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公開番号2024052073
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-11
出願番号2022158526
出願日2022-09-30
発明の名称ピッチコントロール剤
出願人株式会社片山化学工業研究所
代理人弁理士法人池内アンドパートナーズ
主分類D21H 21/02 20060101AFI20240404BHJP(製紙;セルロースの製造)
要約【課題】 しみ出し欠点の抑制とピッチ分散性の向上とを実現可能なピッチコントロール剤の提供。
【解決手段】モノテルペンと、界面活性剤Aと、界面活性剤Bと、界面活性剤Cとを含有するピッチコントロール剤であって、
界面活性剤Aが、HLBが9.6~10.6であり、曇点を有さない非イオン界面活性剤であり、
界面活性剤Bが、アルキル基の炭素数が10~15であり、曇点を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルである界面活性剤であり、
界面活性剤Cが、アルキル基の炭素数が16以上であり、曇点を有する、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルアミンからなる群から選択される界面活性剤であるピッチコントロール剤。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
モノテルペンと、界面活性剤Aと、界面活性剤Bと、界面活性剤Cとを含有するピッチコントロール剤であって、
前記界面活性剤Aが、HLBが9.6~10.6であり、曇点を有さない非イオン界面活性剤であり、
前記界面活性剤Bが、アルキル基の炭素数が10~15であり、曇点を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルであり、
前記界面活性剤Cが、アルキル基の炭素数が16以上であり、曇点を有する、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルアミンからなる群から選択される、ピッチコントロール剤。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記界面活性剤Bが、曇点が40~80℃である、第2級アルコールのポリアルキレンオキシド付加物及び第1級アルコールのポリアルキレンオキシド付加物の少なくとも一方である、請求項1記載のピッチコントロール剤。
【請求項3】
前記界面活性剤Cの曇点が、60℃以上である、請求項1記載のピッチコントロール剤。
【請求項4】
界面活性剤Aが、ポリオキシアルキレンひまし油、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル並びにポリオキシアルキレンアルキルアミンからなる群から選択される、請求項1から3のいずれかに記載のピッチコントロール剤。
【請求項5】
紙の製造工程におけるピッチコントロール方法であって、
製紙工程水系に、モノテルペン、界面活性剤A、界面活性剤B、及び界面活性剤Cを添加することを含み、
前記界面活性剤Aが、HLBが9.6~10.6であり、曇点を有さない非イオン界面活性剤であり、
前記界面活性剤Bが、アルキル基の炭素数が10~15であり、曇点を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルであり、
前記界面活性剤Cが、アルキル基の炭素数が16以上であり、曇点を有する、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルアミンからなる群から選択される、ピッチコントロール方法。
【請求項6】
製紙におけるピッチ欠点の発生を抑制する方法であって、
パルプスラリーに、モノテルペン、界面活性剤A、界面活性剤B、及び界面活性剤Cを添加することを含み、
前記界面活性剤Aが、HLBが9.6~10.6であり、曇点を有さない非イオン界面活性剤であり、
前記界面活性剤Bが、アルキル基の炭素数が10~15であり、曇点を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルであり、
前記界面活性剤Cが、アルキル基の炭素数が16以上であり、曇点を有する、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルアミンからなる群から選択される、ピッチ欠点の発生抑制方法。
【請求項7】
モノテルペンと、非イオン界面活性剤A1と、非イオン界面活性剤B1と、非イオン界面活性剤C1とを含有するピッチコントロール剤であって、
前記非イオン界面活性剤A1が、ポリオキシアルキレンひまし油及びポリオキシアルキレン硬化ひまし油の少なくとも一方であり、
前記非イオン界面活性剤B1が、アルキル基の炭素数が10~15であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルであり、
前記非イオン界面活性剤C1が、アルキル基の炭素数が16以上である、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルアミンからなる群から選択される、ピッチコントロール剤。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、ピッチコントロール剤、ピッチコントロール方法及びピッチ欠点の発生抑制方法に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
従来から、製紙工程(なかでも特に抄紙工程)においてはピッチによる障害が発生することが問題となっている。これを抑制及び/又は防止するために、様々な薬剤の開発が行われている。ピッチとは、木材、パルプ及び紙等から遊離した天然樹脂やガム物質、さらには紙及びパルプの製造工程で使用される添加剤等に由来する有機物を主体とする非水溶性の粘着物質のことをいう。
【0003】
一般に、ピッチは、紙及びパルプの製造における工程水、すなわち、パルプスラリーや白水等の中においてコロイド状態で分散している。しかし、何らかの外的作用がピッチに作用することによってそのコロイド状態が破壊され、その結果、ピッチが凝集して巨大化すると考えられている。外的作用としては、例えば、大きな剪断力、pHの急激な変化、及び硫酸バンド(硫酸アルミニウム)の過剰添加等がある。
凝集して巨大化したピッチは、その粘着性により、ファンポンプ、配管内、チェスト、ワイヤー、フェルト及びロール等の製造装置類に付着するだけでなく、この付着物が剥離して紙やパルプに再付着する。ピッチが再付着することによって、形成された紙の汚点及び/又は欠点が紙製品の品質を低下させ、さらには発生する断紙が生産性・作業性を低下させる等の障害を引き起こす。
【0004】
欠点の一つとしてしみ出し欠点があり、近年、このしみ出し欠点の発生が大きな問題の一つになっている。しみ出し欠点は、ピッチに含まれる蜜蝋やパラフィンワックスが、抄紙後の加熱乾燥工程において溶け出し、紙表面にしみ出すことで生じる欠点をいう。古紙として蝋引き段古紙の回収量の増加に伴い、しみ出し欠点の発生頻度が増加しているため、しみ出し欠点の抑制が求められている。
【0005】
ピッチ障害を抑制するために、様々な方法が提案されている。特許文献1は、ポリオキシエチレンアルキルアミン化合物である非イオン界面活性剤を用いたピッチ障害の抑制方法を開示する。特許文献2は、ポリオキシアルキレンアルキルアミンブロック共重合体、有機ホスホン酸及び非イオン界面活性剤(ポリオキシアルキレンアルキルアミンを除く)を有効成分とするストーンロール汚れ防止剤を用いた、ストーンロールからの湿紙の剥離性の改善方法に関する。同文献は、該ストーンロール汚れ防止剤によってピッチの堆積を防ぐことを開示する。特許文献3は、ポリオキシアルキレンアルキルアミン及びポリオキシアルキレンアルキルアミドからなる群から選択される一つと、金属イオン封鎖剤とを含むピッチコントロール剤を開示する。特許文献4は、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、d-リモネン、メタケイ酸ナトリウム、硫酸ラウリル、炭酸プロピレン及びそれらの混合物を用いて、パルプ紙料中のワックスを分離除去する方法を開示する。特許文献5は、リモネン、ノニオン性界面活性剤及びアルカリ性化合物を含む薬剤を使用して、製紙工程におけるピッチ障害を防止する方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特公昭63-23320号公報
特開平11-217787号公報
特開平04-352893号公報
特表2003-517520号公報
特開2008-007862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の方法では、製紙工程におけるピッチの発生を十分に抑制できているとは言えず、特に、抄紙後に得られる紙表面におけるしみ出し欠点の抑制と、製紙工程において発生し得るピッチの分散性向上とを実現可能な新たな薬剤が求められている。
【0008】
本開示は紙の製造工程において、しみ出し欠点の抑制とピッチ分散性の向上とを実現可能なピッチコントロール剤、ピッチコントロール方法及びピッチ欠点の発生抑制方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、一態様として、モノテルペンと、界面活性剤Aと、界面活性剤Bと、界面活性剤Cとを含有するピッチコントロール剤であって、
前記界面活性剤Aが、HLBが9.6~10.6であり、曇点を有さない非イオン界面活性剤であり、
前記界面活性剤Bが、アルキル基の炭素数が10~15であり、曇点を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルであり、
前記界面活性剤Cが、アルキル基の炭素数が16以上であり、曇点を有する、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルアミンからなる群から選択される、ピッチコントロール剤に関する。
【0010】
本開示は、その他の態様として、紙の製造工程におけるピッチコントロール方法であって、
製紙工程水系に、モノテルペン、界面活性剤A、界面活性剤B、及び界面活性剤Cを添加することを含み、
前記界面活性剤Aが、HLBが9.6~10.6であり、曇点を有さない非イオン界面活性剤であり、
前記界面活性剤Bが、アルキル基の炭素数が10~15であり、曇点を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルであり、
前記界面活性剤Cが、アルキル基の炭素数が16以上であり、曇点を有する、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルアミンからなる群から選択される、ピッチコントロール方法に関する。
(【0011】以降は省略されています)

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