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公開番号2024082981
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-20
出願番号2022197231
出願日2022-12-09
発明の名称ダイヤモンド成長方法及びダイヤモンド成長装置
出願人信越半導体株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C23C 16/27 20060101AFI20240613BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約【課題】
高次モードのマイクロ波を用いたプラズマCVDであっても、高品質で大口径のダイヤモンドを成長可能なダイヤモンドの成長方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
マイクロ波プラズマCVDで基板上にダイヤモンドを成長させる成長工程を含むダイヤモンド成長方法であって、前記成長工程において、ダイヤモンドを成長中のマイクロ波を高次モードにし、かつ高次モードでダイヤモンドを成長中に前記基板を加熱することで、前記基板の温度を制御することを特徴とするダイヤモンド成長方法。
【選択図】図4
特許請求の範囲【請求項1】
マイクロ波プラズマCVDで基板上にダイヤモンドを成長させる成長工程を含むダイヤモンド成長方法であって、
前記成長工程において、
ダイヤモンドを成長中のマイクロ波を高次モードにし、かつ高次モードでダイヤモンドを成長中に前記基板を加熱することで、前記基板の温度を制御することを特徴とするダイヤモンド成長方法。
続きを表示(約 680 文字)【請求項2】
前記成長工程において、
前記基板内の位置に応じて個別に該位置における前記基板の温度を制御することを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド成長方法。
【請求項3】
前記成長工程後に、
前記基板上に成長したダイヤモンド上に、さらにホットフィラメントCVD装置を用いてダイヤモンドを成長させる追加成長工程を行うことを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド成長方法。
【請求項4】
前記基板としてシリコン単結晶基板を用いることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のダイヤモンド成長方法。
【請求項5】
基板が収納され、ダイヤモンドの原料ガスが導入される反応容器と、前記反応容器に接続されマイクロ波を前記反応容器に導入する導波管を備え、前記導波管から導入されたマイクロ波により前記反応容器内でプラズマを生成させ、生成したプラズマで原料ガスが分解・活性化してCVDで前記基板上にダイヤモンドが成長するダイヤモンド成長装置であって、
ダイヤモンドを成長中のマイクロ波を高次モードにするモード設定機構と、
高次モードでダイヤモンドを成長中に前記基板を加熱することで前記基板の温度を制御する加熱制御機構と、
を備えることを特徴とするダイヤモンド成長装置。
【請求項6】
前記加熱制御機構は、
前記基板内の位置に応じて個別に該位置における前記基板の温度を制御可能な機構であることを特徴とする請求項5に記載のダイヤモンド成長装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤモンド成長方法及びダイヤモンド成長装置に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
ダイヤモンドは高硬度や良好な熱伝導性、高いキャリア移動度、ワイドバンドギャップであることなどの優れた物性値から、各種半導体素子・電子デバイスへの応用が期待されている。この半導体素子・電子デバイス用途としては、人工的に合成されたダイヤモンドが使われている。ダイヤモンド合成には、超高圧を用いて成長させる方法と、気相成長の2つがあり、半導体への応用では、気相成長(CVD成長)が、大口径を得られることから、注目されている(特許文献1~3)。
【0003】
CVD成長は、反応管の内部に基板を搭載し、常圧ないしは減圧下で原料ガス及びキャリアガスを流して、熱分解やプラズマによって原料ガスを分解・活性化して、基板上に成長する方法である。
CVDでダイヤモンドを成長させる場合、マイクロ波プラズマや、DCプラズマ、タングステンのようなフィラメントを用いるホットフィラメント法が採用されるが、単結晶成長においてはマイクロ波プラズマ方式が注目されている。このマイクロ波プラズマを利用したダイヤモンドの成長はマイクロ波にて反応化学種を活性化し、合成をおこなう手法であるが、マイクロ波は波長が短く、また、反応容器内で共振させる必要があることから、様々な工夫が行われている。また、大口径には915MHzが好適である(特許文献4)が、民生での通信信号帯がこの波長であり、また電波の到達距離が長いことから915MHzのマイクロ波プラズマCVDの工業的な応用にはハードルがあり、主に2.45GHz帯が使用されている。
【0004】
これらを背景にして、例えば特許文献5には、ミラーを用いてマイクロ波を共振させる方法(ただし得られるダイヤモンドは多結晶)や、マイクロ波導入管の組み合わせによるモードの改善が開示されている。また、特許文献6には、アプリケータ(共振器)の形状を矩形から円筒形にすることで、比較的大面積に成膜できることが記載されている。また、マイクロ波を低次モード(低次モードとは、TMnmモード、TEnmモード等において、n又はmが0か1の場合)にすることで 面内に均一な成膜が可能であるとされている。また、高次モードの例としては、TM20に言及されており、比較的大きな基板を加工できると記載されているが、このような高次モードでは局所的にマイクロ波が強くなりプラズマが強い箇所ができてしまい、基板の温度ムラが生じることで品質が劣化することが指摘されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2001-354491号公報
特開2004-176132号公報
特開2006-143561号公報
特開2016-113303号公報
特表2006-501122号公報
特開平07-142195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、ダイヤモンド基板は放熱特性などの点から注目されており、単結晶基板に対応した成長方法はマイクロ波プラズマ成長であるが、大口径化が可能とされる高次モードのマイクロ波を用いたプラズマCVDでは基板の温度ムラで品質が劣化する問題がある。そのため、大口径化が難しい低次モードのプラズマを使用するしかなく、プラズマを照射できる面積の制約から直径300mmのような大口径化が不可能であった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、高次モードのマイクロ波を用いたプラズマCVDであっても、高品質で大口径のダイヤモンドを成長可能なダイヤモンドの成長方法及びダイヤモンドの成長装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するための半導体基板上への人工的なダイヤモンド成長に関しての技術であり、より詳しくは、シリコン基板上へCVD(化学気相成長法)による単結晶ダイヤモンドを成長させる際の、ダイヤモンド成長方法とダイヤモンド成長装置に関するものである。
すなわち、本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、マイクロ波プラズマCVDで基板上にダイヤモンドを成長させる成長工程を含むダイヤモンド成長方法であって、前記成長工程において、ダイヤモンドを成長中のマイクロ波を高次モードにし、かつ高次モードでダイヤモンドを成長中に前記基板を加熱することで、前記基板の温度を制御することを特徴とするダイヤモンド成長方法を提供する。
この構成では、課題であるマイクロ波プラズマCVDによる大口径基板へのダイヤモンド成長に対応できる成長方法として、基板上にダイヤモンドを成長させる際に、マイクロ波プラズマとして、積極的に高次モードを採用することでプラズマを照射できる面積を増やして大口径化を可能とし、さらにプラズマの局所的な集中を緩和(1か所のプラズマ密度を低下)させる、また基板を加熱して温度ムラを吸収することで高品質なダイヤモンドを成長可能とする。
さらに、この構成では、プラズマ密度の高い箇所で縦方向(バーティカル)にダイヤモンドを成長させ、プラズマ密度の低い位置での成長は横方向(ラテラル)の成長が進行することで、欠陥の減少にも寄与することができる。
よって、高品質で大口径のダイヤモンドを成長可能である。
【0009】
前記成長工程において、前記基板内の位置に応じて個別に該位置における前記基板の温度を制御してもよい。
このように基板内の位置に応じて個別に温度を制御するため、基板内で温度が低い部分は、その部分の加熱温度を上昇させたり、基板内で温度が高い部分は加熱温度を下げたりすることで、より温度ムラを吸収して基板内の温度を均一にできる。そのため、基板の温度をより精密に制御でき、より高品質なダイヤモンドを成長させられる。
【0010】
前記成長工程後に、前記基板上に成長したダイヤモンド上に、さらにホットフィラメントCVD装置を用いてダイヤモンドを成長させる追加成長工程を行ってもよい。
これによりマイクロ波プラズマCVDで基板上に成長させたダイヤモンド上に、大口径成長が可能なホットフィラメントCVD装置を使用して、さらにダイヤモンドの成長を行うことで、さらに厚いダイヤモンドを大口径基板に成長させることが可能になる。
(【0011】以降は省略されています)

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