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公開番号2024043884
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-02
出願番号2022149113
出願日2022-09-20
発明の名称ノズルシステム
出願人日本製鉄株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類B22D 11/10 20060101AFI20240326BHJP(鋳造;粉末冶金)
要約【課題】取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶融金属を下向きに供給した場合に、ノズル内の二次メニスカスに溶融金属を叩き込んで多数の気泡を生成させ、且つ、当該気泡をノズル内に適切に回収することが可能なシステムを開示する。
【解決手段】本開示のノズルシステムにおいては、(1)TP<5ton/min、θ>15°、H≧600mm、250mm≦LD≦450mm、且つ、150mm≦D2≦350mmがなる条件が満たされるか、(2)TP≧5ton/min、0°<θ≦15°、400mm≦LD≦600mm、且つ、150mm≦D2≦350mmなる条件が満たされるか、又は、(3)TP≧5ton/min、θ>15°、H<600mm、400mm≦LD≦600mm、且つ、150mm≦D2≦350mmなる条件が満たされる。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶融金属を供給するノズルシステムであって、
前記ロングノズルが、流入口、最小径部、拡径部、直筒部及び流出口を有する筒状単孔ノズルであり、
前記最小径部が、前記流出口よりも前記流入口側に存在し、
前記拡径部が、前記最小径部から前記直筒部に至るまで存在して、前記最小径部から前記直筒部に向かうにつれてノズルの内径が拡大しており、
前記直筒部が、前記拡径部の下端から前記流出口に至るまで存在し、
前記流出口が、前記タンディッシュにおける前記溶融金属の液面よりも下方、且つ、前記タンディッシュの底面よりも上方に位置し、
前記ロングノズルの内部に不活性ガスを含む気相領域と前記溶融金属の二次メニスカスとが存在し、
前記二次メニスカスが、前記最小径部よりも前記流出口側に存在し、
下記条件1-1~1-5が満たされるか、下記条件2-1~2-4が満たされるか、又は、下記条件3-1~3-5が満たされる、
ノズルシステム。
条件1-1:TP<5ton/min
条件1-2:θ>15°
条件1-3:H≧600mm
条件1-4:250mm≦L

≦450mm
条件1-5:150mm≦D

≦350mm
条件2-1:TP≧5ton/min
条件2-2:0°<θ≦15°
条件2-3:400mm≦L

≦600mm
条件2-4:150mm≦D

≦350mm
条件3-1:TP≧5ton/min
条件3-2:θ>15°
条件3-3:H<600mm
条件3-4:400mm≦L

≦600mm
条件3-5:150mm≦D

≦350mm
ここで、TPは、溶融金属のスループットであり、
θは、ノズルの長手断面形状において、前記拡径部におけるノズル内壁面とノズルの軸とのなす角度であり、
Hは、前記最小径部から前記タンディッシュにおける前記溶融金属の液面までの距離であり、


は、前記ロングノズルの浸漬深さであり、


は、前記流出口におけるノズルの内径である。
続きを表示(約 340 文字)【請求項2】
前記条件3-3が、H≦400mmなる条件である、
請求項1に記載のノズルシステム。
【請求項3】
下記条件4-1が満たされる、
請求項1に記載のノズルシステム。
条件4-1:50mm≦D

≦200mm
ここで、D

は、前記最小径部におけるノズル内径である。
【請求項4】
下記条件4-2が満たされる、
請求項3に記載のノズルシステム。
条件4-2:0.2≦D

/D

≦1.0
【請求項5】
前記タンディッシュが、堰を有しない、
請求項1~4のいずれか1項に記載のノズルシステム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本願は取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶融金属を供給するためのノズルシステムを開示する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
溶融金属の連続鋳造プロセスにおいて、取鍋から鋳型へと溶融金属を供給するための中間容器としてタンディッシュが用いられている。例えば、鋼の連続鋳造を想定した場合、タンディッシュは、(1)鋳型への溶鋼供給量の安定化機能、(2)複数の鋳型への溶鋼分配機能、(3)連続鋳造を複数の溶鋼鍋を用いて継続的に実施するためのバッファ機能、(4)非金属介在物の除去機能、などの複数の機能を有する。特に、清浄度が高い高級鋼材を効率的に生産する場合には、(4)非金属介在物の除去機能が極めて重要となる。
【0003】
溶鋼中の非金属介在物は、主として製鋼プロセス中で発生する酸化物や窒化物、硫化物などに由来する。このような非金属介在物が最終製品に残留した場合、例えば応力集中による破壊の起点となって、最終製品の材質を低下させることが知られている。また、製鋼プロセスそのものにおいても、耐火物流路の内壁に非金属介在物が付着・堆積し、流路の狭窄化や閉塞を引き起こすことで、円滑な製造を阻害するだけでなく、鋳造等の加工時に母材の表層・内部双方に欠陥を発生させ得ることから、製品歩留まりを低下させるなど、製造コストを圧迫する要因となる。そのため、多くの場合、溶鋼成分の最終調整が行われる二次精錬から鋳型に至るまでの限られた工程で、非金属介在物を溶鋼中から除去する必要がある。
【0004】
溶鋼から非金属介在物を除去するためには、一般的に、溶鋼と非金属介在物との比重差を利用して非金属介在物を溶鋼中で浮上させたうえで、フラックスと呼ばれる酸化物の浮遊層で回収する方法が採られるが、この際の浮上速度は小型の非金属介在物であるほど低下し、フラックス層で回収するまでの時間が長大化することが知られている。従って、溶鋼中の非金属介在物を低減するにあたり、非金属介在物の浮上に必要な時間を確保するためには、タンディッシュ内での非金属介在物の滞留時間を長くすることが有効と考えられる。
【0005】
一般的に、溶鋼鍋からタンディッシュへの溶鋼の供給は、流量調整機能を有するスライディングノズルと、下端をタンディッシュの溶鋼中に浸漬して用いる筒状耐火物であるロングノズルとを介し、位置エネルギーを利用して流下させることでなされる。しかしながら、ロングノズルからの高速吐出流がタンディッシュの底部に衝突することで、ショートパスと呼ばれる鋳型へと向かう短絡流を形成し得るために(図5参照)、タンディッシュにおける溶鋼の滞留時間を確保することは必ずしも容易ではない。この課題に対する一般的な対策は、タンディッシュの内部に堰を設けることで溶鋼流を迂回させる方法であるが、タンディッシュの内部に耐火物を施工することは、材料費や施工時間、作業負荷の増大を招くうえ、堰の近傍に流れがほとんどなく浮上除去に寄与しない空間が発生するほか、迂回しながらも高速で鋳型へと向かう新たな流れが誘起され得るため、必ずしも介在物の浮上を助けない。特に、小型の介在物は、浮力が小さく、溶鋼の流れに追随しやすいため、迂回による効果は大型の介在物の除去に限定され易い。
【0006】
また、製鋼プロセスにおいては、溶鋼の再酸化によって意図せずに非金属介在物が増加することに対しても注意を払わなくてはならない。一般的に、溶鋼の温度低下に伴うガス発生によって安定した鋳造が困難となることを避ける観点等から、連続鋳造に供される溶鋼は、精錬工程において脱酸処理が施され、可溶酸素濃度を大きく下回る酸素濃度となっており、非常に酸素を吸収しやすい状態にある。空気や低級酸化物と溶鋼とが接触した場合、溶鋼が酸素を吸収し、酸素との親和性が溶鋼よりも高い元素(溶鋼中に溶解しているAlやSiなど)と結びつくことで非金属介在物が生成する再酸化現象が生じてしまう。そのため、溶鋼鍋やタンディッシュにおいては、不活性ガスを用いた雰囲気の置換によりタンディッシュ内を低酸素濃度とするか、或いは、低級酸化物の含有量が少ない低反応性のフラックスを用いた溶鋼表面の被覆により溶鋼を外気から遮断する必要がある。しかしながら、ロングノズルによって溶鋼をタンディッシュに供給する場合、上記のようにノズルから吐出される溶鋼流が非常に高速であるため、タンディッシュの底部に衝突して発生した反転上昇流によってロングノズル近傍の溶鋼表面を被覆するフラックスが押し退けられ、溶鋼表面が裸湯として外気に直接曝露され、溶鋼が雰囲気内の酸素を吸収する再酸化現象が生じ得る(図5参照)。あるいは、ロングノズル近傍には取鍋から流出したFeO等の低級酸化物の濃度が高いスラグが存在するので、ロングノズル近傍の激しい溶鋼流によってスラグ中の低級酸化物による溶鋼の再酸化が生じ得る。
【0007】
本発明者の新たな知見によると、上記のショートパスを抑制し、且つ、反転上昇流による裸湯を抑制するためには、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶鋼を供給する際、溶鋼の落下流をロングノズル内の湯面(二次メニスカス)に衝突させて、周囲の雰囲気を叩き込んで気泡群(プルーム)を生成し、気泡が有する大きな浮力によって溶鋼の注入流速を減少させることが有効である。しかしながら、生成したプルームがロングノズル内に保持・回収されず、ロングノズルの流出口から流出すると、タンディッシュ内の溶鋼に湯湧き(気泡がタンディッシュ湯面に浮上してフラックスを押しのけ、溶融金属の裸湯が大気に露出する現象)が発生し、溶鋼が再酸化される虞がある。
【0008】
湯湧きによる再酸化を抑制するためには、ロングノズルの流出口からノズル外へと流出するプルームの量を低減する必要がある。本発明者は、特許文献1、2に開示されているようにロングノズルの下部を拡管することで、プルームがロングノズル内に保持され易くなり、且つ、プルームがロングノズル内に効率的に回収され易くなるものと考えた。しかしながら、本発明者の新たな知見によると、ロングノズルの形状や溶鋼のスループットやロングノズルの位置等により、ロングノズル内に生成するプルームの量が大きく変化し、ある条件においては十分な量のプルームが生成して溶鋼の注入速度が低減されてショートパスを抑制できる一方で、湯湧きによる再酸化の問題が生じたり、ある条件においてはプルームの生成量が少なく、湯湧きによる再酸化の問題は生じないものの、溶鋼の注入速度を低減できず、ショートパスや反転上昇流による裸湯の問題が生じたりする。すなわち、ロングノズルの形状を工夫するだけでは、タンディッシュにおけるショートパスの問題、反転上昇流や湯湧きによる溶融金属の再酸化の問題を解決することは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2002-001496号公報
特開平11-010292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願は、取鍋からロングノズルを介してタンディッシュへと溶融金属を供給する際、溶融金属の落下流をロングノズル内の二次メニスカスに衝突させて十分な量のプルームを生成させることで、ショートパスや反転上昇流による裸湯を抑制しつつ、生成したプルームをロングノズル内に効率的に保持・回収することで、湯湧きによる溶融金属の再酸化を抑制することが可能な新たな技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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