処理を行う量子コンピュータと、期待値用パラメータ最適化手段と前記処理順序決定手段の処理を行う古典PCに接続されていることを特徴とする処理順序作成システム。
【請求項4】
請求項1に記載の処理順序作成システムであって、
前記ハミルトニアン生成手段と前記論理ゲートデータ生成手段を含む処理順序計算用データ作成手段と、前記期待値用パラメータ最適化手段と前記処理順序決定手段が、通信手段を介して、前記量子ゲート部の処理を行う量子コンピュータに接続されていることを特徴とする処理順序作成システム。
【請求項5】
請求項1に記載の処理順序作成システムであって、
前記ハミルトニアン生成手段は、Feasibel Stateの数と、そのインデクスを初期状態生成用パラメータとして用いて初期状態用ハミルトニアンを生成することを特徴とする処理順序作成システム。
【請求項6】
請求項5に記載の処理順序作成システムであって、
前記論理ゲートデータ生成手段は、前記初期状態生成用パラメータと、前記ハミルトニアン生成手段で生成された初期状態用ハミルトニアンの指数関数から生成される初期状態生成ゲート用の論理ゲートデータを生成することを特徴とする処理順序作成システム。
【請求項7】
請求項5に記載の処理順序作成システムであって、
前記論理ゲートデータ生成手段は、前記ハミルトニアン生成手段で生成されたミキシングハミルトニアンの指数関数から作成されるミキシングゲート用の論理ゲートデータを生成することを特徴とする処理順序作成システム。
【請求項8】
製造プロセスにおける処理順序を定め、製造プロセスを制御するスケジュール最適化システムであって、
製造プロセスに指令を与える上位システムと、製造プロセスを制御する下位システムと、製造プロセスにおける処理順序を作成する処理順序作成システムとを備え、
前記処理順序作成システムは、前記上位システムと、前記下位システムから取得したデータを用いて、初期状態生成用ハミルトニアン、コストハミルトニアン、ミキシングハミルトニアンを含むハミルトニアンを生成するハミルトニアン生成手段と、これらのハミルトニアンをもとに論理ゲートデータを生成する論理ゲートデータ生成手段と、前記論理ゲートデータを用いて作成された量子ゲート部と、前記量子ゲート部が計算した期待値のパラメータを最適化する期待値用パラメータ最適化手段と、最適化された期待値のパラメータをもとに最適な処理順序を決定する処理順序決定手段と、を備えることを特徴とするスケジュール最適化システム。
【請求項9】
請求項8に記載のスケジュール最適化システムであって、
前記処理順序作成システムは、前記上位システムおよび前記下位システムから取得したデータをもとに対象材情報や対象材数に関するデータテーブルを自動生成する処理材リスト生成手段を備え、前記ハミルトニアン生成手段にデータ提供することを特徴とするスケジュール最適化システム。
【請求項10】
製造プロセスにおける処理順序を作成する処理順序作成方法であって、
製造プロセスの上位システムおよび下位システムから取得したデータを用いて、初期状態生成用ハミルトニアン、コストハミルトニアン、ミキシングハミルトニアンを含むハミルトニアンを生成し、これらのハミルトニアンをもとに論理ゲートデータを生成し、前記論理ゲートデータを用いて量子ゲート部を作成し、前記量子ゲート部が計算した期待値のパラメータを最適化し、最適化された期待値のパラメータをもとに最適な処理順序を決定することを特徴とする処理順序作成方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば連続処理ラインにおける圧延材の処理順序計算に適用可能な処理順序作成システム、スケジュール最適化システム並びに方法に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
これまで、鉄鋼産業をはじめとした様々な分野で、複数の対象材の処理順序を最適化する方法の検討や、それらを実装した順序作成システムの提案がなされてきた。処理順序の最適化は、その効果として納期短縮やコスト削減が見込まれる。処理順序の計算は、組合せ最適化問題として扱われるが、対象材数が増えると、実用的な計算時間で解けなくなる(組合せ爆発)ことが知られている。
【0003】
近年、中規模の量子ゲート方式、量子アニーリング方式などの量子計算技術の向上により、これら技術を適用することで組合せ爆発に対応する動きが盛んに行われている。例えば、以下に示す特許文献1は、鉄鋼業界関連の順序計算方法に量子計算技術を適用したものである。学術的にも、量子計算における組合せ問題関連の技術革新が進み、非特許文献1は、計算中の探索空間の制限方法に関して記載している。なお、非特許文献2は、本発明の説明のために引用するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第6954245号
【非特許文献】
【0005】
Stuart Hadfieldら,arXiv:1709.03489.
Awad H.Al-Mohyら、SIAM J.Matrix Anal.Appl.31(3):970-989,DOI:10.1137/09074721X
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
量子計算技術の組合せ最適化問題への適応が進む一方で、実際の産業分野への応用には、課題がいくつか残ったままとなっている。その一つとしてよく知られているのが、ペナルティ係数値の決定方法である。例えば、組合せ最適化問題の定式化として、TSP(Traveling Salesman Problem : 巡回セールスマン問題)を選んだ場合、このコスト関数Hは、下記(1)式のようになる。この(1)式中のα

とα

がペナルティ係数値である。
【0007】
TIFF
2024086266000002.tif
21
170
【0008】
ここで、nが対象材数、tが処理の順番、l
ij
は、先行する対象材iと後行する対象材jの関係を重み付けした係数であり、x
ij
は、t番目の先行材iを処理する場合は‘1’をとり、処理しない場合は‘0’をとる変数である。
【0009】
図11に巡回セールスマン問題TSPを量子計算に適用した場合のn=3における状態を書き下したものを示す。ここでは対象材はi,j=0,1,2の3つであり、処理順序もt=0,1,2の3つであるとする。この場合、探索領域は、2
(3×3)
=512パターンとなる。
【0010】
図11の「NO.」には、探索領域の512通りのパターンについて付した一貫番号を示している。また図10の「順序表記」には、対象材の取り扱い順序として、順序化不可能(「-」で表記)、2-1-0の取り扱い順序(85)、1-2-0の取り扱い順序(99)、2-0-1の取り扱い順序(141)、0-2-1の取り扱い順序(162)、1-0-2の取り扱い順序(267)、0-1-2の取り扱い順序(274)を示している。
(【0011】以降は省略されています)

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