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公開番号2024067854
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-17
出願番号2022178227
出願日2022-11-07
発明の名称ワイヤ放電加工装置
出願人株式会社ソディック
代理人
主分類B23H 7/10 20060101AFI20240510BHJP(工作機械;他に分類されない金属加工)
要約【課題】ワイヤ放電加工装置において搬送装置を改良して加工槽におけるシール装置をなくすこと。
【解決手段】方向転換プーリ10と巻取装置13Aとの間にワイヤ電極WEの移動経路に沿って設けられワイヤ電極WEを案内するガイドパイプ14Aは、帯電防止性を有する。ガイドパイプ14A内に気液混合流体が供給される。吸引ノズル14Nは、巻取装置13Aの一対のローラ13D,13T間を通過してガイドパイプ14Aの出口側に直接または間接的に接続する。吸引ノズル14Nは、吸引装置14Bによってガイドパイプ14A内の気液混合流体とワイヤ電極WEの先端とを吸引してワイヤ電極WEを捕捉する。捕捉されたワイヤ電極WEは、巻取装置13Aに巻き取られる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
下側ガイドユニットを加工槽の中に位置するように支持する下アームと、前記下側ワイヤガイドユニットの下側に位置するように前記下アームに設けられる少なくとも1つの方向転換プーリと、前記加工槽の外側に位置するように設けられ開閉自在な一対のローラからなる巻取装置と、を備えたワイヤ放電加工装置において、前記方向転換プーリと前記巻取装置との間にワイヤ電極の移動経路に沿って設けられ前記ワイヤ電極の移動を案内するための帯電防止性を有するガイドパイプと、前記巻取装置の前記ワイヤ電極の出口側に設けられ吸引口が前記巻取装置の前記一対のローラ間を通過して前記ガイドパイプの出口に接続するように前記ワイヤ電極の移動経路に沿って往復移動可能であって前記ガイドパイプの入口から流入する加工液と空気とを混合した気液混合流体と共に送られてくる前記ワイヤ電極の先端とを吸引して捕捉する吸引ノズルと、前記吸引ノズルに気液混合流体を吸引させて前記気液混合流体を回収し排出する吸引装置とを含んでなる搬送装置を備えたワイヤ放電加工装置。
続きを表示(約 240 文字)【請求項2】
前記搬送装置が前記吸引装置から排出される気泡を含んだ加工液を消泡する消泡装置を含んでなる請求項1に記載のワイヤ放電加工装置。
【請求項3】
前記搬送装置が前記吸引装置を第1の吸引装置として前記ガイドパイプと前記巻取装置との間に設けられ加工中に前記ガイドパイプ内の前記ワイヤ電極と前記気液混合流体を吸引し前記ワイヤ電極を前記巻取装置に案内するとともに前記気液混合流体を排出する第2の吸引装置を含んでなる請求項1に記載のワイヤ放電加工装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、自動結線時にワイヤ電極を巻取装置まで送り出すワイヤ電極の搬送装置を備えたワイヤ放電加工装置に関する。特に、本発明は、ガイドパイプを含んでなる流体移送方式の搬送装置を備えたワイヤ放電加工装置に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
一般に、ワイヤ放電加工装置は、ワイヤボビンに巻き回されたワイヤ電極を繰り出して、上側ワイヤガイドと下側ワイヤガイドを通って一対の巻取ローラからなる巻取装置に巻き取られるように構成されている。多くのワイヤ放電加工装置は、ワイヤ電極を上下のワイヤガイド間に自動で張架する自動結線装置を備えている。自動結線装置は、ワイヤ電極を送出ローラによって上側ワイヤガイドに向かって送り出し、上下のワイヤガイドに順次挿通し、下アームに沿って設けられているワイヤ電極の搬送装置によって加工槽の外側まで導いてワイヤ電極の先端を巻取装置に捕捉させる。
【0003】
ワイヤ電極の搬送装置において、ワイヤ電極を巻取装置まで移動させる方法として、ベルトコンベアによってワイヤ電極を移動させる方法と、流体によってワイヤ電極を移動させる方法が知られている。以下、説明の便宜上、ベルトコンベアによってワイヤ電極を移動させる方法をベルト移送方式といい、流体によってワイヤ電極を移動させる方法を流体移送方式という。
【0004】
特許文献1は、典型的なベルト移送方式の搬送装置を備えたワイヤ放電加工装置を開示している。ベルト移送方式の搬送装置は、一対の無端ベルトがワイヤ電極を挟み込んで摩擦でワイヤ電極に力を伝えて移動させる構成であるので、直径がφ0.2mm以上の比較的大きいワイヤ電極の搬送に有利である。しかしながら、流体移送方式に比べると全体のサイズが大きい。また、直径が比較的小さいワイヤ電極を送り出すときには、ワイヤ電極に与える負荷が相対的に大きくなって、ワイヤ電極の断線、巻付き、脱線が発生しやすい。
【0005】
特許文献2および特許文献3は、流体移送方式の搬送装置を備えたワイヤ放電加工装置を代表的に開示している。一般に、流体移送方式の搬送装置は、ガイドパイプの中を高圧流体で満たし、アスピレータによって流体をワイヤ電極と共に吸引してワイヤ電極を送り出すようにしている。そのため、高剛性で癖が付きやすい直径が大きすぎるワイヤ電極の場合、ガイドパイプの中にワイヤ電極の先端が引っ掛かって座屈しやすい。また、直径が小さすぎるワイヤ電極の場合は、ガイドパイプの内面にワイヤ電極が貼り付いて移動できなくなるおそれがあり、あまり適していない。
【0006】
特許文献4は、ガイドパイプを備えていない流体移送方式の搬送装置を設けたワイヤ放電加工装置を開示している。特許文献4に開示されているワイヤ放電加工装置の搬送装置は、流体の拘束力だけでワイヤ電極を一気に移動させることができるので、ワイヤ電極の先端を巻取装置に捕捉させるまでの搬送時間をより短くすることができる。ただし、被加工物を加工液に浸漬するダイシンキング方式で加工を行なう場合は、流体の拘束力だけで移動させるワイヤ電極の移動経路を確保するためのカバーを設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開平1-114924号公報
特開平1-135426号公報
特開平5-92322号公報
特許第6605564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般的なワイヤ放電加工装置においては、下側ワイヤガイドを収容した下側ガイドユニットを支持する下アームが加工槽壁を貫通するように設置されている。そのため、少なくとも被加工物を加工液に浸漬するダイシンキング方式で加工を行なう場合には、下アームと加工槽壁との間で加工槽内の加工液の漏出を防止するシール装置が要求される。シール装置は、シール抵抗によって加工における不都合を生じさせるという問題を抱えている。また、シール装置のシール構造体は、加工槽まわりの構成を複雑にする。
【0009】
搬送装置のベルトコンベアまたはガイドパイプは、下アームに沿って下アームの外側に設けられるか、あるいは下アームの中空内に設けられている。シール構造体を除くために加工槽壁を乗り越えるように下アームの形を変えると、ワイヤ電極の移動経路が下から上に向かう、いわゆる上りの形状になる。そのため、ワイヤ電極の移動経路の変更に合わせてベルトコンベアまたはガイドパイプの配置を変える必要があり、あるいは外形を変える必要がある。
【0010】
したがって、加工槽と下アームとが相対移動可能な状態で下アームが加工槽壁を越えるように形状を変えて下アームを設置しようとする場合、ベルト移送方式の搬送装置においては、ワイヤ電極の移動経路がほぼ水平である構成に比べてワイヤ電極の移動方向を方向転換させる角度が大きくなるため、ワイヤ電極がより断線しやすくなる。流体移送方式の搬送装置においては、重力によって下がる傾向があるワイヤ電極を上向きの移動経路に沿って引き上げるようになるため、より座屈しやすくなる。
(【0011】以降は省略されています)

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