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公開番号2024079634
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-11
出願番号2023201241
出願日2023-11-29
発明の名称徐溶性農業用薬剤用被覆材組成物及び徐溶性農業用薬剤
出願人三洋化成工業株式会社
代理人
主分類C05G 5/30 20200101AFI20240604BHJP(肥料;肥料の製造)
要約【課題】被覆層の生分解性と薬剤の徐溶性のコントロールを高いレベルで両立し、かつ優れた耐衝撃性、固着防止性及び流動性を有する徐溶性農業用薬剤を与えることができる徐溶性農業用薬剤用被覆材組成物を提供すること。
【解決手段】
エステル基含有熱可塑性樹脂(A)と添加剤(B)とを含有する徐溶性肥料用被覆材組成物であり、(B)がエステル基、ウレタン基及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する分散剤(B1)とカルボキシル基を有する生分解性調整剤(B2)とを含有し、(B)における(B1)と(B2)の合計重量に対する(B2)の含有量[(B2)/{(B1)+(B2)}]が0.05~98重量%であり、(B)が更に徐溶性調整剤(B3)を含有し、(B)における(B1)と(B2)の合計重量と(B3)との重量比[{(B1)+(B2)}/(B3)]が2/98~80/20である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
エステル基含有熱可塑性樹脂(A)と添加剤(B)とを含有する徐溶性農業用薬剤用被覆材組成物であり、下記(1)~(8)のすべてを満たす徐溶性農業用薬剤用被覆材組成物:
(1)前記被覆材組成物中の前記(A)と前記(B)の重量比[(A)/(B)]が30/70~90/10である;
(2)前記(A)のガラス転移温度が-70℃を超え70℃未満である;
(3)前記(A)が、相対結晶化度が40%未満の樹脂、又は相対結晶化度が40%以上かつ結晶化温度が110℃以下の樹脂である;
(4)前記(A)の溶解性パラメータ(SP

)が9.1~11.5(cal/cm


1/2
である;
(5)前記(B)がエステル基、ウレタン基及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する分散剤(B1)とカルボキシル基を有する生分解性調整剤(B2)とを含有し、前記(B)における前記(B1)と(B2)の合計重量に対する(B2)の含有量[(B2)/{(B1)+(B2)}]が0.05~98重量%である;
(6)前記(B1)の溶解性パラメータ(SP
B1
)と前記(B2)の溶解性パラメータ(SP
B2
)の加重平均値(SP
B1B2
)が8.5~10.5(cal/cm


1/2
である;
(7)前記(B)が更に徐溶性調整剤(B3)を含有し、前記(B)における前記(B1)と(B2)の合計重量と前記(B3)との重量比[{(B1)+(B2)}/(B3)]が2/98~80/20である;
(8)前記(B3)が、クレイの層間陽イオンを有機オニウムイオンでイオン交換されてなる有機化クレイである。
続きを表示(約 370 文字)【請求項2】
前記(A)の溶解性パラメータ(SP

)と前記加重平均値(SP
B1B2
)の差[SP

-SP
B1B2
]が0~2.5(cal/cm


1/2
である請求項1に記載の徐溶性農業用薬剤用被覆材組成物。
【請求項3】
前記分散剤(B1)の融点が60~100℃である請求項1に記載の徐溶性農業用薬剤用被覆材組成物。
【請求項4】
1以上の被覆層で農業用薬剤(C)の表面の少なくとも一部が被覆されてなる徐溶性農業用薬剤であり、前記1以上の被覆層に、請求項1~3のいずれか1項に記載の徐溶性農業用薬剤用被覆材組成物からなる被覆層(L)が少なくとも1層含まれる徐溶性農業用薬剤。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は徐溶性農業用薬剤用被覆材組成物及び徐溶性農業用薬剤に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
医薬品、農業、食品添加物、化粧品、衛生用品等の分野において、有効成分を徐放する徐溶性薬剤は省力化や効果の持続性の観点から非常に有用であり、幅広く使用されている。その中で、徐溶性農業用薬剤(徐溶性を有する肥料、農薬及び害生物防除剤等)としては、農業用薬剤にコーティングを施すことにより徐溶性をもたせたものが多く提案・使用されている。徐溶性農業用薬剤に使用されるコーティング剤としては、薬剤の徐溶性のコントロールと機械的強度を両立すべく熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂とタルク等の無機フィラーとを含有するものが提案されてきた。さらに近年、有効成分が放出された後の被膜殻が河川や海洋等に流出してプラスチックゴミになることが問題視され、環境保護の観点から、コーティング剤(被膜、あるいは被覆層ともいう)への生分解性付与が求められるようになっている。
【0003】
徐溶性農業用薬剤の被覆層に生分解性を付与する方法としては、ポリオレフィン樹脂に光分解性を有する金属錯体を添加する方法(特許文献1)、ポリオレフィン樹脂に炭素-炭素二重結合を少なくとも1個有する自動酸化性化合物と糖重合体等の生分解性粉体とを添加する方法(特許文献2)等が提案されている。しかしながら、これらの方法では被覆層の崩壊は促進されるものの、ポリオレフィン樹脂自体が生分解するわけではなく環境中に残存し続けるという問題があった。
生分解性が高い徐溶性農業用薬剤の被覆層として、天然ゴムや生分解性ポリエステル等の生分解性材料を主成分とする被覆層も提案されているが(例えば特許文献3、4及び5)、生分解性材料を主成分とする被覆層では薬剤の徐溶性のコントロールが難しく、薬剤の溶出が速くなりすぎるという問題があり、得られる徐溶性農業用薬剤粒子の耐衝撃性についても十分とはいえなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開平5-201786号公報
特許第3309325号
特公平2-23517号公報
特開平7-33577号公報
特開2002-284594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願出願人は、従来技術における課題であった被覆層の生分解性と薬剤の徐溶性のコントロールを高いレベルで両立し、かつ優れた耐衝撃性を有する徐溶性農業用薬剤を与えることができる徐溶性農業用薬剤用被覆材組成物を検討したところ、これらの課題の解決を試みた場合に、徐溶性農業用薬剤の保管時等に固着が発生したり、流動性の低下によるハンドリング性(施薬性等)の悪化が起こることがあるという新たな課題を見出した。
よって、本発明の課題は、被覆層の生分解性と薬剤の徐溶性のコントロールを高いレベルで両立し、かつ優れた耐衝撃性、固着防止性及び流動性を有する徐溶性農業用薬剤を与えることができる徐溶性農業用薬剤用被覆材組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち本発明は、エステル基含有熱可塑性樹脂(A)と添加剤(B)とを含有する徐溶性農業用薬剤用被覆材組成物であり、下記(1)~(8)のすべてを満たす徐溶性農業用薬剤用被覆材組成物である。
(1)前記被覆材組成物中の前記(A)と前記(B)の重量比[(A)/(B)]が30/70~90/10である;
(2)前記(A)のガラス転移温度が-70℃を超え70℃未満である;
(3)前記(A)が、相対結晶化度が40%未満の樹脂、又は相対結晶化度が40%以上かつ結晶化温度が110℃以下の樹脂である;
(4)前記(A)の溶解性パラメータ(SP

)が9.1~11.5(cal/cm


1/2
である;
(5)前記(B)がエステル基、ウレタン基及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する分散剤(B1)とカルボキシル基を有する生分解性調整剤(B2)とを含有し、前記(B)における前記(B1)と(B2)の合計重量に対する(B2)の含有量[(B2)/{(B1)+(B2)}]が0.05~98重量%である;
(6)前記(B1)の溶解性パラメータ(SP
B1
)と前記(B2)の溶解性パラメータ(SP
B2
)の加重平均値(SP
B1B2
)が8.5~10.5(cal/cm


1/2
である;
(7)前記(B)が更に徐溶性調整剤(B3)を含有し、前記(B)における前記(B1)と(B2)の合計重量と前記(B3)との重量比[{(B1)+(B2)}/(B3)]が2/98~80/20である;
(8)前記(B3)が、クレイの層間陽イオンを有機オニウムイオンでイオン交換されてなる有機化クレイである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の徐溶性農業用薬剤用被覆材組成物は、被覆層の生分解性と薬剤の徐溶性のコントロールを高いレベルで両立し、かつ優れた耐衝撃性、固着防止性及び流動性を有する徐溶性農業用薬剤を与えることができるという効果を奏する。
なお、本発明において「薬剤の徐溶性のコントロールに優れる」とは、薬剤の溶出速度を所望の範囲に調整可能であることを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本願の徐溶性農業用薬剤用被覆材組成物は、エステル基含有熱可塑性樹脂(A)と添加剤(B)とを含有する徐溶性農業用薬剤用被覆材組成物であり、添加剤(B)がエステル基、ウレタン基及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する分散剤(B1)、カルボキシル基を有する生分解性調整剤(B2)及び徐溶性調整剤(B3)を含有し、かつ上記(1)~(8)をすべて満たす。エステル基含有熱可塑性樹脂(A)、添加剤(B)、分散剤(B1)、生分解性調整剤(B2)、徐溶性調整剤(B3)及び本発明の徐溶性農業用薬剤用被覆材組成物について順に説明する。
【0009】
<エステル基含有熱可塑性樹脂(A)>
エステル基含有熱可塑性樹脂(A)は、分子内に1つ以上のエステル基を有する熱可塑性樹脂であり、被覆層の生分解性の観点から、脂肪族ポリエステル樹脂(A1)及び脂肪族-芳香族ポリエステル樹脂(A2)が好適に使用できる。
なお、例示した(A1)及び(A2)のすべてが本発明におけるエステル基含有熱可塑性樹脂(A)として使用できるわけでなく、別途後述のガラス転移温度、相対結晶化度及び必要により結晶化温度、並びに溶解性パラメータ(SP

)の要件を満たす必要がある。ただし、(A)は1種単独で用いても2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、混合物として各要件を満たしていればよい。
【0010】
脂肪族ポリエステル樹脂(A1)としては、ポリヒドロキシアルカン酸(A11)、ロジンエステル樹脂(A12)及び脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸類の重縮合体(A13)等が挙げられる。
(【0011】以降は省略されています)

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