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公開番号2024048650
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-09
出願番号2022154678
出願日2022-09-28
発明の名称酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子の製造方法
出願人太平洋セメント株式会社
代理人弁理士法人アルガ特許事務所
主分類C01B 35/10 20060101AFI20240402BHJP(無機化学)
要約【課題】適正量の酸化ホウ素を含有させ、従来よりも誘電正接の低い無機酸化物中空粒子の製造方法を提供すること。
【解決手段】原料ホウ素化合物を含有する原料溶液の液滴を熱分解炉内に噴霧し、液滴を熱分解する工程を含む酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子の製造方法であって、
熱分解炉内の温度(℃)と、酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子中の酸化ホウ素の含有量の減少率(%)との関係を回帰分析して回帰式を求め、当該回帰式に基づいて、熱分解炉内の設定温度に対応した原料ホウ素化合物の使用量を決定する、製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
原料ホウ素化合物を含有する原料溶液の液滴を熱分解炉内に噴霧し、液滴を熱分解する工程を含む酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子の製造方法であって、
熱分解炉内の温度(℃)と、酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子中の酸化ホウ素の含有量の減少率(%)との関係を回帰分析して回帰式を求め、当該回帰式に基づいて、熱分解炉内の設定温度に対応した原料ホウ素化合物の使用量を決定する、製造方法。
続きを表示(約 500 文字)【請求項2】
回帰式が、下記式(1);
y=αx+β (1)
〔式(1)中、
xは、熱分解炉内の温度(℃)を示し、
yは、当該温度にて製造された酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子中の酸化ホウ酸の含有量の減少率(%)を示し、
α及びβは、相互に独立に、実数の定数を示す。〕
で表されるものである、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
原料ホウ素化合物の使用量が、予め設定した酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子の組成に基づいて算出される原料ホウ素化合物のモル数に対するモル比として、下記式(2)より算出される値である、請求項2記載の製造方法。
TIFF
2024048650000006.tif
15
170
〔式(2)中、|y|は、前記式(1)より算出された酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子中の酸化ホウ酸の含有量の減少率(%)の絶対値を示す。〕
【請求項4】
熱分解炉内の温度が、800~1500℃である、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
近年、5Gや6G等の高速通信規格の普及に伴い、電子材料分野における低誘電フィラー材の需要が増加している。5G, 6G等の高い周波数帯での通信においては、回路信号の伝送損失が大きくなるため、より誘電正接の低い材料が望まれている。
【0003】
従来、誘電正接の低い無機酸化物中空粒子として、例えば、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、2族元素酸化物及びアルカリ金属酸化物を含む無機酸化物により形成された無機酸化物中空粒子であって、ホウ素酸化物、2族元素酸化物及びアルカリ金属酸化物の各含有量が制御された無機酸化物中空粒子が提案されている(特許文献1)。また、外殻で覆われた空洞が1以上の隔壁によって区切られた複数の独立した空間を備える無機酸化物中空粒子であって、ホウ素酸化物、ナトリウム酸化物、カルシウム酸化物、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物及びマグネシウム酸化物の各含有量が制御された無機酸化物中空粒子も報告されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2021-143089号公報
特許第6959467号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、誘電正接の低い無機酸化物中空粒子を開発すべく検討したところ、無機酸化物中空粒子中に酸化ホウ素を含み、その含有量が多いほど、誘電正接の低下に有効であるが、酸化ホウ素は融点降下に寄与するため、酸化ホウ素の含有量が多くなり過ぎると、当該中空粒子の耐熱性の低下や、製造時に溶融が過剰に進行して空洞率の低下等を惹起する可能性があることから、誘電正接の低い無機酸化物中空粒子とするうえで、当該中空粒子中の酸化ホウ素の含有量を適切な範囲に設定する必要があるとの知見を得た。
無機酸化物中空粒子中の酸化ホウ素の含有量は、予め設定した酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子の組成に基づいて算出される原料ホウ素化合物の仕込みモル数によって決せられ、その仕込みモル数との間に化学量論関係が成立するはずである。しかし、本発明者らは、予め設定した酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子の組成に基づいて調製した原料ホウ素化合物を含有する原料溶液を用いて噴霧熱分解法により酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子を製造したところ、原料ホウ素化合物の仕込みモル数に比べて、当該中空粒子中の酸化ホウ素の含有量が大きく減少するという課題が存在することを見出した。
したがって、本発明の課題は、適正量の酸化ホウ素を含有させ、従来よりも誘電正接の低い酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は、次の〔1〕~〔4〕を提供するものである。
〔1〕原料ホウ素化合物を含有する原料溶液の液滴を熱分解炉内に噴霧し、液滴を熱分解する工程を含む酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子の製造方法であって、
熱分解炉内の温度(℃)と、酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子中の酸化ホウ素の含有量の減少率(%)との関係を回帰分析して回帰式を求め、当該回帰式に基づいて、熱分解炉内の設定温度に対応した原料ホウ素化合物の使用量を決定する、製造方法。
〔2〕回帰式が、下記式(1);
y=αx+β (1)
〔式(1)中、
xは、熱分解炉内の温度(℃)を示し、
yは、当該温度にて製造された酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子中の酸化ホウ酸の含有量の減少率(%)を示し、
α及びβは、相互に独立に、実数の定数を示す。〕
で表されるものである、前記〔1〕記載の製造方法。
〔3〕原料ホウ素化合物の使用量が、予め設定した酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子の組成に基づいて算出される原料ホウ素化合物のモル数に対するモル比として、下記式(2)より算出される値である、前記〔2〕記載の製造方法。
TIFF
2024048650000002.tif
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〔式(2)中、|y|は、前記式(1)より算出された酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子中の酸化ホウ酸の含有量の減少率(%)の絶対値を示す。〕
〔4〕熱分解炉内の温度が、800~1500℃である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、適正量の酸化ホウ素を含有させ、従来よりも誘電正接の低い酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
熱分解炉内の温度(℃)と、当該温度にて製造された酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子中の酸化ホウ素の含有量の減少率(%)との関係を示す図である。
粒子強度の測定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の製造方法は、原料ホウ素化合物を含有する原料溶液の液滴を熱分解炉内に噴霧し、液滴を熱分解する工程を含む噴霧熱分解法により酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子を製造するところ、熱分解炉内の温度(℃)と、酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子中の酸化ホウ素の含有量の減少率(%)との関係を回帰分析して回帰式を求め、当該回帰式に基づいて、熱分解炉内の設定温度に対応した原料ホウ素化合物の使用量を決定することを特徴とする。
【0010】
無機酸化物中空粒子中の酸化ホウ素の含有量は、予め設定した酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子の組成に基づいて算出される原料ホウ素化合物の仕込みモル数によって決せられ、その仕込みモル数との間に化学量論関係が成立するはずである。しかし、酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子の組成を設定し、この設定値に基づいて調製した原料ホウ素化合物含有原料溶液を用いて噴霧熱分解法により製造したところ、前記原料ホウ素化合物の仕込みモル数に比べて、酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子中の酸化ホウ素の含有量が減少し、その減少率は、熱分解炉内の設定温度が高くなるほど大きくなるとの知見を本発明者らは得た(図1参照)。この点について、本発明者らは、原料溶液中の原料ホウ素化合物の溶解度が、他元素の原料化合物よりも低いため、析出した原料ホウ素化合物から生成した酸化ホウ素が無機酸化物中空粒子内に取り込まれずに分離し、この分離量が、熱分解炉内の温度が高いほど顕著になることが要因の一つであると推察する。
そこで、本発明者らは、熱分解炉内の設定温度(℃)と、酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子中の酸化ホウ素の含有量の減少率(%)との関係について詳細に検討した。その結果、熱分解炉内の設定温度(℃)と、酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子中の酸化ホウ素の含有量の減少率(%)とは密接に関連しており、両者の間に直線関係が成立するとの知見を得た(図1参照)。そして、この直線関係に基づいて、熱分解炉内の設定温度(℃)に対応した酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子中の酸化ホウ素の含有量の減少率(%)を推測し、その推測値を考慮して原料溶液中に仕込むべき原料ホウ素化合物の使用量を決定することで、適正量の酸化ホウ素を無機酸化物中空粒子に含有させることが可能になるため、従来よりも誘電正接の低い酸化ホウ素含有無機酸化物中空粒子を製造できることを本発明者らは見出した。
(【0011】以降は省略されています)

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