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公開番号2024036429
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-15
出願番号2024011783,2022113592
出願日2024-01-30,2021-12-02
発明の名称空調換気システム
出願人株式会社FHアライアンス
代理人個人,個人
主分類F24F 7/08 20060101AFI20240308BHJP(加熱;レンジ;換気)
要約【課題】24時間運転を長期間継続しても、空調送風路内に埃やカビや悪臭など有害物質が付着、堆積、結露しないので、空調送風路の清掃などのメンテナンスが不要な空調換気システムを提供する。
【解決手段】空調ユニット10と吹出口40、41、42を空調送風路A30、空調送風路B31で繋ぎ、空調送風路の周囲で、建物2の外皮との間に、それぞれ部屋、空間又は断熱材の少なくともいずれか一つを設け、空調ユニット10から、吹出口に向けて、空調送風路の周囲の空気に対し、冷房時は5K以内、暖房時は10K以内の空調空気を空調送風路内に送風して部屋及び空間を空調し、空調ユニット10内にフィルタ部A、B、Cを設けて建物2内の空気を清浄し、室外空気導入路に導入ファンとフィルタ69を設けて導入する室外空気を清浄し、室内空気排出路に排気ファンを設けて空調送風路を通過した空気の一部と建物2内に滞留する空気の一部を室外に排出する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
高気密高断熱な建物内の部屋及び空間に吹出口を設け、
前記建物内に設けられた空調ユニットと前記吹出口を空調送風路で繋ぎ、
前記空調送風路は気密性を有する筐体であり、
前記空調送風路の周囲で、前記建物の外皮との間に、それぞれ前記部屋、前記空間、断熱材の少なくともいずれか一つを設け、
前記空調ユニットで清浄された空調空気を作り、
前記空調ユニットから前記吹出口に前記清浄された空調空気が流れ、
前記吹出口が設けられた前記部屋及び前記空間から前記空調ユニットに戻ってくる風路を循環路としたものであって、
前記空調ユニット内に、前記循環路の上流から下流に向けて順に、吸込部、空調部及び送風部を設け、
前記吸込部、前記空調部、前記送風部に、それぞれフィルタ部A、フィルタ部B、フィルタ部Cを設け、
前記循環路を通って、前記吸込部から吸い込まれた空気が、前記フィルタ部Aにより清浄され、
前記空調部と前記フィルタ部Bにより空調及び清浄されて、
前記空調送風路の周囲の空気の温度に対し、冷房時は5K以内、暖房時は10K以内の空調空気が作られ、
前記送風部と前記フィルタ部Cにより、前記空調空気をさらに清浄しながら、前記吹出口に向けて、前記清浄された空調空気を前記空調送風路内に送風することにより、前記循環路を通って、前記部屋及び前記空間を空調及び空気清浄し、
室外から前記循環路又は前記空調ユニットに室外空気を導入する室外空気導入路を設け、前記室外空気導入路に導入ファンとフィルタを設けて、導入する前記室外空気を清浄し、
前記循環路、前記吹出口を設けない前記部屋又は前記吹出口を設けない前記空間の少なくともいずれか一つから室外へ前記建物内の空気を排出する室内空気排出路を設け、
前記室内空気排出路に排気ファンを設けて、前記循環路の空気の一部又は前記建物内に滞留する前記空気の一部の少なくとも一つを室外に排出することを特徴とする空調換気システム。
続きを表示(約 840 文字)【請求項2】
前記空調ユニット内の前記空調部と複数の前記送風部の間に、さらに混合部を設け、
前記空調部から吹き出された吹出空気と前記吸込部から吸い込まれた前記空気の一部の残りが、複数の前記送風部により、前記フィルタ部Cの上流にある前記混合部にて混合されて、
前記清浄された空調空気が作られ、
複数の前記送風部の合計風量は前記空調部の風量より多く、前記送風部の風量はゼロではないことを特徴とする請求項1に記載の空調換気システム。
【請求項3】
前記送風部と前記空調送風路を直接繋ぎ、
前記空調送風路と前記吹出口を直接繋ぎ、
前記空調送風路は、前記建物の上の階と下の階の間に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空調換気システム。
【請求項4】
前記空調部は再熱除湿機能を有するものとすることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか1項に記載の空調換気システム。
【請求項5】
前記循環路又は前記空調ユニットに、HEPAフィルタ式又は、電気集塵式の空気清浄機を設けることを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれか1項に記載の空調換気システム。
【請求項6】
前記部屋又は前記空間の温度を検出する温度センサーと、前記温度を設定する温度設定部を有し、
前記混合部の温度を検出する温度センサーを有し、
2つの前記温度センサーの検出値と前記温度設定部の設定温度から、前記空調部と前記送風部を制御する制御部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれか1項に記載の空調換気システム。
【請求項7】
前記空調送風路の内側の前記空調空気が流れる表面に、
ポリプロピレンフィルム、軟質塩化ビニルフィルム又はPETフィルムの少なくともいずれか一つを有することを特徴とする請求項1乃至請求項6いずれか1項に記載の空調換気システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内全体を空調換気する空調換気システムに関する。
続きを表示(約 12,000 文字)【背景技術】
【0002】
建物は省エネで快適な暮らし実現のため、ますます高気密化、高断熱化が進んでいる。そのような住宅、非住宅では、建物内に、空調機から空調換気空気を、部屋や空間に送風するため、ダクトを建物内に引き回して、各部屋等を空調換気するダクト式空調換気システムが多く採用されているが、ダクトの代わりに、床下空間、天井裏空間、階間空間等を通風路として用い、建物内をくまなく空調換気する空調換気システムが一部で採用されている。
このような空調換気システムでは、ダクトを引き回す必要がなく、ダクト材料費と施工費のコストダウンとなり、ダクトの代わりに、床下空間等を通風路として使用できるので、通常建物に存在するスペースを利用するため、ダクトを引き回すスペースが不要で、合理的であるが、空調や換気した空気を床下空間等の通風路により、部屋等に送風しているため、長期間の使用により、通風路の内部に、建物内外の埃、ハウスダスト、人やペットのフケ、ダニやダニの糞、死骸、VOC、カビなどのアレルゲンなどが堆積する。
また、一般的な空調機、例えば、冷房能力4kW程度の空調機では、空調機からの吹出空気温度が吸込空気温度に対して冷房時で5K~15K程度低く、暖房時で10K~30K程度高く、風量が約400~800m

/hの空調空気が通風路を通過すると、通風路内での温度勾配が大きく、温度差により、通風路内外で結露しやすく、通風路に複数の吹出口がある場合、空調機に近い吹出口では能力が多いが、遠くの吹出口では能力が少ないなど、吹出口の位置により建物内の温度分布が不均一となる。
特に、そういった通風路の内部は、「5~40℃前後の温度」、「60%以上の高い湿度による付着した水分」、「付着した埃、汚れ等の栄養分」、というカビの繁殖条件が揃っており、通風路内外の温度差により、通風路内の堆積した埃等や通風路を構成する金属、木材、断熱材等に結露し、そこでカビやダニが繁殖しやすい。
そして、そこを空調空気が通過することにより、空調空気に埃やカビ、細菌、異臭などがのって、それを吸った人が、呼吸器系の疾患や皮膚トラブルなどアレルギーを発症するなどして、健康を害したり、臭い等により不快になるリスクがある。
さらに、通風路の断熱性が悪く、通風路の周囲が断熱空間ではない場合、通風路の外周にも結露して、結露が通風路周囲の木材等を濡らして、カビが生えたり、生活空間から見えるシミになったり、腐って強度的な被害を被ったり、結露が電線につたって、漏電するなどのリスクが発生する。
結露防止のため、通風路の内部に断熱材のグラスウールを設けると、その表面張力や毛細管現象により水分が繊維の隙間に入り込んでしまい、乾いたとしても、繊維同士がくっついてしまい、断熱機能に必要な大量の空気を溜め込むことができなくなり、断熱機能が低下するため、一度通風路内部に結露すると、ますます、結露しやすくなり、空調の効きが悪くなり、消費電力が増大する。
結露については、例えば、冷房運転で、空調機の圧縮機が運転しているサーモON時の冷たい吹き出し空気が通風路内を通過するため、通風路内部表面が冷やされ、それが例えば10℃となっている状態で、サーモOFFして、圧縮機が停止し、室内空気を吸い込むことにより、室内空気温度で、蒸発器に結露した凝縮水を含んで高湿度となった吹き出し空気が、通風路内を通過すると、その空気の温湿度が25℃、80%(露点温度21℃)の場合、通風路内部表面に結露する。
また、通風路が住宅内の断熱空間を通らず、通風路の断熱性能が低い場合、夏季、その空間の温湿度は外気温に近く、例えば外気温35℃、空間温度30℃、相対湿度50%(露点温度18.4℃)で、冷房運転により、冷たい吹出空気が通風路内を通過し、通風路外部表面温度が露点温度以下になると、通風路外部表面に結露する。
また、冬季、その空間の温度は外気温に近く、例えば外気温0℃、空間温度2℃となっている状態で、暖房運転で、圧縮機が運転しているサーモON時の暖かい吹き出し空気(温湿度50℃11%(露点温度12℃))が、通風路内を通過し、通風路内部表面温度が露点温度以下になると、通風路内部表面に結露する。さらに、サーモOFFして、圧縮機が停止し、室内空気を吸い込むことにより、室内空気温湿度が、通風路内を通過すると、その空気の温湿度が20℃60%(露点温度12℃)で、通風路内部表面温度が露点温度以下になると、通風路内部表面に結露する。冬季、過乾燥防止のため、加湿器で室内を加湿している場合は、さらに結露しやすくなる。
そのため、床下空間等の通風路の内部を定期的に清掃する必要があるが、通常、通風路は気密性が必要なため、点検口がない場合が多く、周囲の床板等をはがすなどが必要だが、どこを通風路として使用しているかの確認さえも困難である。また、点検口があったとしても、通風路内部を清掃するにも、通風路の形状、構造により、十分清掃できず、例えば、内部に梁や根太等があると、それらが邪魔して清掃は困難で、それらに埃やダニ、カビ等が付着して、除去できないこともある。
従って、通風路の清掃はできたとしても、時間、コストが大幅にかかる。さらに、通風路内部をメンテや清掃しやすいように、スペースを確保するようにすると、居住スペースが大幅に減少してしまう。
従来、各室内への空気搬送式空調は、気密性を付加したチャンバー構造の天井裏と、この天井裏と室内を連通する複数の室内側吐出口と、天井裏に連通する天井裏吹出口と室内側吸込口を有した箱状の本体と、この本体内に室内側吸込口より吸い込み天井吹出口より吹き出すように設けた送風機および送風機により形成される通風路に設けられる冷房用熱交換器と暖房用熱交換器とを備え、冷房用熱交換器と暖房用熱交換器を通風路を2分するように各風路面をほぼ同一平面上に並設した構成とし、再熱するための暖房用熱交換器に直接室内空気を吸い込み、少ない風量を流すことによって、潜熱能力を増やし、顕熱能力を減らした乾燥冷気および冷温風を天井裏へ吹き出すため、天井裏に梁がある場合や天井裏自体が狭い場合でも結露せずに確実に各室内へ空気搬送による空調ができる空気調和装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、全館空調システムにおいて、一階の居室の天井部と二階の居室の床面との階間の天井裏空間を給気経路とし、給気経路である天井裏空間内に複数の空調機が配置されており、一階の居室の天井部に複数の吹出口が設けられ、二階の居室の床面に複数の吹出口が設けられて、複数の吹出口には、それぞれ独立してON/OFF並びに回転数調節可能なブースターファンが設けられて、空調機能と換気機能を兼備し、施工が容易で、ダクトのメンテナンスが不要な全館空調システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、建物ユニット及び建物において、階段空調ユニットは、空調機器と、空調機器の吹出口として吹出部を備え、吹出部は、建物の2つの階層の間の天井懐内に開口することにより、階段空調ユニットの冷暖房機の冷暖房吹出空気と熱交換器の室外空気が、建物の階層の天井懐内に入り、1階の天井と2階の床からそれらが吹き出して空調換気するものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、住宅で換気及び冷暖房を行うための送風用ダクト及び送風システムにおいて、ダクトの内面に木炭粉を含む塗装被膜を形成し、このダクトで空気の取り入れ口や吹出口と送風装置とを連結して、住宅の送風システムを構成し、木炭粉によるダクト内のカビや悪臭の発生を押え、また空気に含まれる臭いを除去できるようにして快適な住宅環境が得られるようにしたものが知られている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平11-237079号公報
特開2020-94724号公報
特願2018-123498号公報
特開2001-248886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の空気搬送式空調では、天井裏以外に空調空気を流すことはできないため、例えば、建物全体の気密性、断熱性が低い場合や天井断熱の建物の場合など、建物の構造により対応ができない場合があり、対応できたとしても、顕熱能力を減らした空気で空調するため、運転の立ち上がり時や室外空気を導入した時、入浴等により空調負荷が増えた時に、顕熱能力不足で、温湿度が安定しない、もしくは、安定するのに時間がかかるという問題があった。
また、天井裏のチャンバーに埃等が堆積する可能性があり、メンテも困難で、天井裏を含めて、建物内を清潔に保ちにくいという問題があった。
また、特許文献2に記載の全館空調システムでは、階間の天井裏空間を給気経路として使用するため、結露の発生や埃の侵入により、階間の天井裏空間に埃が堆積し、カビが生えるなど不衛生な環境となりやすく、清掃などのメンテナンスも困難であるという問題があった。
また、階間の天井裏空間に空調機を設けるための広いスペースが必要で、居住スペースが狭められ、各居室からのリターン空気を空調機に効率的に戻すことも困難であるという問題もあった。
また、特許文献3に記載の建物ユニット及び建物では、冷暖房機の吹出空気と熱交換器の室外空気がそれぞれ、階層の間の天井懐内に直接入るので、天井懐内部や床、天井に結露する可能性があり、埃等の堆積の可能性もあるという問題があった。
また、建物からのリターン空気の流れも不明確なため、空調負荷、送風負荷が高くなり、冷暖房機や送風装置の消費電力も大きくなる可能性があるという問題もあった。
また、特許文献4に記載の送風用ダクト及び送風システムでは、ダクト内部の木炭粉を含む塗装被膜の表面上に、埃や菌等が堆積し、結露した場合、カビ等の繁殖を防止できず、ダクトや通風路の内部を塗装する必要があり、量産性、施工性が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、建物の様々な間取り、形状等に対応し、汎用性の高い機器を用いたシステムで、通常建物に存在するスペースを空調送風路として利用し、空調送風路内部の結露を防止し、送風路内の埃等の堆積を防止し、カビ等の繁殖を抑えながら、外気温等の負荷変化に対応して、部屋及び空間の空調と換気を適切に行い、省エネで、建物内を均一な温度で、空気質のよい、常に快適で、常にきれいな空気の、健康な空間とすることのできる空調換気システムを提供することを目的としている。
また、比較的シンプルな機器構成で、24時間運転して、安定な状態を維持しながら、送風路内の結露を抑えるので、制御遅れが発生せず、あくまでもユーザーが設定する部屋の温度に合わせるためのコントローラやセンサーを活用して、同時に結露を防止するので、省エネで快適で健康な空間を、自動制御により安定して実現する空調換気システムを提供することを目的としている。
そして、長期間、運転を継続しても、空調送風路内に埃やカビや悪臭など有害物質が付着、堆積しにくく、送風路の清掃などのメンテナンスが不要な空調換気システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の空調換気システムは上記目的を達成するために、高気密高断熱な建物内の部屋及び空間に吹出口を設け、前記建物内に設けられた空調ユニットと前記吹出口を空調送風路で繋ぎ、前記空調送風路は気密性を有する筐体であり、前記空調送風路の周囲で、前記建物の外皮との間に、それぞれ前記部屋、前記空間、断熱材の少なくともいずれか一つを設け、前記空調ユニットで清浄された空調空気を作り、前記空調ユニットから前記吹出口に前記清浄された空調空気が流れ、前記吹出口が設けられた前記部屋及び前記空間から前記空調ユニットに戻ってくる風路を循環路としたものであって、前記空調ユニット内に、前記循環路の上流から下流に向けて順に、吸込部、空調部及び送風部を設け、前記吸込部、前記空調部、前記送風部に、それぞれフィルタ部A、フィルタ部B、フィルタ部Cを設け、前記循環路を通って、前記吸込部から吸い込まれた空気が、前記フィルタ部Aにより清浄され、前記空調部と前記フィルタ部Bにより空調及び清浄されて、前記空調送風路の周囲の空気の温度に対し、冷房時は5K以内、暖房時は10K以内の空調空気が作られ、前記送風部と前記フィルタ部Cにより、前記空調空気をさらに清浄しながら、前記吹出口に向けて、前記清浄された空調空気を前記空調送風路内に送風することにより、前記循環路を通って、前記部屋及び前記空間を空調及び空気清浄し、室外から前記循環路又は前記空調ユニットに室外空気を導入する室外空気導入路を設け、前記室外空気導入路に導入ファンとフィルタを設けて、導入する前記室外空気を清浄し、前記循環路、前記吹出口を設けない前記部屋又は前記吹出口を設けない前記空間の少なくともいずれか一つから室外へ前記建物内の空気を排出する室内空気排出路を設け、前記室内空気排出路に排気ファンを設けて、前記循環路の空気の一部又は前記建物内に滞留する前記空気の一部の少なくとも一つを室外に排出するものである。
この手段により、吸込部、空調部及び送風部を設けた空調ユニットで作り出された、空調送風路周囲の空気の温度に対し、冷房時は5K以内、暖房時は10K以内の空調空気を大風量で空調送風路内に送風することにより、部屋及び空間の吹出口から吹き出し、高気密高断熱な建物内の部屋及び上下の空間を空調するので、日射負荷などの空調負荷の大きい空間も含めて、建物内は快適で均一な温湿度となりやすい。そして、空調送風路は、周囲を空調された部屋、空間又は断熱材で囲まれているため、冷房時の空調送風路内外の結露、暖房時の空調送風路内の結露は発生しにくい空調換気システムが得られる。
また、空調空気を作り出す空調ユニットの吸込部に設けた還気口フィルタ(フィルタ部A)により、空調ユニットに吸い込まれる空気の全てが清浄され、さらに空調部に吸い込まれた空気は、空調部フィルタ(フィルタ部B)でさらに清浄し、複数の送風部の送風部フィルタ(フィルタ部C)で、空調ユニットに吸い込まれた空気の全てを漏れなく清浄し、空調送風路に流入させ、建物内の空気を清浄し、空調送風路に、カビの繁殖条件の一つである埃等が流入するリスクがさらに減少し、全てのフィルタ部A、B、Cが空調ユニット内にあるため、清掃などのメンテナンスしやすい空調換気システムが得られる。
また、室外空気導入路に導入ファンとフィルタを設けて、導入する室外空気を清浄し、吹出口を設けない、いわゆるダーティ―ゾーン(トイレ、洗面所等)から室外に通じる室内空気排出路から、排気ファンにより、部屋及び空間を空調した空気の一部とダーティ―ゾーンの空気を室外に排出することにより、清浄された室外空気を導入し、埃や水分で汚れた建物内の空気を排出しながら、建物内を換気できる空調換気システムが得られる。
さらに、建物内で、人間が発生する水分以外で、入浴や調理により水分を発生する浴室と台所等の空気は、室外へ排出する排気ファンを設けることにより、建物内にそれらの水分が滞留せず、空調空気に含まれないため、空調送風路内にそれらの水分が流れこまない。
これらにより、空調送風路内に、埃や水分や結露水等が堆積、滞留しないので、カビも繁殖しにくく、雑菌による臭いも発生しにくく、建物内に、空調送風路内の埃やカビ、細菌、異臭などが入りにくく、健康で快適な空間を実現できる。そして、長期間使用しても、空調送風路の清掃などのメンテナンスが不要で、建物内を常に健康で快適な空調換気を行うことが可能な空調換気システムが得られる。
また他の手段は、前記空調ユニット内の前記空調部と複数の前記送風部の間に、さらに混合部を設け、前記空調部から吹き出された吹出空気と前記吸込部から吸い込まれた前記空気の一部の残りが、複数の前記送風部により、前記フィルタ部Cの上流にある前記混合部にて混合されて、前記清浄された空調空気が作られ、複数の前記送風部の合計風量は前記空調部の風量より多く、前記送風部の風量はゼロではないこととするものである。
この手段により、空調ユニットの送風部により、吸込部から吸い込まれる空気の一部が、空調部に吸い込まれ、空調され、吹き出される。そして、吸込部から吸い込まれた空気の一部が、空調部に吸い込まれず、空調部からの吹出空気と混合部で合流し、混合され、空調部の風量、設定温度、送風部の風量等を調整して、空調送風路周囲の空気の温度に対し、冷房時は5K以内、暖房時は10K以内の大風量の空調空気を、省エネで、安定して作り出すことができ、その空調空気を空調送風路に通すので、空調送風路に結露しにくい空調換気システムが得られる。
さらに、空調部の風量に対し、送風部の風量が大幅に多く、部屋及び空間の温度に対しても、冷房時は5K以内、暖房時は10K以内の大風量の空調空気を、省エネで、安定して作り出すことができ、部屋及び空間の温度がオーバーシュートするなど大幅に変動せず、長時間安定して、空調部の吸込空気の温度が、設定温度に近いため、特に夏季の冷房運転時は、空調部は、小温度差でのサーモON状態が長時間継続し、圧縮機が低周波数で継続して運転するので、蒸発器の表面温度、いわゆる蒸発温度が、吸込空気の露点温度以下となって、蒸発器に吸込空気の水分が結露し、長時間運転により、除去される除湿量が多くなり、長時間継続して吹出空気の絶対湿度が低下し、空調空気の絶対湿度も低下し、その空調空気が流れる空調送風路内、部屋、空間の相対湿度も低下し、冷房運転時、さらに空調送風路に結露しにくい空調換気システムが得られる。
そして、送風部の風量はゼロではなく、常に空調空気を流し続ける仕様としているので、空調送風路内に結露した場合でも、できる限り早く蒸発させることができる。
さらに、空調部の圧縮機等を駆動させることにより、単位風量当たりのランニングコストが高い空調部の風量よりも、単位風量当たりのランニングコストが大幅に低い送風部の風量を多くして、空調空気を作り、空調送風路を通すシステムのため、省エネである。
また他の手段は、前記送風部と前記空調送風路を直接繋ぎ、前記空調送風路と前記吹出口を直接繋ぎ、前記空調送風路は、前記建物の上の階と下の階の間に設けたこととするものである。
この手段により、空調空気が流れる空調送風路が、2階建て以上の住宅では通常構造上必然的に区画され、存在する1階と2階の間の階間に設けられ、空調送風路の表面積の多くを占める上下面を空調された部屋、空間に囲まれるので、わざわざ断熱材で囲う必要がなく、前後左右は、外壁に設けられた断熱材等に囲まれるので、空調送風路の結露がさらに発生しにくく、空調送風路の空調空気の入口から吹出口までの熱損失が少ない高効率な空調換気システムが得られる。
また、例えば空調ユニットを階間の上階に設けて、階間に設けられた空調送風路と直接繋げ、空調送風路の上階の床と繋がる部分に吹出口を設け、空調送風路の下階の天井に繋がる部分にも吹出口を設け、上階の床と下階の天井から、部屋や空間に空調空気を吹き出して、空調するので、空調ユニットから吹出口までの送風路が、最短距離で略真直ぐであり、途中の圧力損失が少ない、熱損失も少ない、省施工で合理的な構造の空調換気システムが得られる。
また他の手段は、前記空調部に再熱除湿機能を有するものである。
この手段により、再熱除湿運転時、一方の熱交換器が低温低圧の冷媒が流れる蒸発器として、もう一方の熱交換器が中温中圧の冷媒が流れる再熱器として機能するため、吸込空気の温度以上で、絶対湿度の低い吹出空気となり、吹出口から吹き出されることにより、空調部は、再熱除湿サーモON状態が長時間継続し、圧縮機が継続して運転するので、蒸発器の表面温度、いわゆる蒸発温度が、吸込空気の露点温度以下となって、蒸発器に吸込空気の水分が結露し、長時間運転により、除去される除湿量が多くなり、長時間継続して吹出空気の絶対湿度が低下し、空調空気の絶対湿度も低下し、その空調空気が流れる空調送風路内、部屋、空間の相対湿度も低下し、梅雨時期など中温高湿時等で、さらに空調送風路に結露しにくい空調換気システムが得られる。
また、他の手段は、前記循環路又は前記空調ユニットに、HEPAフィルタ式又は、電気集塵式の空気清浄機を設けるものである。
循環路又は空調ユニットにHEPAフィルタ式又は、電気集塵式の空気清浄機を設け、空調空気に含まれるカビ胞子レベルの粒子も除去するため、空調空気が通る空調送風路内にカビがより繁殖しにくく、建物内に、空調送風路内のカビ、細菌、異臭などが入りにくく、健康で快適な空間を実現できる空調換気システムが得られる。
また、他の手段は、前記部屋又は前記空間の温度を検出する温度センサーと、前記温度を設定する温度設定部を有し、前記混合部の温度を検出する温度センサーを有し、2つの前記温度センサーの検出値と前記温度設定部の設定温度から、前記空調部と前記送風部を制御する制御部を有するものである。
この手段により、自動的に、部屋、空間の平均温度が設定温度となるので利便性が高く、空調送風路の周囲の空気の平均温度に対し、冷房時は5K以内、暖房時は10K以内の空調送風路内の空気の平均温度となるので、部屋、空間をユーザーの設定した温度にしながら、空調送風路内外の結露を抑えることができ、外乱や空調負荷の変化等があっても、確実にカビ等が繁殖しにくい空調換気システムが得られる。
また、他の手段は、前記空調送風路の内側の前記空調空気が流れる表面に、ポリプロピレンフィルム、軟質塩化ビニルフィルム又はPETフィルムの少なくともいずれか一つを有するものである。
これにより、空調送風路の内側の空調空気が流れる表面に、非通気性、非透湿性で、表面粗さ(表面の凹凸)が小さい、ポリプロピレンフィルム、軟質塩化ビニルフィルム又はPETフィルムの少なくともいずれか一つを有するので、埃と水分とカビ胞子等が表面から木材や断熱材、吸音材等に入り込まず、そこでカビ等が繁殖しにくく、さらに表面に、埃等が堆積しにくく、水分も含まないので、カビ等が繁殖しにくく、建物内に、空調送風路内の埃やカビ、細菌、異臭などが入りにくく、健康で快適な空間を実現できる空調換気システムが得られる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高気密高断熱な建物内を均一な温湿度となるよう空調し、新鮮できれいな室外空気を導入し、水分を含んだ汚れた室内空気を排気し、建物内を空気清浄することにより、省エネで、均一な温湿度、空気質のよい、健康で快適な空間を実現しながら、さらに、空調送風路内外の結露が発生しにくく、空調送風路内に埃等が堆積しにくく、カビも繁殖しにくく、雑菌による臭いも発生しにくく、建物内に、空調送風路内の埃やカビ、細菌、異臭などが流入しにくい、健康で快適な空間を実現できる空調換気システムを提供できる。
また、長期間使用しても、空調送風路の清掃などのメンテナンスや長期使用時のリフォームなどが不要で、建物内を常に健康で快適な空調換気を行うことが可能な空調換気システムを提供できる。
さらに、通常の建物で構造上必然的に区画される階間、床下、天井裏等の気密断熱空間を空調送風路として利用し、そこに吹出口を設けるため、建物内に空調ダクトを引き回す必要がなく、省施工であり、空調ユニットから吹出口までの送風路の圧力損失が少ない合理的な空調換気システムを提供できる。
さらに、ユーザーの好みにより、部屋、空間の温度を設定し、自動的に設定した温度に合わせながら、空調送風路内外の結露も防止することが可能な空調換気システムを提供できる。
さらに、1階と2階のクロストークなどの騒音を低減しながら、部屋間、空間間の温度、部屋内、空間内の温度を均一にする空調換気システムを提供できる。
さらに、ダクトの代わりに、通常建物に存在する階間等を空調送風路として使用し、熱交換気システムなどを階間等内に設けるので、ダクトや熱交換気システムを収めるスペースが不要で、省スペースな空調換気システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の実施の形態1における空調換気システムの構成図
同システムの空調ユニットの縦断面図1
同システムの空調ユニットの縦断面図2
同システムの空調部の縦断面図
同システムの制御ブロック図
本発明の実施の形態2における同システムの空調送風路の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における空調換気システム1の構成図である。
図示するように、空調換気システム1は、高気密高断熱住宅である建物2に設置され、建物2内に設けられた空調ユニット10で生成された空調空気を空調送風路A30、空調送風路B31に通して、建物2内の部屋や空間をくまなく空調換気している。
本実施の形態では、部屋は、居室が対象であり、空間とは、非居室が対象となり、居室とは居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室を言い、非居室はそうではない室を言うが、居室として判断が難しい用途の室は、利用実態に応じて判断すればよい。
建物2は、外皮(建物の外周部分の構造体、例えば、建物の外壁、屋根、外気に接する床、窓等をいう)を断熱材(図示せず)及び気密シート(図示せず)で隙間なく覆われており、2階の天井3は、断熱材4で覆われた天井断熱仕様、1階の床5は、断熱材6に覆われた床断熱仕様、窓はトリプルガラスの樹脂サッシなどの断熱サッシ7、ドアは断熱ドア(図示せず)であり、天井3から屋根8までの屋根裏空間9、床5から基礎11までの床下空間12を除いて、建物2内全体の部屋や空間が断熱空間となっている。
断熱の方法は、大きく分けて外断熱と内断熱があり、それぞれのメリット/デメリットに応じて採用すればよいが、建物2の外皮に断熱性の欠損がなく、少なくともZEH基準の断熱性能をクリアする建物2を対象とする。
気密性能については、気密シートの仕様にもよるが、気密シートの継ぎ目に気密テープなどを貼るなどして、気密層の連続性を保ち、少なくともC値1.0をクリアする建物2を対象とする。
【0010】
本空調換気システム1では、周りを空調される部屋や空間、壁、断熱材で覆われ、気密処理が施された、気密性断熱性の高い空調室である空調ユニット10は、玄関13から2階に上がる階段14の登り切った場所の2階ホール15に設けられている。
また、空調ユニット10には、メンテナンスのために、開閉により、2階ホール15から内部に出入り可能で、閉めた時に気密性の高い密閉ドア(図示せず)が設けられている。
本実施の形態では、空調ユニット10は、2階ホール15に設けられているが、階段下16、機械室(図示せず)等の非居室に、設けてもよい。
空調空気を生成する空調ユニット10内には、複数の送風部17、室外に設置された空調室外機18と冷媒配管及び電気配線19で接続された空調部20が設けられている。
空調部20は、熱交換器(図示せず)と送風機(図示せず)を有し、送風部17は、ファン(図示せず)とモーター(図示せず)を有している。
空調ユニット10の中間板21に、空調部20と送風部17は取り付けられ、その後ろには、周りを空調される部屋や空間、壁、断熱材で覆われ、気密処理が施された、気密性断熱性の高い空調送風路A30があり、送風部17の筐体の一部と吹出口22が、空調送風路A30側に出ている。
1階の天井32と2階の床33の間の空間であるいわゆる階間34には、上下を空調される部屋や空間で覆われ、前後左右は断熱材4を有する外壁等で覆われ、接触面を中心に気密シートを貼るなど気密処理が施された、気密性断熱性の高い空調送風路B31が設けられ、丁度、建物2を上下2つに区画する構造となっている。
空調送風路A30と空調送風路B31は、空調ユニット10の奥行まで広がった接続部35で繋げられ、空調送風路A30から空調送風路B31に大風量の空調空気が流れる時に、できる限り圧力損失を受けないように、接続部の面積を大きくしている。
階間34は、柱(図示せず)に固定された梁(図示せず)と根太(図示せず)の上側に2階の床下地板(図示せず)、床33を貼り、下側に1階の天井下地板(図示せず)、天井32を貼って作られた空間で、高さは一般的に300~400mmある。
空調送風路B31は、水平に張られた床下地板、床33、天井下地板、天井32と4方の外壁や垂直に張られた板との気密性を高めるために接触面を中心に気密シートを貼り、外壁の場合は、断熱欠損を防止するため、断熱材を設けた気密断熱構造となっている。
空調送風路B31は、接続部35と後述する各部屋に空調空気を吹き出す吹出口だけ開口している。
(【0011】以降は省略されています)

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