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公開番号2024059162
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-01
出願番号2022166670
出願日2022-10-18
発明の名称製紙用サイズ剤
出願人ハイモ株式会社
代理人
主分類D21H 21/16 20060101AFI20240423BHJP(製紙;セルロースの製造)
要約【課題】
本発明は製紙工程で使用される従来のロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤、ケテンダイマー系サイズ剤に比べて、硫酸バンドや有機凝結剤を必要とせず優れたサイズ効果を有する製紙用サイズ剤を提供することを課題とする。
【解決手段】
カチオン性高分子と連鎖移動剤存在下、1種以上の疎水性単量体を乳化重合して得られる製紙用サイズ剤であって、疎水性単量体が、20℃における水への溶解度が1質量%以下である、製紙用サイズ剤によって前記課題を解決できる。カチオン性高分子が、カチオン性高分子と疎水性単量体の量に対し、5~40質量%であることが好ましい。
【選択図】 なし

特許請求の範囲【請求項1】
カチオン性高分子と連鎖移動剤存在下、1種以上の疎水性単量体を乳化重合して得られる高分子を含有する製紙用サイズであって、前記疎水性単量体が、20℃における水への溶解度が1質量%以下であることを特徴とする製紙用サイズ剤。
続きを表示(約 700 文字)【請求項2】
前記カチオン性高分子が、80質量%以上のカチオン性単量体とこれと共重合可能な単量体を重合して得られるものである請求項1記載の製紙用サイズ剤。
【請求項3】
前記カチオン性高分子が、カチオン性高分子と疎水性単量体の量に対し、5~40質量%である請求項1または2記載の製紙用サイズ剤。
【請求項4】
連鎖移動剤が、カチオン性高分子と疎水性単量体の量に対し、0.01~1質量%である請求項1または2記載の製紙用サイズ剤。
【請求項5】
前記カチオン性高分子が、カチオン性高分子と疎水性単量体の量に対し、5~40質量%であり、前記連鎖移動剤が、カチオン性高分子と疎水性単量体の量に対し、0.01~1質量%である請求項1または2記載の製紙用サイズ剤。
【請求項6】
疎水性単量体を重合して得られる高分子のガラス転移温度が-10~80℃である請求項1または2記載の製紙用サイズ剤。
【請求項7】
前記カチオン性高分子が、カチオン性高分子と疎水性単量体の量に対し、5~40質量%であり、疎水性単量体を重合して得られる高分子のガラス転移温度が-10~80℃である請求項1または2記載の製紙用サイズ剤。
【請求項8】
前記カチオン性高分子が、カチオン性高分子と疎水性単量体の量に対し、5~40質量%であり、前記連鎖移動剤が、カチオン性高分子と疎水性単量体の量に対し、0.01~1質量%であり、疎水性単量体を重合して得られる高分子のガラス転移温度が-10~80℃である請求項1または2記載の製紙用サイズ剤。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は製紙用高分子型サイズ剤に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
製紙用サイズ剤としては、主としてロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤、ケテンダイマー系サイズ剤が使用されている。しかし、ロジン系サイズ剤は酸性条件で使用する必要があり、中性以上では効果が低下し、又、定着剤として硫酸バンド、有機凝結剤等が必要であり、添加により紙力が低下するという問題がある。更にアルケニル無水コハク酸系サイズ剤、ケテンダイマー系サイズ剤は、機械安定性、貯蔵安定性等に問題があり、抄紙系内が汚染されやすいという問題がある。
一方、カチオン性高分子分散剤存在下で乳化重合により得られるサイズ剤が知られている(特許文献1~4参照)。これらはいずれもカチオン性単量体と疎水性単量体等を重合して得られる高分子分散剤を使用するものであるが、このようにして得られるサイズ剤は、高分子分散剤の分散性能が不十分である、高分子分散剤を別途製造する必要があり工程が煩雑になる、サイズ性能が不十分である等の問題があった。
【0003】
特開2001-262495号公報
特開2002-129494号公報
特開2006-16712号公報
特開2009-235597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤、ケテンダイマー系サイズ剤の上記課題を解決し、硫酸バンド、有機凝結剤等のサイズ剤の定着剤を必要とせず、簡易な操作で得られ、サイズ効果の高い製紙用高分子型サイズ剤に関する。又、ロジンに見られる様な紙力の低下を伴なわない製紙用高分子型サイズ剤に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために鋭意検討した結果、カチオン性高分子と連鎖移動剤の存在下、特定の疎水性を有する1種以上の疎水性単量体を乳化重合することにより得られる高分子を含有する製紙用サイズ剤が上記課題を解決することを見出した。即ち本発明は、カチオン性高分子と連鎖移動剤存在下、1種以上の疎水性単量体を乳化重合して得られる製紙用サイズ剤であって、疎水性単量体が、20℃における水への溶解度が1質量%以下である、製紙用サイズ剤である。
【0006】
サイズ効果が発現するためには、親水性である紙を構成するパルプ表面を疎水性の物質で被覆する必要がある。疎水性の高分子でパルプ表面を効率的に被覆するためには、抄紙時に、高分子が高い流動性を有する状態を経由する必要があると考えられる。即ち乾燥工程の加温時に流動状態となり、室温では固体様の状態になることが好ましいと考えられる。
高分子が室温で固体であり、抄紙の際の加温工程で高い流動性を有するためには、高分子が一定のガラス転移温度と適度に小さい分子量を有する必要があると考え本発明に至った。更に、この場合には、ロジン等のサイズ剤にみられるような添加による紙力の低下を起こさないことを見出した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、硫酸バンド、有機凝結剤等を使用することなく効果を発揮し、又、ロジン等のサイズ剤に見られるような添加による紙力の低下を引き起こさず、簡易な製造工程で高い効果を有する製紙用サイズ剤を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の製紙用サイズ剤は、主として乳化重合して得ることができる。所定の反応容器にカチオン性高分子、疎水性単量体混合物、連鎖移動剤、ラジカル重合開始剤、水、必要に応じ界面活性剤を添加し、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、攪拌、加温することにより目的の高分子を得ることができる。
【0009】
先ず、カチオン性高分子について説明する。カチオン性高分子は、カチオン性単量体を主成分とする単量体を水中で重合して得ることができる。重合法は、溶液重合、乳化重合、分散重合等、公知の方法が適用可能であるが、溶液重合が好ましい。
【0010】
カチオン性単量体のうち三級アミノ基含有カチオン性単量体の例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ-ト、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの塩等が挙げられる。
又、四級アンモニウム塩基含有カチオン性単量体の例としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシ2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。又、ジアリルメチルアミン、ジアリルベンジルアミン、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルメチルベンジルアンモニウムクロリド等が挙げられる。これらを二種以上組み合わせることも可能である。これらのうち、アクリル酸誘導体が好ましい。
(【0011】以降は省略されています)

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