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公開番号2024074497
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-31
出願番号2022185684
出願日2022-11-21
発明の名称ガスタービンの制御方法
出願人三菱重工業株式会社
代理人SSIP弁理士法人
主分類F02C 9/48 20060101AFI20240524BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約【課題】部分負荷運転状態において、排ガス中の未燃ガスの増加を抑制しつつ、タービン性能を向上する。
【解決手段】制御方法は、空気を圧縮する圧縮機と、圧縮空気と燃料とを混合して燃焼する燃焼器と、燃焼ガスにより回転動力を得るタービンと、圧縮機から抽気した圧縮空気を熱交換して冷却された第1冷却空気をタービンのロータ系の冷却系統に供給する空気冷却器と、を備えるガスタービンの制御方法に関する。本方法では、ガスタービンの運転状態が定格負荷運転状態から部分負荷運転状態に切り替わったと判定された場合に、空気冷却器の出口部における第1冷却空気の温度を、定格負荷運転状態に比べて上昇させる。
【選択図】図6
特許請求の範囲【請求項1】
空気を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機が圧縮した圧縮空気と燃料とを混合して燃焼する燃焼器と、
前記燃焼器が生成した燃焼ガスにより回転動力を得るタービンと、
前記圧縮機から抽気した圧縮空気を熱交換して冷却された第1冷却空気を前記タービンのロータ系の冷却系統に供給する空気冷却器と、
を備えるガスタービンの制御方法であって、
前記ガスタービンの運転状態が、定格負荷運転状態から部分負荷運転状態に切り替わったか否かを判定する運転状態判定工程と、
前記運転状態が前記定格負荷運転状態から前記部分負荷運転状態に切り替わったと判定された場合、前記空気冷却器の出口部における前記第1冷却空気の温度を、前記定格負荷運転状態に比べて上昇させる温度調整工程と、
を備える、制御方法。
続きを表示(約 910 文字)【請求項2】
前記温度調整工程では、前記第1冷却空気の温度変化量が3~15℃である、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記燃焼器は、前記燃料を噴射するための少なくとも1つの燃料噴射ノズルでそれぞれ構成される第1ノズル群及び第2ノズル群を備え、
前記制御方法は、
前記運転状態が前記定格負荷運転状態から前記部分負荷運転状態に切り替わったと判定された場合、前記定格負荷運転状態に比べて、前記第1ノズル群及び第2ノズル群の合計燃料流量に対する前記第2ノズル群の燃料流量の比を低下させる燃料流量比調整工程を更に備える、請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記燃料流量比調整工程では、燃焼振動が生じない範囲で、前記燃料流量値が調整される、請求項3に記載の制御方法。
【請求項5】
前記燃料流量比調整工程では、前記第1ノズル群と前記第2ノズル群における燃料流量が等しい場合を100%として、前記燃料流量比が102.5~105%に設定される、請求項3に記載の制御方法。
【請求項6】
前記第1ノズル群は、前記第2ノズル群に比べて前記ロータ系に近い方に位置する燃料ノズルを含んで構成される、請求項3に記載の制御方法。
【請求項7】
前記圧縮機から抽気した圧縮空気であって、前記タービンの静止系の冷却系統に供給される第2冷却空気の流量を調整するための流量調整弁を備え、
前記制御方法は、
前記運転状態が前記定格負荷運転状態から前記部分負荷運転状態に切り替わったと判定された場合、前記定格負荷運転状態に比べて、前記第2冷却空気の流量が増加するように前記流量調整弁を制御する流量調整弁調整工程を更に備える、請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項8】
前記運転状態判定工程では、前記ガスタービンの負荷が、定格負荷より小さい部分負荷に所定期間以上、継続的に維持された場合に、前記定格負荷運転状態から前記部分負荷運転状態に切り替わったと判定する、請求項1又は2に記載の制御方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスタービンの制御方法に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、典型的には、圧縮機、燃焼器及びタービンを備えて構成される。圧縮機は、空気取入口から取り込まれた空気を圧縮することで高温・高圧の圧縮空気を生成する。燃焼器は、この圧縮空気に対して燃料を供給し、混合して燃焼させることで高温・高圧の燃焼ガスを得る。タービンは、車室内に複数の静翼と動翼が燃焼ガスの流動方向に沿って交互に配設されて構成されており、燃焼器で生成された燃焼ガスが、複数の静翼と動翼を通過することでロータが駆動回転される。タービンのロータには発電機が連結されており、タービンの回転駆動により発電機が駆動されることで発電が行われる。
【0003】
この種のガスタービンでは、圧縮機で圧縮した圧縮空気は、一部が抽気されて冷却空気として用いられる。このような冷却空気は、タービン車室や静翼のような静止系や、タービンディスクや動翼のようなロータ系(回転系)の冷却系統に供給される。例えば特許文献1には、コンバインドサイクルプラントに用いられるガスタービンにおいて、圧縮機からの抽気の一部を外部の空気冷却器により冷却することにより、ロータ系の冷却系統に供給される冷却空気が生成可能な構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2016-75177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、風力、地熱、太陽光のような再生可能エネルギを利用した発電設備が増加している。このような再生可能エネルギを利用した発電設備では、気象条件のような不確定要素によって発電量が左右されるため、他の発電方式によって、発電エネルギを利用した発電設備における発電量の変動を吸収することが求められている。
【0006】
前述したガスタービンを利用したコンバインドサイクルプラントも、このような他の発電方式の一種である。従来、ガスタービンは発電効率の観点から定格負荷運転が主流であったが、このような用途では、再生可能エネルギによる発電量の変動を賄うために、部分負荷運転が求められることも多くなっている。例えば再生可能エネルギによる発電量が多い場合には、ガスタービンに対する電力需要が低くなるため、ガスタービンは、運用最低負荷のような部分負荷運転が求められる。このような部分負荷運転が求められる割合は増加傾向にあるため、ガスタービンには、定格負荷運転だけでなく、部分負荷運転における性能向上のニーズがある。
【0007】
ここでガスタービンの部分負荷運転性能を向上させるための一手段として、部分負荷運転ではガスタービンの燃焼温度が低下することに着目して、ロータ系に対する冷却空気の供給量を削減することが考えられる。この場合、圧縮機からの抽気量が減少するため部分負荷運転におけるタービン効率の向上が期待される。しかしながら、冷却空気の供給量を減らし過ぎると、ガスタービンの出力を同等に維持するためには、燃焼温度が更に低下してしまい、排ガス中にCOを含む未燃ガスが増加して燃焼効率が低下してしまい、逆にガスタービンの性能が低下してしまうおそれがある。
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態は上述の事情に鑑みなされたものであり、部分負荷運転状態において、排ガス中の未燃ガスの増加を抑制しつつ、タービン性能を向上可能なガスタービンの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態に係る制御方法は、上記課題を解決するために、
空気を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機が圧縮した圧縮空気と燃料とを混合して燃焼する燃焼器と、
前記燃焼器が生成した燃焼ガスにより回転動力を得るタービンと、
前記圧縮機から抽気した圧縮空気を熱交換して冷却された第1冷却空気を前記タービンのロータ系の冷却系統に供給する空気冷却器と、
を備えるガスタービンの制御方法であって、
前記ガスタービンの運転状態が、定格負荷運転状態から部分負荷運転状態に切り替わったか否かを判定する運転状態判定工程と、
前記運転状態が前記定格負荷運転状態から前記部分負荷運転状態に切り替わったと判定された場合、前記空気冷却器の出口部における前記第1冷却空気の温度を、前記定格負荷運転状態に比べて上昇させる温度調整工程と、
を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、部分負荷運転状態において、排ガス中の未燃ガスの増加を抑制しつつ、タービン性能を向上可能なガスタービンの制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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