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公開番号
2024067093
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-05-17
出願番号
2022176925
出願日
2022-11-04
発明の名称
成膜装置
出願人
ブラザー工業株式会社
,
兵庫県公立大学法人
代理人
個人
,
個人
主分類
C23C
16/511 20060101AFI20240510BHJP(金属質材料への被覆;金属質材料による材料への被覆;化学的表面処理;金属質材料の拡散処理;真空蒸着,スパッタリング,イオン注入法,または化学蒸着による被覆一般;金属質材料の防食または鉱皮の抑制一般)
要約
【課題】被加工材料の処理表面に対する成膜処理を従来よりも高速に行い、且つ、従来よりも広範囲に均一で高品質な皮膜を形成できる成膜装置を提供すること。
【解決手段】成膜装置1は処理容器2、ガス供給部5、導入部材22、マイクロ波供給部9、電圧印加部20、接続部材、シース拡大電極30、絶縁部材24、及び漏洩抑制部材4を備える。シース拡大電極30は、導入部材22の周囲に配置される。電圧印加部20は被加工材料8の処理表面10に沿うシース層を拡大させる正のバイアス電圧をシース拡大電極30へ印加する。絶縁部材24は、シース拡大電極30と処理容器2との間に配置され、シース拡大電極30と処理容器2とを電気的に絶縁する。漏洩抑制部材4は被加工材料8とは電気的に絶縁した位置に配置され、絶縁部材24と当接する当接面と、当接面から絶縁部材24から離れる側に延びる絶縁部を有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
導電性を有する被加工材料を収容する処理容器と、
前記処理容器にガスを供給するガス供給部と、
前記被加工材料の周囲に設け、且つマイクロ波を導入する導入部材と、
前記被加工材料の処理表面に沿ってプラズマを発生させるための前記マイクロ波を前記導入部材から前記被加工材料へ供給するマイクロ波供給部と、
前記導入部材の周囲に配置されたシース拡大電極と、
前記被加工材料の前記処理表面に沿うシース層を拡大させる正のバイアス電圧を前記シース拡大電極へ印加する電圧印加部と、
前記被加工材料を前記電圧印加部の接地電位と同電位に電気的に接続する接地部材と、
前記シース拡大電極と前記処理容器との間に配置され、前記シース拡大電極と前記処理容器とを電気的に絶縁する絶縁部材と、
前記被加工材料とは電気的に絶縁した位置に配置され、前記絶縁部材と当接する当接面と、前記当接面から前記絶縁部材から離れる側に延びる絶縁部とを有する漏洩抑制部材と
を備えることを特徴とする成膜装置。
続きを表示(約 560 文字)
【請求項2】
前記絶縁部は、前記当接面において、前記被加工材料を囲む環状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記絶縁部の前記当接面に垂直な方向における第一長さは、前記マイクロ波の波長又は前記マイクロ波の波長の偶数倍の長さの1/4である第二長さの±1mmの範囲の長さであることを特徴とする請求項2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記漏洩抑制部材の前記当接面の外径の1/2が30mm以上、且つ前記処理容器から離隔して配置される長さであることを特徴とする請求項2又は3に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記絶縁部は、前記当接面から前記絶縁部材から離れる側に延びる凹部であり、
前記漏洩抑制部材には、前記絶縁部と、前記処理容器内の空間とを連通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の成膜装置。
【請求項6】
前記漏洩抑制部材の前記当接面には、外径が互いに異なる複数の前記絶縁部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の成膜装置。
【請求項7】
前記絶縁部材の外径は、前記漏洩抑制部材の前記当接面の外径よりも大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の成膜装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、MVP法(Microwave sheath-Voltage combination Plasma法、高密度励起プラズマ法)を用い、被加工材料の処理表面に皮膜を形成する成膜装置に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)
【背景技術】
【0002】
鋼材等の導電性を有する被加工材料の処理表面に膜を形成する装置が知られている。例えば特許文献1に記載の成膜装置は、マイクロ波供給部、負電圧印加部、負電圧印加端子部材、及び補助電極を備える。マイクロ波供給部は、導電性を有する被加工材料の処理表面に沿ってプラズマを生成させる。負電圧印加部は、被加工材料の処理表面に沿うシース層を拡大させる負のバイアス電圧を被加工材料に印加する。マイクロ波供給口は、マイクロ波供給部から供給されるマイクロ波を拡大されたシース層へ伝搬させる。負電圧印加端子部材は、マイクロ波供給口に対して突出して配置された被加工材料に、負電圧印加部によって印加される負のバイアス電圧を印加させる。補助電極は、マイクロ波供給口側と反対側に形成されるシース層の厚みを拡大させる。補助電極は、GNDに接続され、又は正電圧印加部から供給される正の電圧が印加され、且つ突出して配置された被加工材料の外側の周囲に配置される。成膜装置は、マイクロ波供給口側とは反対側のシース層の厚みを拡大させてプラズマの密度の減衰を低減し、成膜速度の低下を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2016-69685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の成膜装置は、被加工材料に負のバイアス電圧が印加されているため、ダイヤモンド等の導電性が比較的低い材料の皮膜を形成すると、成膜装置内に異常放電(所謂アーキング現象)が発生し、良好な品質の皮膜を形成できない。
【0005】
本発明の目的は、被加工材料の処理表面に対する成膜処理を従来よりも高速に行い、且つ、従来よりも広範囲に均一で高品質な皮膜を形成できる成膜装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1の成膜装置は導電性を有する被加工材料を収容する処理容器と、前記処理容器にガスを供給するガス供給部と、前記被加工材料の周囲に設け、且つマイクロ波を導入する導入部材と、前記被加工材料の処理表面に沿ってプラズマを発生させるための前記マイクロ波を前記導入部材から前記被加工材料へ供給するマイクロ波供給部と、前記導入部材の周囲に配置されたシース拡大電極と、前記被加工材料の前記処理表面に沿うシース層を拡大させる正のバイアス電圧を前記シース拡大電極へ印加する電圧印加部と、前記被加工材料を前記電圧印加部の接地電位と同電位に電気的に接続する接地部材と、前記シース拡大電極と前記処理容器との間に配置され、前記シース拡大電極と前記処理容器とを電気的に絶縁する絶縁部材と、前記被加工材料とは電気的に絶縁した位置に配置され、前記絶縁部材と当接する当接面と、前記当接面から前記絶縁部材から離れる側に延びる絶縁部とを有する漏洩抑制部材とを備える。成膜装置は、マイクロ波供給部がマイクロ波を供給し、電圧印加部によりバイアス電圧を印加することで、被加工材料表面にマイクロ波の伝搬をさせ、被加工材料近傍に高密度プラズマの生成する、公知のMVP法(Microwave sheath-Voltage combination Plasma法、高密度励起プラズマ法)を用いた成膜処理を実施できる。成膜装置は、接地部材により被加工材料の電位を接地電位とすることで、アーキング現象の発生を抑制し、高品質な皮膜を形成できる。成膜装置は、漏洩抑制部材を備えるので、絶縁部材の端面から処理容器内にマイクロ波が漏洩することを低減できる。故に成膜装置は、マイクロ波の漏洩に起因して、意図しない部分でプラズマ放電が生じたり、絶縁部材が損傷することでシース拡大電極と処理容器との絶縁を保てなくなる事態が生じたりすることを抑制できる。成膜装置は、シース拡大電極に正のバイアス電圧を印加することで、被加工材料の処理表面に形成されるシース層の厚みを拡大させ、処理表面に均一な皮膜を形成できる。
【0007】
本発明の請求項2の成膜装置の前記絶縁部は、前記当接面において、前記被加工材料を囲む環状に形成されている。請求項2の成膜装置は、絶縁部が加工材料を囲む環状に形成されていない場合に比べ、被加工材料周りの周方向に亘って、絶縁部材の端面から処理容器内にマイクロ波が漏洩することを低減できる。
【0008】
本発明の請求項3の成膜装置の前記絶縁部の前記当接面に垂直な方向における第一長さは、前記マイクロ波の波長又は前記マイクロ波の波長の偶数倍の長さの1/4である第二長さの±1mmの範囲の長さである。請求項3の成膜装置では、絶縁部材から絶縁部に伝搬されて後に跳ね返るマイクロ波の位相は、絶縁部材中を伝搬するマイクロ波の位相の逆付近となる。故に成膜装置は、絶縁部材中を伝搬するマイクロ波を、絶縁部材から絶縁部に伝搬されて後に跳ね返るマイクロ波により打ち消すことで、絶縁部材の端面から処理容器内にマイクロ波が漏洩することを低減できる。
【0009】
本発明の請求項4の成膜装置の前記漏洩抑制部材の前記当接面の外径の1/2が30mm以上、且つ前記処理容器から離隔して配置される長さである。請求項4の成膜装置は、漏洩抑制部材の当接面の外径の1/2が30mm未満である場合に比べ、絶縁部材の端面から処理容器内にマイクロ波が漏洩することを低減できる。
【0010】
本発明の請求項5の成膜装置の前記絶縁部は、前記当接面から前記絶縁部材から離れる側に延びる凹部であり、前記漏洩抑制部材には、前記絶縁部と、前記処理容器内の空間とを連通する貫通孔が形成されている。請求項5の成膜装置は、成膜処理を行う時、大気等の意図しないガスが絶縁部に残ることを抑制し、処理容器内の排気時間を短縮できる。
(【0011】以降は省略されています)
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