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公開番号2024060569
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-02
出願番号2023120090
出願日2023-07-24
発明の名称本態性高血圧症を検出するためのバイオマーカー、それを用いた検出方法及び検出試薬
出願人学校法人東京医科大学,公立大学法人横浜市立大学,東ソー株式会社
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類G01N 33/68 20060101AFI20240424BHJP(測定;試験)
要約【課題】本態性高血圧症を客観的かつ迅速に検出することができるマーカー、およびそれを用いた本態性高血圧症を検出する方法等を提供する。
【解決手段】 ミオシン重鎖11(MYH11)を、本態性高血圧症を検出するためのバイオマーカーとして使用し、ヒト体液中のMYH11の濃度を測定し、その濃度が基準値よりも高い場合には、本態性高血圧症が検出されたとし、当該基準値は、本態性高血圧症が認められなかったヒト体液中のMYH11濃度である方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
ミオシン重鎖11(MYH11)からなる、本態性高血圧症を検出するためのバイオマーカー。
続きを表示(約 390 文字)【請求項2】
ヒト体液中のMYH11の濃度を測定し、その測定値から本態性高血圧症を検出する方法。
【請求項3】
MYH11の濃度が基準値よりも高い場合には、本態性高血圧症が検出されたとし、当該基準値は、本態性高血圧症が認められなかったヒト体液中のMYH11濃度である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記体液が、血清又は血漿である、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
MYH11の濃度を測定する方法が免疫学的測定法である、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項6】
MYH11を特異的に認識する抗体を用いて行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
MYH11を特異的に認識する抗体を含有することを特徴とする、請求項5に記載の方法に使用するための検出試薬又は検出キット。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト体液中のミオシン重鎖11(Myosin heavy chain 11;MYH11)の濃度を指標として、本態性高血圧症を検出する方法等に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
高血圧は、本態性高血圧(原因がはっきりしないもの)と二次性高血圧(原因が特定できるもの)に分けられる。日本人の高血圧の約9割が本態性高血圧であり、生活習慣などの環境因子や遺伝的因子により起こるものである。一方、二次性高血圧は若年者に多く、血圧を上昇させるホルモンの異常や心臓・腎臓・血管の病気などで起こるものである。
【0003】
現在、本態性高血圧症の診断には家庭血圧測定が推奨されているが、自己測定では正しく計測できていない場合があり、患者自身がデータを選んで報告してしまう報告バイアスも存在する。
家庭血圧測定では、ガイドラインに則った方法で1日2回以上7日間の測定平均が求められているが、厳密に実行することは困難なケースがある。
別の方法として、カフ・オシロメトリック法による自動血圧計を用いて非観血的に24時間自由行動下に血圧を測定する方法ambulatory blood pressure monitoring (ABPM)があるが、その日の活動性や睡眠状態により値は変動するため、1回のABPMでは血圧の再現性は十分ではない。さらに、装置が高価であり被装着者の負担も大きいことから日常診療に用いることは容易ではない(非特許文献1)。
【0004】
本邦では約4300万人が本態性高血圧症に罹患していると推定され、このうち適切に血圧がコントロールされているのはわずか28%であり、残りの3100万人のうち、自らの本態性高血圧症を認識していない者が1400万人、認識しているが未治療の者が450万人、治療を受けているが管理不良の者が1250万人と推計されている。近年、2017年に米国(ACC/AHA2017)、2018年に欧州(ESC/ESH2018)、2019年に本邦(JSH2019)において高血圧症の治療ガイドライン(非特許文献1)が発表され、降圧目標値が定められた疾患が増えた。
【0005】
血圧と相関する血中蛋白としては、neurotensin(非特許文献2)、cyclophilin-A(非特許文献3)、long noncoding RNA NR_104160(非特許文献4)、has_miR-3656(非特許文献5)、has_circ_0014243(非特許文献6)が論文報告されている。非特許文献2~5は34名~86名を対象とした小規模検討であり、これらの血中蛋白により高血圧症を検出できると言える程度の相関関係は実証されていない。また、非特許文献6は178名を対象としているが、本態性高血圧症の検出はThe area under the ROC curve (AUC)=0.732であり、必ずしも十分な検出能とはいえない。
また、これらの報告を含めて本態性高血圧症を検出するバイオマーカーは見出されていない。
【0006】
MYH11はミオシン重鎖のサブタイプであり、血管平滑筋で特異的に高発現する構造タンパクであり、通常は細胞内に存在している。MYH11と血圧との関連は遺伝子改変動物やヒト高血圧症での遺伝子発現変化の観点からも報告がないため、血圧との関連を推定できるものではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
高血圧治療ガイドライン2019 日本高血圧学会
Clin. Exp. Hypertens., 2020;42(3):266-270. doi: 10.1080/10641963.2019.1632340.
Biomarkers., 2013 Dec;18(8):716-20. doi: 10.3109/1354750X.2013.847122.
Am. J. Transl., Res. 2020 Oct 15;12(10):6060-6075.
J. Hypertens., 2022 Feb 1;40(2):310-317. doi: 10.1097/HJH.0000000000003010.
Exp. Ther. Med., 2019 Mar;17(3):1728-1736. doi: 10.3892/etm.2018.7107.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、本態性高血圧症を客観的かつ迅速に検出することができるマーカー、およびそれを用いた本態性高血圧症を検出する方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題に関し鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち本発明は以下のとおりである。
【0010】
[1]ミオシン重鎖11(MYH11)からなる、本態性高血圧症を検出するためのバイオマーカー。
[2]ヒト体液中のMYH11の濃度を測定し、その測定値から本態性高血圧症を検出する方法。
[3]MYH11の濃度が基準値よりも高い場合には、本態性高血圧症が検出されたとし、当該基準値は、本態性高血圧症が認められなかったヒト体液中のMYH11濃度である、[2]に記載の方法。
[4]前記体液が、血清又は血漿である、[2]又は[3]に記載の方法。
[5]MYH11の濃度を測定する方法が免疫学的測定法である、[2]~[4]の何れかに記載の方法。
[6]MYH11を特異的に認識する抗体を用いて行われる、[5]に記載の方法。
[7]MYH11を特異的に認識する抗体を含有することを特徴とする、[5]又は[6]に記載の方法に使用するための検出試薬又は検出キット。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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