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公開番号2024062156
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-09
出願番号2022169984
出願日2022-10-24
発明の名称塊根の収量が増大した塊根植物の製造方法
出願人国立大学法人 宮崎大学,国立研究開発法人理化学研究所,株式会社くしまアオイファーム
代理人弁理士法人平木国際特許事務所
主分類A01H 1/06 20060101AFI20240430BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約【課題】塊根の収量が増大した塊根植物の製造方法の提供。
【解決手段】塊根植物に重イオンビームを照射する工程、及び前記工程により得られた植物又はその子孫植物の中から塊根の収量が増大した塊根植物を選抜する工程を含む、塊根の収量が増大した塊根植物の製造方法。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
塊根植物に重イオンビームを照射する工程、及び前記工程により得られた植物又はその子孫植物の中から塊根の収量が増大した塊根植物を選抜する工程を含む、塊根の収量が増大した塊根植物の製造方法。
続きを表示(約 390 文字)【請求項2】
重イオンビームが、100~200 keV/μmの線エネルギー付与(LET)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
重イオンビームがアルゴンイオンビームである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
塊根植物がサツマイモである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法によって塊根の収量が増大した塊根植物を製造する工程を含む、塊根植物の育種方法。
【請求項6】
重イオンビームが、100~200 keV/μmの線エネルギー付与(LET)を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
重イオンビームがアルゴンイオンビームである、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
塊根植物がサツマイモである、請求項5又は6に記載の方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、塊根の収量が増大した塊根植物の製造方法に関する。具体的には、本発明は、塊根植物に重イオンビームを照射する工程、及び前記工程により得られた植物又はその子孫植物の中から塊根の収量が増大した塊根植物を選抜する工程を含む、塊根の収量が増大した塊根植物の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
植物の根の一部が肥大して塊状となったものである塊根を形成する植物(塊根植物)にはサツマイモ、キャッサバ、ヤマノイモ、及びヤーコン等の種々の作物が含まれる。これらのうち特にサツマイモは世界的に重要な作物であり、国内においては青果用、加工用、食品用の需要が安定的に高く、また海外においても需要が伸びている。
【0003】
今後世界人口が増加し、食料需要が急拡大すると見込まれることからも、サツマイモをはじめとする塊根植物の高収量・高付加価値化が求められている。
【0004】
現在、植物の育種は典型的には交配育種によって行われる。しかし、交配育種では、サツマイモのような倍数性が高くヘテロ性が強い植物の場合、計画的な育種が難しく、育種年限が長くなることが多い。そのため、育種年限を短縮し、画期的な新品種を早期に作出する方法が求められている。
【0005】
植物の育種はまた、X線、γ線又は重イオンビームの照射や化学物質での処理により植物に突然変異を導入し、目的形質を有する植物を選抜する方法によっても行われる(突然変異育種)。しかし、X線、γ線、又は化学物質を用いた突然変異育種では、目的形質以外の有用形質が損なわれてしまうことが多く、損なわれた有用形質を元に戻すためにさらに戻し交配を行う必要があるため、育種年限の短縮にはつながらない。一方、重イオンビームは、X線やγ線に比べ、局所的に与えるエネルギーの大きさを示す線エネルギー付与(LET;keV/μm)の値が高く、細胞に照射した場合、DNAに対してより局所的に損傷を与えることができ、それにより効率的に突然変異を導入することができる。したがって、重イオンビームは、低線量の照射でも高い効率で突然変異を導入することができる。重イオンビームを低線量で照射する場合には、ゲノム中で傷つける遺伝子数が低減され、元の品種がもっていた有用形質の損失が抑えられるため、育種年限の短縮に結び付く。
【0006】
重イオンビームを用いた突然変異育種は、これまでに花き植物、イネ、コムギ等の様々な植物の品種改良に用いられてきた(特許文献1、非特許文献1)。しかしながら、重イオンビームを用いた塊根植物の育種例は少なく、塊根植物に重イオンビームを照射した場合にどのような形質の変化がもたらされるかについては、未だ十分に解明されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2019-126339号公報
【非特許文献】
【0008】
平野智也、市田裕之、阿部知子、「重イオンビームで広がる花きの新品種作出」、化学と生物、2017、Vol. 55、No. 11、p. 775-782
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、塊根の収量が増大した塊根植物の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、重イオンビームを塊根植物に照射することによって塊根の収量が増大した変異体を生成できること、特に100~200 keV/μmのLETを有する重イオンビームを塊根植物に照射することによって塊根の収量が大幅に増大した変異体を生成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(【0011】以降は省略されています)

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