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公開番号2024037036
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-18
出願番号2022141665
出願日2022-09-06
発明の名称多泡状無機酸化物中空粒子
出願人太平洋セメント株式会社
代理人弁理士法人アルガ特許事務所
主分類C01B 33/26 20060101AFI20240311BHJP(無機化学)
要約【課題】誘電特性に優れ、かつ粒子強度の高い無機酸化物中空粒子を提供すること。
【解決手段】外殻で覆われた空洞が1以上の隔壁によって区切られた複数の独立した気泡空間を備える多泡状無機酸化物中空粒子であって、
下記の(1)及び(2)から選択される1以上の水溶性塩を含む被噴霧液体を、噴霧熱分解装置内に装着された噴霧装置から噴霧し、噴霧された液滴を熱分解して、無機酸化物と炭酸ガスの気泡を生成させる工程を含む方法により製造される、多泡状無機酸化物中空粒子。
(1)周期表第1族元素、周期表第2族元素、周期表第13族元素及び周期表第14族元素から選択される1以上を含む元素と、有機カルボン酸との水溶性塩
(2)周期表第1族元素、周期表第2族元素、周期表第13族元素及び周期表第14族元素から選択される1以上を含む元素のイオンと、炭酸イオン又は重炭酸イオンとの水溶性塩
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
外殻で覆われた空洞が1以上の隔壁によって区切られた複数の独立した気泡空間を備える多泡状無機酸化物中空粒子であって、
下記の(1)及び(2)から選択される1以上の水溶性塩を含む被噴霧液体を、噴霧熱分解装置内に装着された噴霧装置から噴霧し、噴霧された液滴を熱分解して、無機酸化物と炭酸ガスの気泡を生成させる工程を含む方法により製造される、多泡状無機酸化物中空粒子。
(1)周期表第1族元素、周期表第2族元素、周期表第13族元素及び周期表第14族元素から選択される1以上を含む元素と、有機カルボン酸との水溶性塩
(2)周期表第1族元素、周期表第2族元素、周期表第13族元素及び周期表第14族元素から選択される1以上を含む元素のイオンと、炭酸イオン又は重炭酸イオンとの水溶性塩
続きを表示(約 770 文字)【請求項2】
誘電正接が0.006以下である、請求項1記載の多泡状無機酸化物中空粒子。
【請求項3】
比誘電率が1.9以下である、請求項1記載の多泡状無機酸化物中空粒子。
【請求項4】
粒子強度が7.0MPa以上である、請求項1記載の多泡状無機酸化物中空粒子。
【請求項5】
平均粒子径が5.0μm以下である、請求項1記載の多泡状無機酸化物中空粒子。
【請求項6】
空洞率が65%以上である、請求項1記載の多泡状無機酸化物中空粒子。
【請求項7】
外殻が無気孔である、請求項1記載の多泡状無機酸化物中空粒子。
【請求項8】
当該多泡状無機酸化物中空粒子が、25質量%以下の周期表第2族元素酸化物と、60質量%以下の周期表第13族元素酸化物と、40質量%以上の周期表第14族元素酸化物を含む無機酸化物により構成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の多泡状無機酸化物中空粒子。
【請求項9】
請求項1に記載の多泡状無機酸化物中空粒子の製造方法であって、
下記の(1)及び(2)から選択される1以上の水溶性塩を含む被噴霧液体を、噴霧熱分解装置内に装着された噴霧装置から噴霧し、噴霧された液滴を熱分解して、無機酸化物と炭酸ガスの気泡を生成させる工程を含む、多泡状無機酸化物中空粒子の製造方法。
(1)周期表第1族元素、周期表第2族元素、周期表第13族元素及び周期表第14族元素から選択される1以上を含む元素と、有機カルボン酸との水溶性塩
(2)周期表第1族元素、周期表第2族元素、周期表第13族元素及び周期表第14族元素から選択される1以上を含む元素のイオンと、炭酸イオン又は重炭酸イオンとの水溶性塩

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、多泡状無機酸化物中空粒子に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)【背景技術】
【0002】
無機酸化物中空粒子は、粒子内部に空洞を有することから、熱性・軽量性に優れており、断熱材料、遮熱材料、触媒担体、建築材料、電子材料等として幅広く普及している。
【0003】
従来、種々の無機酸化物中空粒子が開発され、例えば、真珠岩、黒曜石等の天然ガラス質岩石を原料とし、内部空間が隔壁によって区切られたシリカ質の中空微粒子であって、容重及び最も薄い部分の殻の膜厚が特定範囲内に制御されたシリカ質中空微粒子が知られている(特許文献1)。また、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、2族元素酸化物及びアルカリ金属酸化物を含む無機酸化物により形成された無機酸化物中空粒子であって、ホウ素酸化物、2族元素酸化物及びアルカリ金属酸化物の各含有量が制御された無機酸化物中空粒子も知られている(特許文献2)。更に、外殻で覆われた空洞が1以上の隔壁によって区切られた複数の独立した空間を備える無機酸化物中空粒子であって、ホウ素酸化物、ナトリウム酸化物、カルシウム酸化物、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物及びマグネシウム酸化物の各含有量が制御された無機酸化物中空粒子が報告されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2010-172863号公報
特開2021-143089号公報
特許第6959467号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、5Gや6G等の高速通信規格の普及に伴い、高周波帯用デバイスに用いられる材料には、比誘電率及び誘電正接がともに低い材料が求められており、無機酸化物中空粒子は、誘電特性に優れることから、電子材料分野における低誘電フィラー材として需要が増加している。
しかし、無機酸化物中空粒子を低誘電フィラー材として用いるために樹脂と混練すると、膜厚の薄い部分が起点となって中空構造が破壊されてしまう。そのため、良好な誘電特性を維持しつつ、粒子強度の高い無機酸化物中空粒子が求められている。
本発明の課題は、良好な誘電特性を維持しつつ、粒子強度の高い無機酸化物中空粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、特定元素と有機カルボン酸等との水溶性塩を含む被噴霧液体を用いて噴霧熱分解法により無機酸化物中空粒子を製造することで、熱分解の際に無機酸化物と微小な炭酸ガスが多数発生し、粒子内に独立した微小な気泡が多数形成され、粒子内の隔壁数を増加させることができるため、良好な誘電特性を維持しつつ、粒子強度の高い無機酸化物中空粒子が得られることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、次の〔1〕~〔13〕を提供するものである。
〔1〕外殻で覆われた空洞が1以上の隔壁によって区切られた複数の独立した気泡空間を備える多泡状無機酸化物中空粒子であって、
下記の(1)及び(2)から選択される1以上の水溶性塩を含む被噴霧液体を、噴霧熱分解装置内に装着された噴霧装置から噴霧し、噴霧された液滴を熱分解して、無機酸化物と炭酸ガスの気泡を生成させる工程を含む方法により製造される、多泡状無機酸化物中空粒子。
(1)周期表第1族元素、周期表第2族元素、周期表第13族元素及び周期表第14族元素から選択される1以上を含む元素と、有機カルボン酸との水溶性塩
(2)周期表第1族元素、周期表第2族元素、周期表第13族元素及び周期表第14族元素から選択される1以上を含む元素のイオンと、炭酸イオン又は重炭酸イオンとの水溶性塩
〔2〕誘電正接が0.006以下である、前記〔1〕記載の多泡状無機酸化物中空粒子。
〔3〕比誘電率が1.9以下である、前記〔1〕又は〔2〕記載の多泡状無機酸化物中空粒子。
〔4〕粒子強度が7.0MPa以上である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一に記載の多泡状無機酸化物中空粒子。
〔5〕平均粒子径が5.0μm以下である、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一に記載の多泡状無機酸化物中空粒子。
〔6〕空洞率が70%以上である、前記〔1〕~〔5〕のいずれか一に記載の多泡状無機酸化物中空粒子。
〔7〕外殻が無気孔である、前記〔1〕~〔6〕のいずれか一に記載の多泡状無機酸化物中空粒子。
〔8〕当該多泡状無機酸化物中空粒子が、25質量%以下の周期表第2族元素酸化物と、60質量%以下の周期表第13族元素酸化物と、40質量%以上の周期表第14族元素酸化物を含む無機酸化物により構成されている、前記〔1〕~〔7〕のいずれか一に記載の多泡状無機酸化物中空粒子。
〔9〕当該多泡状無機酸化物中空粒子が、15質量%以下の酸化カルシウムと、10質量%以下の酸化マグネシウムと、35質量%以下の酸化ホウ素と、25質量%以下の酸化アルミニウムと、40質量%以上の酸化ケイ素を含む無機酸化物により構成されている、前記〔1〕~〔8〕のいずれか一に記載の多泡状無機酸化物中空粒子。
〔10〕前記〔1〕~〔9〕のいずれか一に記載の多泡状無機酸化物中空粒子の製造方法であって、
下記の(1)及び(2)から選択される1以上の水溶性塩を含む被噴霧液体を、噴霧熱分解装置内に装着された噴霧装置から噴霧し、噴霧された液滴を熱分解して、無機酸化物と炭酸ガスの気泡を生成させる工程を含む、多泡状無機酸化物中空粒子の製造方法。
(1)周期表第1族元素、周期表第2族元素、周期表第13族元素及び周期表第14族元素から選択される1以上を含む元素と、有機カルボン酸との水溶性塩
(2)周期表第1族元素、周期表第2族元素、周期表第13族元素及び周期表第14族元素から選択される1以上を含む元素のイオンと、炭酸イオン又は重炭酸イオンとの水溶性塩
〔11〕下記の(1―1)及び(2-1)から選択される1以上の水溶性塩を含む被噴霧液体を噴霧する、前記〔10〕記載の多泡状無機酸化物中空粒子の製造方法。
(1-1)周期表第2族元素、周期表第13族元素及び周期表第14族元素から選択される1以上を含む元素と、有機カルボン酸との水溶性塩、
(2-1)周期表第2族元素、周期表第13族元素及び周期表第14族元素から選択される1以上を含む元素のイオンと、炭酸イオン又は重炭酸イオンとの水溶性塩
〔12〕多泡状無機酸化物中空粒子が、25質量%以下の周期表第2族元素酸化物と、60質量%以下の周期表第13族元素酸化物と、40質量%以上の周期表第14族元素酸化物を含む無機酸化物により構成されている、前記〔10〕又は〔11〕記載の多泡状無機酸化物中空粒子の製造方法。
〔13〕多泡状無機酸化物中空粒子が、15質量%以下の酸化カルシウムと、10質量%以下の酸化マグネシウムと、35質量%以下の酸化ホウ素と、25質量%以下の酸化アルミニウムと、40質量%以上の酸化ケイ素を含む無機酸化物により構成されている、前記〔10〕~〔12〕のいずれか一に記載の多泡状無機酸化物中空粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、良好な誘電特性を維持しつつ、粒子強度の高い多泡状無機酸化物中空粒子を提供することができる。また、本発明によれば、このような多泡状無機酸化物中空粒子を簡便な操作で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
実施例1で得られた多泡状無機酸化物中空粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す図である。
比較例1で得られた無機酸化物中空粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す図である。
粒子強度の測定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔多泡状無機酸化物中空粒子及びその製造方法〕
本発明の多泡状無機酸化物中空粒子は、外殻で覆われた空洞が1以上の隔壁によって区切られた複数の独立した気泡(以下、「独立気泡」ともいう。)を備えている。ここで、本明細書において「中空粒子」とは、外殻の内部に空洞を有する粒子をいい、「多泡」とは、独立気泡の集合体をいう。また、本明細書において「外殻」とは、粒子の最も表面側に位置する壁であって、粒子内部の1つの独立気泡のみ接する壁をいい、「隔壁」とは、粒子内部の隣接する2つの独立気泡を互いに区画する壁をいう。
本発明の多泡状無機酸化物中空粒子は、図1に示されるように、粒子内の独立気泡が隔壁によって区画され、隣接する独立気泡は隔壁によって互いに連通していないため、粒子強度が高められる。
また、本発明の多泡状無機酸化物中空粒子は、外殻に開口がなく、無気孔であるため、独立気泡は完全に閉じられている。なお、空洞には、例えば、炭酸ガスが含まれている。本発明の多泡状無機酸化物中空粒子は、このような独立気泡を有し、かつ無気孔であることにより、誘電特性に優れるだけでなく、優れた断熱性、遮熱性を発現することができる。更に、本発明の多泡状無機酸化物中空粒子は、誘電特性の観点から、凝集していない一次粒子であることが好ましい。なお、外殻が無気孔であることは、走査型電子顕微鏡(SEM)像や、水に浮かぶことにより確認できる。したがって、本発明の多泡状無機酸化物中空粒子は、粒子表面から内部へ延びる複数の細孔を有する多孔質粒子とは異なる。また、走査型電子顕微鏡(SEM)像により、多孔質粒子や二次粒子と明確に区別することが可能である。
(【0011】以降は省略されています)

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