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公開番号2024060541
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-02
出願番号2022167989
出願日2022-10-19
発明の名称スタンパブルシート及びそれを用いた成形体
出願人三菱ケミカル株式会社,三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズ株式会社
代理人個人,個人
主分類B32B 5/28 20060101AFI20240424BHJP(積層体)
要約【課題】高い遮炎性と断熱性を兼ね備えたスタンパブルシートを提供すること。
【解決手段】熱可塑性樹脂組成物(X)と無機繊維(Y)を含むスタンパブルシートであって、熱可塑性樹脂組成物(X)が熱可塑性樹脂とリン系難燃剤を含み、1200℃で5分加熱したときの膨張倍率が異なる2種以上の層を有する、スタンパブルシートである。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
熱可塑性樹脂組成物(X)と無機繊維(Y)を含むスタンパブルシートであって、
熱可塑性樹脂組成物(X)が熱可塑性樹脂とリン系難燃剤を含み、
1200℃で5分加熱したときの膨張倍率が異なる2種以上の層を有する、スタンパブルシート。
続きを表示(約 920 文字)【請求項2】
平均繊維長が30mm未満の短無機繊維と、平均繊維長が30mm以上の長無機繊維を含む、請求項1に記載のスタンパブルシート。
【請求項3】
熱可塑性樹脂組成物(X)と平均繊維長が30mm未満の短無機繊維を含む層(A)と、熱可塑性樹脂組成物(X)と平均繊維長が30mm以上の長無機繊維を含む層(B)を少なくとも有し、層(A)の1200℃で5分加熱したときの膨張倍率が、層(B)の1200℃で5分加熱したときの膨張倍率よりも大きい、請求項2に記載のスタンパブルシート。
【請求項4】
熱可塑性樹脂組成物(X)と無機繊維(Y)を含むスタンパブルシートであって、
熱可塑性樹脂組成物(X)が熱可塑性樹脂とリン系難燃剤を含み、
熱可塑性樹脂組成物(X)と平均繊維長が30mm未満の短無機繊維を含む層(A)と、熱可塑性樹脂組成物(X)と平均繊維長が30mm以上の長無機繊維を含む層(B)を少なくとも有する、スタンパブルシート。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂(X)を構成する熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン樹脂である、請求項1又は4に記載のスタンパブルシート。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂組成物(X)が、さらに分散剤を含む、請求項1又は4に記載のスタンパブルシート。
【請求項7】
前記分散剤がα-オレフィンと不飽和カルボン酸との共重合体である、請求項6に記載のスタンパブルシート。
【請求項8】
前記リン系難燃剤100質量部に対する分散剤の含有量が、0を超え25質量部以下である、請求項6に記載のスタンパブルシート。
【請求項9】
前記無機繊維(Y)がガラス繊維、セラミック繊維、金属繊維及び金属酸化物繊維から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は4に記載のスタンパブルシート。
【請求項10】
前記層(B)は、長無機繊維からなる無機繊維マットに熱可塑性樹脂が含浸されて一体化した層である、請求項3又は4に記載のスタンパブルシート。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、スタンパブルシート及びそれを用いた成形体に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
近年、環境対策の一環として電気自動車やハイブリット自動車の研究開発が進められており、航続距離の向上を目指した高エネルギー密度のバッテリー開発と軽量化が盛んに進められている。このような高エネルギー密度のバッテリーは不慮の事故により発火する恐れがあり、乗客への安全対策としてそのハウジング材は高い遮炎性が必要なため、鉄などの金属材料と耐火材が併用されている場合が多い。
しかしながら、金属材料は重くなる欠点があり、耐火材を併用する場合には加工性や部品点数増加によるコスト増が課題となっている。そこで、軽量化と遮炎性を両立する可能性を有する樹脂化が試みられている。現在、持続可能な社会に向け、二酸化炭素の抑制やリサイクル性が重要視されてきている。熱硬化系の材料は高い難燃性を有するものが多く、複合材としては一般的であるが、リサイクル性の面では熱可塑性の樹脂素材が有利となる。
【0003】
また、中国ではGB 38031-2020《電動自動車動力用バッテリーの安全要求》という安全規格が発表され、バッテリーの熱暴走の5分前に警告を発することが義務付けられているが、これは、バッテリーの発火後5分以上遮炎するハウジング材によっても達成できると考えられている。
【0004】
これらの課題に対し、例えば特許文献1では、炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂に臭素系難燃剤や酸化アンチモン化合物を添加したものなどが提案されている。しかしながら、ここで使用される添加剤は生体残留性に問題がある。
これに対し、生体残留性に配慮して、ポリプロピレン系樹脂を難燃化する技術として、特許文献2には、ポリオレフィン系樹脂に(ポリ)リン酸塩化合物を含有させた難燃性ポリオレフィン系組成物が提案されている。
また、特許文献3には、ポリプロピレン樹脂にガラス長繊維とリン酸塩化合物を含有した難燃性樹脂組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2014-62189号公報
特開2013-119575号公報
特開2011-88970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高エネルギー密度のバッテリーの軽量化と遮炎性を両立する可能性を有する従来の繊維強化複合材料技術では、不十分な点が多い。具体的には、繊維強化複合材料の材料となるスタンパブルシートには、高い遮炎性と、さらなる断熱性の向上が求められている。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、高い遮炎性と断熱性を兼ね備えたスタンパブルシートを提供することを課題とする
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂組成物(X)と無機繊維(Y)を含み、熱可塑性樹脂組成物(X)が熱可塑性樹脂とリン系難燃剤を含み、特定の条件で加熱したときの膨張倍率が異なる2種以上の層を有するスタンパブルシートが、上記の課題を解決できることを見出し、これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[12]を提供する。
[1]熱可塑性樹脂組成物(X)と無機繊維(Y)を含むスタンパブルシートであって、熱可塑性樹脂組成物(X)が熱可塑性樹脂とリン系難燃剤を含み、1200℃で5分加熱したときの膨張倍率が異なる2種以上の層を有する、スタンパブルシート。
[2]平均繊維長が30mm未満の短無機繊維と、平均繊維長が30mm以上の長無機繊維を含む、上記[1]に記載のスタンパブルシート。
[3]熱可塑性樹脂組成物(X)と平均繊維長が30mm未満の短無機繊維を含む層(A)と、熱可塑性樹脂組成物(X)と平均繊維長が30mm以上の長無機繊維を含む層(B)を少なくとも有し、層(A)の1200℃で5分加熱したときの膨張倍率が、層(B)の1200℃で5分加熱したときの膨張倍率よりも大きい、上記[2]に記載のスタンパブルシート。
[4]熱可塑性樹脂組成物(X)と無機繊維(Y)を含むスタンパブルシートであって、熱可塑性樹脂組成物(X)が熱可塑性樹脂とリン系難燃剤を含み、熱可塑性樹脂組成物(X)と平均繊維長が30mm未満の短無機繊維を含む層(A)と、熱可塑性樹脂組成物(X)と平均繊維長が30mm以上の長無機繊維を含む層(B)を少なくとも有する、スタンパブルシート。
[5]前記熱可塑性樹脂(X)を構成する熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン樹脂である、上記[1]~[4]のいずれかに記載のスタンパブルシート。
[6]前記熱可塑性樹脂組成物(X)が、さらに分散剤を含む、上記[1]~[5]のいずれかに記載のスタンパブルシート。
[7]前記分散剤がα-オレフィンと不飽和カルボン酸との共重合体である、上記[6]に記載のスタンパブルシート。
[8]前記リン系難燃剤100質量部に対する分散剤の含有量が、0を超え25質量部以下である、上記[6]又は[7]に記載のスタンパブルシート。
[9]前記無機繊維(Y)がガラス繊維、セラミック繊維、金属繊維及び金属酸化物繊維から選ばれる少なくとも1種である、上記[1]~[8]のいずれかに記載のスタンパブルシート。
[10]前記層(B)は、長無機繊維からなる無機繊維マットに熱可塑性樹脂が含浸されて一体化した層である、上記[3]又は4に記載のスタンパブルシート。
[11]前記リン系難燃剤の含有量が全重量に対して1~30質量%である、上記[1]~[10]のいずれかに記載のスタンパブルシート。
[12]上記[1]~[10]のいずれかに記載のスタンパブルシートをスタンピング成形してなる成形体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高い遮炎性と断熱性を兼ね備えたスタンパブルシートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明のスタンパブルシートの構成及び製造方法を示す模式図である。
(【0011】以降は省略されています)

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