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公開番号2024063480
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-13
出願番号2022171474
出願日2022-10-26
発明の名称水素捕集装置、それを用いた水素回収システム、および水素製造方法
出願人スズキ株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C25B 15/00 20060101AFI20240502BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】 水素を効率よく回収するための密閉槽を、陽極酸化処理を行う電解槽内に設ける必要がなく、且つ内燃機関用ピストンの陽極酸化処理で発生する水素を効率よく回収することができる水素捕集装置、それを用いた水素回収システム、および水素製造方法を提供する。
【解決手段】 水素捕集装置20は、電解液を貯留する貯留槽21と、貯留槽の電解液24を陽極酸化処理に供給する供給ライン31と、陽極酸化処理で使用された水素3を含む電解液を貯留槽に戻す戻しライン33と、貯留槽内の水素ガスを貯留槽から取り出すための、貯留槽の蓋部21aに位置する水素取出し口37aと、供給ライン33に切替バルブを介して設けられ、電解液の代わりにパージガスを供給ラインに供給するパージガス供給源とを備える。水素回収システムは、この水素捕集装置と陽極酸化処理装置とを備える。水素製造方法は、陽極酸化処理工程とパージ工程とを繰り返し行う。
【選択図】 図3
特許請求の範囲【請求項1】
内燃機関用ピストンの陽極酸化処理において発生する水素を回収する水素捕集装置であって、
電解液を貯留する貯留槽と、
前記貯留槽内の前記電解液を陽極酸化処理のために供給する供給ラインと、
前記陽極酸化処理で使用された電解液を前記貯留槽内に戻す戻しラインと、
前記貯留槽内の水素ガスを前記貯留槽から取り出すための、前記貯留槽の蓋部に位置する水素取出し口と、
前記供給ラインに切替バルブを介して設けられ、前記電解液の代わりにパージガスを前記供給ラインに供給するパージガス供給源と
を備える水素捕集装置。
続きを表示(約 850 文字)【請求項2】
前記蓋部が、段階的に又は連続的に上方に突出した形状を有しており、前記水素取出し口が、前記上方に突出した形状の最も上方の位置に設けられている請求項1に記載の水素捕集装置。
【請求項3】
前記貯留槽が、前記供給ラインとつながる供給口と、前記戻しラインとつながる戻り管とを備え、前記供給口が、前記戻し管の出口孔よりも下方に位置している請求項1に記載の水素捕集装置。
【請求項4】
前記蓋部が、前記貯留槽の槽本体の開口端とシール部材を介して固定されている請求項1に記載の水素捕集装置。
【請求項5】
前記戻し管が、側部と、前記側部から屈曲した屈曲部とを備え、前記屈曲部に複数の出口孔を備える請求項1に記載の水素捕集装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の水素捕集装置と、内燃機関用ピストンを陽極酸化処理する陽極酸化処理装置とを備えた水素回収システム。
【請求項7】
電解液を貯留する貯留槽から前記電解液を供給して、内燃機関用ピストンを陽極酸化処理する工程と、
前記陽極酸化処理工程後、パージガス供給源からパージガスを供給して、前記陽極酸化処理で用いた電解液をパージする工程と
を含む水素製造方法であって、
前記陽極酸化処理工程が、陽極酸化処理で発生した水素を含む電解液を、前記貯留槽に貯留する前記電解液中に戻し、
前記貯留槽の気相空間に放出された水素ガスを、前記電解槽の蓋部に設けられた水素取出し口から捕集、回収することを含み、
前記パージ工程が、前記水素を含む電解液を前記パージガスと共に、前記貯留槽に貯留する前記電解液中に戻し、
前記貯留槽の気相空間に放出された水素ガスを、前記電解槽の蓋部に設けられた水素取出し口から捕集、回収することを含み、
前記陽極酸化処理工程と前記パージ工程とを繰り返し行うことで前記水素ガスを得る水素製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水素捕集装置、それを用いた水素回収システム、および水素製造方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
燃料電池車や水素エンジン搭載車など、近年、水素を活用したパワートレインへの注目度が高まっている。水素の製造方法としては、例えば工業的には、炭化水素の水蒸気改質や部分酸化によって大量に生産する方法があるが、副生成物として二酸化炭素が大気中に大量に放出されるため、近年のカーボンニュートラルには逆行している。このような副生成物として二酸化炭素を排出して製造される水素は、グレー水素と呼ばれる。一方、この副生成物としての二酸化炭素を回収して処理し、大気中に放出しないことで二酸化炭素排出を実質ゼロにして製造される水素は、ブルー水素と呼ばれる。しかしながら、二酸化炭素の回収および貯蔵のためには大規模な施設が必要であり、オンサイト型の水素ステーション毎に設置すると、コストが掛かりすぎてしまう問題点がある。こういった背景から、水素以外の製品を製造する際に副産物として生成されるホワイト水素に注目が集まっている。
【0003】
陽極酸化処理は、電解液中にアルミニウム等の金属部材を浸し、金属部材を陽極として通電すると、以下の反応式(1)に示すように、陽極側では金属部材の表面が酸化されて酸化アルミニウム等の陽極酸化皮膜が形成され、陰極側では水素が発生する。また、以下の反応式(2)に示すように、水の電気分解も起こり、陽極側で酸素ガスが発生し、陰極側では水素ガスが生成する。
2Al+3H

O→Al



+3H

・・・(1)
2H

O→O

+2H

・・・(2)
【0004】
このような陽極酸化処理で発生する水素ガスを回収する技術として、例えば、特許文献1には、酸化処理槽にアノード極を配置し、このアノード極に製品を吊り下げて電解液で酸化処理する陽極酸化処理設備と、この酸化処理槽内に、カソード極を包むように配置した密閉構造の隔膜体と、この隔膜体の上部に設けた、水素ガスを捕集するための水素回収口と、カソード極の隔膜体に、新たな電解液を循環供給する電解液循環供給槽とを備えたことを特徴とする水素の回収装置を備えた陽極酸化処理設備が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、被処理材を陽極として電解槽内の電解液に浸漬して皮膜形成を行う陽極酸化処理において陰極から発生する水素を回収する水素捕集装置において、陰極を収容し、電解液を貯留可能に構成され、電解槽の電解液に浸漬されて配置される筺体を備え、この筺体は、電解槽に対して開口形成された窓部と、この窓部を覆って電解槽と筺体内部とを隔離するように設けられるプロトン透過性を有するイオン交換膜と、発生した水素を筐体の内部から排出する水素排出手段と連通する水素取出口とを備えることが記載されている。
【0006】
一方、内燃機関用ピストンの表面に陽極酸化皮膜を形成する技術として、例えば、特許文献3には、外周面にトップリング溝を有する内燃機関用ピストンにおいて、このトップリング溝の内面のうち、少なくともセカンドリング溝側の内面であって、トップリングが接する領域の内面に、陽極酸化皮膜を備え、この陽極酸化皮膜のJIS B0671-2に準拠する表面粗さRpkを1.00μm以下とすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2005-248290号公報
特開2018-154923号公報
特開2020-204287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されている陽極酸化処理設備では、水素を効率よく回収するための密閉槽である隔膜体内の電解液の水素イオン濃度が低下するため、新たな電解液を循環供給する装置が必要であり、よって、従来の陽極酸化処理設備に対して、大がかりな付帯設備が必要となるという問題がある。
【0009】
特許文献2には、特定のイオン交換膜(Nafion膜:フルオロカーボンを主鎖として、側鎖にスルホ基をもつパーフルオロ側鎖から構成されるパーフルオロカーボン材料)を用いることで、アルミニウムイオンの取り込みによるプロトン伝導を大きく損ねることなく、電解槽内の電解液と、水素を効率よく回収するための密閉槽である筐体内の電解液間でのプロトン伝導が可能であり、これによって、特許文献1の問題点である電解液を循環供給するための新たな付帯設備を設置する必要がなく、効率よく水素を発生させて回収することができる。しかしながら、特許文献2では、筐体から水素を回収するには、筐体内の水素の圧力が陽圧になるように圧力を調整する圧力調整手段が必要であり、新たな付帯設備がやはり必要である。また、イオン交換膜の定期的な交換は必要であり、この際、電解液は、強酸や強アルカリを用いる場合が多いため、交換作業が煩雑であり交換作業者への負担も大きい。さらに、プロトン伝導の変化によって、陽極酸化皮膜のばらつき、処理条件の調整が必要になるという懸念もある。
【0010】
また、特許文献1も特許文献2も、それら図面に示されている通り、陽極酸化処理の対象が平板形状のものを想定しており、内燃機関用ピストンといった円筒形状で厚みがあるものを対象とすると、陽極酸化処理槽内に設ける隔膜体や筐体などの水素を効率よく回収するための密閉槽を大きくする必要があり、水素回収の効率が低下してしまうとともに、設備全体が大きくなるという問題がある。また、特許文献3に記載されているような、内燃機関用ピストンの陽極酸化皮膜を形成したい一部の表面に電解液を供給するという方法では、水素を効率よく回収するための密閉槽を設けること自体が困難になってしまうという問題がある。
(【0011】以降は省略されています)

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