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公開番号
2024064076
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-05-14
出願番号
2022172400
出願日
2022-10-27
発明の名称
複合梁材及びその継手構造
出願人
国立大学法人 岡山大学
代理人
弁理士法人あーく事務所
主分類
E04B
1/26 20060101AFI20240507BHJP(建築物)
要約
【課題】木質材を主体として鋼材を合理的に組み合わせることにより、大スパンや高耐荷重の架構を無理なく構築しうる複合梁材を提供する。
【解決手段】複合梁材1は、縦長矩形の材軸直交断面を有する左右一対の木質材2、2と、T字形の材軸直交断面を有する上下一対の補剛鋼材3、3と、を組み合わせて構成される。補剛鋼材3は、ウェブ31の高さが木質材2の高さの半分未満に設定されるとともに、左右に張り出すフランジ32の全体幅が木質材2の幅の2倍未満に設定される。各補剛鋼材3のウェブ31が左右一対の木質材2の間に上下からそれぞれ挟み込まれた状態で、各補剛鋼材3のフランジ32が、その材軸方向に沿って配列される複数本のビス41により、木質材2の上面と下面とにそれぞれ接合される。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
縦長矩形の材軸直交断面を有する左右一対の木質材と、T字形の材軸直交断面を有する上下一対の補剛鋼材と、を組み合わせて構成される複合梁材であって、
前記補剛鋼材は、T字形の直立脚に相当するウェブの高さが前記木質材の高さの半分未満に設定されるとともに、前記ウェブに直交して左右に張り出すフランジの全体幅が前記木質材の幅の2倍に前記ウェブの厚みを加えた寸法未満に設定され、
前記各補剛鋼材のウェブが前記左右一対の木質材の間に上下からそれぞれ挟み込まれた状態で、前記各補剛鋼材のフランジが、その材軸方向に沿って配列される複数本のビスにより、前記木質材の上面と下面とにそれぞれ接合された
ことを特徴とする複合梁材。
続きを表示(約 1,200 文字)
【請求項2】
請求項1に記載された複合梁材において、
前記木質材が直交集成板であり、
前記ビスが前記木質材の上面及び下面に現れるラミナの小端面に沿って打ち込まれている
ことを特徴とする複合梁材。
【請求項3】
縦長矩形の材軸直交断面を有する左右一対の木質材と、T字形の材軸直交断面を有する上下一対の補剛鋼材と、を組み合わせて構成される複合梁材であって、
前記補剛鋼材は、T字形の直立脚に相当するウェブの高さが前記木質材の高さの半分未満に設定されるとともに、前記ウェブに直交して左右に張り出すフランジの全体幅が前記木質材の幅の2倍未満に設定され、
前記各補剛鋼材のウェブが前記左右一対の木質材の間に上下からそれぞれ挟み込まれた状態で、前記補剛鋼材及び前記木質材の材軸方向に沿って、前記ウェブ及び各木質材を梁幅方向に貫通する複数本のピン部材が打ち込まれている
ことを特徴とする複合梁材。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載された複合梁材において、
前記左右一対の木質材を抱き合わせた状態で、その上面の両側縁近傍を除く中央部分に一様深さの掘込部が形成され、
前記補剛鋼材が、前記フランジを前記掘込部内に納めた状態で前記左右一対の木質材と接合され、
前記掘込部内に前記フランジの上から耐火被覆材が充填された
ことを特徴とする複合梁材。
【請求項5】
請求項1、2または3に記載された複合梁材の端面に、T字形の材軸直交断面を有する梁端鋼材が、その材軸を縦向きにし、そのウェブを複合梁材の外方に向けて突出させる姿勢で当てがわれ、
前記梁端鋼材のフランジが前記木質材の端面にビスで止め付けられた
ことを特徴とする複合梁材。
【請求項6】
請求項2を引用する請求項5に記載された複合梁材において、
前記梁端鋼材のフランジを止め付けるビスが、前記木質材の端面に現れるラミナの小端面に沿って打ち込まれている
ことを特徴とする複合梁材。
【請求項7】
請求項5に記載された複合梁材と、同様に構成された他の複合梁材とが、互いの端面に取り付けられた前記梁端鋼材のウェブ同士を突き合わせて配置され、
前記ウェブ同士の突き合せ箇所が表裏一対のスプライスプレートに挟まれてボルト・ナット綴着されることにより、前記両複合梁材が材軸方向に接合される
ことを特徴とする複合梁材の継手構造。
【請求項8】
請求項7に記載された複合梁材の継手構造において、
材軸方向に接合される両複合梁材の各補剛鋼材が、互いの突き合せ箇所に向けて延設され、
前記木質材の端面から突出した前記各補剛鋼材のフランジ同士及びウェブ同士が表裏一対のスプライスプレートに挟まれてそれぞれボルト・ナット綴着される
ことを特徴とする複合梁材の継手構造。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本願は、木質材と鋼材とを組み合わせた建築用の複合梁材と、その継手構造に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)
【背景技術】
【0002】
木造により大空間を実現する技術として、トラス構造、アーチ構造、あるいはその両者を組み合わせた建築構造が広く実用化されている(例えば、非特許文献1等)。
【0003】
また、木質材からなる梁材の剛性や耐力を向上させるための技術として、木質材を上下に重ねて接着した重ね梁(例えば、非特許文献2等)や、木質材を縦横に組み合わせてフランジとウェブとを有するI形断面に加工した梁材(例えば、非特許文献3等)も公知である。非特許文献3に記載された技術では、フランジとウェブとはビスや接着剤で接合して一体化される。
【0004】
また、木質材と鋼材とを組み合わせた複合梁材(合成梁材)に関する技術として、例えば特許文献1~3や、非特許文献4等に開示された技術が公知である。これらの文献に記載された複合梁材は基本的に、H形鋼、I形鋼、溝形鋼等を芯材として、その鋼材の上面及び下面に木質材を重ねて一体化する構成を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開平08-284310号公報
特開2006-257853号公報
特開2011-174314号公報
【非特許文献】
【0006】
“中大規模建築用木造トラス「媛トラス」ガイド”、[online]、一般社団法人愛媛県木材協会、[令和4年10月1日検索]、インターネット <URL:https://ehimeclt.com/web/wp-content/uploads/2021/07/hime-truss.pdf>
吉田孝久長、“接着重ね梁の製造マニュアル-間伐材を救え!接着重ね梁-”、[online]、平成21年3月、野県林業総合センター、[令和4年10月1日検索]、インターネット <URL:https://www.pref.nagano.lg.jp/ringyosogo/seika/documents/gbmanual-l.pdf>
“キーラムジョイスト”、[online]、令和4年、株式会社キーテック、[令和4年10月1日検索]、インターネット <URL:http://www.key-tec.co.jp/products/joist.html>
“テクノストラクチャーの家 高性能を誇る7つの特長”、[online]、パナソニックアーキスケルトンデザイン株式会社、[令和4年10月1日検索]、インターネット <URL:https://panasonic.co.jp/phs/pasd/technostructurenoie/advantage.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
トラス構造やアーチ構造は古くから実用化されてきた典型的な構造形式で、木造建築でも世界で数多の実例があり、その有効性は高い。しかし、トラス構造は部材点数や接合箇所が多く、設計・施工が複雑になる。また、大空間を構築しようとした場合、トラスの高さも大きくしなければならないので、空間を余分に高く設定する必要がある。小断面部材の組み合わせで構築できる一方、体積に対する部材の表面積の割合が大きくなり、接合箇所も多いことから、耐火性能や耐久性能の確保に難がある。また、アーチ構造は、建物の形態や高さがアーチ形状によって規定されるため、フラットな屋根の建築には適さないという問題がある。
【0008】
非特許文献2、3等に開示された重ね梁やI形断面の木質梁材は、比較的小規模な木造建築には適用できるものの、スポーツ施設等の大スパン、大空間を実現するには剛性や耐力が不足する。また、長大スパンを構築するための継手を設けるのが難しい、という問題がある。
【0009】
特許文献1~3や非特許文献4等に開示された、木質材と鋼材とを組み合わせた複合梁材も、主として戸建住宅等の小規模建築向けに開発されたものであり、大スパン、大空間の建築物にはあまり適さない。また、側面に鋼材が露出するため、その側面を耐火材料で被覆したり、外観を木造風に整えるために木材を被せたりする必要がある。
【0010】
本願が開示する発明は、前述のような様々な構造技術の長所・短所を検討して想起されたものであり、木質材を主体として鋼材を合理的に組み合わせることにより、大スパンや高耐荷重の架構を無理なく構築しうる複合梁材の構成と、その継手構造を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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