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公開番号2024078892
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-11
出願番号2022191489
出願日2022-11-30
発明の名称セラミックグリーンシート製造用剥離フィルム
出願人アールエム東セロ株式会社
代理人弁理士法人浅村特許事務所
主分類B28B 1/30 20060101AFI20240604BHJP(セメント,粘土,または石材の加工)
要約【課題】グリーンシートの剥離が容易であるとともに、グリーンシートの汚染およびカールが効果的に抑制された、セラミックグリーンシート製造用剥離フィルムを提供する。
【解決手段】基材と、前記基材の少なくとも一方に設けられた剥離剤層とを有するセラミックグリーンシート製造用剥離フィルムであって、前記剥離剤層が硬化性組成物の硬化物を含有し、該硬化性組成物が少なくとも1種の、(メタ)アクリロイル基、水酸基、及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の反応性官能基を有する反応性化合物(a)を含み、該反応性化合物(a)の少なくとも一部が1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する膜形成性化合物(a1)であり、かつ、該膜形成性化合物(a1)のアクリル基の平均当量が100g/mol以上300g/mol以下であり、且つ、全膜形成性化合物(a1)中の2官能の化合物の割合が40質量%以下であることを特徴とする、セラミックグリーンシート製造用剥離フィルム。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
基材と、前記基材の少なくとも一方に設けられた剥離剤層とを有するセラミックグリーンシート製造用剥離フィルムであって、
前記剥離剤層が硬化性組成物の硬化物を含有し、該硬化性組成物が少なくとも1種の、(メタ)アクリロイル基、水酸基、及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の反応性官能基を有する反応性化合物(a)を含み、該反応性化合物(a)の少なくとも一部が1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する膜形成性化合物(a1)であり、かつ、該膜形成性化合物(a1)のアクリル基の平均当量が100g/mol以上300g/mol以下であり、且つ、全膜形成性化合物(a1)中の2官能の化合物の割合が40質量%以下であることを特徴とする、セラミックグリーンシート製造用剥離フィルム。
続きを表示(約 780 文字)【請求項2】
前記硬化性組成物が、前記反応性化合物(a)として、(メタ)アクリロイル基、水酸基、及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の反応性官能基、並びにシロキサン骨格を有する反応性シリコーン(a2)少なくとも1種と、該反応性シリコーン(a2)と同じ反応性官能基を有し、且つ反応性官能基当量が1000g/mol以下である反応性化合物(a3)少なくとも1種とを更に含有する、請求項1に記載のセラミックグリーンシート製造用剥離フィルム。
【請求項3】
前記基材の前記剥離剤層側の表面の算術平均粗さ(Ra)が1から70nmである、請求項1又は2に記載のセラミックグリーンシート製造用剥離フィルム。
【請求項4】
積層セラミックコンデンサ、又は多層セラミック基板の製造に用いる、請求項1から3のいずれか一項に記載のセラミックグリーンシート製造用剥離フィルム。
【請求項5】
a)請求項1から3のいずれか一項に記載のセラミックグリーンシート製造用剥離フィルム上にセラミックスラリーを塗布する工程、
b)前記a)工程において塗布されたセラミックスラリーからセラミックグリーンシートを形成する工程、及び
c)前記b)工程において形成されたセラミックグリーンシートを前記セラミックグリーンシート製造用剥離フィルムから剥離する工程、
を有する、セラミックグリーンシートの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載のセラミックグリーンシートの製造方法によりセラミックグリーンシートを製造する工程を有する、セラミック製品の製造方法。
【請求項7】
前記セラミック製品が積層セラミックコンデンサ、又は多層セラミック基板である、請求項6に記載のセラミック製品の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックグリーンシート製造用剥離フィルムに関し、より具体的には、グリーンシートの剥離が容易であるとともに、グリーンシートの汚染及び剥離フィルムのブロッキングやカールが効果的に抑制され、積層セラミックコンデンサや多層セラミック基板等の製造にあたり高い位置精度を要するセラミック製品の製造に特に好適に用いられる、セラミックグリーンシート製造用剥離フィルムに関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
シート状のセラミック部材の製造においては、従来よりセラミックグリーンシート製造用剥離フィルムが用いられている。例えば、積層セラミックコンデンサや多層セラミック基板といった積層セラミック製品を製造するには、セラミックグリーンシート製造用剥離フィルム上にセラミックグリーンシートを成形し、得られたセラミックグリーンシートを複数枚積層して焼成することが行われている。
近年、電子機器の小型化および高性能化に伴い、積層セラミックコンデンサや多層セラミック基板の小型化および多層化が進んでいる。多層化実現のためセラミックグリーンシートは薄膜化が求められ、薄膜化したセラミックグリーンシートにおけるピンホールや厚みむら等の欠陥の発生を防止し、薄膜化したセラミックグリーンシートを剥離フィルムから剥離するときの破断を効果的に抑制する等の観点から、基材と特定の成分の剥離剤層とを有するセラミックグリーンシート製造用剥離フィルムであって、剥離剤層の基材とは反対側の面における算術平均粗さ(Ra)、及び最大突起高さ(Rp)がそれぞれ所定値以下であり、かつ、基材の剥離剤層とは反対側の面における算術平均粗さ(Ra)、及び最大突起高さ(Rp)がそれぞれ所定の数値範囲内である、セラミックグリーンシート製造用剥離フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
積層セラミックコンデンサや多層セラミック基板の小型化および多層化にあたっては、積層の際に非常に高い位置精度も求められるが、セラミックグリーンシート製造用剥離フィルムの剥離剤層からの汚染物質により位置ずれが発生し位置精度を低下させる場合があり、その解決が求められている。この様な汚染物質は、剥離剤層中に残存する未反応のシリコーン成分等であると推定されるが、単に剥離剤層の製造におけるシリコーン成分の使用量を低減すると、グリーンシートの剥離性が低下するため、グリーンシートへの汚染物質の移行の低減とグリーンシートの易剥離性とを両立することは困難であった。
また、剥離フィルムの取り扱い性等の観点からブロッキングやカールを防止することも求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
国際公開2013/145865 A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記技術背景に鑑み、本発明は、基材と剥離剤層とを有するセラミックグリーンシート製造用剥離フィルムであって、グリーンシートの剥離が容易であるとともに、グリーンシートの汚染およびカールが効果的に抑制された、セラミックグリーンシート製造用剥離フィルムを提供すること課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、基材と、前記基材の少なくとも一方に設けられた剥離剤層とを有するセラミックグリーンシート製造用剥離フィルムにおいて、前記剥離剤層を特定のアクリル当量を有する反応性化合物を含有する硬化性組成物の硬化物で構成することで、従来技術の限界を超えた高い水準で、グリーンシートへの汚染物質の移行の低減、剥離フィルムのブロッキング防止およびカールの抑制とグリーンシートの易剥離性とをバランスさせることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
[1]
基材と、前記基材の少なくとも一方に設けられた剥離剤層とを有するセラミックグリーンシート製造用剥離フィルムであって、
前記剥離剤層が硬化性組成物の硬化物を含有し、該硬化性組成物が少なくとも1種の、(メタ)アクリロイル基、水酸基、及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の反応性官能基を有する反応性化合物(a)を含み、該反応性化合物(a)の少なくとも一部が1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する膜形成性化合物(a1)であり、かつ、該膜形成性化合物(a1)のアクリル基の平均当量が100g/mol以上300g/mol以下であり、且つ、全膜形成性化合物(a1)中の2官能の化合物の割合が40質量%以下であることを特徴とする、セラミックグリーンシート製造用剥離フィルム、に関する。
【0007】
以下、[2]から[7]は、いずれも本発明の好ましい一態様又は一実施形態である。
[2]
前記硬化性組成物が、前記反応性化合物(a)として、(メタ)アクリロイル基、水酸基、及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の反応性官能基、並びにシロキサン骨格を有する反応性シリコーン(a2)少なくとも1種と、該反応性シリコーン(a2)と同じ反応性官能基を有し、且つ反応性官能基当量が1000g/mol以下である反応性化合物(a3)少なくとも1種とを更に含有する、[1]に記載のセラミックグリーンシート製造用剥離フィルム。
[3]
前記基材の前記剥離剤層側の表面の算術平均粗さ(Ra)が1から70nmである、[1]又は[2]に記載のセラミックグリーンシート製造用剥離フィルム。
[4]
積層セラミックコンデンサ、又は多層セラミック基板の製造に用いる、[1]から[3]のいずれか一項に記載のセラミックグリーンシート製造用剥離フィルム。
[5]
a)[1]から[3]のいずれか一項に記載のセラミックグリーンシート製造用剥離フィルム上にセラミックスラリーを塗布する工程、
b)前記a)工程において塗布されたセラミックスラリーからセラミックグリーンシートを形成する工程、及び
c)前記b)工程において形成されたセラミックグリーンシートを前記セラミックグリーンシート製造用剥離フィルムから剥離する工程、
を有する、セラミックグリーンシートの製造方法。
[6]
[5]に記載のセラミックグリーンシートの製造方法によりセラミックグリーンシートを製造する工程を有する、セラミック製品の製造方法。
[7]
前記セラミック製品が積層セラミックコンデンサ、又は多層セラミック基板である、[6]に記載のセラミック製品の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明のセラミックグリーンシート製造用剥離フィルムは、その上の形成したセラミックグリーンシートの剥離が容易であるとともに、セラミックグリーンシートの汚染や剥離フィルムのブロッキングおよびフィルムのカールを効果的に抑制することができる等、高い実用的価値を有する技術的効果を従来技術の限界を超えた高いレベルで同時に実現するものであり、各種セラミック製品の製造に好適に使用することができる。例えば、積層セラミックコンデンサや多層セラミック基板等の、薄膜化したセラミック層で構成され、製造にあたり高い位置精度を要するセラミック製品の製造においては、特に好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
セラミックグリーンシート製造用剥離フィルムの1実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、基材と、前記基材の少なくとも一方に設けられた剥離剤層とを有するセラミックグリーンシート製造用剥離フィルムであって、
前記剥離剤層が硬化性組成物の硬化物を含有し、該硬化性組成物が少なくとも1種の、(メタ)アクリロイル基、水酸基、及びエポキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の反応性官能基を有する反応性化合物(a)を含み、該反応性化合物(a)の少なくとも一部が1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する膜形成性化合物(a1)であり、かつ、該膜形成性化合物(a1)のアクリル基の平均当量が100g/mol以上300g/mol以下であり、且つ、全膜形成性化合物(a1)中の2官能の化合物の割合が40質量%以下であることを特徴とする、セラミックグリーンシート製造用剥離フィルム、である。
すなわち、本発明のセラミックグリーンシート製造用剥離フィルムは、基材と剥離剤層とを有する。本発明のセラミックグリーンシート製造用剥離フィルムは、基材と剥離剤層とを有していればよく、それ以外の層を有していても、有していなくともよい。したがって、本発明のセラミックグリーンシート製造用剥離フィルムは、基材及び剥離剤層のみからなっていてもよく、基材及び剥離剤層に加えて、帯電防止層、等のそれ以外の層を有していてもよい。
以下、上記各層について説明する。
(【0011】以降は省略されています)

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