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公開番号2024071142
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-24
出願番号2022181935
出願日2022-11-14
発明の名称膜分離装置
出願人株式会社デンソー,学校法人 芝浦工業大学
代理人弁理士法人あいち国際特許事務所
主分類B01D 61/36 20060101AFI20240517BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】膜蒸留を利用した分離膜の耐久性と処理能力を高め、浄化水の回収率を向上させることができる膜分離装置を提供する。
【解決手段】膜分離装置1は、被処理水d0が供給される供給流路11と、浄化水cが回収される回収流路12との間に、膜蒸留部10を備える。膜蒸留部10は、筒状の外皮21内が、軸方向xに延びる多数のセル22に区画されたセラミック構造体2からなり、セラミック構造体2において、供給流路11に連通して第1流路41となるセル22と、回収流路に連通して第2流路42となるセル22とが、疎水性多孔質壁3からなるセル壁を介して隣接配置されており、疎水性多孔質壁3において、第1流路41に面する側から、第2流路42に面する側へ、蒸気圧差又は圧力差により水蒸気vを透過させて、被処理水d0を浄化水cと濃縮水dとに分離するよう構成されている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
被処理水(d0)が供給される供給流路(11)と、浄化水(c)が回収される回収流路(12)との間に、膜蒸留部(10)を備える膜分離装置(1)であって、
上記膜蒸留部は、筒状の外皮(21)内が、軸方向(x)に延びる多数のセル(22)に区画されたセラミック構造体(2)からなり、
上記セラミック構造体において、上記供給流路に連通して第1流路(41)となる上記セルと、上記回収流路に連通して第2流路(42)となる上記セルとが、疎水性多孔質壁(3)からなるセル壁を介して隣接配置されており、
上記疎水性多孔質壁において、上記第1流路に面する側から、上記第2流路に面する側へ、蒸気圧差又は圧力差により水蒸気(v)を透過させて、上記被処理水を上記浄化水と濃縮水(d)とに分離するよう構成されている、膜分離装置。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
上記疎水性多孔質壁は、多数の細孔(32)を有するセラミック基材(31)と、上記セラミック基材の表面を被覆する疎水膜(33)とを有する、請求項1に記載の膜分離装置。
【請求項3】
上記セラミック構造体は、上記第2流路となる上記セルに対して、上記第1流路となる上記セルと反対側に隣接する上記セルを、冷媒流路(13)に連通する第3流路(43)としており、上記疎水性多孔質壁は、上記第1流路に面する側と、上記第2流路に面する側との温度差により、蒸気圧差を発現させて水蒸気を透過させる、請求項2に記載の膜分離装置。
【請求項4】
上記冷媒流路の冷媒は、上記供給流路から上記第1流路へ供給される前の上記被処理水である、請求項3に記載の膜分離装置。
【請求項5】
上記第1流路となる上記セルを、両端が開口する開放セルとし、上記セラミック構造体の一方の端面において上記供給流路と接続して、上記被処理水を上記セラミック構造体の上記一方の端面側から他方の端面側へ向けて供給し、
上記第2流路及び上記第3流路となる上記セルを、両端が閉鎖された栓詰めセルとし、上記第2流路と上記回収流路とを、上記セラミック構造体の側面に開口する第1開口部(24)を介して接続すると共に、上記第3流路と上記冷媒流路とを、上記セラミック構造体の側面に開口する第2開口部(25)を介して接続している、請求項3又は4に記載の膜分離装置。
【請求項6】
上記セルは上記軸方向から見た形状が四角形状である四角形セルであり、上記軸方向から見て四角形セルの一辺と平行な第1の方向(y)に、上記第1流路となる複数の上記セルが互いに隣接して整列しており、
上記第1の方向に、上記第2流路となる複数の上記セルが互いに隣接して整列しており、
上記第1の方向に、上記第3流路となる複数の上記セルが互いに隣接して整列しており、
上記軸方向から見て、上記第1の方向と直交する第2の方向(z)には、上記第1流路となる上記セルの列を挟んで両側に、上記第2流路となる上記セルの列が配置され、それら両側の上記セルの列の外側に、上記第3流路となる上記セルの列が配置されると共に、
上記第2流路となる上記セルの列、及び、上記第3流路となる上記セルの列において、隣り合う上記セルは、セル壁を貫通する連通口(23、26)を介して、互いに連通している、請求項3又は4に記載の膜分離装置。
【請求項7】
上記第1流路から上記濃縮水が導出される導出流路(11a)を、上記供給流路と接続して、上記被処理水を循環させる循環流路(11b)を、さらに有する、請求項1又は2に記載の膜分離装置。
【請求項8】
上記膜蒸留部は、上記回収流路に設けられた真空ポンプ(P4)により、上記第2流路となる上記セルが減圧されており、上記疎水性多孔質壁は、上記第1流路に面する側と、上記第2流路に面する側との圧力差により、水蒸気を透過させる、請求項1又は2に記載の膜分離装置。
【請求項9】
上記セラミック構造体は、ケーシング(6)に収容されており、
上記ケーシング内は、上記供給流路に連通する常圧室(63)と、上記回収流路に連通する減圧室(64)とに区画されると共に、上記第1流路となる上記セルは、少なくとも上記常圧室に連通し、上記第2流路となる上記セルは、上記減圧室のみに連通するように配置されている、請求項8に記載の膜分離装置。
【請求項10】
上記常圧室は、上記減圧室に対して鉛直方向の上方に配置されており、
上記セラミック構造体は、上記第1流路となる上記セルを、上記常圧室に面する端面及び上記減圧室に面する端面に開口する開放セルとし、上記第2流路となる上記セルを、上記常圧室に面する端面が閉鎖され上記減圧室に面する端面が開口する片栓詰めセルとすると共に、上記常圧室に面する端面において、開口部と閉鎖部が互い違いとなるように、上記第1流路となる上記セルと上記第2流路となる上記セルとを互いに隣接して配置している、請求項9に記載の膜分離装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、膜分離装置に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
工場排水等の被処理水を複数の工程により順次処理し、浄化水を回収して再利用する水処理システムが提案されている。水処理システムには、一般に、逆浸透法を用いた逆浸透膜分離装置が設けられ、前処理した被処理水側の圧力を浸透圧よりも高くすることで、被処理水中の水を、逆浸透膜に透過させて分離している。また、水の有効利用と環境保全の観点から、液体排出をゼロにするZLD(すなわち、Zero Liquid Discharge)の導入が進められている。その場合には、最終段において、排水を蒸発させて回収する蒸留工程が設けられることになり、消費エネルギが高くなる課題がある。
【0003】
蒸留工程の負担低減のためには、前段の膜分離工程において、排水の高濃縮化を図ることが求められる。ただし、逆浸透法では、被処理水が高濃度になると、逆浸透膜に加わる圧力をより高くする必要があり、逆浸透膜の耐圧に限界がある。そこで、膜分離工程において、異なる方式を併用して、被処理水を高濃度化することが考えられる。例えば、熱駆動方式で消費エネルギが比較的低い膜蒸留法を用いることが検討されており、実用化に際し、被処理水の浄化効率を高めることが重要となる。
【0004】
浄化効率を高めるには、分離膜の処理面積を増加させることが有効であり、そのための手段として、例えば、平膜をらせん状に巻き回して多層構造とした装置や、平膜を重ねて平板状の積層構造とした装置が知られている。前者としては、例えば、特許文献1に記載されるように、細長い膜箔を所定長で折り返しながら、支持管の周りに巻き取って円筒形装置としたものがあり、2つの箔層の間にスペーサが配置されて流路が形成される。具体的には、スペーサは樹脂製のメッシュ状層を備え、その両端を管状支持体で保持することにより、膜箔に張力を与え、流路全体に流体が流れるように構成される。後者としては、例えば、平膜の周囲をフレームで保持したものを積層して、層間に流路を形成した装置があり、それぞれ巻き数や積層数に応じた処理能力を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2013/144004号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載される装置は、所定のらせん形に加工するために、一般に、加工性の良好な樹脂材料が用いられる。樹脂材料は、被処理水となる排水が、酸やアルカリ等の薬液を含む場合には、薬液との化学反応により劣化するおそれがある。また、柔らかい薄膜を加工して構成されることから、流体の流れ等によって変形が生じやすくなり、局所ストレスが発生したり、安定した処理ができなくなったりする懸念がある。その結果、耐久性が低下し、または、処理能力が十分発揮できずに、浄化効率が低下する。あるいは、耐久性や処理能力を高めようとして、装置構成が複雑となったり大型化したりする。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、膜蒸留を利用した分離膜の耐久性と処理能力を高め、浄化水の回収率を向上させることができる膜分離装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、
被処理水(d0)が供給される供給流路(11)と、上記被処理水から分離される浄化水(c)が回収される回収流路(12)との間に、膜蒸留部(10)を備える膜分離装置(1)であって、
上記膜蒸留部は、筒状の外皮(21)内が、軸方向(x)に延びる多数のセル(22)に区画されたセラミック構造体(2)からなり、
上記セラミック構造体において、上記供給流路に連通して第1流路(41)となる上記セルと、上記回収流路に連通して第2流路(42)となる上記セルとが、疎水性多孔質壁(3)からなるセル壁を介して隣接配置されており、上記疎水性多孔質壁において、上記第1流路に面する側から、上記第2流路に面する側へ、蒸気圧差又は圧力差により水蒸気(v)を透過させて、上記被処理水を上記浄化水と濃縮水(d)とに分離するよう構成されている、膜分離装置にある。
【発明の効果】
【0009】
上記構成の膜分離装置において、膜蒸留部の第1流路へ被処理水が供給されると、隣接する第2流路との間の疎水性多孔質壁を、蒸気圧差又は圧力差により水蒸気が透過して、第2流路から浄化水として回収される。水蒸気が分離された被処理水は、濃縮水として回収される。このとき、膜蒸留部の第1、第2流路及び疎水性多孔質壁が、セラミック構造体にて構成されているので、耐圧強度が向上し、被処理水に含まれる薬液等との反応による劣化のおそれも小さい。また、セラミック構造体は、多数のセルの内部空間を、第1、第2流路としており、それらを区画する疎水性多孔質壁が分離膜となるので、蒸留面積が増加する。これらにより、膜蒸留部の耐久性が向上し、また、被処理水の処理能力が向上して、浄化効率を高めることが可能になる。
【0010】
以上のごとく、上記態様によれば、膜蒸留を利用した分離膜の耐久性と処理能力を高め、浄化水の回収率を向上させることができる膜分離装置を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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