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公開番号2024032525
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-12
出願番号2022136213
出願日2022-08-29
発明の名称浮体式基礎の製作方法
出願人大成建設株式会社
代理人個人,個人
主分類B63B 73/10 20200101AFI20240305BHJP(船舶またはその他の水上浮揚構造物;関連艤装品)
要約【課題】ドックにおけるコンクリート製のセミサブマージブル型の浮体式基礎の効率的な製作を実現できる、浮体式基礎の製作方法を提供する。
【解決手段】洋上風車80のタワー82を支持するセミサブマージブル型基礎70である、浮体式基礎の製作方法であり、少なくとも、センターカラム基礎71とサイドカラム基礎73とポンツーン70Cをそれぞれの製作ヤード10にて製作する製作工程、少なくとも、センターカラム基礎71と複数のサイドカラム基礎73を接続ヤード20に搬送して位置決めし、双方の間にポンツーン用隙間Gを設ける搬送位置決め工程、ポンツーン用隙間Gにポンツーン70Cを挿入するポンツーン挿入工程、ポンツーン70Cを双方に接続するポンツーン接続工程、センターカラム基礎71に対してセンタータワー72を接続するセンタータワー接続工程、サイドカラム基礎73に対してサイドタワー74を接続するサイドタワー接続工程を有する。
【選択図】図4B
特許請求の範囲【請求項1】
コンクリート製のセンターカラムと、該センターカラムを中心として3方向又は4方向に間隔を置いて配設されている、複数のコンクリート製のサイドカラムと、該センターカラムと各サイドカラムを繋ぐ複数のコンクリート製のポンツーンとを有し、該センターカラムは、センターカラム基礎と、該センターカラム基礎から立ち上がるセンタータワーとを備え、該サイドカラムは、サイドカラム基礎と、該サイドカラム基礎から立ち上がるサイドタワーとを備え、洋上風車のタワーを支持するセミサブマージブル型基礎である、浮体式基礎の製作方法であって、
少なくとも、前記センターカラム基礎と、前記サイドカラム基礎と、前記ポンツーンを、それぞれの製作ヤードにて製作する、製作工程と、
少なくとも、前記センターカラム基礎と複数の前記サイドカラム基礎を接続ヤードに搬送して位置決めし、該センターカラム基礎と該サイドカラム基礎との間に前記ポンツーンが挿入されるポンツーン用隙間を設ける、搬送位置決め工程と、
前記ポンツーン用隙間に対して前記ポンツーンを挿入する、ポンツーン挿入工程と、
前記ポンツーンを前記センターカラム基礎と前記サイドカラム基礎の双方に接続する、ポンツーン接続工程と、
前記センターカラム基礎に対して前記センタータワーを接続する、センタータワー接続工程と、
前記サイドカラム基礎に対して前記サイドタワーを接続する、サイドタワー接続工程とを有することを特徴とする、浮体式基礎の製作方法。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記製作工程に、前記センタータワー接続工程と前記サイドタワー接続工程の少なくとも一方が含まれることを特徴とする、請求項1に記載の浮体式基礎の製作方法。
【請求項3】
前記センタータワーは、複数のセンタータワーエレメントの積層体であり、
前記サイドタワーは、複数のサイドタワーエレメントの積層体であり、
前記ポンツーンは、複数のポンツーンエレメントの接続体であり、
前記センタータワー接続工程が前記製作工程に含まれる場合は、該センタータワーの少なくとも一部が前記センターカラム基礎に接続され、
前記サイドタワー接続工程が前記製作工程に含まれる場合は、該サイドタワーの少なくとも一部が前記サイドカラム基礎に接続されることを特徴とする、請求項2に記載の浮体式基礎の製作方法。
【請求項4】
前記センタータワーは、複数のセンタータワーエレメントの積層体であり、
前記サイドタワーは、複数のサイドタワーエレメントの積層体であり、
前記ポンツーンは、単体のポンツーンエレメントであり、
前記センタータワー接続工程が前記製作工程に含まれる場合は、該センタータワーの少なくとも一部が前記センターカラム基礎に接続され、
前記サイドタワー接続工程が前記製作工程に含まれる場合は、該サイドタワーの少なくとも一部が前記サイドカラム基礎に接続されることを特徴とする、請求項2に記載の浮体式基礎の製作方法。
【請求項5】
前記センターカラム基礎と前記センタータワーを、複数の第1緊張材により緊張して前記センターカラムを製作し、
前記サイドカラム基礎と前記サイドタワーを、複数の第2緊張材により緊張して複数の前記サイドカラムを製作し、
前記製作工程では、前記製作ヤードにおいて、複数の前記ポンツーンエレメントを複数の第3緊張材により緊張して前記ポンツーンを製作し、
前記ポンツーン接続工程では、前記接続ヤードにおいて、前記センターカラムと前記サイドカラムに対して、前記ポンツーンを複数の第4緊張材により緊張して接続することを特徴とする、請求項3に記載の浮体式基礎の製作方法。
【請求項6】
前記センターカラムを中心に4つの前記ポンツーンが90度間隔に配設され、各ポンツーンに前記サイドカラムが接続される場合において、
前記ポンツーン接続工程では、前記第3緊張材と前記第4緊張材を同一の緊張材として、前記センターカラム基礎を中心に対向する2つの前記ポンツーン同士を、該センターカラム基礎とともに共通の前記第3緊張材により緊張することを特徴とする、請求項5に記載の浮体式基礎の製作方法。
【請求項7】
前記ポンツーン用隙間は、挿入される前記ポンツーンの長さと、製作誤差及び/又は接続誤差のための誤差長さを加えた長さを備えていることを特徴とする、請求項1に記載の浮体式基礎の製作方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、浮体式基礎の製作方法に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
温室効果ガスの排出量削減を目的として、再生可能エネルギーの需要が高まっている。再生可能エネルギーには、例えば、太陽光発電や風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス等がある。風力発電施設は、風車による騒音や振動が生活環境に影響を及ぼす場合があり、居住空間等への影響を十分に考慮する必要があることから、居住区域から離れた山間部などに設置されることが多い。
しかしながら、大型の風車を設置する用地を山間部に確保することは難しく、また、風力発電施設までの交通路の確保や、送電線等の設置等も困難であることから、風力発電施設を構成する洋上風車を海上(水上や湖上を含む)に設置するための技術開発が進められている。
海上に洋上風車を構築する場合、その基礎として浮体式基礎を採用する場合があり、この浮体式基礎には、セミサブマージブル型やスパー型、パージ型、TLP(Tension Leg Platform:緊張係留式プラットフォーム)型等が存在する。この中でも、セミサブマージブル型基礎(半潜水浮体式基礎)は、風車のタワー(支柱)を支持するセンターカラムと、センターカラムの周囲に間隔を置いて配設されている複数(3基もしくは4基)のサイドカラムと、センターカラムとサイドカラムとを連結するポンツーンとを有し、波浪や海風に対して優れた安定性を奏し得ることから、比較的実績の多い基礎である。
【0003】
従来の浮体式基礎は、鋼材により製作されている形態が一般的であるため、製作コストの高騰が課題の一つとなっており、浮体式基礎の規模が大きくなるに従い、この課題は一層顕著になる。
そこで、コンクリート製のセミサブマージブル型基礎をドックにて製作し、海上へ曳航して設置することにより、製作コストの低減を図ることができるものの、現状、ドックにおけるコンクリート製のセミサブマージブル型基礎の効率的な製作方法が確立されていないことから、効率的な製作を実現できる浮体式基礎の製作方法が望まれる。
【0004】
ここで、特許文献1には、洋上風車のタワーを高さ方向に分割してできた複数のタワー部材を、地盤上に設置された台座を基礎として台座上に構築されたジャッキ付き架台にて組み立てる、タワー組立方法が提案されている。
一方、特許文献2には、洋上風車のタワーを高さ方向に分割してできた複数のタワー部材を洋上で組み立てて据え付ける、洋上風車の据付方法が提案されており、この据付方法は、洋上風車の基礎となるケーソンを洋上風車の設置位置に設置するケーソン設置工程と、ケーソンにて複数のタワー部材を組み立てる組立工程と、最上段のタワー部材に取り付けられたナセルに、ケーソンにてブレードを取り付けるブレード取付工程とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2021-80852号公報
特開2021-76043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2には、効率的なタワーの組立方法に関する記載はあるものの、上記するように、ドックにおいてコンクリート製のセミサブマージブル型の浮体式基礎を効率的に製作する技術に関する記載はない。
【0007】
本発明は、ドックにおけるコンクリート製のセミサブマージブル型の浮体式基礎の効率的な製作を実現できる、浮体式基礎の製作方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成すべく、本発明による浮体式基礎の製作方法の一態様は、
コンクリート製のセンターカラムと、該センターカラムを中心として3方向又は4方向に間隔を置いて配設されている、複数のコンクリート製のサイドカラムと、該センターカラムと各サイドカラムを繋ぐ複数のコンクリート製のポンツーンとを有し、該センターカラムは、センターカラム基礎と、該センターカラム基礎から立ち上がるセンタータワーとを備え、該サイドカラムは、サイドカラム基礎と、該サイドカラム基礎から立ち上がるサイドタワーとを備え、洋上風車のタワーを支持するセミサブマージブル型基礎である、浮体式基礎の製作方法であって、
少なくとも、前記センターカラム基礎と、前記サイドカラム基礎と、前記ポンツーンを、それぞれの製作ヤードにて製作する、製作工程と、
少なくとも、前記センターカラム基礎と複数の前記サイドカラム基礎を接続ヤードに搬送して位置決めし、該センターカラム基礎と該サイドカラム基礎との間に前記ポンツーンが挿入されるポンツーン用隙間を設ける、搬送位置決め工程と、
前記ポンツーン用隙間に対して前記ポンツーンを挿入する、ポンツーン挿入工程と、
前記ポンツーンを前記センターカラム基礎と前記サイドカラム基礎の双方に接続する、ポンツーン接続工程と、
前記センターカラム基礎に対して前記センタータワーを接続する、センタータワー接続工程と、
前記サイドカラム基礎に対して前記サイドタワーを接続する、サイドタワー接続工程とを有することを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、セミサブマージブル型基礎を構成するセンターカラムとサイドカラムとポンツーンのそれぞれの一部もしくは全部を、それぞれに固有の製作ヤードにて製作した後、少なくともセンターカラム基礎と複数のサイドカラム基礎を接続ヤードに搬送して位置決めし、双方の間にポンツーンが挿入されるポンツーン用隙間を設けた後に、ポンツーン用隙間にポンツーンを挿入してセンターカラム基礎とサイドカラム基礎に接続することにより、特に接続ヤードにおける接続効率性を高めることができ、このことによって、ドックにおける効率的な浮体式基礎の製作を実現することができる。
また、接続ヤードにて位置決めされたセンターカラム基礎と複数のサイドカラム基礎をポンツーンにて接続して浮体式基礎の下部を製作した後、センターカラム基礎と複数のサイドカラム基礎に対してそれぞれセンタータワーとサイドタワーを接続する接続方法により、安定した下部構造体に対してセンタータワーやサイドタワーといった上部構造体の接続を行うことができるため、スムーズな接続に加えて接続時の安全性が向上する。
【0010】
ここで、「コンクリート製」とは、鉄筋コンクリート(RC:Reinforced Concrete)製のことを意味しており、センターカラムやサイドカラム、ポンツーンやそれらの構成要素が鉄筋コンクリート製であることを意味している。尚、RC構造を主たる構造形式とした上で、鋼材(S:Steel)が含まれるSRC(Steel Reinforced Concrete)構造も、本明細書では「コンクリート製」に含まれるものとする。
(【0011】以降は省略されています)

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