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公開番号
2024059468
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-05-01
出願番号
2022167152
出願日
2022-10-18
発明の名称
遊星式回転-直動運動変換装置
出願人
個人
代理人
主分類
F16H
25/20 20060101AFI20240423BHJP(機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段)
要約
【課題】
本発明の主要な課題は、微細な直動を簡便な構成で実現することと、直動変換効率の高い遊星式回転-直動運動変換装置を提供することである。
【解決手段】
本開示による遊星式回転-直動運動変換装置は、従来技術と比較すると歯丈が高く、粗いピッチの螺旋溝が選定される。
歯形の形状選定と組み合わせによって遊星軸の螺旋溝が異なった基準径で、太陽軸及びリング軸の螺旋溝と係合し、走行軸と遊星軸の軸線位置不動を崩す螺旋溝諸元の採択によって、微細直動を生み出している。
走行軸と遊星軸との係合伝動、公転軸と遊星軸との係合伝動には、滑りを強要する仕組みはなく、効率よく直動に変換する遊星式回転-直動運動変換装置が提供される。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
互いに平行な回転軸線を有する太陽軸(1)、遊星軸(2)、リング軸(3)を有し、
公転軸(3または1)、走行軸(1または3)何れかの役目に振分けられる前記太陽軸(1)と前記リング軸(3)、及び前記遊星軸(2)は、それぞれが互いに協働して遊星式回転-直動運動変換機構を構成し、
前記公転軸(3または1)と前記遊星軸(2)とに、単一の螺旋溝(3tまたは1t、2t)と平歯車(8、7)とが併設され、それぞれが係合する前記螺旋溝(3tまたは1t、2t)の基準径比とそれぞれが噛合する前記平歯車(8、7)の歯数比とは同一であり、
前記走行軸(1または3)に螺旋溝(1tまたは3t)が設けられ、係合する前記遊星軸(2)の前記螺旋溝(2t)の基準径(9)と、前記公転軸(3または1)の前記螺旋溝(3tまたは1t)と係合する前記遊星軸(2)の前記螺旋溝(2t)の基準径(10)とに差異があり、
前記差異の大きさに応じて公転軸(3または1)に対する走行軸(1または3)の移動量が異なる遊星式回転-直動運動変換装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊星式回転-直動運動変換装置に関するものである。
続きを表示(約 2,500 文字)
【背景技術】
【0002】
回転を直動に変換する回転-直動運動変換装置であって、転動体を介在させた高効率な回転―直動運動変換装置としては、ボールネジ式と遊星式の回転-直動運動変換装置が知られている。ボールネジ式は回転-直動、及び直動-回転の双方向運動変換に優れている。他方遊星式は、回転を微細直動への運動変換に長けていて、変換された微細直動は、増幅され強大な軸線荷重を生み出すことが出来る。
特許文献1、2に開示された遊星式回転-直動運動変換装置の如く、課せられた制約の範囲で、微細な直動運動を提供できる諸元を見出して、開示したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平10-196757
特開2007-051684
特開2007-056952
特開平08-338461
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遊星式回転-直動運動変換装置は、微細な直動運動を得ることを主眼とする機械要素だが、構造的には太陽軸とリング軸の間に転動体である遊星軸を介在させ、太陽軸またはリング軸の一方の回転を他方の直動に運動変換させる装置であって、使い勝手から、遊星軸を太陽軸またはリング軸の一方に対して、軸線位置が不動であることを求められる。
具体例で説明すると、走行軸である太陽軸に回転を与えると想定すれば、螺旋溝を施した遊星軸は、自転によってリング軸の螺旋溝を手繰って軸線に移動するが、他方でリング軸の多条螺旋溝には、遊星軸の公転を利用して、遊星軸を引き戻す捩じりを螺旋溝に施すことによって、遊星軸の自転直動を公転直動で相殺されて、遊星軸の軸線移動を不動とすることが出来る。この軸線位置不動の条件他を満たすために、3軸各々の螺旋溝諸元の選定にはさまざまな制約が課せられている。
遊星式回転-直動運動変換装置の主たる役割は、特許文献1及び2でも開示されているように、直動変換の微細化であって、微細化を妨げる制約こそが最大の障壁であり、打ち破るべき課題である。
【0005】
特許文献3によれば、2系列の遊星歯車機構を併設して、微細直動を提供する遊星式回転-直動運動変換機構が知られている。螺旋溝による遊星式回転-直動運動変換機構に平歯車による遊星歯車機構を加えることによって、太陽軸またはリング軸の内の一方と遊星軸の軸線不動の状態を崩して直動運動を発生させている。明細書段落0134の説明によると、螺旋溝と平歯車の諸元設定は、遊星軸に対して太陽軸、リング軸共に軸線位置不動の状態である。
段落0135では太陽軸平歯車の歯数を置換して、太陽軸に対し遊星軸が直動する諸元が与えられている。言い換えれば、直動を発生させる軸と遊星軸との螺旋溝係合に滑りが発生することを容認する構成であり、摩擦抵抗や効率低下を引き起こす要因である。
【0006】
特許文献4に開示された如く、遊星軸には太陽軸と係合する螺旋溝とリング軸に係合する環状溝とが同一領域に併設されており、係合溝強度を低下させる欠点がある。また僅かな違いに設定された係合溝を、同じ領域に施すことは難しく、係合溝諸元は制限される。
【0007】
説明において、遊星軸に対して、太陽軸またはリング軸の一方を、軸線位置不動に設定するが、この軸を公転軸と表す。他方の軸は軸線に移動することによって、回転運動が直動運動に変換されるが、この軸を走行軸と表現する。
また螺旋溝の係合する直径の呼称は、単なるネジ溝なら「有効径」、螺条歯車や平歯車なら「基準円直径」と呼称するが、以下の説明に於いては「基準円直径」を略して、「基準径」を総称として使用するものとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来技術における遊星式回転-直動運動変換装置は、遊星軸の係合溝が同じ基準径で太陽軸の係合溝及びリング軸の係合溝と係合しているために様々な制限を受ける原因となっている。
本発明によれば、互いに平行な軸線を有する太陽軸と遊星軸とが、それぞれの螺旋溝により係合し、互いに平行な軸線を有する遊星軸とリング軸とが、それぞれの螺旋溝により係合することにより、回転運動と直動運動との間で運動形態を変換する、遊星式回転-直動運動変換装置において、
前記太陽軸の前記螺旋溝の基準径と接する前記遊星軸の前記螺旋溝の基準径と、前記リング軸の前記螺旋溝の基準径と接する前記遊星軸の前記螺旋溝の基準径とが異なる遊星式回転-直動運動変換装置によって達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、太陽軸と遊星軸との回転比、リング軸と遊星軸との回転比は個別に設定されることが特徴である。これによって走行軸と遊星軸の回転比と条数比に差の大きさに応じて自在に直動運動量を調整することができる。
特許文献1及び2ほどの制限を受けず、より微細で且つ求める直動変換を得ることが出来る。従来技術では直動を微細にするために、細目の螺旋溝が使われる例が見られるが微細直動によって増幅される強大な軸線荷重に見合う螺旋溝ピッチを適応しても、微細な直動を得ることができる。
本願発明では、それぞれの軸の係合回転は、基準径比に準じて回転伝動する構成であるので、特許文献3で起きる不必要な滑りが発生しない構成である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
遊星式回転-直動運動変換装置の一例を示した断面図である。
図1に示す遊星式回転-直動運動変換装置の太陽軸に設けた螺旋溝と遊星軸の螺旋溝の係合部を拡大した断面図である。
図1に示す遊星式回転-直動運動変換装置のリング軸に設けた螺旋溝と遊星軸の螺旋溝の係合部を拡大した断面図である。
(【0011】以降は省略されています)
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