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公開番号2024065492
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-15
出願番号2022174383
出願日2022-10-31
発明の名称カーボンナノチューブ線材
出願人古河電気工業株式会社,国立研究開発法人産業技術総合研究所
代理人アインゼル・フェリックス=ラインハルト,個人,個人,個人
主分類C01B 32/168 20170101AFI20240508BHJP(無機化学)
要約【課題】カーボンナノチューブ線材内の空隙を低減することで、優れた導電性を有するカーボンナノチューブ線材を提供する。
【解決手段】 複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブバンドルの単数または複数を含むカーボンナノチューブ線材であり、前記カーボンナノチューブバンドルに陽電子を打ち込みエネルギー10keVで照射して陽電子消滅寿命測定を行い、非線形最小二乗法により3成分解析して得られる、第一成分(τ1)の割合(R1:単位%)、第二成分(τ2)の割合(R2:単位%)、第三成分(τ3)の割合(R3:単位%)が、下記式(1)
R3/(R1+R2+R3)≦0.1・・・(1)
(式(1)中、R1+R2+R3=100)
を満たすカーボンナノチューブ線材。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブバンドルの単数または複数を含むカーボンナノチューブ線材であり、
前記カーボンナノチューブバンドルに陽電子を打ち込みエネルギー10keVで照射して陽電子消滅寿命測定を行い、非線形最小二乗法により3成分解析して得られる、第一成分(τ1)の割合(R1:単位%)、第二成分(τ2)の割合(R2:単位%)、第三成分(τ3)の割合(R3:単位%)が、下記式(1)
R3/(R1+R2+R3)≦0.1・・・(1)
(式(1)中、R1+R2+R3=100)
を満たすカーボンナノチューブ線材。
続きを表示(約 75 文字)【請求項2】
前記カーボンナノチューブバンドルが、窒素分子及び/または二酸化炭素分子を含む請求項1に記載のカーボンナノチューブ線材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブバンドルの単数または複数を含むカーボンナノチューブ線材であり、導電性に優れたカーボンナノチューブ線材に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブは、様々な特性を有する素材であり、多くの分野への応用が期待されている。例えば、カーボンナノチューブは、六角形格子の網目構造を有する筒状体の単層、または略同軸で配された多層で構成される3次元網目構造体であり、軽量であると共に、導電性、熱伝導性、機械的強度等の諸特性に優れる。そこで、金属の代替として、カーボンナノチューブを使用することが検討されている。金属の代替としてカーボンナノチューブを使用するにあたり、カーボンナノチューブの導電性をさらに向上させることも要求されている。
【0003】
一方で、カーボンナノチューブ線材は、複数のカーボンナノチューブが集合して形成されたカーボンナノチューブバンドルの構造を含むので、カーボンナノチューブ同士の間で接触抵抗が生じ得ることから、カーボンナノチューブ線材としての導電性に改善の余地があった。また、カーボンナノチューブ線材を構成するカーボンナノチューブは、直径が必ずしも均一ではないことから、カーボンナノチューブ間にナノサイズの空隙(カーボンナノチューブの径方向における空隙)が生じて、カーボンナノチューブ線材の密度が低下し、抵抗値が上昇する場合があった。
【0004】
そこで、カーボンナノチューブ線材の密度を向上させるために、直径が小さく且つ均一化された複数のカーボンナノチューブを高い配向性を有するように束ねてカーボンナノチューブ線材を形成することが検討されている。具体的には、直径を小さく抑えて径方向の形状の真円度を向上させたカーボンナノチューブを形成し、このような真円度を向上させたカーボンナノチューブにて六方最密充填構造を形成することでカーボンナノチューブの充填密度を上昇させたカーボンナノチューブ線材とすることが行われている。真円度を向上させたカーボンナノチューブを用いてカーボンナノチューブの充填密度を上昇させることでカーボンナノチューブ間に空隙が発生することを抑制して、カーボンナノチューブ線材の抵抗値上昇を防止している。
【0005】
また、カーボンナノチューブ線材に異種元素であるヨウ素をドープして、カーボンナノチューブ同士の間にヨウ素を介在させることで、導電性を向上させたカーボンナノチューブ線材も提案されている(特許文献1)。ヨウ素は、カーボンナノチューブ線材への均一なドープが容易であり、カーボンナノチューブ線材における存在位置の安定性に優れている特性を有している。すなわち、ヨウ素は、カーボンナノチューブ線材のドーパントとしてハンドリング性に優れていることから、使用されている異種元素である。
【0006】
しかし、真円度を向上させたカーボンナノチューブを用いて充填密度を上昇させても、カーボンナノチューブ間には、依然として空隙が存在しているので、カーボンナノチューブ線材の導電性を向上させる点で、改善の余地があった。
【0007】
また、カーボンナノチューブ線材にヨウ素をドープしてカーボンナノチューブ同士の間の接触抵抗を低減させても、カーボンナノチューブ間には、やはり、依然として空隙が存在しているので、カーボンナノチューブ線材の導電性を向上させる点で、改善の余地があった。また、ヨウ素は、分子量が253.8と重く、カーボンナノチューブ線材の軽量化の点でも、改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特表2009-535294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記事情に鑑み、本発明は、カーボンナノチューブ線材の空隙を低減することで、優れた導電性を有するカーボンナノチューブ線材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の構成の要旨は以下の通りである。
[1] 複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブバンドルの単数または複数を含むカーボンナノチューブ線材であり、
前記カーボンナノチューブバンドルに陽電子を打ち込みエネルギー10keVで照射して陽電子消滅寿命測定を行い、非線形最小二乗法により3成分解析して得られる、第一成分(τ1)の割合(R1:単位%)、第二成分(τ2)の割合(R2:単位%)、第三成分(τ3)の割合(R3:単位%)が、下記式(1)
R3/(R1+R2+R3)≦0.1・・・(1)
(式(1)中、R1+R2+R3=100)
を満たすカーボンナノチューブ線材。
[2]前記カーボンナノチューブバンドルが、窒素分子及び/または二酸化炭素分子を含む[1]に記載のカーボンナノチューブ線材。
(【0011】以降は省略されています)

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