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公開番号2024040535
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-26
出願番号2022144937
出願日2022-09-13
発明の名称バイオマス成形材及びその製造方法
出願人国立大学法人信州大学
代理人個人
主分類C08L 1/02 20060101AFI20240318BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】プラスチック代替材として活用できるバイオマス成形材、及び射出成形法で生産性よく製造できるバイオマス成形材の製造方法を提供する。
【解決手段】粉体状又は繊維状のセルロース材料とリグニンとを含有する加圧成形体であるように構成したバイオマス成形材により上記課題を解決した。このバイオマス成形材は、リグニンでコーティングした粉体状又は繊維状のセルロース材料と、所定の温度で液状化する液状化材料とを混合して混合材料とする工程と、前記所定の温度に加温して前記液状化材料を液状化し、前記セルロース材料を該液状化材料中に分散させる工程と、前記液状化材料中に分散した前記セルロース材料を、前記所定の温度以上の成形温度で加圧して所定形状に成形する工程と、を有する方法により製造する。液状化材料は、グリセリンを含有したポリビニルアルコール溶液であることが好ましい。
【選択図】図1

特許請求の範囲【請求項1】
粉体状又は繊維状のセルロース材料とリグニンとを含有する加圧成形体である、ことを特徴とするバイオマス成形材。
続きを表示(約 490 文字)【請求項2】
前記セルロース材料は、木質又は植物等の天然由来の材料である、請求項1に記載のバイオマス成形材。
【請求項3】
リグニンでコーティングした粉体状又は繊維状のセルロース材料と、所定の温度で液状化する液状化材料とを混合して混合材料とする工程と、前記所定の温度に加温して前記液状化材料を液状化し、前記セルロース材料を該液状化材料中に分散させる工程と、前記液状化材料中に分散した前記セルロース材料を、前記所定の温度以上の成形温度で加圧して所定形状に成形する工程と、を有する、ことを特徴とするバイオマス成形材の製造方法。
【請求項4】
前記セルロース材料は、木質又は植物等の天然由来の材料である、請求項3に記載のバイオマス成形材の製造方法。
【請求項5】
前記液状化材料は、グリセリンを含有したポリビニルアルコール溶液である、請求項4に記載のバイオマス成形材の製造方法。
【請求項6】
前記セルロース材料は、木質又は植物等の天然由来の材料である、請求項4又は5に記載のバイオマス成形材の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス成形品及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、プラスチック代替材として活用できるバイオマス成形材、及び射出成形法で生産性よく製造できるバイオマス成形材の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
年間800万トンのプラスチックごみが海へ流出し、劣化により微細化されてマイクロプラスチックとなって生態系を破壊する可能性が指摘されている(非特許文献1を参照)。こうした環境や生態系に関する問題に対し、プラスチック代替材の開発と普及が地球温暖化対策(CO2削減)とともに期待されている。代替材としては、再生可能で、潤沢な資源が求められることから、木質系のバイオマス材料を活用したものが期待されている。また、木質系のバイオマス材料の活用が普及するためには、加工性や量産性が良い製造方法が求められることから、プラスチック成形材と同様の射出成形法で製造できることが望ましい。
【0003】
こうした要求に対し、特許文献1では、プラスチックの使用量を大幅に削減し、環境負荷を低減することができる食品用器具又は包装容器が提案されている。この技術は、セルロースファイバー含有量が50重量%以上のセルロースファイバー高含有組成物を利用するというものであり、射出成形によりタンブラーを作製する例が提案されている。また、特許文献2では、透明性を有するパルプ成形品を実現可能とするための成形材料及びこの成形材料の製造方法並びにパルプ成形品及びこのパルプ成形品の製造方法が提案されている。この技術は、パルプ及び澱粉系結合剤を主成分とし、前記パルプとして針葉樹パルプ及び広葉樹パルプを含有する成形材料を利用するというものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
山本智之,「海のプラスチックごみ、2050年までに世界中の魚の重量を 超える恐れも」,朝日新聞社、https://miraimedia.asahi.com/plastic_garbage/
【特許文献】
【0005】
特開2020-158751号公報
特開2022-27398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、ポリプロピレン等のプラスチックが使用されていることから、地球温暖化問題やマイクロプラスチック問題が依然として課題として残るであろう。特許文献2の技術では、でんぷんが利用されていることから、食糧の供給問題と競合する可能性がある。また、でんぷんは水溶性であるため、高温多湿に弱いという問題が生じるおそれもある。したがって、プラスチック代替材としては、プラスチックを使用せず、非可食資源を活用することが求められる。
【0007】
本発明の目的は、プラスチック代替材として活用できるバイオマス成形材、及び射出成形法で生産性よく製造できるバイオマス成形材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明にかかるバイオマス成形材は、粉体状又は繊維状のセルロース材料とリグニンとを含有する加圧成形体である、ことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、プラスチック材を使用していないバイオマス成形材を、プラスチック代替材とすることができる。その結果、地球温暖化問題やマイクロプラスチック問題の解決に貢献できるとともに、食糧の供給問題とも競合しないという効果がある。また、加圧成形体となっているので、プラスチック成形材と同様の生産性で得ることが可能である。リグニンは、粉体状又は繊維状のセルロース材料にコーティングされてセルロース材料に親水性を付与可能な物質であり、加圧成形によりセルロース材料同士の密着性と接着性を向上させる役割を担っている。
【0010】
本発明に係るバイオマス成形材において、前記セルロース材料は、木質又は植物等の天然由来の材料である。
(【0011】以降は省略されています)

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