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公開番号2024042617
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-28
出願番号2022147464
出願日2022-09-15
発明の名称水分解光触媒に用いられる半導体粒子とそれを用いた光触媒並びにそれらの合成方法
出願人トヨタ自動車株式会社,学校法人甲南学園,豊田合成株式会社
代理人個人,個人
主分類B01J 23/89 20060101AFI20240321BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】 光による水分解反応に於いて、できるだけ安定的に高い量子効率を達成する光触媒であって、大量合成と実用化に適した光触媒を提供できるようにする。
【解決手段】 チタン酸ストロンチウムを含む半導体粒子に助触媒が付加されて成り、光照射により水分子が酸素分子と水素分子とに分解する水分解反応を惹起する光触媒に於いて、半導体粒子にバリウム又は更にスカンジウムがドープされる。その光触媒のための半導体の合成方法は、塩化ストロンチウム内にてチタン酸バリウム又は更に酸化スカンジウムを混合した物又は塩化ストロンチウムと塩化バリウム内にてチタン酸ストロンチウム又は更に酸化スカンジウムを混合した物を焼成することによりバリウムがドープされたチタン酸ストロンチウムを含む半導体粒子を合成する工程を含む。
【選択図】 図2
特許請求の範囲【請求項1】
助触媒が付加されて、光照射により水分子が酸素分子と水素分子とに分解する水分解反応を惹起する光触媒として用いられるチタン酸ストロンチウムを含む半導体粒子であって、チタン酸ストロンチウムにバリウムがドープされている半導体粒子。
続きを表示(約 810 文字)【請求項2】
請求項1の半導体粒子であって、チタン酸ストロンチウムに更にスカンジウムがドープされている半導体粒子。
【請求項3】
請求項2の半導体粒子であって、100重量部のチタン酸ストロンチウムに対して、バリウムが0.04~5重量部であり、スカンジウムが0.1~1重両部である半導体粒子。
【請求項4】
請求項3の半導体粒子であって、バリウムが0.1~2重量部である半導体粒子。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの半導体粒子であって、アルミニウムを実質的に含有しない半導体粒子。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかの半導体粒子であって、100重量部のチタン酸ストロンチウムに対して、アルミニウムの含有量が1重量部以下である半導体粒子。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかの半導体粒子に助触媒が付加されて成る光触媒であって、前記助触媒が酸化ロジウム-クロム(Rh/Cr



)と水酸化酸化コバルト(CoOOH)である光触媒。
【請求項8】
請求項7の光触媒であって、前記助触媒が水中に分散された前記半導体粒子の表面に光電着により付加された光触媒。
【請求項9】
請求項5の半導体粒子に助触媒が付加されて成る光触媒であって、前記助触媒が酸化ロジウム-クロム(Rh/Cr



)と水酸化酸化コバルト(CoOOH)である光触媒。
【請求項10】
請求項6の半導体粒子に助触媒が付加されて成る光触媒であって、前記助触媒が酸化ロジウム-クロム(Rh/Cr



)と水酸化酸化コバルト(CoOOH)である光触媒。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水を水素と酸素に分解する水分解反応を惹起する光触媒に用いられる半導体粒子、それを用いて調製された光触媒及びそれらの合成方法に係る。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
水素ガスは、燃焼しても二酸化炭素を生じないクリーンな次世代の燃料としての利用が期待されている。水素ガスは、光触媒を用いた光エネルギーによる水の分解反応により生成できるので、光による水の分解反応を効率的に惹起することのできる光触媒の開発が進められている。そのような高効率の光触媒の例として、非特許文献1に於いて、水の分解反応の量子効率が略1となる光触媒とその合成方法が報告された。その非特許文献1によれば、端的に述べれば、チタン酸ストロンチウム(SrTiO

)にアルミニウム(Al)をドープして成る半導体(SrTiO

:Al)の粒子の結晶面にRh(ロジウム)、Cr(クロム)、Co(コバルト)の酸化物等が付着されて構成された光触媒が、350~360nmの波長の光の照射による水分解に於いて、96%の(外部)量子効率を呈することが示された((外部)量子効率は、還元水素原子数(=発生した水素分子数×2)を照射光子数で除した値で与えられる。以下、本明細書に於いて、「量子効率」という場合は、(外部)量子効率である。)。かかる高い量子効率が得られた理由としては、上記の光触媒の構造に於いて、Rh/Cr



とCoOOHがそれぞれSrTiO

:Al粒子の異なる結晶面に付着され、これにより、光により生じた電荷の粒子表面に向かう移送が、それと逆向きの電荷の移送を生ずることなく達成させることによると考察されている。また、特許文献1に於いては、チタン酸ストロンチウムなどを光触媒として用いて水素を製造する水素製造装置が開示されている。なお、特許文献2に於いて、光触媒ではなく、硫黄を含有する燃料と水蒸気とを反応させて水素を製造する触媒として、Fe及び/又はBaを担持したチタン酸ストロンチウム粒子が用いられることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2022-63186
特開2013-212477
【非特許文献】
【0004】
T.Takata,他8名 ネイチャー(Nature),volume 581,411-414頁 2020年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の非特許文献1に於いては、96%の量子効率を達成するSrTiO

:Alの半導体粒子は、SrTiO

、Al



及びSrCl

の粉末を、メノウ乳鉢内で粉砕混合し、かかる混合物(原料混合物)をアルミナるつぼ内で、1150℃で10時間に亙ってSrCl

が溶解した状態にて焼成することによって調製されたと報告されている。しかしながら、本発明の発明者等による再現実験によれば、実際に、非特許文献1に記載されている通りに上記の原料混合物を1150℃で10時間に亙って焼成して得た粒子から調製した光触媒を用いた水分解反応では、量子効率は、8~28%(試行回数37回に於いて、平均値16%、標準偏差3.56%)にしか到達しなかった。また、上記の原料混合物からSrTiO

:Al粒子を焼成する際の焼成温度と焼成時間を種々変化させて得られた光触媒の(外部)量子効率を調査したところ、下記の表1の如く、焼成温度と焼成時間に対する(外部)量子効率の平均値の変動が大きく、且つ、高い効率を与える焼成温度・時間の条件の範囲の幅が狭いことが確認された。例えば、表1を参照して、焼成時の設定温度が20数℃ほど異なるだけで、得られた半導体粒子を用いた光触媒の量子効率が大幅に変化する場合があることが確認される(焼成時間が10hのとき、焼成温度1150℃→1175℃で、量子効率に30%ほどの差が生じた。)。このことは、半導体粒子を上記の非特許文献1の組成にて調製する場合に、高い量子効率の光触媒が得られるか否かが、焼成時に原料混合物が曝される温度の影響を受け易いことを示唆している。実際、上記の混合物からSrTiO

:Al粒子を焼成する際、焼成炉内は、温度分布が均一になるように循環ファンにて空気が循環されるが、るつぼ内では殆ど対流が起きずに、温度にムラができてしまっている可能性があり、これにより、光触媒の量子効率の低下とばらつきが生じることなどが考えられる。いずれにせよ、このような、半導体粒子の焼成時の焼成温度や焼成時間に対する光触媒の量子効率の低下若しくは変動は、光触媒の大量合成と実用化に於いて好ましくない。
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57
170
【0006】
そこで、本発明の発明者等が大量合成と実用化に適した光触媒の開発研究を行ったところ、チタン酸ストロンチウムを主成分とし、バリウムを更に含む半導体粒子を用いると、光による水分解反応に於いて安定的に高い量子効率を達成する光触媒を調製できることが見出された。具体的には、チタン酸ストロンチウムを主成分としバリウムを更に含む半導体粒子を用いた場合、条件を調整することで、量子効率が安定的に70%以上、好適には、80~90%に達する光触媒が得ることが可能であることが示された。また、チタン酸ストロンチウムにスカンジウムがドープされる場合には、アルミニウムをドープしなくても、高い量子効率を与える光触媒得られることも示された。本発明に於いては、この知見が利用される。
【0007】
かくして、本発明の主な課題は、光による水分解反応に於いて、できるだけ安定的に高い量子効率を達成する光触媒であって、大量合成と実用化に適した光触媒を提供できるようにすることである。
【0008】
また、本発明のもう一つの課題は、上記の如き光触媒を与える半導体粒子及びそれを用いた光触媒とそれらを合成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの態様によれば、上記の課題は、助触媒が付加されて、光照射により水分子が酸素分子と水素分子とに分解する水分解反応を惹起する光触媒として用いられるチタン酸ストロンチウムを含む半導体粒子であって、チタン酸ストロンチウムにバリウムがドープされている半導体粒子によって達成される。
【0010】
上記の構成に於いて、「光触媒」は、上記の如く、光を照射されると、水の分解反応を惹起して、水を還元して酸素分子(酸素ガス)と水素分子(水素ガス)を発生することのできる物質である。かかる「光触媒」は、基本的には、上記の非特許文献1に記載されている光触媒と同様に、チタン酸ストロンチウムを含む半導体粒子に助触媒が付加されて成る物質であるところ、本発明に於いては、チタン酸ストロンチウムを含む半導体粒子が、バリウムがドープされたものとされる。半導体粒子を水分解反応のための光触媒として利用する際に半導体粒子に付加される助触媒とその付加方法については、非特許文献1又はその他の従来の技術の場合と同様であってよい。なお、上記の半導体粒子に於いては、更に、チタン酸ストロンチウムに更にスカンジウムがドープされていることが好ましい。上記の通りに、チタン酸ストロンチウムを含む半導体粒子が、バリウム又は更にスカンジウムがドープされたものである場合、後述の実施形態の欄に於いて説明されるように、光触媒にバリウムもスカンジウムもドープされていない半導体粒子を用いた場合に比して、光触媒の量子効率を、より安定的に高いものとすることが可能となる。
(【0011】以降は省略されています)

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