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公開番号2024040848
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-26
出願番号2022145472
出願日2022-09-13
発明の名称無機酸化物中空粒子
出願人太平洋セメント株式会社
代理人弁理士法人アルガ特許事務所
主分類C01B 35/10 20060101AFI20240318BHJP(無機化学)
要約【課題】粒子径が小さく、かつ誘電正接が従来よりも低い無機酸化物中空粒子を提供すること。
【解決手段】平均粒子径が5.1μm以下であり、
誘電正接が0.0020未満であり、
含水率が3.0質量%以下であり、かつ
ラマン分光スペクトルにおいて、3000~4000cm-1の範囲にO-H伸縮振動に由来するピークを有しない、無機酸化物中空粒子。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
平均粒子径が5.1μm以下であり、
誘電正接が0.0020未満であり、
含水率が3.0質量%以下であり、かつ
ラマン分光スペクトルにおいて、3000~4000cm
-1
の範囲にO-H伸縮振動に由来するピークを有しない、
無機酸化物中空粒子。
続きを表示(約 410 文字)【請求項2】
外殻が無気孔である、請求項1記載の無機酸化物中空粒子。
【請求項3】
空洞率が70%以上である、請求項1記載の無機酸化物中空粒子。
【請求項4】
粒子密度が1.00g/cm
3
以下である、請求項1記載の無機酸化物中空粒子。
【請求項5】
10質量%以下の周期表第1族元素酸化物と、25質量%以下の周期表第2族元素酸化物と、60質量%以下の周期表第13族元素酸化物と、35質量%以上の周期表第14族元素酸化物を含む無機酸化物により構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の無機酸化物中空粒子。
【請求項6】
請求項1記載の無機酸化物中空粒子の製造方法であって、
平均粒子径が5.1μm以下である無機酸化物粒子を、180~600℃で0.5~15時間加熱する、
無機酸化物中空粒子の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、無機酸化物中空粒子に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
近年、5Gや6G等の高速通信規格の普及に伴い、電子材料分野における低誘電フィラー材の需要が増加している。5G, 6G等の高い周波数帯での通信においては、回路信号の伝送損失が大きくなるため、より誘電正接の低い材料が望まれている。
【0003】
従来、低誘電フィラー材として、例えば、25℃から30℃/minの条件で1000℃まで昇温した際に、500℃~1000℃における脱離する水分子数が0.01mmol/g以下であり、比表面積が1~30m
2
/gである球状シリカ粉末が知られている(特許文献1)。また、平均円形度が0.85以上、比表面積が1~30m
2
/gである原料溶融球状シリカ粉末を、500~1100℃の温度で、加熱温度(℃)×加熱時間(h)を1000~26400(℃・h)とする所定時間、加熱処理することで、誘電正接が低減された溶融球状シリカ粉末を製造できるとの報告もある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2021-178770号公報
特許第6814906号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、球状シリカ粉末とは異なり、内部に空洞を有する無機酸化物中空粒子が、断熱性、軽量性に優れるだけなく、樹脂への分散性に優れる微小な粒子であることに着目し、低誘電フィラー材への適用を検討した。無機酸化物中空粒子の誘電正接を下げるためには、粒子の空洞率を上げることが有効であるが、空洞率を上げようとすると、粒子径の小さな粒子を得難くなるという課題を見出した。
本発明の課題は、粒子径が小さく、かつ誘電正接が従来よりも低い無機酸化物中空粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題に鑑み検討したところ、含水率が特定値以下であり、かつラマン分光スペクトルにおいて3000~4000cm
-1
の範囲にO-H伸縮振動に由来するピークを有しない粒子とすることで、粒子径が小さくとも、誘電正接が従来よりも低い無機酸化物中空粒子が得られることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、次の〔1〕~〔6〕を提供するものである。
〔1〕平均粒子径が5.1μm以下であり、
誘電正接が0.0020未満であり、
含水率が3.0質量%以下であり、かつ
ラマン分光スペクトルにおいて、3000~4000cm
-1
の範囲にO-H伸縮振動に由来するピークを有しない、無機酸化物中空粒子。
〔2〕外殻が無気孔である、前記〔1〕記載の無機酸化物中空粒子。
〔3〕空洞率が70%以上である、前記〔1〕又は〔2〕記載の無機酸化物中空粒子。
〔4〕粒子密度が1.00g/cm
3
以下である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一に記載の無機酸化物中空粒子。
〔5〕10質量%以下の周期表第1族元素酸化物と、25質量%以下の周期表第2族元素酸化物と、60質量%以下の周期表第13族元素酸化物と、35質量%以上の周期表第14族元素酸化物を含む無機酸化物により構成されている、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一に記載の無機酸化物中空粒子。
〔6〕前記〔1〕~〔5〕のいずれか一に記載の無機酸化物中空粒子の製造方法であって、
平均粒子径が5.1μm以下である無機酸化物中空粒子を、180~600℃で0.5~15時間加熱する、無機酸化物中空粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、粒子径が小さく、かつ誘電正接が従来よりも低い無機酸化物中空粒子を提供することができる。また、本発明によれば、このような無機酸化物中空粒子を簡便な操作で製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔無機酸化物中空粒子〕
本明細書において「中空粒子」とは、外殻の内部に空洞を有する粒子をいう。本明細書において「外殻」とは、粒子の最も表面側に位置する壁であって、粒子内部の1つの独立気泡のみ接する壁をいう。また、本発明の無機酸化物中空粒子は、外殻に開口がなく、無気孔であるため、独立気泡は完全に閉じられている。本発明の無機酸化物中空粒子は、このような中空構造を有し、かつ無気孔であることにより、低誘電正接化だけでなく、優れた断熱性、遮熱性を発現することができる。更に、本発明の無機酸化物中空粒子は、低誘電正接化の観点から、凝集していない一次粒子であることが好ましい。なお、外殻が無気孔であることは、走査型電子顕微鏡(SEM)像や、水に浮かぶことにより確認できる。したがって、本発明の無機酸化物中空粒子は、粒子表面から内部へ延びる複数の細孔を有する多孔質粒子とは異なる。また、走査型電子顕微鏡(SEM)像により、多孔質粒子や二次粒子と明確に区別することが可能である。
【0010】
本発明の無機酸化物中空粒子は、平均粒子径が5.1μm以下であるが、より一層の微小化の観点から、好ましくは4.8μm以下であり、更に好ましくは4.5μm以下である。なお、かかる平均粒子径の下限値は、空洞を十分確保する観点から、0.3μm以上が好ましく、0.4μm以上がより好ましく、0.5μm以上が更に好ましい。ここで、本明細書において「平均粒子径」とは、JIS R 1629に準拠して試料の粒度分布を体積基準で作成したときに積算分布曲線の50%に相当する粒子径(D
50
)を意味する。なお、粒子径分布測定には、例えば、レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置を使用することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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