TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024085842
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-27
出願番号2022200604
出願日2022-12-15
発明の名称木質パネルの接合部構造
出願人株式会社安藤・間
代理人個人,個人,個人
主分類E04B 1/58 20060101AFI20240620BHJP(建築物)
要約【課題】木質パネルの設計施工において、水平力に対する合理的な設計でき、接合、設置時における施工精度を要しない接合部構造を提供する。
【解決手段】少なくとも一面が鉛直側面20Vとなる切欠部20がパネル下面の隅角部の二面を切欠いて形成され、梁3上に起立して支持される木質パネル2と、切欠部20内に収容可能な寸法で、切欠部20に対応する位置の梁3上に固定され、切欠部20の鉛直側面20Vに密接可能な側面を有する角形鋼管11と、切欠部水平面20Hから先端が突出し、他端が木質パネル2内に定着され、角形鋼管11を鉛直側面20Vに密接保持する固定ボルト30とを備え、鉛直側面20Vと鋼管側面とを密接させて切欠部20内に収容された角形鋼管11を介して木質パネル2に作用する水平せん断力を梁3に伝達させるようにした。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
少なくとも一面が鉛直側面となる切欠部がパネル下面の隅角部の二面を切欠いて形成され、梁部材上に起立して支持される木質パネルと、
前記切欠部内に収容可能な寸法で、前記切欠部に対応する位置の前記梁部材上に固定され、前記切欠部の鉛直側面に密接可能な側面を有する接合金物と、
前記切欠部下面から先端が突出し、他端が前記木質パネルの一部に定着され、前記接合金物を前記切欠部の鉛直側面に密接可能に保持可能な固定ボルトと、
を備え、
前記鉛直側面と前記側面とを密接させて前記切欠部内に収容された前記接合金物を介して前記木質パネルに作用する水平せん断力を前記梁部材に伝達させたことを特徴とする木質パネルの接合部構造。
続きを表示(約 830 文字)【請求項2】
パネル下面の三面を切欠いて切欠部が形成され、梁部材上に起立して支持される木質パネルと、
前記切欠部内に、周囲に隙間を設けて収容可能な寸法で、前記切欠部に対応する位置の前記梁部材上に固定された接合金物と、
前記切欠部下面から先端が突出し、他端が前記木質パネルの一部に定着され、前記接合金物を前記切欠部内に保持可能な固定ボルトと、
を備え、
前記切欠部内に収容された前記接合金物の周囲の隙間が充填固化材で満たされ、固化した前記充填固化材と前記接合金物とを介して前記木質パネルに作用する水平せん断力を前記梁部材に伝達させたことを特徴とする木質パネルの接合部構造。
【請求項3】
前記接合金物は、角形鋼管を前記木質パネルのパネル厚の長さに切断加工した角筒形状体である請求項1または請求項2に記載の木質パネルの接合部構造。
【請求項4】
前記固定ボルトは、前記他端にガセット板を有し、前記ガセット板が前記木質パネル内に挿入保持されて定着された請求項1または請求項2に記載の木質パネルの接合部構造。
【請求項5】
前記固定ボルトは、前記他端にネジ部が形成され、前記ネジ部が前記木質パネルに形成された開口空間内に突出してナット定着された請求項1または請求項2に記載の木質パネルの接合部構造。
【請求項6】
前記木質パネルの鉛直側面に密着可能な押圧プレートが前記接合金物の側面に付加された請求項1に記載の木質パネルの接合部構造。
【請求項7】
前記梁部材の上面に施工されたコンクリートスラブ上に起立支持された前記木質パネルの前記切欠部の相当位置に前記接合金物を配置させた請求項1または請求項2に記載の木質パネルの接合部構造。
【請求項8】
前記接合金物は、前記梁部材上に多段に重ねて使用された請求項7に記載の木質パネルの接合部構造。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、大型の木質パネルと梁、または上下に配置した木質パネル相互の接合のために用いられる木質パネルの接合部構造に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
近年、ひき板(ラミナ)を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した厚みのある大型の木質系板材であるCLT(Cross Laminated Timber)や、単板積層材LVL(Laminated Venner Lumber)などの各種の大型の積層板材(以後、総称して木質パネルと記す。)を壁部材として用いた中層、高層建築物の建設が行われている。
【0003】
従来、これらの木質パネルと梁部材との接合部では、地震力等による作用曲げモーメントに対しては、木質パネルと梁とをつなぐ鋼棒の引張抵抗と木質パネルの圧縮抵抗で、作用せん断力に対しては、別途設置する鋼板とダボピンにより抵抗させる構造が多く採用されていた。
【0004】
また、高耐力接合部の構造として、鋼管スリーブに接続用ボルトを挿入後、鋼管スリーブ内にグラウトを充填する木製部材の接続構造も提案されている(特許文献1)。特許文献1には、接続構造の試験体として、鋼管スリーブに引張抵抗と併せて水平力伝達機構を付与する目的で、鋼管スリーブ内部と鋼管スリーブの外周部分の空間部分にもグラウトが充填されている。
【0005】
さらに、木質パネル内に挿入されたせん断パネル鋼板を複数本のダボピンで固定する接合構造等も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2021-195743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された接続構造では、構造上グラウト充填が必須であり、充填手間とともに充填管理が必要となる。また、鋼管スリーブ内に挿入する鋼棒と鋼管スリーブとは充填されたグラウトを介して接合されるため、鋼管スリーブ内部には付着力を確保するための突起等を設ける必要がある。そのため、鋼管スリーブの製作は複雑な加工を要する。また、鋼管スリーブの外形が円筒形であるため、スリーブ外周面でせん断力を負担させるためには鋼管スリーブを収容する空間内にもグラウト等を充填する必要がある。さらに、円筒形の鋼管スリーブの外周面からグラウトを介して木質パネルに支圧力を作用させると、支圧力によってグラウトと木質パネルとの間に割裂が生じるおそれがある。加えて、継手とシアキーの両機能を有する接合形式におけるせん断伝達の評価方法は明示されていない。
【0008】
また、せん断抵抗パネルとしての鋼板をダボピンで木質パネル内に固定する接合構造では、ダボピンを挿入する木質パネルと鋼板との貫通する取付孔に高い施工精度が求められる。
【0009】
そこで、本発明の目的は上述した従来の技術が有する問題点を解消し、作用水平力に対する合理的設計が可能で、木質パネルの接合、設置時の施工精度を必要とせず、完成した接合部構造において、水平せん断抵抗を十分確保できるようにした木質パネルの接合部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明の木質パネルの接合部構造は、少なくとも一面が鉛直側面となる切欠部がパネル下面の隅角部の二面を切欠いて形成され、梁部材上に起立して支持される木質パネルと、前記切欠部内に収容可能な寸法で、前記切欠部に対応する位置の前記梁部材上に固定され、前記切欠部の鉛直側面に密接可能な側面を有する接合金物と、前記切欠部下面から先端が突出し、他端が前記木質パネルの一部に定着され、前記接合金物を前記切欠部の鉛直側面に密接可能に保持可能な固定ボルトとを備え、前記鉛直側面と前記側面とを密接させて前記切欠部内に収容された前記接合金物を介して前記木質パネルに作用する水平せん断力を前記梁部材に伝達させたことを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許