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公開番号2024068946
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-21
出願番号2022179645
出願日2022-11-09
発明の名称古紙パルプ原料の製造方法及び製造装置
出願人大王製紙株式会社
代理人弁理士法人永井国際特許事務所
主分類D21C 5/02 20060101AFI20240514BHJP(製紙;セルロースの製造)
要約【課題】本発明が解決しようとする主たる課題は、圧縮古紙を解砕し、得られた解砕物のうち、相対的に比重の小さなビニール等の異物を分散させて分離して、残分から古紙を回収して資源の有効利用を図ることにある。
【解決手段】圧縮古紙を解砕し、解砕した解砕物を分離装置20により分離し、この分離装置20における残分を古紙パルプ製造工程に供給する原料とする製造方法であって、前記分離装置20は、前記解砕物を大きさ基準で分離するものであり、搬送方向へ篩板271が配されて搬送面27が形成され、前記搬送面27は、水平面に対して下方に傾斜しており、前記搬送面27が上下動をすることで前記解砕物を搬送し、分離対象物を搬送する過程で、分離対象物の一部を、前記篩板の目272から重力で透過させ、透過しないものを前記残分とするものである、ことを特徴とする古紙パルプ原料の製造方法及び製造装置を提供する。
【選択図】図1

特許請求の範囲【請求項1】
圧縮古紙を解砕し、解砕した解砕物を分離装置により分離し、この分離装置における残分を古紙パルプ製造工程に供給する原料とする製造方法であって、
前記分離装置は、
前記解砕物を大きさ基準で分離するものであり、
搬送方向へ篩板が配されて搬送面が形成され、
前記搬送面は、水平面に対して下方に傾斜しており、
前記搬送面が上下動をすることで前記解砕物を搬送し、
前記解砕物を搬送する過程で、前記解砕物中の分離対象物の一部を、前記篩板の目から重力で透過させ、透過しないものを前記残分とするものである、
ことを特徴とする古紙パルプ原料の製造方法。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記分離装置は、
搬送方向を長手方向とする前記篩板を、短手方向に複数配し、
前記篩板は、それぞれ上下動によって高さが底点から頂点に変化し、その後頂点から再度底点に変化する一巡の動作を繰り返す上下動を行う、
請求項1に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【請求項3】
前記篩板各々は、短手方向の両端縁が厚みを有する側縁部となっており、
前記側縁部の厚みが、前記上下動における底点から頂点までの距離以上となっており、
隣接する前記篩板である第1篩板と第2篩板において、
前記第1篩板の上下動の位相と前記第2篩板の上下動の位相が異なる、
請求項2に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【請求項4】
前記分離装置は、
前記搬送面の傾斜角度が1~20度である、
請求項1に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【請求項5】
前記分離装置は、
前記篩板の目の大きさが10~1000mm

となるものである、
請求項1に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【請求項6】
前記分離装置は、
前記篩板が、上下動によって高さが底点から頂点に変化し、その後頂点から再度底点に変化する一巡の動作を繰り返し、
底点の高さと頂点の高さの差が10~100mmであり、前記一巡の動作を1分間当たり10~200回繰り返すものである、
請求項1に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【請求項7】
前記解砕物は、解砕装置で解砕されて得られるものであり、
前記解砕装置は、
軸心回りに回転する実質的に平行な少なくとも2本の第1支持軸及び第2支持軸を有し、
前記各支持軸に、径方向外側に突出する解砕部材が前記軸心方向に間隔を空けて複数設けられ、
前記解砕部材は、少なくとも外周部に解砕棒を有し、かつ、前記軸心方向に沿う解砕部材群の解砕棒の位置が軸心回り方向に相違しているものである、
請求項1に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【請求項8】
前記圧縮古紙が紙ビニール複合古紙を1~100質量%有するものである、
請求項1に記載の古紙パルプ原料の製造方法。
【請求項9】
圧縮古紙を解砕し、解砕した解砕物を分離装置により分離し、この分離装置における残分を古紙パルプ製造工程に供給するのに使用する原料の製造装置であって、
前記分離装置は、
前記解砕物を大きさ基準で分離するものであり、
搬送方向へ篩板が配されて搬送面が形成され、
前記搬送面は、水平面に対して下方に傾斜しており、
前記搬送面が上下動をすることで前記解砕物を搬送し、
前記解砕物を搬送する過程で、前記解砕物中の分離対象物の一部を、前記篩板の目から重力で透過させ、透過しないものを前記残分とするものである、
ことを特徴とする古紙パルプ原料の製造装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮古紙(例えば古紙梱包品や袋詰め圧縮古紙)から古紙パルプ原料を製造する製造方法及び製造装置に関するものである。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
近年、生活の多様化に伴って、例えばラミネート紙などの禁忌品やシュレッダー等で破砕された紙の小片が混在する傾向が高まり、市中で回収する古紙の中には、再生古紙としての原料に不向きないわゆる難処理性古紙が混入する。古紙の回収企業では、古紙の中から難処理性古紙を分離し、例えば新聞用紙に再生できる第1の古紙と、例えば段ボール原紙に再生できる第2の古紙とに分別し、それぞれ古紙の種別ごとに(圧縮)梱包し、古紙ベールの状態や、フレコンバックに圧縮して詰められた状態で製紙工場に納入している。
【0003】
製紙工場では、市中から回収された古紙が、再生処理設備で古紙パルプ化された後、再び抄紙され新聞用紙に代表されるリサイクル再生紙として利用されている。しかしながら、難処理性古紙は製紙過程での種々の品質低下要因となるので、その受け入れをすることができないでいた。また、古紙の回収企業にとっては、古紙の回収後に古紙の分別を行うことなく、混在状態で製紙工場に販売できることが望ましいが、製紙工場では、前述のように、難処理性古紙は製紙過程での種々の品質低下要因となるので、混在古紙の受け入れはできない。もちろん、混在古紙を受け入れて焼却処分する方法も考えられるが、焼却によるエネルギー回収量は高くなく、古紙を有用資源として考えた場合には、焼却は避けるべきである。
【0004】
古紙の回収業者は禁忌品や紙の小片を含む難処理性古紙の分離を主に人手により行っているが、人件費に係るコストが嵩み、古紙回収の費用対効果は低いものであった。具体的には、古紙の回収段階で、難処理性古紙を選別除去する手間、前述の第1の古紙と第2の古紙とに分別する手間が大きく、人手に頼る部分が大きい。この古紙の回収に係る人件費コストが、製紙工場にとっては受け入れ古紙のコストの高騰につながっている。また、作業環境からも見直す必要性が高い。
【0005】
一方で、古紙の回収業者は、コストの低減化のため人件費の安価な海外市場にこの難処理性古紙の輸出販売を行っていた。ところが、海外では昨今この難処理性古紙に対して輸入制限を課す動きがあり、この動きにより日本国内において輸出販売量の減少を招くに至った。これにより、国内では、この難処理性古紙は消費量が低減し、供給過多の状態となっている。このような現状の下、国内においてこの難処理性古紙の有効利用、安価な古紙の回収技術の確立が望まれている。
【0006】
現在、難処理性古紙の選別分離には多くの技術的課題が残されている。例えば、古紙の回収業者はやむなく人海戦術による分離を行っている状況にあり、労働コストの増大につながっている。人海戦術による分離の負担を減らすべく、圧縮古紙の分離作業を機械装置等によって行うことも検討されているが、圧縮古紙は、文字通り、難処理性古紙を含む所定量の古紙をベーラーによって圧縮して梱包されたものや、古紙をフレコンバックに圧縮して詰め込まれたものであり、一度圧縮されたものを単に解砕したとしても塊状物が散見され分散性に乏しい。分散性に乏しいと、古紙パルプ原料と不要物が混在して弁別工程に供給されてしまい、機械装置等による弁別が困難となり、結果として純度の高い古紙パルプ原料が得にくい。特に、圧縮古紙の中でも紙ビニール複合古紙は、ビニールが紙と一体となっているので古紙パルプ原料として不向きであり、古紙パルプ原料の製造段階でできる限り取り除いておくことが望ましい。そうすることで、上記紙ビニール複合古紙の原料である強度の高いパルプ(未晒クラフトパルプ)を古紙パルプ原料とすることができる。
【0007】
ところで、古紙の選別手段としては、風力、比重、磁力、対象物の大きさ等を選別基準とすることが知られ、この種の選別は異物除去には有効であるが、禁忌品の禁忌物質が紙と一体となっている難処理性古紙の分離除去には有効ではない。
【0008】
古紙の回収に関する従来技術としては次の先行技術を例示することができる。特許文献1は、雑誌古紙を含む古紙原料から古紙パルプを回収するものである。古紙パルプ化の困難な雑誌古紙からの古紙パルプの回収を目的としたものであり、雑誌古紙の粘着異物を除去する技術に関するものである。具体的には、適当な離解温度下での中濃度パルパーの利用、フラクショネーターによる繊維の分級、クリーナーによる異物除去、粗選スクリーン・精選スクリーンによる異物の分離を行い古紙パルプを回収するものである。
【0009】
しかしながら、特許文献1の技術は、予め大まかな古紙の分別がなされた雑誌古紙を、出発物として行う古紙パルプ原料の製造方法であり、前述の圧縮古紙を解砕して得られた解砕物のうち特にビニール等を分散性良く分離することについては何ら解決するものではない。
【0010】
特許文献2は、家庭等から排出される各種混合廃棄物等を選別する揺動選別機に関するものである。各種混合廃棄物等の大きさ及び重量の異なる被選別物を揺動可能な篩孔を通過する細粒物(小径物)と篩上に残留して分けられる重量物と軽量物とに選別する揺動選別機である。
(【0011】以降は省略されています)

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